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第一章 第二王子との出会い
15.自覚
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「ええっと、取り敢えず私が舞踏会に参加しても大丈夫だということは分かりました。ですが、アルベルト様のパートナーというのは荷が重いというか……」
神の愛し子+王族の婚約者new
……なんて称号いらない。
頭の中でそんなステータス画面のようなものが思い浮かび、思わず遠い目をしてしまう。
「あはは、荷が重いのはこっちの方だと思うけど。なんて言ったって、さらちゃんは俺より立ち位置的には上だなんだよ?」
それは、そうかもしれないけど……。
これでも長年公爵令嬢をやっていたからね。
そっちの習慣が身についちゃってるというか……。
アルベルトは冗談めかしくそう言った後、ふっと急に真剣な表情へと変わりこう告げた。
「……でも、そうだな。さらちゃんが嫌って言うならやめるよ。……ねぇさらちゃん。俺のパートナーになるの、嫌?」
「……うっ」
この人は……、絶対自分の顔が整っていることをわかっててやってる!
じゃなきゃ跪いて手を差し出して……こんなプロポーズみたいな格好で、上目遣いであざとく首を傾げるなんてできない……って、わかってる。
わかってるのに……。
「……嫌じゃ、ないです。」
私の口からはいつの間にかそんな言葉が溢れ落ちていた。
だって、多分……。
私はアルベルトと親密な関係にあるって思われるのが嫌じゃないんだもん。
……あぁ、本当に手遅れだ。
ここまで堕ちてしまったら、もう誤魔化しきれそうもない。
計算高いところも、優しいところも、私の為に色々考えてくれるところも、たまに悪戯っ子のような顔をするところも、優しい笑顔も……どこをどう取っても……好き。大好き。
私は、どうしようもなくアルベルトのことを好きになってしまったのだ。
でも……だからこそ気づいてしまった。
アルベルトが私に一度だって好きと言ってくれていないことに。
結婚したいとか可愛いとか心の中でも言ってくれていた、だけど……。
肝心な言葉だけは絶対に言ってくれない。
それが、私の不安を加速させてしまった。
そして、私が彼に思いを告げるのをためらっているのもまた、そのことが原因だ。
……あれだけ心配してもらって、助けて貰ってるのに、信じられないなんて……自分でも最低だと思う。
『大切な人』だって言って貰ったのに……、私の為に怒ってくれたのに……。
それでも、それでもちゃんと言葉にしてくれなきゃ、私は……信じられそうにない。
この世界で散々裏切られたせいだとわかってはいるものの、私は自分があと一歩を踏み出せないことが、もどかしくて……同時に、とても悔しかった。
あんな人達のせいで、私は……私が大切にしたいと思う人を信じることができない。
こんなの、あんまりだ。
最初から転生が成功していれば……そもそも前世で死んだりしなければ……そんなもしもばかりが浮かんできて、後悔に苛まれる私自身が嫌になる。
過去は変えられないのに、もう前に進むしかないのに。
……結局私は、過去に囚われ続けてしまうんだ。
「……良かった。断られたらどうしようかと思ってたから。」
まるで全てを見透かしたように、アルベルトはたっぷりと間を取ってから私の頬にそっと手を伸ばしてきた。
「……まさか避けられるとは思わなかった。」
私は咄嗟に、その手を避けるように後ずさってしまった。
アルベルトに対して、後ろめたい気持ちがあったからだ。
今の中途半端なままじゃ、彼に触れてもらう権利なんてない……そう思っての行動だった。
だけど、すぐにそれは後悔へとかわる。
そんな表情、させたかったわけじゃないのに……。
アルベルトは悲しげに笑っている。
笑顔なのは彼なりの配慮だ。
傷ついたのを隠す為に、笑顔の下に本性を隠して笑っている。
「あ、の……」
「ごめん、自惚れてたみたい。これからは許可なく触ったりしないから。だから……」
「そんな不安そうな顔しないでよ」……そう言ったアルベルトの方がよっぽど辛そうな顔をしていて、私の胸がチクリと痛む。
……いいの?このままで。
私は今、やっと好きになれた人を傷つけたまま、何もできずにいるんだよ?
前と同じことを繰り返しても、いいの……?
「アルベルト様……!あの、えっと、私……」
仕立て屋を呼んでくると言って、気を利かせて部屋から出て行こうとしたアルベルトを何とか呼び止めたのは良いものの、上手く言葉が出ない。
そんな私をアルベルトは優しく見守っていてくれるので、それがかえって私の心を沈めていく。
「私っ、アルベルト様のことが……!」
「待って待って、さらちゃん。」
勇気を振り絞ってようやく言葉にできたのに、アルベルトによって阻まれてしまう。
私の気持ちは、迷惑……?
止められてしまったことで、どんどんマイナスの方向へと思考が進んでいく。
もしかして、(愛し子だから)結婚したい、(愛し子だから)可愛い(って褒めておこう)ってこと??
……あぁ、そっか。
その可能性もあるんだ。
私は見事にアルベルトの手の平で転がされ……
「お願いだから、俺から言わせて。……さらちゃん、君のことが大好きです。俺と、お付き合いしていただけませんか?」
「……っ!?」
って、え……?
