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第一章 出逢い
第31話 輝命寺
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金森家から一角曲がった先に、その大きな寺院はあった。立派な門には『輝命寺』とある。そしてその寺院を、ここだよと指さすいずみ。
「え?」
「ここが紅葉ちゃんと青葉ちゃんのお家」
「え?ええっ?」
「え?紅葉ちゃんから聞いてなかった?二人共、お寺の家の子なの」
・・マジか、全然知らなかった。
「ごめん如月くん!私てっきり知っていると思ってた!」
暫く茫然と立ち尽くしているユウに、両手を顔の前で合わせて金森が謝ってきた。
・・いや、別に金森が謝ることじゃないけど、驚いたな。
門をくぐると、綺麗に掃除された境内に本堂へと真っ直ぐに続く石道が続いている。ユウ達から見て正面に本堂があり、その右手側に並んで、おそらく住職一家が住む住居らしい建物がある。そして本堂の左手側には墓地が広がっていた。
二人はまず、本堂へ真っ直ぐ歩を進めて、お参りをした。
「こっちが、二人のお家なの」
そしてやはり本堂の右側にある建物へ、金森はユウを案内した。玄関の前に立ち、呼び鈴を鳴らし暫く待っているとガラガラと横開きのガラス戸が開いた。二人を出迎えてくれたのは、先生こと紅葉だ。
「いらっしゃい。よく来てくれたわね。如月君、いずみちゃん」
そして、ふんわりとした笑顔で紅葉は二人を迎い入れてくれた。
「お邪魔します」
「おじゃましまーす」
「どうぞ。お上がり下さい」
紅葉はユウに、スリッパを出してくれた。
「いずみちゃんは、こっちね」
そして車椅子のタイヤを布で拭いてから、金森を室内へと上げる。玄関にはバリアフリーの場所があり、楽々と車椅子は奥へ長く続く廊下へと上がっていく。その様子をユウが関心しながら見ていると、その様子に気が付いた紅葉が優しく微笑みかけてきた。
「父が、いずみちゃんがいつでも来れるようにって、家中バリアフリーにしたのよ」
そしてその言葉を聞いていたいずみも、照れ臭そうな笑顔を浮かべる。
「・・おじさん、元気かな?」
「ええ、元気よ。相変わらず、忙しい人だけどね」
「そう、よかった。今日はお寺にいるの?」
「残念ながら、一日中留守にしてるの。父もいずみちゃんに逢いたがっていたけれど・・」
「宜しく伝えてね。今度また、おじさんに会いにくる」
「ふふっ伝えておくわね。さあさあ二人とも上がって。今、準備が整ったところなの」
そう言いながら車椅子を押して廊下を奥へと進んでいく紅葉の後ろ姿は、若紫色のロングワンピースの裾が優雅に揺れて、大人の雰囲気が漂う。しかし同時に腰に付いた同色の小さなリボン飾りが、可愛らしくもあった。
そんな後ろ姿に付いていくと右手の襖がスッと開き、もう一人の家人が姿を見せた。
こちらは漆黒のスリムなロングワンピース姿。そしてご丁寧に黒のタイツまで履いて黒一色の恰好だ。
城西の制服も黒色が中心なので、イメージは同じ。しかし私服の方が、より黒が強調されている。
・・だが普通、女子高校生が着たら似合わなそうなその黒一色の服装が、その人には似合い過ぎる程に似合っていた。あの整った顔立ちが、より一層際立つのだ。
「・・お邪魔してます。黒木先輩」
その美しさに寒気を感じながら、如月ユウは同じ学年のその先輩部員に挨拶をした。
「え?」
「ここが紅葉ちゃんと青葉ちゃんのお家」
「え?ええっ?」
「え?紅葉ちゃんから聞いてなかった?二人共、お寺の家の子なの」
・・マジか、全然知らなかった。
「ごめん如月くん!私てっきり知っていると思ってた!」
暫く茫然と立ち尽くしているユウに、両手を顔の前で合わせて金森が謝ってきた。
・・いや、別に金森が謝ることじゃないけど、驚いたな。
門をくぐると、綺麗に掃除された境内に本堂へと真っ直ぐに続く石道が続いている。ユウ達から見て正面に本堂があり、その右手側に並んで、おそらく住職一家が住む住居らしい建物がある。そして本堂の左手側には墓地が広がっていた。
二人はまず、本堂へ真っ直ぐ歩を進めて、お参りをした。
「こっちが、二人のお家なの」
そしてやはり本堂の右側にある建物へ、金森はユウを案内した。玄関の前に立ち、呼び鈴を鳴らし暫く待っているとガラガラと横開きのガラス戸が開いた。二人を出迎えてくれたのは、先生こと紅葉だ。
「いらっしゃい。よく来てくれたわね。如月君、いずみちゃん」
そして、ふんわりとした笑顔で紅葉は二人を迎い入れてくれた。
「お邪魔します」
「おじゃましまーす」
「どうぞ。お上がり下さい」
紅葉はユウに、スリッパを出してくれた。
「いずみちゃんは、こっちね」
そして車椅子のタイヤを布で拭いてから、金森を室内へと上げる。玄関にはバリアフリーの場所があり、楽々と車椅子は奥へ長く続く廊下へと上がっていく。その様子をユウが関心しながら見ていると、その様子に気が付いた紅葉が優しく微笑みかけてきた。
「父が、いずみちゃんがいつでも来れるようにって、家中バリアフリーにしたのよ」
そしてその言葉を聞いていたいずみも、照れ臭そうな笑顔を浮かべる。
「・・おじさん、元気かな?」
「ええ、元気よ。相変わらず、忙しい人だけどね」
「そう、よかった。今日はお寺にいるの?」
「残念ながら、一日中留守にしてるの。父もいずみちゃんに逢いたがっていたけれど・・」
「宜しく伝えてね。今度また、おじさんに会いにくる」
「ふふっ伝えておくわね。さあさあ二人とも上がって。今、準備が整ったところなの」
そう言いながら車椅子を押して廊下を奥へと進んでいく紅葉の後ろ姿は、若紫色のロングワンピースの裾が優雅に揺れて、大人の雰囲気が漂う。しかし同時に腰に付いた同色の小さなリボン飾りが、可愛らしくもあった。
そんな後ろ姿に付いていくと右手の襖がスッと開き、もう一人の家人が姿を見せた。
こちらは漆黒のスリムなロングワンピース姿。そしてご丁寧に黒のタイツまで履いて黒一色の恰好だ。
城西の制服も黒色が中心なので、イメージは同じ。しかし私服の方が、より黒が強調されている。
・・だが普通、女子高校生が着たら似合わなそうなその黒一色の服装が、その人には似合い過ぎる程に似合っていた。あの整った顔立ちが、より一層際立つのだ。
「・・お邪魔してます。黒木先輩」
その美しさに寒気を感じながら、如月ユウは同じ学年のその先輩部員に挨拶をした。
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