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1.203号室 住人 橘鈴音
8.
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夕食はまさかの管理人さんの手料理だった。事前に連絡しておくと夕食を作って貰えるらしい。食事開始は19時半で時間厳守。ちなみに食費は翌月まとめて引き落とし。美味しくて格安だから都合がつく限り美沙恵ちゃんは利用していたそうだ。
少しはやいけれど美沙恵ちゃんと食堂に行くと、管理人さんと伊織くんが既に準備をしていた。
「あ、美沙恵ねーちゃん!鈴ねーちゃん!」
伊織くんはお皿にチキン南蛮を盛り付け中だったがこちらを見て笑顔になった。なんだか気持ちのいい子だなぁ。
「伊織くん、テスト勉強はかどってる~?」
美沙恵ちゃんが寄ってきたノラを抱き上げる。
「美沙恵ねーちゃん、後で数学教えて!」
「いいよ~。最後だもんね」
最後ってことは、毎回お世話になってたってことなのかな。
伊織くんはじーっと私を見つめてくる。
「鈴ねーちゃん、数学は……」
「……お役に立てないよ、ごめんね」
私は立派な文系女子だ。数字は苦手なんだよ。
「いつきの兄ちゃんは……」
「まずは授業中に寝ないように努力することからはじめようか?」
朝練して一汗掻いたら眠くなるんだと伊織くんは言う。そっか、サッカー部に入ってるって言ってたもんね。
話ながら美沙恵ちゃんはご飯をよそい、私は食卓に並べていく。今日はこの4名で夕食のようだ。
キャベツの千切りのうえに乗せられたチキン南蛮、手作りのタルタルソース、パプリカの黄色と赤がキレイだなぁ。お味噌汁はわかめと大根、副菜にひじき豆、春菊白和え。とても食欲を刺激される。
それにみんなでワイワイと準備するのってなんだか楽しい。
管理人さんのご飯はめちゃくちゃ美味しかった。何これ?ジューシーな鶏肉!白和えも思った以上に濃厚で、お味噌汁は出汁がしっかりきいていてるし。ひじき豆も苦手なのに美味しかった。今、自分の目は絶対キラキラしてるよ。
「ウマイなぁ。チキン南蛮は兄ちゃんのが一番好きだなぁ」
伊織くんがしみじみと、でもガツガツ食べながら感想を述べる。
「本当に美味しいです。鶏肉ジューシーだし」
思わずポロっと本音が漏れた。
「お口にあってよかったです」
管理人さんはどこまでも控えめだ。
「本当美味しいよね~。鈴ちゃん胃袋掴まれちゃった?」
美沙恵ちゃんがからかい半分に聞いてくる。
「うん、本当に毎日食べたいかも」
「いつきくん、良かったね~。入居者獲得のために料理の腕を磨いた甲斐があったね~。鈴ちゃん、餌付けされちゃだめだよ~」
え、餌付け??そんなことされないよ、……多分。
「できることなら皆さん、健康でいて欲しいですからね。外食ばかりで体壊されるのを見るのは正直嫌ですしね。お手伝いできることがあればお手伝いしたいですから」
ニコニコニコニコニコと。美沙恵ちゃんと管理人さんの微笑みが止まらない。
「ごちそうさまー」
伊織くんが元気よく声をはりあげた。あ、早い。
素早く食器を洗い片付けながら美沙恵ちゃんに声をかける。
「教科書とってくるからちょっとだけ待てって!」
「いいよ、とっといで」
「ちなみに。鈴ねーちゃん英語は?」
「うーん、英語なら大丈夫かな」
「よっしゃ。鈴ねーちゃんもちょっとだけ、お願い!」
そう言い残し返事も待たずに部屋を出て行った。
「伊織くん必至だね~」
「成績落ちたらサッカー部辞めさせられますからね。使えるものはフル活用が彼の信条だそうですよ」
