上 下
128 / 228

第114話 天の逆手。

しおりを挟む
第114話 天の逆手。


 んじゃ、気になるスキルの確認もできたし、さっさと消そうか。
 えーと、消すのは魔能封印と不幸連鎖…だけでいいかな。不死の呪いは消さなくていいや。

「『魔能封印と不幸連鎖を削除』」

「にゃう?」

 ・・・消えたかな?一応ステータス確認。

~確認中~

 よしっ、消えてるな。
 ・・・こういう反応とか見た目変化なしに変わるの、やっぱわかりにくいな。
 今度からこういうアクション起こす時に手とか相手の体を光らせようかな?

「にゃーん!にゃお、にゃん!」

「ん?どうしたのー?…えーと、……」

 ・・・そういや名前考えてなかったな。
んーどんな名前がいいかな…。

 黒いし、クロとか?いや、それだと安直すぎてなんかやだしなー。もうちょっと捻りたい。……んーーーーー。


一一ゼロはふと、空を見上げた。

(あ、流れ星。この世界でも流れ星って流れる…のか?……んん?・・・流れ星?
 ……ああ!そうか!思いついた!)

「ティア。」

「にゃう!にゃ……にゃう?」

 ティアと言われ、猫は少し不思議そうにこちらを見る。

「んー?そうだよー。君の名前だよー。」

「にゃうう?……にゃん!」

 ティアは納得したように頷く。

「気に入ったかな?」

「にゃうん!」

「ふふっ。なら良かった。」

 ・・・うん。すっごい癒されるわー。

 ……あ、ちなみにわかると思うが語源は流れ星(ミーティア)からだ。

◇◆◇◆◇

 さて、と。じゃあ使い魔もゲットしたことだし、早いところ帰りましょうかねっと。……ハク達にも入学どーのこーのの説明しないと行けないしね。

「んじゃ、一緒に帰りましょうねぇー。」

「にゃーん。」

「あ、危ないから肩に乗っててねー。」

「にゃん?にゃん!」

「ほい……っととと。」
 しゃがもうとしたけど、普通にジャンプして乗ってきた。
 ……地面から俺の肩まで飛ぶってジャンプ力高ぇな。しかも一発で俺の肩に着地とか…バランス力も高ぇんだな。

「ティアはすごいねー。それじゃ『転移』」

~シュンッ~

「よいしょっと。」

「にゃうん!?」

 おおー。驚いてる驚いてる。……可愛ええ。

「お帰りなさいませ。旦那様。」

 あっ、セバス。

「ああ、今戻ったぞぃ。ハク達はいつもの部屋かな?」
 いつもの部屋=三人の遊び部屋。

「はい。呼んできますか?」

 呼ぶ……どうせあの部屋で話すし、呼んでも意味ねぇな。俺が行こうか。

「あー。いや、いい。俺が行く。
 ・・・あ、そうだ。セバスならわかると思うが、こいつはティアだ。一応俺の使い魔にするつもりだ。
 んで、お願いがあるんだが、ティアを風呂に入れてくんねぇか?」

