6 / 6
朝食の時間
しおりを挟む
「お嬢様、お時間ですよ。」
私が記憶をまとめるのに夢中になっていると、いつの間にか入って来ていたエマにそう告げられた。
慌てて時計の方に目を向けると、8時50分。
えっ、嘘でしょ。
思っていたよりも時間が経っていたようで、朝食の10分前になってしまっていた。
どうしよう、朝食のことまだ何も考えてない!
レミリアとして生きると決めてから、レミリアについてを特にまとめて書いたは良いものの、情報が少なすぎる。
攻略対象ならまだしも、悪役令嬢の過去なんて、最初の人物紹介には書かれていなかった。
私が知っていることといえば、将来悪役令嬢になること、第一王子の婚約者になることくらい。
これでどうやってレミリアを演じれば良いっていうんだろう。
だから30分前くらいになったら振る舞い方を考えようと思ってたんだけど、他の攻略対象達の情報をまとめるのに思っていたよりも時間を取られてしまって、気づけば10分前。
結局、(多分家族恒例の集まりである)朝食に参加しないなんてそんな勇気などなく、私は重い足取りでエマについていったんだ。
「リア、おはよう。今日は早起きだったんだって?」
椅子に座るや否や、レミリアのお父さんらしき人に話しかけられた。
リアはレミリアの愛称ってことはすぐわかったから、顔を上げて(仮)お父さんの方を見る。
「はい、お父様。早くに目が覚めてしまいましたの。」
こんな感じかな?
私が不安になりながらもレミリアパパの方を見つめていると、何故だか悲しそうな目になった。
え、私何かやらかした??
そんな心配をよそに、レミリアパパは
「リア!いつもみたいにパパで良いんだぞ。」
なんて予想外の言葉を言ってくれたんだ。
その言葉に私は安堵した。
レミリアの親子関係は良好なんだ。
それがわかったから。
レミリアパパは、レミリアのことを溺愛してそう。
もしかしたら、ゲームをしていれば事前に知ることができたかもしれないと改めてゲームをプレイしなかったことを後悔しそうになる。
それで慌てて、杞憂が杞憂に終わってよかったと、プラスに考えることにしたんだ。
「もうあなたたっら。いい加減リア離れをしないと、鬱陶しがられますよ。それに、リアはもう5歳で、もう少しで社交界デビューもするんですから。」
レミリアパパの横に座っているレミリアによく似た綺麗な人……多分レミリアのお母さんがそう言うと、レミリアパパは残念そうに俯いてしまった。
その会話を聞いていると、最初に感じていた不安はどこかに消えてしまったんだ。
良い人そうでよかった。
そう思うことができたから。
……って、今の会話で、レミリアが今5歳であることと、社交界にでないといけない年齢まで知れた!
なんて答えようか考えたところで、ようやくそのことに気づく。
これは大収穫なんじゃない?
今5歳ってことは、ゲーム開始までは11年ある。
よかった、時間は結構あるみたい。
そんな風に油断していた矢先、
「確かにそうかもしれないが……。来月には王族主催のパーティーに初めて参加するしな。」
立ち直ったのか、顔を上げたレミリアパパがそんなことを口にした。
えっ……?
王族主催のパーティー!?
その言葉で私の気分は一気に下落してしまう。
私、貴族のマナー全然わからないっ!
そう思い、焦ってしまったのだ。
今だって、フォークとナイフの使い方合ってるかな?ってそれだけでもドキドキしてるのに、パーティーに参加するってなるとさらにダンスとか挨拶とかもあるんだよ?
レミリアって、マナー習ってたのかな?
ど、どうしよう。
もし習ってたら、今の私がマナー知らないのはおかしいよね。
うーん、えーっと。
そうだ!
頭をフル回転してようやくあるアイディアを思い付く。
「お父様。社交界に向けてマナーを学びたいですわ。」
そう、そのアイディアとはまさにマナーを学び直すと言う口実で、マナーを身につけること。
前世と変わらなかったらもしかしたらなんとかなる部分もあるかも知れないけど、そんなの聞かないとわからないからね。
「リアがやる気になってくれて嬉しいよ。そろそろリアにも貴族としてのマナーを身につけて欲しいと思っていた所だし、来週までには講師を見つけておくよ。」
「ありがとうございます!」
やった!
プロから学べるんだ。
これで社交界はなんとかなりそう。
問題は……やっぱり、第一王子だよね。
パーティーで挨拶しないとダメかな?
