真面目令嬢は無意識のうちに溺愛ルートに入ってしまったようです!

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悪役令嬢の日常2

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エマがいなくなった後、朝食の時間まで時間があった私はゲームについて覚えていることを紙に書き出して整理することにした。
それで、部屋にあった机へと向かう。
椅子に座って、『ゲームの内容』とタイトルをつけた……のはいいものの、あまりにわかることが少なくて、少し絶望してしまったんだ。
私、生き延びられるのかな?
悪役令嬢であるレミリアの迎える結末なんて、悲惨なものが多いということは容易に想像ができる。
さらに悪いことに、私はその結末を知らないのだ。
だから、国外追放ならまだしも、処刑なんてことになったら、それを回避する手立てがないのでジ・エンド。
今世でも早くに人生を退出しなければならなくなってしまうのだ。
それだけは避けたい……!
だって私は前世で高校生という若さで死んでしまったんだから。
今世では長生きしたいって思うのも当然。
今のところゲームについてまとめられたのは、キャラの情報とそのキャラモチーフの花の花言葉のみ。
ゲームを始める前に実は調べてみたんだ。
クリアが花に関係してるみたいだったから。
友達に言ったら、「ゲームまで予習してんの?」なんてからかわれそうだけど、今回は私の性格がむしろ吉とでたみたい。

『アルバート・スペンサー(第一王子)
・レミリアの婚約者。
・いつも笑顔だけど、心の中では何考えてるかわからないタイプ。
・魔法属性:火
・モチーフの花:トラフユリ』
アルバート殿下の花であるトラフユリの花言葉は『私を愛して』だった。
腹黒王子って聞いてたからすごく意外だなっていうのが第一印象。
それで性格も確認してみたんだけど、イマイチわからなかった。
誰かに好かれる為に頑張っているわけでは無さそうだし、誰に愛して欲しいんだろう?って。
特に好きな人がいるわけでもなさそうだし。
それで私は、両親から愛情を注がれていないという結論に至ったんだ。
……親に愛して欲しいと思ってるってことは、親子関係が上手く行ってないのかなぁ。
アルバートの弟テオナルドの方にはそんな意味の花言葉がないから、アルバート殿下だけってことだよね?
ここに攻略する鍵がありそうって、調べた時に思った。
あ、ちなみに言っておくと、私は攻略対象達を攻略する気は全くない。
そりゃあ、好きなイラストレーターさんのキャラクターだから見た目は好みなんだけど、私がレミリアになった以上、前世の私の意思で動くのはなるべく避けたい。
私が行動を変えたせいで誰かの人生が悪い方向に変わってしまうかもしれないから。
それは嫌だった。
それにね、このゲームは攻略がめちゃくちゃ難しいって友達が言ってたの。
一つでも選択肢を間違えると攻略対象の地雷を踏んで、一気に好感度が下がってしまうんだって。
で、一度下がってしまったら好感度をMAXにはできなくなってしまうって言ってた。
好感度MAX=攻略対象と結婚&ハッピーエンドだから、このゲームを知らない私にとっては無理ゲーもいいところ。
友達は分岐を完璧に覚えていたけど、何せその分岐が多すぎて、まだ見つけられてないルートがあるってぼやいているのを私は毎日のように聞かされていた。
友達のことだから、今日もまた徹夜でルート探して、ギリギリに登校してるんだろうな。
なんて、前世でこのゲームを教えてくれた友達のことを懐かしく思いながら、友達から教えてもらった情報を別枠に付け加えてみる。
『アルバート→難易度が1番高い。ハッピーエンドには王太子になることが条件。』
こんな感じかな。
なんと!このゲームは攻略対象の好感度だけではなく、取り巻く環境も上手くやらないといけないないらしい。
アルバート殿下はその条件が王太子になるのを手伝うことなんだけど、これがまた難しいんだって。
この国では長男だから跡を継ぐって感じではなく、実力がある人が継ぐのが当たり前。
アルバート殿下は優秀なんだけど、花言葉とも合わせて考えると、親……つまり王様から嫌われてるのから、難易度が高いのかも。
流石に嫌われている理由まではわからないけど。
ゲームでは好感度アップのイベントと王太子にさせるためのイベントが別にあって、どちらも成功しないとまず結ばれないらしいから、ゲーム世界についてちゃんと把握する必要があるみたい。
「どうしてそんなに難しいのにやってるの?」って聞いたら、難しい方が燃えるとのこと。
さらにストーリーが緻密で、ルートを開放していくごとに「この言葉の意味はこうだったんだ!」ってわかるのも楽しいらしい。
そんなわけで、私はこの世界に転生したって気づいてからは、攻略なんてはなから諦めているんだ。
ゲームと違ってやり直せるわけでもないから、変に首を突っ込まない方が得策だと考えた。
……よし。
そうと決まれば、この世界でもやっていけるように頑張るぞ!
処刑……はあるかどうかわからないけど、アルバート殿下と友達にでもなって、回避しよう!
えいえいおー!
私は拳を高く上げて決意を固めたのだった。


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