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第159話 上げて落として上げる。
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第159話 上げて落として上げる。
「貴方がゼロさんね?」
俺が執事にリシィさんについて聞こうとすると、リシィさんの方からこちらによってきた。
「・・・そうですが、俺、貴女と会ったことありましたっけ?」
リシィさんは俺の質問に対し、少しだけクスリと笑った。
・・・いや、まぁリシィさんがなんで俺の名前を知ってるかは何となく見当はついてる。
「いえ、初めましてよ。私の方が一方的に知ってるだけ。・・・いえ、正確にはリミィから聞いてる。って方が正しいかしら。」
うん、その答えでさらに可能性が高まったね。
「・・・俺のことを知ってるのは別に良いんですが、俺は貴女のことを何も、いえ、名前以外知らないのですが?」
リシィさんは俺の言い方に一瞬、呆気に取られたような顔つきになり、またクスリと笑った。
「そうね、一応、ちゃんと自己紹介しましょうかね。
私の名前は、リシィ・ユ・ベルセント。フォーリス・フォン・ベルセント・リーフスとリリィ・ウェン・ベルセントの娘で、リミィの姉です。」
・・・うん、やっぱりか。
リリィさんに似ていて、リミィのことを知ってる。そんでもって執事のリシィさんに対する対応。
あとはリミィのステータスにあった、あの『ベルセント伯爵家三女』の称号。・・・正直、これだけヒントがあってわからないはずがないよな。
ってかリミィの親父さん、フォーリスって言うんだ。初めて知ったわ。・・・うん、すっげぇ今更感半端ねぇな。
「まぁ友達のお姉さんみたいに接してくれて構わないわ。・・・リミィの知り合いでそのリミィの姉なのだから間違ってはないのだけどね。」
リシィさんはそう言うとまたクスリと笑った。
・・・なんだろう? 笑いやすい人なのかな? ・・・うん、違ぇか。
・・・あれ? ってか……。
「・・・あの、つかぬ事を伺いますが、俺、ここの家ちょいちょい来るんです。でも貴女、リシィさんを見た事が無かったんですけど……。」
「え? それはそうよ。私、ウェリス様……ああ、侯爵様の方のね。で、その侯爵様に嫁いで住まわしてもらっていたのだもの。」
あ、この人、結婚してたんだ。ってか今の『侯爵様の方』って言ってたけど、侯爵以外にもウェリスって人がいるのか。・・・うん、どうでもいいね!
・・・ってか嫁いでるのに家に帰ってきてもいいのか? 普通、その侯爵様の屋敷とかでずっと過ごすもんじゃない?
「・・・あ。今貴方、そんな所に嫁いだのに帰ってきて平気なのか? って考えてるでしょ。」
「おぉう、顔に出てましたか。これは失礼しました。」
「気にすることないわ。平民の人とかはみんなそんな風に思ってるみたいだし。
・・・こうやって帰ってきても意外と平気なのよ。貴族って適当で自分勝手だから。」
いや、貴族が適当ってアンタが言うんかい。・・・アンタも一応は貴族(準貴族だっけか?)だろうに。
「ところで、いいの? こんな所で道草食っちゃって。リミィから聞いた話だけど、今日って家庭教師の日じゃない? 多分、貴方もそれで来たんでしょ?」
えっ、あっそういやそうだったな。・・・早く行かないとリミィが怒りそうだし、早いとこ行かねぇとな。
「おぉ、これは失礼しました。それでは雷が落ちる前に早いところお暇しますかね。」
・・・少しだけキザっぽかったかな? ・・・いや、そうでもねぇか。
「クスッ。貴方それ、リミィのことを言ってるのかしら?」
「さぁ? どうでしょうか。・・・それでは時間もありませんし、行ってきますね。それでは、また。」
俺はそう言って屋敷の中へ向かう。
「ええ、また後で会いましょう。・・・あ、それと。次話す時から私も敬語なくていいわよー。」
俺は背後から聞こえるその声に軽く返事をして屋敷に向かっていった。
◇◆◇◆◇
~勉強部屋~
「………。」
部屋に戻るとスマホを片手に動画を見てるリミィが居た。
・・・そういやリミィにも渡したんだっけか。忘れてた。
「リミィー。今来たぞー。授業するから早いところスマホ終わりなー。」
「あっ、ゼロっ! ・・・今日は少し遅かったわね? 何かあったの?」
俺はここに来るまでにあったことを簡潔に述べた。
「へー。リシィ姉様に会ったんだ! どうだった? リシィ姉様綺麗だったでしょ? よくお母さん似って言われるみたいよ!」
「ああ、確かに綺麗だったな。」
「・・・うん、そうでしょー?」
・・・こいつ、自分で綺麗だろって言っといて肯定されたら嫉妬してやがる。
・・・うん、でもリミィは可愛い系だからね。そんな嫉妬する仕草も含めて可愛いから問題ないね。
・・・なんか親バカ思考になってる?
「・・・なんだ? 嫉妬してるのか? ってかリミィはどちらかと言うと可愛い系だろう。」
「!! そ、そうかな? ・・・えへへー、ありがとう!」
うん、思ったことはちゃんと言うで? ・・・あのまま嫉妬されてグレられるのは嫌だから、ご機嫌取りってのもあるけどな。
「よし、んじゃ授業を始めるぞ。今日は少し方向性を変えて基本教科系だー!」
「やっ……えぇー……。」
・・・なんか喜びから一気に嫌気に変わったな。だが、その嫌気をぶち壊そうか。
「まず国語は独自言語の作成。算術は空間演算の方法。歴史は古代魔法や隠された文明の詳細だな!」
「!! わかったわ! 私頑張る!」
リミィは先程の嫌な顔から一転、これからが楽しみそうな希望に満ちた顔つきになった。
・・・うん、ただの基本教科だと普通の人は嫌がるからね。こういう面白系の目標みたいなのを作れば喜んでやってくれるよな。
・・・少なくとも、俺はやる気が出る。
「んじゃまずは独自言語の作成だな。これは意外と簡単で元々あるやつを変えるところから始め一一」
一一その日、世界に新たな言語が作られた。
「貴方がゼロさんね?」
俺が執事にリシィさんについて聞こうとすると、リシィさんの方からこちらによってきた。
「・・・そうですが、俺、貴女と会ったことありましたっけ?」
リシィさんは俺の質問に対し、少しだけクスリと笑った。
・・・いや、まぁリシィさんがなんで俺の名前を知ってるかは何となく見当はついてる。
「いえ、初めましてよ。私の方が一方的に知ってるだけ。・・・いえ、正確にはリミィから聞いてる。って方が正しいかしら。」
うん、その答えでさらに可能性が高まったね。
「・・・俺のことを知ってるのは別に良いんですが、俺は貴女のことを何も、いえ、名前以外知らないのですが?」
リシィさんは俺の言い方に一瞬、呆気に取られたような顔つきになり、またクスリと笑った。
「そうね、一応、ちゃんと自己紹介しましょうかね。
私の名前は、リシィ・ユ・ベルセント。フォーリス・フォン・ベルセント・リーフスとリリィ・ウェン・ベルセントの娘で、リミィの姉です。」
・・・うん、やっぱりか。
リリィさんに似ていて、リミィのことを知ってる。そんでもって執事のリシィさんに対する対応。
あとはリミィのステータスにあった、あの『ベルセント伯爵家三女』の称号。・・・正直、これだけヒントがあってわからないはずがないよな。
ってかリミィの親父さん、フォーリスって言うんだ。初めて知ったわ。・・・うん、すっげぇ今更感半端ねぇな。
「まぁ友達のお姉さんみたいに接してくれて構わないわ。・・・リミィの知り合いでそのリミィの姉なのだから間違ってはないのだけどね。」
リシィさんはそう言うとまたクスリと笑った。
・・・なんだろう? 笑いやすい人なのかな? ・・・うん、違ぇか。
・・・あれ? ってか……。
「・・・あの、つかぬ事を伺いますが、俺、ここの家ちょいちょい来るんです。でも貴女、リシィさんを見た事が無かったんですけど……。」
「え? それはそうよ。私、ウェリス様……ああ、侯爵様の方のね。で、その侯爵様に嫁いで住まわしてもらっていたのだもの。」
あ、この人、結婚してたんだ。ってか今の『侯爵様の方』って言ってたけど、侯爵以外にもウェリスって人がいるのか。・・・うん、どうでもいいね!