そう、私が心配しているのは王子に会ってしまうこと。
正直にいって、避けられるものなら避けたい。
だって自分から火の中に飛び込むようなものだもの。
だけど、『王族主催』。
つまり主催者に挨拶しないわけにはいかないのだから、必然的に会うことになる。
レミリアは第一王子の婚約者になる予定だから、ますます会わないなんてことは叶わなさそう。
いや、逆に考えよう。
まだ時間はあるんだから、その間に対策を考えられるって。
そう思うことで、なんとか沈んだ気持ちを回復する。
それに……あのイラストを三次元で見れるんだら。
そう、あのビジュを、現実で見られるのだ。
……なんだか楽しみになってしまったのは、気のせいということにしとこう。
私が記憶をまとめるのに夢中になっていると、いつの間にか入って来ていたエマにそう告げられた。
慌てて時計の方に目を向けると、8時50分。
えっ、嘘でしょ。
思っていたよりも時間が経っていたようで、朝食の10分前になってしまっていた。
どうしよう、朝食のことまだ何も考えてない!
レミリアとして生きると決めてから、レミリアについてを特にまとめて書いたは良いものの、情報が少なすぎる。
攻略対象ならまだしも、悪役令嬢の過去なんて、最初の人物紹介には書かれていなかった。
私が知っていることといえば、将来悪役令嬢になること、第一王子の婚約者になることくらい。
これでどうやってレミリアを演じれば良いっていうんだろう。
だから30分前くらいになったら振る舞い方を考えようと思ってたんだけど、他の攻略対象達の情報をまとめるのに思っていたよりも時間を取られてしまって、気づけば10分前。
結局、(多分家族恒例の集まりである)朝食に参加しないなんてそんな勇気などなく、私は重い足取りでエマについていったんだ。
「リア、おはよう。今日は早起きだったんだって?」
椅子に座るや否や、レミリアのお父さんらしき人に話しかけられた。
リアはレミリアの愛称ってことはすぐわかったから、顔を上げて(仮)お父さんの方を見る。
「はい、お父様。早くに目が覚めてしまいましたの。」
こんな感じかな?
私が不安になりながらもレミリアパパの方を見つめていると、何故だか悲しそうな目になった。
え、私何かやらかした??
そんな心配をよそに、レミリアパパは
「リア!いつもみたいにパパで良いんだぞ。」
なんて予想外の言葉を言ってくれたんだ。
その言葉に私は安堵した。
レミリアの親子関係は良好なんだ。
それがわかったから。
レミリアパパは、レミリアのことを溺愛してそう。
もしかしたら、ゲームをしていれば事前に知ることができたかもしれないと改めてゲームをプレイしなかったことを後悔しそうになる。
それで慌てて、杞憂が杞憂に終わってよかったと、プラスに考えることにしたんだ。
「もうあなたたっら。いい加減リア離れをしないと、鬱陶しがられますよ。それに、リアはもう5歳で、もう少しで社交界デビューもするんですから。」
レミリアパパの横に座っているレミリアによく似た綺麗な人……多分レミリアのお母さんがそう言うと、レミリアパパは残念そうに俯いてしまった。
その会話を聞いていると、最初に感じていた不安はどこかに消えてしまったんだ。
良い人そうでよかった。
そう思うことができたから。
……って、今の会話で、レミリアが今5歳であることと、社交界にでないといけない年齢まで知れた!
なんて答えようか考えたところで、ようやくそのことに気づく。
これは大収穫なんじゃない?
今5歳ってことは、ゲーム開始までは11年ある。
よかった、時間は結構あるみたい。
そんな風に油断していた矢先、
「確かにそうかもしれないが……。来月には王族主催のパーティーに初めて参加するしな。」
立ち直ったのか、顔を上げたレミリアパパがそんなことを口にした。
えっ……?
王族主催のパーティー!?
その言葉で私の気分は一気に下落してしまう。
私、貴族のマナー全然わからないっ!
そう思い、焦ってしまったのだ。
今だって、フォークとナイフの使い方合ってるかな?ってそれだけでもドキドキしてるのに、パーティーに参加するってなるとさらにダンスとか挨拶とかもあるんだよ?
レミリアって、マナー習ってたのかな?
ど、どうしよう。
もし習ってたら、今の私がマナー知らないのはおかしいよね。
うーん、えーっと。
そうだ!
頭をフル回転してようやくあるアイディアを思い付く。
「お父様。社交界に向けてマナーを学びたいですわ。」
そう、そのアイディアとはまさにマナーを学び直すと言う口実で、マナーを身につけること。
前世と変わらなかったらもしかしたらなんとかなる部分もあるかも知れないけど、そんなの聞かないとわからないからね。
「リアがやる気になってくれて嬉しいよ。そろそろリアにも貴族としてのマナーを身につけて欲しいと思っていた所だし、来週までには講師を見つけておくよ。」
「ありがとうございます!」
やった!
プロから学べるんだ。
これで社交界はなんとかなりそう。
問題は……やっぱり、第一王子だよね。
パーティーで挨拶しないとダメかな?
