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第160話 忘却癖。

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第160話 忘却癖。



「んで、ここでさっき話したこの古代文字が重要になってて一一」

 一一俺がリミィに古代の文明や歴史、魔法について教えていると、扉からノック音が聞こえた。

「ん、あ、ゼロ。ちょっと待ってて。」
「おう。一応キリもいいからここで一旦休憩も挟んでおくか。」

 リミィは俺の返答を聞いた後、軽く返事をして扉の前に立つ。そして扉の向こう側にいるであろう人物に質問をした。

「はーい、どなたですか?」
「あ、リミィ? 私よ。リシィよ。」

 扉の外から聞こえたのは、先程、ここに来る前に会話したリシィさんの声だった。

「リシィお姉様? あ、今開けます。」

 リミィは扉を開け、リシィさんを部屋に招いて質問をする。

「どうかしましたか?」
「ええ。お母様からリミィに、というかお二人さんに伝言。『もう夜遅いけど時間大丈夫?』だって。」

 リシィさんはリリィさんの声真似をして伝言を伝えた。・・・どうでもいいが、母娘ってこともあってすごく似ていた。

 俺はリシィさんの伝言を聞いてスマホで時間を調べる。

「あ、もう21:00過ぎてたのか。確かにそろそろ帰んねぇとまずいかもな。」
「あら、そうなの? じゃあもう1つの伝言は無理そうね。」
「もうひとつの伝言?」

「ええ。『ゼロ先生は時間があったら御一緒にお夕食はどうかしら?』って。」

 あー。夕食の誘いかぁ。・・・正直、絶対にうちの飯の方が美味しいよなぁ。でもこの前も断ったし、少し断りにくい……。
 ・・・いや、相手側から聞いてるんだし、別に食うか食わないかは俺の勝手か。そもそもどうかしら? ってだけで強制じゃないしな。うん、断るか。

「あー。すごくありがたいけど、俺も早いところ帰んねぇとだし。申し訳ないけど断らせてもらうわ。また今度予め誘ってくれれば。・・・あいつらの為にも早く帰んないとだし。」

 最後のはリミィがやや聞こえるかくらいの声で言った。・・・え? なんでわざわざそんなことをって? ・・・なんとなく☆

「えっ、ゼr「そっ。まぁ貴方にも予定があるみたいだし、無理にとは言ってなかったわ。」」

 リミィが一瞬聞こえたことについて聞こうとしたが、リシィに言葉を被されて掻き消えた。

「おぅ、今言ったが、予め言ってくれればありがたく受け取る。
 あ、リミィ。今やってたやつ。今日中には無理だったからまた次回な!」
「う、うん。また今度ね……?」

 リミィはやや不燃焼気味になっていたが、気にせず帰る支度をして、セルスを呼んでもらう。・・・まぁ居なくてもわかr(ry

「じゃあ改めて。また明日なっ。あ、それと今日やった事忘れないように。」
「うん! またねー! ・・・というかゼロに忘れないようにって言われたくない!」
「うっさいわっ!」

 ・・・この挨拶、というか会話。普通の先生と生徒の会話じゃねぇよな。なんて言うか、フレンドリー過ぎるよな。
 ・・・まぁ仲がいいことは悪いことじゃないし、別にいいや。ってかリミィ立ち直るのはやっ。

「ふふっ、本当に仲がいいわね。」
「HAHAHA☆ そうだろう? 羨ましいだろう?」
「・・・貴方、本当に敬語なくすと性格変わるのね。聞いていた通りだわ。」

 HAHAHA☆ ・・・俺もそう思ってるから言わんといてー。

「んじゃマジで帰るなー。」
「にゃーん。」

 ・・・あ。肩にティア乗ってるの忘れてた。・・・重さに慣れると存在自体を忘れちゃうな。
 ・・・俺の忘れやすさパネェな。
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