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第69話 師匠&弟子。【勇者視点-5?】

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第69話 師匠&弟子。【勇者視点-5?】


「別れの挨拶はまだ早いぞ。|小童《こわっぱ)!」

「っ!?」

 その声が聞こえた瞬間、ドラゴンの首が落ちた。

「ふぅ。間一髪じゃったのぅ。大丈夫か、小僧。」

 声のした方を見ると、そこには九本の尻尾が生えている狐の獣人らしき人がいた。


 え?、は?えぇ!ドラゴンが倒れた!?

 何かよくわかんないけど、とにかく、助かってよかったぁ。
 ……あ、緊張が解けたら、意識、が…。

 僕は安心からか気を失った。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「ぅぅん?……はっ!?ドラゴンは!?あれ?ここどこ!?」

 僕が目を覚ますと、ベッドの上で寝ていた。

「すこし落ち着け。小僧。」

 そこには狐獣人さんがいた。

 あれこの人、どこかで……あ、思い出した!あの時、ドラゴンを倒した人だ!
 って、いやいやいや、無理でしょ。目の前であんなありえないことが起こったのに。いや、まず、あの一瞬で一体何がおこったの!?

 僕が混乱していると

「落ち着けといぅとるじゃろうが!」

 そういいながら、狐獣人さんは僕の頭を手で叩いた。

「ぐぇ!」

 すると、僕は落ち着きを取り戻した。
 ……?なんで叩かれて落ち着きを取り戻したんだ?今、この人がなにかしたのかな?
 って、あ!お礼しないと!

 僕がそう思って、もう一度狐獣人さんの方を見た。

「……………。」

 そこにはそれは美しい人がいた(今更)。太陽のような美しさにここから見てもわかるサラサラで綺麗な金色の髪に、全てを見透かして意識までも吸い込まれそうなオッドアイの美しい目。
 そして、どこか儚さを残した「完全なる美」というものを具現化したような一一

「なにか言わんか!小僧!」

 はっ!?あ、そ、そうだ、お、お礼!お礼言わなきゃ!

「さ、さっきは、助けれくれて!ありがとうございましゅ!」

 あっ……。噛んだ。恥ずかしい!

「……。………くくっ。面白いやつじゃのぅ。…まぁ、とにかく、目が覚めてよかったのぅ。
 ふむ。いきなりで悪いが、お主名前はなんという。」

 え、あ!そうだ!名前言ってなかった!
「りゅ、龍星です。」

 よし!噛まずに言えた!

「ふむ。龍星か。
 ……のぅ、龍星。お主、あんなところで1人で何してたんじゃ?」

 え、あ!そういえば、クラスのみんなは!?あ、この人なら知ってるのかな!?

「あ!クラスのみんな!……あ、えと、僕は一人で来たんじゃなくて、仲間のみんなで来たんです!」

「…ふむ。じゃが、あの時この階にはお主以外他のものはいなかったぞ?」

「あ、そ、それは、あのドラゴンが来て、みんなで逃げて、僕が転んじゃって、逃げ遅れちゃって…。」

「ふむ。なるほどのぅ。取り残されたのか。助けは呼ばなかったのか?」

「あ、えと、すぐに叫んだんだけど、何人か振り向いただけで先に行っちゃって。」

「…む?叫んだのか?それで、何人か振り向いただけで先に行ったと。
 ……それ、見捨てられてないかのぅ。」

「……やっぱりそう思いますか?」

 なんとなく分かってたけど、改めて言われると結構ショック大きいなぁ。
 まぁ、みんな自分の命大切だもんねぇ。正直、僕がいてもいなくてもみんなにはあまり影響ないしねぇ。

「……ふむ。見捨てられたというのに落ち着いておるのぅ。」

「え、あ、はい。状況の判断と諦めは結構早い方なので。」

「……くくっ。そうか。」

 狐獣人さんはおかしそうに笑った。


「………む。そうじゃ、お主これからどうするんじゃ?」

「え、これから…ですか?」

「うむ。お主、なかまに見捨てられたのじゃろぅ?お主は見捨てたものたちのところに戻りたいかのぅ?」

「……。」
 正直な話、戻りたくないんだよねぇ。
 僕って弱いから役に立ってなかったし。やたら、貴族達の扱いは酷いし。
 どうせならこのまま旅に出たいなぁ。旅に出たら自由だしなぁ。
 だけど、僕は弱いから魔物にあって殺される可能性が大きいんだよなぁ。

「のぅ。もし良かったら、お主、妾の弟子にならないか?」

「はい?」

「いや、あくまで提案なんじゃがの、お主にとっても悪い話じゃないじゃろ?」

「……。」

 たしかに、この人の言う通り僕は強くなれるし悪い話ではない。だけど疑問が残る。なんでわざわざ僕を?

「……お主、なぜ、自分が?と思っているじゃろ。」

「!?」

 な、なんで!?わかったの!?

「いや、お主の顔で分かるわ。
 ……まぁ、それは置いておいていい。理由じゃが、なんとなくじゃ。」

「へ?」

「妾、弟子をとったことがなくての。一度でいいから育ててみたくての。
……ダメかのぅ?」

「……。」
 うーん。……まぁ、強くなれるならいいよね!

「…はい!では、お願いします。」

「うむ!こちらこそよろしくなのじゃ!」

 あ、今更だけど、
「……そういえば、貴女の名前はなんですか?」

「む?そういえば言うてなかったのぅ。妾の名前は・・・


ゼロ・・じゃ!」
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