そう、私が心配しているのは王子に会ってしまうこと。
正直にいって、避けられるものなら避けたい。
だって自分から火の中に飛び込むようなものだもの。
だけど、『王族主催』。
つまり主催者に挨拶しないわけにはいかないのだから、必然的に会うことになる。
レミリアは第一王子の婚約者になる予定だから、ますます会わないなんてことは叶わなさそう。
いや、逆に考えよう。
まだ時間はあるんだから、その間に対策を考えられるって。
そう思うことで、なんとか沈んだ気持ちを回復する。
それに……あのイラストを三次元で見れるんだら。
そう、あのビジュを、現実で見られるのだ。
……なんだか楽しみになってしまったのは、気のせいということにしとこう。
7
お気に入りに追加
43
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。
パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。
将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。
平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。
根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。
その突然の失踪に、大騒ぎ。

「俺にしがみつくのはやめろ」と言われて恋が覚めたので、しがみつかずにリリースします。相容れないとほざくあなたは、今、私に捨てられましたわ
西野歌夏
恋愛
前世でフラれた記憶を思いだしたフローラ・ガトバンは、18歳の伯爵令嬢だ。今まさにデジャブのように同じ光景を見ていた。
エイトレンスのアルベルト王太子にまつわるストーリーです。
※の付いたタイトルは、あからさまな性的表現を含みます。苦手な方はお気をつけていただければと思います。
2025.5.29 完結いたしました。

異世界でゆるゆる生活を満喫す
葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。
もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。
家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。
ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。
✿ 私は彼のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
従姉が私の婚約者と結婚するそうです
みみぢあん
恋愛
ワザ―トン子爵家の長女アナイスの両親は流行り病でなくなった。 残されたアナイスと妹シモーヌも両親と同じ病にかかり田舎で療養することにした。 …だが子爵家を継いだ叔父がアナイスの婚約を勝手に解消してしまい、かわりに従姉のヴィクトワールがアウトランズ侯爵家のジョエル卿と婚約した。 アナイスは叔父に抗議するが、逆に脅されてしまい――――――
※虐待の場面があります。 苦手な方はご注意を! 前半、暗いお話が続きます。
いつものように、ツッコミどころいっぱいのお話に都合の良いユルユル設定です。どうかお手柔らかに(-_-;)

和食で騎士団を虜にした令嬢は、婚約破棄から人生やり直し中です 〜隣国で小料理屋をはじめたら、元婚約者が土下座してきました〜
梅澤 空
恋愛
伯爵令嬢リーナは、ある日突然、婚約を一方的に破棄された。
さらに家族からも勘当され、心の拠り所だった故郷を離れることに。
たどり着いたのは、隣国ブランネル王国の地方都市アードベル。
旅の途中で魔物に襲われた彼女を救ったのは、軽口ばかりの若き騎士だった。
そしてその出会いをきっかけに、リーナの中で前世の記憶がよみがえる。
日本で惣菜店に勤めていた頃の記憶。小料理屋を開きたいという夢。
食材を見極める鑑定の魔法と、料理人としての情熱が、彼女をもう一度立ち上がらせた。
「この魔物の肉……唐揚げにしたら、絶対おいしい!」
まずいと敬遠されていた魔物肉が、リーナの手で驚きの一品へと生まれ変わる。
その料理は、騎士団や町の人々の心と胃袋をつかみ、やがて故郷にまで噂が届いて……?
笑顔と温かさを届ける和食スローライフ、今日も開店です。
不憫な推しキャラを救おうとしただけなのに【幼児ラブロマンス期→BL期 成長物語】
はぴねこ
BL
リヒト(金髪碧眼美幼児)が前世でプレイしていた乙女ゲーム『星鏡のレイラ』には攻略が非常に難しくバッドエンドを迎えると陵辱監禁BL展開になってしまう不憫な攻略対象がいた。
一度もカルロ(不憫攻略対象)のハッピーエンドを迎えることができなかったリヒトは転生した世界が『星鏡のレイラ』の世界だとわかると、推しキャラであるカルロを幸せにするべく動き出す。
リヒト… エトワール王国の第一王子。カルロへの父性が暴走気味。
カルロ… リヒトの従者。リヒトは神様で唯一の居場所。リヒトへの想いが暴走気味。
魔塔主… 一人で国を滅ぼせるほどの魔法が使える自由人。ある意味厄災。リヒトを研究対象としている。
オーロ皇帝… 大帝国の皇帝。エトワールの悍ましい慣習を嫌っていたが、リヒトの利発さに興味を持つ。
ナタリア… 乙女ゲーム『星鏡のレイラ』のヒロイン。オーロ皇帝の孫娘。カルロとは恋のライバル。

信用してほしければそれ相応の態度を取ってください
haru.
恋愛
突然、婚約者の側に見知らぬ令嬢が居るようになった。両者共に恋愛感情はない、そのような関係ではないと言う。
「訳があって一緒に居るだけなんだ。どうか信じてほしい」
「ではその事情をお聞かせください」
「それは……ちょっと言えないんだ」
信じてと言うだけで何も話してくれない婚約者。信じたいけど、何をどう信じたらいいの。
二人の行動は更にエスカレートして周囲は彼等を秘密の関係なのではと疑い、私も婚約者を信じられなくなっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる