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第150話 勇者たちの決意とおまけ。【勇者side+α】
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第150話 勇者たちの決意とおまけ。【勇者side+α】
一一とある宿屋の一室。何やら、険しい顔つきをした五人組の男女が話し合っていた。
だが、その五人組の雰囲気、表情はどこか穏やかとは言い難く、皆、一様に何かを考え込んでいるようにも見えた。
そして、ちょうど話しに区切りが着いたところで、一人の男が他の男女に向けて声をかけた。
「……ねぇ、正直言ってみんなはどう思う?」
「・・・どう、とはあのゼロという教師についてか? タクミ。」
一一そう、五人組の男女とは雲海拓海用いる勇者様御一行のことである。
シグレは確認するようにウンカイに質問を返すと、ウンカイはそれに肯定するように頷いた。
「・・・正直言って異常だ、としか言えないな。」
シグレは険しい顔つきのままそう言い放つ。すると、ウンカイ含む他の者達も同意と表すように頷いた。
「……うん、やっぱそうだよねぇ。……はぁ……。」
ウンカイはやはり、と言った後ため息をつき、話が途切れる。
みんながため息をついて宙を眺めていると、ミカドはシロガネが俯いてうんうんと何か悩んでいることに気づいた。
「ん、ツキミちゃん、どうしたの?」
「……え? あ、すみませんわ。えーと、なんの話でしたっけ?」
シロガネは何かを考えていたようで、周りの話が耳に入っていなかったみたいだ。
「うん、えっとね、ゼロ先生がちょっとおかしいよねって話。」
「……あぁ、あの人のことですか。」
「あ! そーいや、ツキミちゃんって教室でゼロ先生と会った時も固まってたよねぇ~。
なになに~? もしかして一目惚れ~?」
マルイ、もといマルフィーヌが茶化すようにツキミに質問をする。
「いえ……。ですが、案外違うとも言い難いですわね。」
シロガネのその一言に周りのものは驚きを顔に表した。
「なになにー? どゆこと?」
「・・・えーとですわね、恐らく違うと思うのですが、あの人がわたくしの……そのー……元の世界のお知り合いに少し似ていまして。」
「……え? どういうことだい?」
ウンカイ達がその答えを疑問に思い、質問をする。
一一ウンカイ達が疑問に思うのはもちろんのことだろう。
この世界でもゼロの白銀髪とオッドアイの目はやや珍しい部類に入る。
その上それが元の世界の日本だ。尚のこと見ることは無いだろう。
もしいたとしても、少なからず目立つはずであるし、珍しさで記憶には残るであろう。
「あ、皆さんが思っていらっしゃると思いですが、もちろん見た目は違いますわ。」
ウンカイ達はその言葉にやや納得したが、すぐさま新しい疑問が浮かぶ。
「じゃあ何が似ていたんだい?」
シロガネは少し悩むように話し出す。
「たしかに、見た目は違いますわ。・・・ですが、なんというか。話し方と言いますか、雰囲気と言いますか。
・・・何かとても似ているものを感じるのですわ。」
ウンカイ達はそれを聞いてうぅん、と唸った。
「・・・うーん。そのツキミさんの知り合いを知らないからどうとも言えないけど、確かにそれは少し気になるね。
・・・似ているだけって可能性もあるけど、こんな世界だし。絶対にないとは言いきれないからね。もしかしたら……ってだけだけど。」
ウンカイは今の段階だと調べようがない、と話を切り上げた。
◇◆◇◆◇
そして、また数秒間の沈黙。
ウンカイは自身の拳を握り、緩ませる。そして……何か意思を決めたように立ち上がり、みんなに向かって話し出す。
みんなが自身の方を向いた事を確認すると大き過ぎず、しかしハッキリとした声で話し出す。
「僕達は……これからあの先生に色々と学ぶだろう。」
みんなが一様に頷く。
「・・・正直、怖さもある。あの力を見たあとだ。怖くないわけがない。」
ウンカイや他の勇者達もゼロとの戦闘を思い出し、少し震え出す。
「それに、もしかしたらこれから死ぬほど辛いこともあるかもしれない。・・・だけど! 絶対に僕らは耐えきれる! 今までもそんな険しい壁をみんなで力を合わせて乗り越えてきた!」
ウンカイの言葉一つ一つに皆が目に光を宿し始める。
「僕らがやろうと思えばやれないことは無い! 邪神討伐だってきっと出来る! いや、絶対勝つ! だから、みんなで力を合わせて頑張ろう!」
ウンカイの発言に皆が頷き、手に力を込め、掲げるようにあげる。
◇◆◇◆◇
一一同時刻、ゼロの家では。
「あ、凛! それ俺が食おうとしたやつ!!」
「なんじゃ、ケーキの一つくらいいいであろう。こんなに沢山あるしの。」
「いや、その種類のケーキそれで最後じゃねーか!!」
「ケチ臭いのう。ケチな男はモテないぞ?」
「うるs「主殿ー!ケーキの追加できたのじゃー!」オゥ! ナイスタイミングだハク! 後で頭撫でてやる!」