管理人さんは苦笑い。
でも不思議と憎めないんだよね、という美沙恵ちゃんの言葉に激しく同意だ。
「鈴ちゃん、英語係に就任だよ~。頑張ってね~」
入居前から指名されちゃったよ、大丈夫かなぁ。
少しはやいけれど美沙恵ちゃんと食堂に行くと、管理人さんと伊織くんが既に準備をしていた。
「あ、美沙恵ねーちゃん!鈴ねーちゃん!」
伊織くんはお皿にチキン南蛮を盛り付け中だったがこちらを見て笑顔になった。なんだか気持ちのいい子だなぁ。
「伊織くん、テスト勉強はかどってる~?」
美沙恵ちゃんが寄ってきたノラを抱き上げる。
「美沙恵ねーちゃん、後で数学教えて!」
「いいよ~。最後だもんね」
最後ってことは、毎回お世話になってたってことなのかな。
伊織くんはじーっと私を見つめてくる。
「鈴ねーちゃん、数学は……」
「……お役に立てないよ、ごめんね」
私は立派な文系女子だ。数字は苦手なんだよ。
「いつきの兄ちゃんは……」
「まずは授業中に寝ないように努力することからはじめようか?」
朝練して一汗掻いたら眠くなるんだと伊織くんは言う。そっか、サッカー部に入ってるって言ってたもんね。
話ながら美沙恵ちゃんはご飯をよそい、私は食卓に並べていく。今日はこの4名で夕食のようだ。
キャベツの千切りのうえに乗せられたチキン南蛮、手作りのタルタルソース、パプリカの黄色と赤がキレイだなぁ。お味噌汁はわかめと大根、副菜にひじき豆、春菊白和え。とても食欲を刺激される。
それにみんなでワイワイと準備するのってなんだか楽しい。
管理人さんのご飯はめちゃくちゃ美味しかった。何これ?ジューシーな鶏肉!白和えも思った以上に濃厚で、お味噌汁は出汁がしっかりきいていてるし。ひじき豆も苦手なのに美味しかった。今、自分の目は絶対キラキラしてるよ。
「ウマイなぁ。チキン南蛮は兄ちゃんのが一番好きだなぁ」
伊織くんがしみじみと、でもガツガツ食べながら感想を述べる。
「本当に美味しいです。鶏肉ジューシーだし」
思わずポロっと本音が漏れた。
「お口にあってよかったです」
管理人さんはどこまでも控えめだ。
「本当美味しいよね~。鈴ちゃん胃袋掴まれちゃった?」
美沙恵ちゃんがからかい半分に聞いてくる。
「うん、本当に毎日食べたいかも」
「いつきくん、良かったね~。入居者獲得のために料理の腕を磨いた甲斐があったね~。鈴ちゃん、餌付けされちゃだめだよ~」
え、餌付け??そんなことされないよ、……多分。
「できることなら皆さん、健康でいて欲しいですからね。外食ばかりで体壊されるのを見るのは正直嫌ですしね。お手伝いできることがあればお手伝いしたいですから」
ニコニコニコニコニコと。美沙恵ちゃんと管理人さんの微笑みが止まらない。
「ごちそうさまー」
伊織くんが元気よく声をはりあげた。あ、早い。
素早く食器を洗い片付けながら美沙恵ちゃんに声をかける。
「教科書とってくるからちょっとだけ待てって!」
「いいよ、とっといで」
「ちなみに。鈴ねーちゃん英語は?」
「うーん、英語なら大丈夫かな」
「よっしゃ。鈴ねーちゃんもちょっとだけ、お願い!」
そう言い残し返事も待たずに部屋を出て行った。
「伊織くん必至だね~」
「成績落ちたらサッカー部辞めさせられますからね。使えるものはフル活用が彼の信条だそうですよ」
管理人さんは苦笑い。
でも不思議と憎めないんだよね、という美沙恵ちゃんの言葉に激しく同意だ。
「鈴ちゃん、英語係に就任だよ~。頑張ってね~」
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