上 下
120 / 228

第107話 早い(確信)。

しおりを挟む
第107話 早い(確信)。


 一一あの後、そのままリミィの愚痴やら何やらを聞いて歩いていると、他より一回りほど大きい屋敷に着いた。
 恐らく、ここがリミィの家なのだろう。

「一一お嬢様。話を遮ってしまい申し訳ございませんが、お屋敷に着きしました。」

「え!もう?いつのまに!?」

(……あー、わかるわかる。楽しい時間とか好きなことやってると時間があっという間に感じることあるよねー。)

「うぅ…まだ話したいこと色々あるんだけどなぁ……。」

 えー……そう言われても……。俺も早いところ家に帰って怠けたいんだけどなぁ。

「んー……。あ、そうだ!じゃあそれはまた今度聞くってことでどう?
 その方が今度会う時の楽しみが増えて良いだろ?」

「…うぅん…。……うん。それもそうね。ゼロ!今度また色々とお話しようね!」

「おぅ!」

 ・・・なんか今のフラグみたいに感じたな……。ま、いっか。
 もしフラグになってリミィに怪我とか災いが降り掛かっても俺ならどうとでもできるし!
 ・・・ん?あれ?これもフラグか?


「・・・あ、そうだ。リミィ!帰る前に1つ!学園ではちゃんと先生って呼べよー?」

「え?今頃!?」

 うん。すごい今更感ある。けど、一応学園では先生と生徒って立場だし、そこはちゃんとしねぇとな。
 ・・・別に俺が先生って呼ばれたいからとかそんなんじゃねぇぞ?違うからな?

◇◆◇

 さて、と。んじゃ家に帰……る前に。ギルド寄るか。冥龍帝との交渉の依頼、ギルドに達成報告してねぇし。

 と、言うわけで、ギルドへGO!


~冒険者ギルドゼッフェ王都本部~

 道中、列並びはカット。

「依頼達成しましたよっと。」

「お疲れ様です。冒険者カードのご提出を。」

「うい。」

「っ!……この人が……あの……(ボソッ」

 ・・・「あの」ってなんや。「あの」て。

「!し、失礼しましたァ!・・・あ、依頼の報告でしたね!(カチャカチャカチャターン!)こ、こちら報酬になります!」

「おぅ。ありがとさん。」
 うん。もう流石に怖がられるのもビビられるのも慣れた。

「・・・あ、あの……ま、誠に申し訳ございませんが、お、お時間少々よろしいでしょうか?ギ、ギルドマスターがお呼びしていたので……。」

「ん?んー。……うん。特に予定ないしいいぞー。」

「あ、ありがとうございます!た、直ちにご報告に行ってまいりますので、しばらく少々お待ちください!」

「お、ぅ…。」
 もう行きやがった……。
 ……正直、ここまで避けられるとさすがの俺もかなりへこむぞー?


~すーふんGO!~
(・・・今なんか発射したような気がした。)

 少しして、ギルマス(ルーマ)が下にやってきた。・・・先程の受付嬢は見当たらない。どうやら本格的に避けられているらしい。
 ・・・悲しみー☆

 ・・・つーか、俺に対しての受付嬢の反応、俺の顔イケメンを見て迫ってくるか、ビビって怖がるやつしかいねぇな。

「ゼロ!やっと来たのかい!ここで話すのもなんだからとりあえずギルドマスター室に来な!」

「……んー、わかった……。」

「ん?おや?あんたが元気ないのは珍しいねぇ。なんかあったのかい?」

「いやー?俺を見て大体のやつが避けて悲しいなーって思ってるだけだよ。」
あと少しショボーンってなってる。

「・・・あんたにも人みたいなところがあるんだねぇ。」

 ・・・んん?あれぇ?この人、遠回しに俺が人みたいじゃないって言ってる?
 ・・・酷いなー。…まぁたしかに人ではないからその通りだけど。


「さてと、部屋に着いたね。あんたもそんな演技はやめてさっさと入ってきな。」

 ありゃりゃ、演技ってバレてたん。
「うぃー。」

「さてと、それじゃ早速本題に入らせてもらうよ。
 あんた。昨日、冥龍王の依頼受けたんだろう?恐らくだが、もうクリアしたんだろう?」

 おおー。よくわかったなー。・・・まぁ俺の強さとかデタラメな行動とか知ってたら何となくわかるか。

 一応、首を縦に振って肯定する。

「やっぱり思った通りのようだね。だとするとあんたの冒険者ランク、SSSになれるみたいだよ。やるかい?」

 ・・・早くね?SSからSSSになるの早くね?まぁ早く上がれんのはいいけど。……でもなんか裏がありそうだなぁ。

「・・・あんたもしかして、あたしらがなにか企んでるんじゃないかとか考えているのかい?」

 ・・・今更だけど、このギルマスの読心術すごくね?

「・・・安心しな。そんなことは無い。
 ……正直、あんたの強さ的にはこれでも低い方だと思うけどね。
 ・・・ついこの前あったギルマス会議であんたはもうEXランクでいいんじゃないかって意見が出たほどだからね。
 でもなんにも実績なしにそれは出来ないからね。そこででた案が、“なんでもいいからSS~SSSランクの実績を作った瞬間に上げればいい。”ってことさね。」

 あーなるほど。完全に理解したわ(←理解してない)。

「それで、SSSランクになるのかい?ならないのかい?」

 どーせならなっとくか。
「んじゃ、なるわ。」

「そうかい。なら・・・ほいっと。出来たよ。あとはこれを受付に渡してきな。」

 と、言ってギルマスからいつもの昇格書を渡された。

「んー。ありがとござます。・・・あ、昇格したらそのまま帰りますんで。ありがとうございましたー。」

「そうかい。またいつでも依頼を受けに来な!」

「はいー。」
 ・・・どうでもいいけど腹減ったなぁ。さっさと家帰って飯食お。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~

平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。 三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。 そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。 アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。 襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。 果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

その幼女、最強にして最恐なり~転生したら幼女な俺は異世界で生きてく~

たま(恥晒)
ファンタジー
※作者都合により打ち切りとさせて頂きました。新作12/1より!! 猫刄 紅羽 年齢:18 性別:男 身長:146cm 容姿:幼女 声変わり:まだ 利き手:左 死因:神のミス 神のミス(うっかり)で死んだ紅羽は、チートを携えてファンタジー世界に転生する事に。 しかしながら、またもや今度は違う神のミス(ミス?)で転生後は正真正銘の幼女(超絶可愛い ※見た目はほぼ変わってない)になる。 更に転生した世界は1度国々が発展し過ぎて滅んだ世界で!? そんな世界で紅羽はどう過ごして行くのか... 的な感じです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

処理中です...