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(オマケ)ゆうべは おたのしみでしたね
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収まる所に収まったせいか、どうにか発作の落ち着いたステレは、久しぶりにゆったりした食事をすることができた。
もちろん、もうしばらくはこの状態が続くのだが、手の届く場所に彼がいる。そう思えれば、乾くような激しい欲求に襲われることは無くなった。
「で、どうだったの?」
向いの席のチェシャが、ニヤニヤしながら言った。
「どうって、なにが?」
「昨夜、侯爵と……なんでしょ?」
「…うん」
「どんな感じだったの?」
「その…全敗…だった」
「全敗…」
チェシャが「ごくり」と息をのむ。
酷い時は、一晩中自分でして、それでも翌日また…という底無しのステレを全敗させるとは…
「オーウェンって身体強化の魔力が、信じられないくらい高度で…」
チェシャは無言でステレの目の前に左手を掲げて遮った。
ステレは不思議そうな顔で口をつぐむ。
「……なんでそこで身体強化魔法が出て来るの?」
「私も使ったわよ?。一戦する前は普通使うでしょ?」
「使わないわよ」
「え?」
「え?」
二人同時に首をひねる。
なぜ、会話が噛み合わないのだろう?
壁際に立つキリハは、眉間を抑えながらため息をついていた。
「ま、まぁそれは置いといて…侯爵のテクニックはどうなの?」
「それね。正直私、鬼人になってから増長してた。只人を侮っていたって思い知らされたわ」
「へぇ」
チェシャも身を乗り出す。あの美丈夫がどんなテクニックで体力オバケのステレを『全敗』させたのか、興味津々だった。
「オーウェンの攻めってさ、一見スピードはさほどでも無いのに、どうやっても捌ききれないのよ。しかも一発の重みと適格に急所を狙ってくる正確さは…」
チェシャはまた無言でステレの目の前に左手を掲げて遮った。
ステレはもまた不思議そう顔で口をつぐむ。
「……昨夜の話だよね?」
「……昨夜の話よ?」
二人同時に首をひねる。
なぜ、会話が噛み合わないのだろう?
壁際に立つキリハは、眉間を抑えながらため息をついていた。
(まぁ……幸せそうに見えるし、いいか……)
面倒くさいので、チェシャは以降の思考をブン投げることにしたのだった。
もちろん、もうしばらくはこの状態が続くのだが、手の届く場所に彼がいる。そう思えれば、乾くような激しい欲求に襲われることは無くなった。
「で、どうだったの?」
向いの席のチェシャが、ニヤニヤしながら言った。
「どうって、なにが?」
「昨夜、侯爵と……なんでしょ?」
「…うん」
「どんな感じだったの?」
「その…全敗…だった」
「全敗…」
チェシャが「ごくり」と息をのむ。
酷い時は、一晩中自分でして、それでも翌日また…という底無しのステレを全敗させるとは…
「オーウェンって身体強化の魔力が、信じられないくらい高度で…」
チェシャは無言でステレの目の前に左手を掲げて遮った。
ステレは不思議そうな顔で口をつぐむ。
「……なんでそこで身体強化魔法が出て来るの?」
「私も使ったわよ?。一戦する前は普通使うでしょ?」
「使わないわよ」
「え?」
「え?」
二人同時に首をひねる。
なぜ、会話が噛み合わないのだろう?
壁際に立つキリハは、眉間を抑えながらため息をついていた。
「ま、まぁそれは置いといて…侯爵のテクニックはどうなの?」
「それね。正直私、鬼人になってから増長してた。只人を侮っていたって思い知らされたわ」
「へぇ」
チェシャも身を乗り出す。あの美丈夫がどんなテクニックで体力オバケのステレを『全敗』させたのか、興味津々だった。
「オーウェンの攻めってさ、一見スピードはさほどでも無いのに、どうやっても捌ききれないのよ。しかも一発の重みと適格に急所を狙ってくる正確さは…」
チェシャはまた無言でステレの目の前に左手を掲げて遮った。
ステレはもまた不思議そう顔で口をつぐむ。
「……昨夜の話だよね?」
「……昨夜の話よ?」
二人同時に首をひねる。
なぜ、会話が噛み合わないのだろう?
壁際に立つキリハは、眉間を抑えながらため息をついていた。
(まぁ……幸せそうに見えるし、いいか……)
面倒くさいので、チェシャは以降の思考をブン投げることにしたのだった。
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