上 下
161 / 228

第146話 巻き込まれ体質?。

しおりを挟む
第146話 巻き込まれ体質?。


 一一三人の溜まり部屋

「一一でもあの技を使った後って多少ですが隙が出ません?」

「いや、あの技の後は……っと、おかえりなさいなのじゃ。主殿。」

「あ、おかえりなさいです。マスター。」

 俺がいつもの部屋に帰ってくると、既にハク達が帰ってきており、2人で話し合っていた。

「おん。二人は今さっき風呂上がった感じか?」

「はい|です(なのじゃ)。」

 んー、それじゃ俺も風呂はいっちゃおうかねぇ。久しぶりに体を思う存分動かせて疲れたし、ゆっくりと湯船にでも浸かりたいしな。

「うっし、それじゃ俺も入っちゃおうかねぇ。」

「「あ、ならも一緒に一一」」

 二人と一緒に入ると絶対にゆっくり出来ない気がする。・・・詳しくは言わんが、なんかそんな気がする。

「いや、俺も疲れたしゆっくりと浸かりたいから一人で行かせてもらう。今日ばかりはマジで勘弁してや。」

「「……はい(なのじゃ)。」」

 俺がハッキリと今日は一人がいいと言うと、二人はしょぼくれた感じにではあるが、返事をした。

 ・・・こいつら、一昨日あたりに言った「言うこと聞く権利」のやつ忘れてるくね? ・・・いや、違うか。今使うべきじゃないと判断したのか。……賢明な判断だな。

「んじゃ、行ってくるねぇ。・・・あ、そうだ。……覗くなよ?」

 俺は冗談めかしてそう言って部屋を出た。

 ・・・ちなみにそれを聞いた2人は少しだけビクッとなっていた。……おい。

◇◆◇◆◇

~翌日~

 一一あの後、そのまま風呂に入ったが、俺が止めたこともあってか、特に何事もなく風呂を上がって終わった。
(本当は俺が結界をはってたからなんだけどね!)


 さて、そんなことよりも。今日も今日とて講師の仕事があるため、いつもの如く学園へ向かう。

 今日は勇者が来るということをきちんと覚えていたので、いつもよりも早く出勤し、前もって準備を整える。

 ちなみにハク達だが、執事に先に学園に行ったと伝えるようにと言ってある。

 あともちろんティアも忘れずにちゃんといるぞ?

「にゃうん。」

「っと、着いたか。」

 どうやら色々と考えているうちに学園へ到着したようだ。

 そして、さて入ろうかと思ったその時、遠くの方から誰かが叫ぶような声が聞こえた。

「一一一一一一! 一一一、一一一一一一一一一ッ!!」

 ゼロが声をした方向をむくと、一人の男子生徒が30歳くらいの男性を追いかけていた。
 よく見るとその男性の手元には刃物が、そして男子生徒の後ろに衛兵所謂警察官達がいるようだ。

 ゼロは耳をすまして男子生徒の声をよく聞いてみる。

「ゼロ先生! そいつ、捕まえてくださいッ!!」

 男子生徒は息を荒くしていたが、確かにそう言っていた。

(えーと、よくわかんないけどとりあえずはこっちに来てる奴を捕まえればいいのかね?)