そのあまりにも私に都合の良すぎる言葉に幻聴かと疑ってしまう。
でも、アルベルトが耳まで真っ赤にして目の前にいり現実がその仮説を否定してくれる。
……今度こそ、私はこの手をとっても良いんだよ、ね?
神の愛し子+王族の婚約者new
……なんて称号いらない。
頭の中でそんなステータス画面のようなものが思い浮かび、思わず遠い目をしてしまう。
「あはは、荷が重いのはこっちの方だと思うけど。なんて言ったって、さらちゃんは俺より立ち位置的には上だなんだよ?」
それは、そうかもしれないけど……。
これでも長年公爵令嬢をやっていたからね。
そっちの習慣が身についちゃってるというか……。
アルベルトは冗談めかしくそう言った後、ふっと急に真剣な表情へと変わりこう告げた。
「……でも、そうだな。さらちゃんが嫌って言うならやめるよ。……ねぇさらちゃん。俺のパートナーになるの、嫌?」
「……うっ」
この人は……、絶対自分の顔が整っていることをわかっててやってる!
じゃなきゃ跪いて手を差し出して……こんなプロポーズみたいな格好で、上目遣いであざとく首を傾げるなんてできない……って、わかってる。
わかってるのに……。
「……嫌じゃ、ないです。」
私の口からはいつの間にかそんな言葉が溢れ落ちていた。
だって、多分……。
私はアルベルトと親密な関係にあるって思われるのが嫌じゃないんだもん。
……あぁ、本当に手遅れだ。
ここまで堕ちてしまったら、もう誤魔化しきれそうもない。
計算高いところも、優しいところも、私の為に色々考えてくれるところも、たまに悪戯っ子のような顔をするところも、優しい笑顔も……どこをどう取っても……好き。大好き。
私は、どうしようもなくアルベルトのことを好きになってしまったのだ。
でも……だからこそ気づいてしまった。
アルベルトが私に一度だって好きと言ってくれていないことに。
結婚したいとか可愛いとか心の中でも言ってくれていた、だけど……。
肝心な言葉だけは絶対に言ってくれない。
それが、私の不安を加速させてしまった。
そして、私が彼に思いを告げるのをためらっているのもまた、そのことが原因だ。
……あれだけ心配してもらって、助けて貰ってるのに、信じられないなんて……自分でも最低だと思う。
『大切な人』だって言って貰ったのに……、私の為に怒ってくれたのに……。
それでも、それでもちゃんと言葉にしてくれなきゃ、私は……信じられそうにない。
この世界で散々裏切られたせいだとわかってはいるものの、私は自分があと一歩を踏み出せないことが、もどかしくて……同時に、とても悔しかった。
あんな人達のせいで、私は……私が大切にしたいと思う人を信じることができない。
こんなの、あんまりだ。
最初から転生が成功していれば……そもそも前世で死んだりしなければ……そんなもしもばかりが浮かんできて、後悔に苛まれる私自身が嫌になる。
過去は変えられないのに、もう前に進むしかないのに。
……結局私は、過去に囚われ続けてしまうんだ。
「……良かった。断られたらどうしようかと思ってたから。」
まるで全てを見透かしたように、アルベルトはたっぷりと間を取ってから私の頬にそっと手を伸ばしてきた。
「……まさか避けられるとは思わなかった。」
私は咄嗟に、その手を避けるように後ずさってしまった。
アルベルトに対して、後ろめたい気持ちがあったからだ。
今の中途半端なままじゃ、彼に触れてもらう権利なんてない……そう思っての行動だった。
だけど、すぐにそれは後悔へとかわる。
そんな表情、させたかったわけじゃないのに……。
アルベルトは悲しげに笑っている。
笑顔なのは彼なりの配慮だ。
傷ついたのを隠す為に、笑顔の下に本性を隠して笑っている。
「あ、の……」
「ごめん、自惚れてたみたい。これからは許可なく触ったりしないから。だから……」
「そんな不安そうな顔しないでよ」……そう言ったアルベルトの方がよっぽど辛そうな顔をしていて、私の胸がチクリと痛む。
……いいの?このままで。
私は今、やっと好きになれた人を傷つけたまま、何もできずにいるんだよ?
前と同じことを繰り返しても、いいの……?
「アルベルト様……!あの、えっと、私……」
仕立て屋を呼んでくると言って、気を利かせて部屋から出て行こうとしたアルベルトを何とか呼び止めたのは良いものの、上手く言葉が出ない。
そんな私をアルベルトは優しく見守っていてくれるので、それがかえって私の心を沈めていく。
「私っ、アルベルト様のことが……!」
「待って待って、さらちゃん。」
勇気を振り絞ってようやく言葉にできたのに、アルベルトによって阻まれてしまう。
私の気持ちは、迷惑……?
止められてしまったことで、どんどんマイナスの方向へと思考が進んでいく。
もしかして、(愛し子だから)結婚したい、(愛し子だから)可愛い(って褒めておこう)ってこと??
……あぁ、そっか。
その可能性もあるんだ。
私は見事にアルベルトの手の平で転がされ……
「お願いだから、俺から言わせて。……さらちゃん、君のことが大好きです。俺と、お付き合いしていただけませんか?」
「……っ!?」
って、え……?
そのあまりにも私に都合の良すぎる言葉に幻聴かと疑ってしまう。
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