「にゃぁ!?」

 あ、急に話題に出されたせいかティアが驚いてる。

「はい。既にティア様用のお風呂の準備が出来ております。」

 ・・・そうか。そうだよな。ティアがいるのが分かってんなら俺がこう頼むのも普通にわかってるか。

「・・・おう。……あ、セバス。いつもありがとうな。」

「いえいえ。執事として当然のことです。」

 ・・・普通の執事はこんな明確に先のことを見れないと思うがな。

「んじゃティアのことよろしくな。」

 俺がティアを肩から下ろそうとすると……。

「にゃううーー。」

 ……離れねぇ。……なに?そんなに風呂嫌なん?それとも俺と離れるのが嫌なの?
 ・・・後者だったら嬉しくて尊死しそう。

 いや、そんなことより一一
「……どうしよう。」

「旦那様。ティア様を一度、眠らせてみてはどうでしょうか?」

「ああ!その手があったか!」

 えーと、「『ティア、おやすみ。』」

 俺がそう言うと、ティアが少しだけ白くピンク色に光った。

「にゃうにゃ…う……。クゥ…。」

 ふむ、これが追加したエフェクトか。・・・綺麗だな。

「ありがとうございます。」

「ほい。んじゃ改めてティアをよろしく!」

「はい。おまかせ下さいませ。」

「ん。」

 んじゃハク達も待ってると思うし、さっさと部屋へ向かおうか。

◇◆◇◆◇

「へいへーい。みんなーたでーまー。」

「あ、マスター。遅かったですね。」
「おかえりなさいなのじゃ。」

「……ん?凛はいねぇのか?」

「凛さんは……たしか冥龍帝さんと訓練をすると言っていた気がします。」

「あー。ってことは訓練場か。」

 うーん。・・・呼んでもらうか?
 ……いや、普通に行くか。正直、訓練場俺まだ見た事ないし。見てみたい。

「っし。呼んでくるからちょいまち。」

「あ、私が呼んできましょうか?」

「んや、いい。すぐそこだし、訓練場見たことないから見てみたいし。ライム達は待っててや。」

「……はーい。」

 うわぁ……。めっちゃショボーンってしてるー。

「んじゃ行って来る。すぐ戻るから待ってなー。」


~ゼロ階段下り中~


 んじゃ入りますかね……なんかドキドキするな。早速……突入ー!!

 一一ゼロが部屋に入ると、まず目には凛と冥龍帝が戦っているのが目に入った。

「ハッ!ハッ!ホッ!ハァ!!」

「ほらほら。どこを狙っておるのかのぅ?そっちじゃないぞぅー。こちらじゃぞッ!」

「クゥ!ハッ!」

「………。」

 ナニコレ?……凛が冥龍帝と戦って……いや、冥龍帝を愚弄…というか玩具にしている。

 ふむ。やっぱ、元が俺だからか凛の身体能力は異常に高くて、全ての攻撃をかわし、相殺し、いなしている。
 なんていうか、冥龍帝が遊ばれてる感ハンパない。

 対する冥龍帝は龍帝ということもあり、一つ一つの攻撃が高威力で、普通の人ならばもう塵ひとつも残っていなさそうな威力だ。
 だが、もちろんのこと凛の強さには遠く及ばない。

 ……って、違う違う。分析してないで早いところとめないと。

「おーい。おめーらー。一旦やめろー。」

「ソラァ!」

「クックック。ほらほら、そちらではないと言っておるだろう?そっちでもないぞ。冥龍帝や。」

「……」

 だめだ、これ。聞こえてねぇ。・・・しゃあねぇ。こんな時は結構前にGA○MAのゴー○レムで見たあの技を使ってやろう。

「だーかーら。一旦やめろって!!」

 パァァァンン!!!

「「ッ!!!???」」

「やっと止まったな。」
 ・・・え?何をしたかって?ふっふっふっ、簡単なことさ。“天の逆手”というのをやっただけだ。

 あ、天の逆手ってのは簡単に言うと柏手の反対だ。柏手は邪を祓うことを元としているが、天の逆手はその逆で、邪を呼び込む。言わば呪術の一種だ。

 今回は適当に一時的に行動が停止する呪いをつけた。

「一体何が……って、零神主様でしたか。どうかしたのですか?」

 ・・・こいつの敬語、やっぱりなれねぇな。何回か砕けた口調でもいいって言ってるんだが、どうも戻してくれないし、もう諦めようか。

 っと、用件用件。
「ああ、ちょっと凛に用があってな。」

「あっ。……そうだったのぅ。忘れとったわ。」

 あ、やっぱり。

「あー、まぁしゃあない。俺自身、ハクに言われるまで忘れてた。
 ……まぁそういうことで、ハク達はもう上で待ってるし、早いとこ来な。」

「うむ。了解した。」

「ってことで悪いな。冥龍帝。少しの間凛借りるな。」

「……うむ。……そうか。」

 うわぁ。すっごい残念そう。

 あ、そうだ。冥龍帝も……いや、いいや。誘うのは女勢だけでいい。男誘うのはなんかヤダ。主人公キャラ(男)は俺だけでいい。

「ゼロー早くせぃー。」

 って、凛がもう行ってるわ。……俺もさっさと行こう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~

平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。 三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。 そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。 アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。 襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。 果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...