「オラァーッ!!邪魔だァ!そこをどけぇぇ!!」

 30歳くらいの男性はゼロに向かって手に持っていた刃物を突き刺そうとした。

 が、ゼロは軽く横に避け、足を引っ掛けた。

 刃物を刺そうとしていたのでやや前かがみになっていたこともあり、綺麗に顔面からすっ転んだ。
 そして、すっ転んだ衝撃により、男の手からは刃物が飛んでいった。

 ゼロはそのすっ転んだ男の近くにより、刃物を取るために起き上がろうとした男性の背中を勢いよく踏んだ。

 男性は急に背中を踏まれたことにより、肺の空気が一気に抜け、ぐふっと音を立てて再び倒れた。

「ぐっ、何しやがる……この野ろ……ッぐふっ。」

 男はそれでも立ち上がろうとしたが、ゼロの力に敵う訳もなく、そのまま衛兵達が来るまで動けずにいた。

「はぁ、はぁ……。ふぅ……、ありがとう、ございました。ふぅ、ゼロ先生。」

「ああ、こんくらい別に構わんが……んで、今度はなんの事件に巻き込まれたんだ? ジョージ・・・・。」

 まぁもうみんなわかっていると思うが、先程から言っていた男子生徒とはジョージのことだ。

 ・・・え? 覚えてない? あの巻き込まれ体質のやつだよ? そう、あのジョージ。

「いやぁ……実はですね。
 僕がお世話になっている衛兵長さんの頼みで一週間くらい前から探っていた連続殺人犯のことについて聞き込みやら証拠やら被害者などを調べていたんです。
 そしてある特徴が掴めたので、次の被害者に合いそうな人などに目星をつけたんですが……まさかの一発目でちょうど当たっちゃいましてねぇ。」

 と、いいながらジョージは俺の足元のやつに目を向ける。

 ・・・色々と言いたいことはあるが、これは言わせてくれ。俺も大概だけどこいつもこいつで大概じゃね?

 あとどこの誰かわからんが衛兵長さんや。そこら辺の子供になんつーこと頼んでんだよ。

「まぁ捕まえられて何よりです。・・・それにしてもゼロ先生はこんな時間にどうかしたんですか?」

「ん? いや、そんな変な時間帯じゃないだろ? もうそろそろ6:30になるぞ?」

「え、あ! 本当ですね・・・4:30辺りからずっと張り込みしていたので時間感覚が可笑しくなってました。」

「いや、4:30って……早すぎじゃね? 両親心配しないか?」

「いえ、父と母には置いてきた宿題とか日直あるから早く行かなきゃと説明してあるので問題ないです。」

 あー……この言い方的に家を抜け出すための嘘とか作り話とか手馴れてんな? こいつ。

「・・・まぁそれならいいけど、でもあんま両親心配させないように気をつけな。」

「・・・はい。・・・っと、衛兵さん達と色々と話すことがあるので、この辺りで。
 ではゼロ先生。また後ほど学園で。」

「おう、気ィつけろよ。」

 うし、んじゃ俺も講師の支度あるし早いとこ行こうかねっと。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

固有スキルが【空欄】の不遇ソーサラー、死後に発覚した最強スキル【転生】で生まれ変わった分だけ強くなる

名無し
ファンタジー
相方を補佐するためにソーサラーになったクアゼル。 冒険者なら誰にでも一つだけあるはずの強力な固有スキルが唯一《空欄》の男だった。 味方に裏切られて死ぬも復活し、最強の固有スキル【転生】を持っていたことを知る。 死ぬたびにダンジョンで亡くなった者として転生し、一つしか持てないはずの固有スキルをどんどん追加しながら、ソーサラーのクアゼルは最強になり、自分を裏切った者達に復讐していく。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

その幼女、最強にして最恐なり~転生したら幼女な俺は異世界で生きてく~

たま(恥晒)
ファンタジー
※作者都合により打ち切りとさせて頂きました。新作12/1より!! 猫刄 紅羽 年齢:18 性別:男 身長:146cm 容姿:幼女 声変わり:まだ 利き手:左 死因:神のミス 神のミス(うっかり)で死んだ紅羽は、チートを携えてファンタジー世界に転生する事に。 しかしながら、またもや今度は違う神のミス(ミス?)で転生後は正真正銘の幼女(超絶可愛い ※見た目はほぼ変わってない)になる。 更に転生した世界は1度国々が発展し過ぎて滅んだ世界で!? そんな世界で紅羽はどう過ごして行くのか... 的な感じです。

家族全員異世界へ転移したが、その世界で父(魔王)母(勇者)だった…らしい~妹は聖女クラスの魔力持ち!?俺はどうなんですかね?遠い目~

厘/りん
ファンタジー
ある休日、家族でお昼ご飯を食べていたらいきなり異世界へ転移した。俺(長男)カケルは日本と全く違う異世界に動揺していたが、父と母の様子がおかしかった。なぜか、やけに落ち着いている。問い詰めると、もともと父は異世界人だった(らしい)。信じられない! ☆第4回次世代ファンタジーカップ  142位でした。ありがとう御座いました。 ★Nolaノベルさん•なろうさんに編集して掲載中。

処理中です...