「やったのじゃ!一一」
・・・またハクのケーキパーティーが開催されていた。
一一ゼロ宅は今日も平和である。
一一とある宿屋の一室。何やら、険しい顔つきをした五人組の男女が話し合っていた。
だが、その五人組の雰囲気、表情はどこか穏やかとは言い難く、皆、一様に何かを考え込んでいるようにも見えた。
そして、ちょうど話しに区切りが着いたところで、一人の男が他の男女に向けて声をかけた。
「……ねぇ、正直言ってみんなはどう思う?」
「・・・どう、とはあのゼロという教師についてか? タクミ。」
一一そう、五人組の男女とは雲海拓海用いる勇者様御一行のことである。
シグレは確認するようにウンカイに質問を返すと、ウンカイはそれに肯定するように頷いた。
「・・・正直言って異常だ、としか言えないな。」
シグレは険しい顔つきのままそう言い放つ。すると、ウンカイ含む他の者達も同意と表すように頷いた。
「……うん、やっぱそうだよねぇ。……はぁ……。」
ウンカイはやはり、と言った後ため息をつき、話が途切れる。
みんながため息をついて宙を眺めていると、ミカドはシロガネが俯いてうんうんと何か悩んでいることに気づいた。
「ん、ツキミちゃん、どうしたの?」
「……え? あ、すみませんわ。えーと、なんの話でしたっけ?」
シロガネは何かを考えていたようで、周りの話が耳に入っていなかったみたいだ。
「うん、えっとね、ゼロ先生がちょっとおかしいよねって話。」
「……あぁ、あの人のことですか。」
「あ! そーいや、ツキミちゃんって教室でゼロ先生と会った時も固まってたよねぇ~。
なになに~? もしかして一目惚れ~?」
マルイ、もといマルフィーヌが茶化すようにツキミに質問をする。
「いえ……。ですが、案外違うとも言い難いですわね。」
シロガネのその一言に周りのものは驚きを顔に表した。
「なになにー? どゆこと?」
「・・・えーとですわね、恐らく違うと思うのですが、あの人がわたくしの……そのー……元の世界のお知り合いに少し似ていまして。」
「……え? どういうことだい?」
ウンカイ達がその答えを疑問に思い、質問をする。
一一ウンカイ達が疑問に思うのはもちろんのことだろう。
この世界でもゼロの白銀髪とオッドアイの目はやや珍しい部類に入る。
その上それが元の世界の日本だ。尚のこと見ることは無いだろう。
もしいたとしても、少なからず目立つはずであるし、珍しさで記憶には残るであろう。
「あ、皆さんが思っていらっしゃると思いですが、もちろん見た目は違いますわ。」
ウンカイ達はその言葉にやや納得したが、すぐさま新しい疑問が浮かぶ。
「じゃあ何が似ていたんだい?」
シロガネは少し悩むように話し出す。
「たしかに、見た目は違いますわ。・・・ですが、なんというか。話し方と言いますか、雰囲気と言いますか。
・・・何かとても似ているものを感じるのですわ。」
ウンカイ達はそれを聞いてうぅん、と唸った。
「・・・うーん。そのツキミさんの知り合いを知らないからどうとも言えないけど、確かにそれは少し気になるね。
・・・似ているだけって可能性もあるけど、こんな世界だし。絶対にないとは言いきれないからね。もしかしたら……ってだけだけど。」
ウンカイは今の段階だと調べようがない、と話を切り上げた。
◇◆◇◆◇
そして、また数秒間の沈黙。
ウンカイは自身の拳を握り、緩ませる。そして……何か意思を決めたように立ち上がり、みんなに向かって話し出す。
みんなが自身の方を向いた事を確認すると大き過ぎず、しかしハッキリとした声で話し出す。
「僕達は……これからあの先生に色々と学ぶだろう。」
みんなが一様に頷く。
「・・・正直、怖さもある。あの力を見たあとだ。怖くないわけがない。」
ウンカイや他の勇者達もゼロとの戦闘を思い出し、少し震え出す。
「それに、もしかしたらこれから死ぬほど辛いこともあるかもしれない。・・・だけど! 絶対に僕らは耐えきれる! 今までもそんな険しい壁をみんなで力を合わせて乗り越えてきた!」
ウンカイの言葉一つ一つに皆が目に光を宿し始める。
「僕らがやろうと思えばやれないことは無い! 邪神討伐だってきっと出来る! いや、絶対勝つ! だから、みんなで力を合わせて頑張ろう!」
ウンカイの発言に皆が頷き、手に力を込め、掲げるようにあげる。
◇◆◇◆◇
一一同時刻、ゼロの家では。
「あ、凛! それ俺が食おうとしたやつ!!」
「なんじゃ、ケーキの一つくらいいいであろう。こんなに沢山あるしの。」
「いや、その種類のケーキそれで最後じゃねーか!!」
「ケチ臭いのう。ケチな男はモテないぞ?」
「うるs「主殿ー!ケーキの追加できたのじゃー!」オゥ! ナイスタイミングだハク! 後で頭撫でてやる!」
「やったのじゃ!一一」
・・・またハクのケーキパーティーが開催されていた。
一一ゼロ宅は今日も平和である。
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