・・・ってか嫁いでるのに家に帰ってきてもいいのか? 普通、その侯爵様の屋敷とかでずっと過ごすもんじゃない?
「・・・あ。今貴方、そんな所に嫁いだのに帰ってきて平気なのか? って考えてるでしょ。」
「おぉう、顔に出てましたか。これは失礼しました。」
「気にすることないわ。平民の人とかはみんなそんな風に思ってるみたいだし。
・・・こうやって帰ってきても意外と平気なのよ。貴族って適当で自分勝手だから。」
いや、貴族が適当ってアンタが言うんかい。・・・アンタも一応は貴族(準貴族だっけか?)だろうに。
「ところで、いいの? こんな所で道草食っちゃって。リミィから聞いた話だけど、今日って家庭教師の日じゃない? 多分、貴方もそれで来たんでしょ?」
えっ、あっそういやそうだったな。・・・早く行かないとリミィが怒りそうだし、早いとこ行かねぇとな。
「おぉ、これは失礼しました。それでは雷が落ちる前に早いところお暇しますかね。」
・・・少しだけキザっぽかったかな? ・・・いや、そうでもねぇか。
「クスッ。貴方それ、リミィのことを言ってるのかしら?」
「さぁ? どうでしょうか。・・・それでは時間もありませんし、行ってきますね。それでは、また。」
俺はそう言って屋敷の中へ向かう。
「ええ、また後で会いましょう。・・・あ、それと。次話す時から私も敬語なくていいわよー。」
俺は背後から聞こえるその声に軽く返事をして屋敷に向かっていった。
◇◆◇◆◇
~勉強部屋~
「………。」
部屋に戻るとスマホを片手に動画を見てるリミィが居た。
・・・そういやリミィにも渡したんだっけか。忘れてた。
「リミィー。今来たぞー。授業するから早いところスマホ終わりなー。」
「あっ、ゼロっ! ・・・今日は少し遅かったわね? 何かあったの?」
俺はここに来るまでにあったことを簡潔に述べた。
「へー。リシィ姉様に会ったんだ! どうだった? リシィ姉様綺麗だったでしょ? よくお母さん似って言われるみたいよ!」
「ああ、確かに綺麗だったな。」
「・・・うん、そうでしょー?」
・・・こいつ、自分で綺麗だろって言っといて肯定されたら嫉妬してやがる。
・・・うん、でもリミィは可愛い系だからね。そんな嫉妬する仕草も含めて可愛いから問題ないね。
・・・なんか親バカ思考になってる?
「・・・なんだ? 嫉妬してるのか? ってかリミィはどちらかと言うと可愛い系だろう。」
「!! そ、そうかな? ・・・えへへー、ありがとう!」
うん、思ったことはちゃんと言うで? ・・・あのまま嫉妬されてグレられるのは嫌だから、ご機嫌取りってのもあるけどな。
「よし、んじゃ授業を始めるぞ。今日は少し方向性を変えて基本教科系だー!」
「やっ……えぇー……。」
・・・なんか喜びから一気に嫌気に変わったな。だが、その嫌気をぶち壊そうか。
「まず国語は独自言語の作成。算術は空間演算の方法。歴史は古代魔法や隠された文明の詳細だな!」
「!! わかったわ! 私頑張る!」
リミィは先程の嫌な顔から一転、これからが楽しみそうな希望に満ちた顔つきになった。
・・・うん、ただの基本教科だと普通の人は嫌がるからね。こういう面白系の目標みたいなのを作れば喜んでやってくれるよな。
・・・少なくとも、俺はやる気が出る。
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