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2.202号室 住人 宮間礼子
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翌日、彼女から電話がかかってきた。
仕事が休みなので溜まった家事を片付けないといけないが、ユキヒロ入院事件からこっち、いろいろあったから疲労感が半端ない。やる気が起きず部屋でゴロゴロしていたときだった。
「宮間礼子さんですか?」
電話口の声は小さくて頼りない。きっとあの子だ。
「ええ、そうよ。アナタは鈴音ちゃん?」
「あ、はい。橘鈴音です。管理人さんから名刺をいただいて、今日なら宮間さんがお休みだとおうかがいして。今、お電話大丈夫ですか?」
あら、ちゃんと電話の相手の都合を確認できる子なのね。しっかりしてるじゃないの。それにしても何でいつきがアタシの休みを……あ、そうだ。今日の夕食頼んでるからか。
「ええ、大丈夫よ。連絡してくれて嬉しいわ」
「あの、……先日はありがとうございました」
突然のお礼に意味がわからず、一瞬言葉に詰まる。何のことだ?
「えっと。そちらにお伺いしたときに管理人さんを呼んでいただいて」
なんていうか……丁寧な子なのね。お礼を言われるほどのことでもないと思うんだけど。
「アタシも急いでたから。ちゃんと最後まで案内できなくて悪かったわね」
「いえ、どうしたらいいのかわからなかったのでとても助かりました。ありがとうございます」
「お役に立てたならよかったわ。ところで鈴音ちゃんは美沙恵の従姉妹だって聞いたんだけど」
「あ、はい。そうです」
「聞いてるかもしれないけど、アタシは美沙恵の隣に住んでんるの。もし何かわからないこととか困ったことがあったら相談にのるから連絡してきてね」
とりあえず本当はその髪をどうにかしたかったんだけどね。いつきに約束させらてるから今は言わないわよ。そのうち言うけどね。
「ありがとうございます」
「「…………」」
微妙な間が流れる。人の目を見て話せないのは嫌なのよねぇ。ま、連絡先はわかったからよしとするかな。
話を切り上げようとしたときに躊躇いがちな声が電話から聞こえてきた。
「えっと、あの……宮間さんは、美容師さんなんですか?」
「礼子でいいわよ。ええ、そうよ。名刺のお店で働いてるの」
「やっぱり……私の髪型、変ですか」
「うん?」
疑問符のついてない問いかけにこっちが疑問符だ。
「あ、ごめんなさい。礼子さんにお会いしたときに言われてちょっと気になってたんで……」
あーたーしーのばかーっ。
声に出して言った?言ってたんだ??何言ってんのよぉー。
「えーっと。……そうね、ゴメンナサイ」
「違うんです!えっと……そうじゃなくて……」
鈴音ちゃん曰く、ツヤツヤ黒髪ロングのお友達に憧れて真似したものの、髪質のせいでまとまりもなく、かといってどんな髪型にしたらいいのかもわからずにいるとのことだった。
彼女は多分、言わないけれど美容院に行くのが苦手なんだろう。時々そんな人がいる。行くのが苦手で伸ばしっぱなしにしてる人。でもそれじゃダメ。伸ばすなら丁寧に手入れして伸ばしてやらないと、ああなる。
「自分でも似合ってないなぁと思ってるので切りたいんですけど。礼子さんにお願いすることってできますか?」
よし!私からは一言も誘導してないからね!
「ええ、もちろん大丈夫よ。まっかせなさい」
仕事が休みなので溜まった家事を片付けないといけないが、ユキヒロ入院事件からこっち、いろいろあったから疲労感が半端ない。やる気が起きず部屋でゴロゴロしていたときだった。
「宮間礼子さんですか?」
電話口の声は小さくて頼りない。きっとあの子だ。
「ええ、そうよ。アナタは鈴音ちゃん?」
「あ、はい。橘鈴音です。管理人さんから名刺をいただいて、今日なら宮間さんがお休みだとおうかがいして。今、お電話大丈夫ですか?」
あら、ちゃんと電話の相手の都合を確認できる子なのね。しっかりしてるじゃないの。それにしても何でいつきがアタシの休みを……あ、そうだ。今日の夕食頼んでるからか。
「ええ、大丈夫よ。連絡してくれて嬉しいわ」
「あの、……先日はありがとうございました」
突然のお礼に意味がわからず、一瞬言葉に詰まる。何のことだ?
「えっと。そちらにお伺いしたときに管理人さんを呼んでいただいて」
なんていうか……丁寧な子なのね。お礼を言われるほどのことでもないと思うんだけど。
「アタシも急いでたから。ちゃんと最後まで案内できなくて悪かったわね」
「いえ、どうしたらいいのかわからなかったのでとても助かりました。ありがとうございます」
「お役に立てたならよかったわ。ところで鈴音ちゃんは美沙恵の従姉妹だって聞いたんだけど」
「あ、はい。そうです」
「聞いてるかもしれないけど、アタシは美沙恵の隣に住んでんるの。もし何かわからないこととか困ったことがあったら相談にのるから連絡してきてね」
とりあえず本当はその髪をどうにかしたかったんだけどね。いつきに約束させらてるから今は言わないわよ。そのうち言うけどね。
「ありがとうございます」
「「…………」」
微妙な間が流れる。人の目を見て話せないのは嫌なのよねぇ。ま、連絡先はわかったからよしとするかな。
話を切り上げようとしたときに躊躇いがちな声が電話から聞こえてきた。
「えっと、あの……宮間さんは、美容師さんなんですか?」
「礼子でいいわよ。ええ、そうよ。名刺のお店で働いてるの」
「やっぱり……私の髪型、変ですか」
「うん?」
疑問符のついてない問いかけにこっちが疑問符だ。
「あ、ごめんなさい。礼子さんにお会いしたときに言われてちょっと気になってたんで……」
あーたーしーのばかーっ。
声に出して言った?言ってたんだ??何言ってんのよぉー。
「えーっと。……そうね、ゴメンナサイ」
「違うんです!えっと……そうじゃなくて……」
鈴音ちゃん曰く、ツヤツヤ黒髪ロングのお友達に憧れて真似したものの、髪質のせいでまとまりもなく、かといってどんな髪型にしたらいいのかもわからずにいるとのことだった。
彼女は多分、言わないけれど美容院に行くのが苦手なんだろう。時々そんな人がいる。行くのが苦手で伸ばしっぱなしにしてる人。でもそれじゃダメ。伸ばすなら丁寧に手入れして伸ばしてやらないと、ああなる。
「自分でも似合ってないなぁと思ってるので切りたいんですけど。礼子さんにお願いすることってできますか?」
よし!私からは一言も誘導してないからね!
「ええ、もちろん大丈夫よ。まっかせなさい」
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