31 / 100
第一章 出逢い
第31話 輝命寺
しおりを挟む
金森家から一角曲がった先に、その大きな寺院はあった。立派な門には『輝命寺』とある。そしてその寺院を、ここだよと指さすいずみ。
「え?」
「ここが紅葉ちゃんと青葉ちゃんのお家」
「え?ええっ?」
「え?紅葉ちゃんから聞いてなかった?二人共、お寺の家の子なの」
・・マジか、全然知らなかった。
「ごめん如月くん!私てっきり知っていると思ってた!」
暫く茫然と立ち尽くしているユウに、両手を顔の前で合わせて金森が謝ってきた。
・・いや、別に金森が謝ることじゃないけど、驚いたな。
門をくぐると、綺麗に掃除された境内に本堂へと真っ直ぐに続く石道が続いている。ユウ達から見て正面に本堂があり、その右手側に並んで、おそらく住職一家が住む住居らしい建物がある。そして本堂の左手側には墓地が広がっていた。
二人はまず、本堂へ真っ直ぐ歩を進めて、お参りをした。
「こっちが、二人のお家なの」
そしてやはり本堂の右側にある建物へ、金森はユウを案内した。玄関の前に立ち、呼び鈴を鳴らし暫く待っているとガラガラと横開きのガラス戸が開いた。二人を出迎えてくれたのは、先生こと紅葉だ。
「いらっしゃい。よく来てくれたわね。如月君、いずみちゃん」
そして、ふんわりとした笑顔で紅葉は二人を迎い入れてくれた。
「お邪魔します」
「おじゃましまーす」
「どうぞ。お上がり下さい」
紅葉はユウに、スリッパを出してくれた。
「いずみちゃんは、こっちね」
そして車椅子のタイヤを布で拭いてから、金森を室内へと上げる。玄関にはバリアフリーの場所があり、楽々と車椅子は奥へ長く続く廊下へと上がっていく。その様子をユウが関心しながら見ていると、その様子に気が付いた紅葉が優しく微笑みかけてきた。
「父が、いずみちゃんがいつでも来れるようにって、家中バリアフリーにしたのよ」
そしてその言葉を聞いていたいずみも、照れ臭そうな笑顔を浮かべる。
「・・おじさん、元気かな?」
「ええ、元気よ。相変わらず、忙しい人だけどね」
「そう、よかった。今日はお寺にいるの?」
「残念ながら、一日中留守にしてるの。父もいずみちゃんに逢いたがっていたけれど・・」
「宜しく伝えてね。今度また、おじさんに会いにくる」
「ふふっ伝えておくわね。さあさあ二人とも上がって。今、準備が整ったところなの」
そう言いながら車椅子を押して廊下を奥へと進んでいく紅葉の後ろ姿は、若紫色のロングワンピースの裾が優雅に揺れて、大人の雰囲気が漂う。しかし同時に腰に付いた同色の小さなリボン飾りが、可愛らしくもあった。
そんな後ろ姿に付いていくと右手の襖がスッと開き、もう一人の家人が姿を見せた。
こちらは漆黒のスリムなロングワンピース姿。そしてご丁寧に黒のタイツまで履いて黒一色の恰好だ。
城西の制服も黒色が中心なので、イメージは同じ。しかし私服の方が、より黒が強調されている。
・・だが普通、女子高校生が着たら似合わなそうなその黒一色の服装が、その人には似合い過ぎる程に似合っていた。あの整った顔立ちが、より一層際立つのだ。
「・・お邪魔してます。黒木先輩」
その美しさに寒気を感じながら、如月ユウは同じ学年のその先輩部員に挨拶をした。
「え?」
「ここが紅葉ちゃんと青葉ちゃんのお家」
「え?ええっ?」
「え?紅葉ちゃんから聞いてなかった?二人共、お寺の家の子なの」
・・マジか、全然知らなかった。
「ごめん如月くん!私てっきり知っていると思ってた!」
暫く茫然と立ち尽くしているユウに、両手を顔の前で合わせて金森が謝ってきた。
・・いや、別に金森が謝ることじゃないけど、驚いたな。
門をくぐると、綺麗に掃除された境内に本堂へと真っ直ぐに続く石道が続いている。ユウ達から見て正面に本堂があり、その右手側に並んで、おそらく住職一家が住む住居らしい建物がある。そして本堂の左手側には墓地が広がっていた。
二人はまず、本堂へ真っ直ぐ歩を進めて、お参りをした。
「こっちが、二人のお家なの」
そしてやはり本堂の右側にある建物へ、金森はユウを案内した。玄関の前に立ち、呼び鈴を鳴らし暫く待っているとガラガラと横開きのガラス戸が開いた。二人を出迎えてくれたのは、先生こと紅葉だ。
「いらっしゃい。よく来てくれたわね。如月君、いずみちゃん」
そして、ふんわりとした笑顔で紅葉は二人を迎い入れてくれた。
「お邪魔します」
「おじゃましまーす」
「どうぞ。お上がり下さい」
紅葉はユウに、スリッパを出してくれた。
「いずみちゃんは、こっちね」
そして車椅子のタイヤを布で拭いてから、金森を室内へと上げる。玄関にはバリアフリーの場所があり、楽々と車椅子は奥へ長く続く廊下へと上がっていく。その様子をユウが関心しながら見ていると、その様子に気が付いた紅葉が優しく微笑みかけてきた。
「父が、いずみちゃんがいつでも来れるようにって、家中バリアフリーにしたのよ」
そしてその言葉を聞いていたいずみも、照れ臭そうな笑顔を浮かべる。
「・・おじさん、元気かな?」
「ええ、元気よ。相変わらず、忙しい人だけどね」
「そう、よかった。今日はお寺にいるの?」
「残念ながら、一日中留守にしてるの。父もいずみちゃんに逢いたがっていたけれど・・」
「宜しく伝えてね。今度また、おじさんに会いにくる」
「ふふっ伝えておくわね。さあさあ二人とも上がって。今、準備が整ったところなの」
そう言いながら車椅子を押して廊下を奥へと進んでいく紅葉の後ろ姿は、若紫色のロングワンピースの裾が優雅に揺れて、大人の雰囲気が漂う。しかし同時に腰に付いた同色の小さなリボン飾りが、可愛らしくもあった。
そんな後ろ姿に付いていくと右手の襖がスッと開き、もう一人の家人が姿を見せた。
こちらは漆黒のスリムなロングワンピース姿。そしてご丁寧に黒のタイツまで履いて黒一色の恰好だ。
城西の制服も黒色が中心なので、イメージは同じ。しかし私服の方が、より黒が強調されている。
・・だが普通、女子高校生が着たら似合わなそうなその黒一色の服装が、その人には似合い過ぎる程に似合っていた。あの整った顔立ちが、より一層際立つのだ。
「・・お邪魔してます。黒木先輩」
その美しさに寒気を感じながら、如月ユウは同じ学年のその先輩部員に挨拶をした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
バスト105cm巨乳チアガール”妙子” 地獄の学園生活
アダルト小説家 迎夕紀
青春
バスト105cmの美少女、妙子はチアリーディング部に所属する女の子。
彼女の通う聖マリエンヌ女学院では女の子達に売春を強要することで多額の利益を得ていた。
ダイエットのために部活でシゴかれ、いやらしい衣装を着てコンパニオンをさせられ、そしてボロボロの身体に鞭打って下半身接待もさせられる妙子の地獄の学園生活。
---
主人公の女の子
名前:妙子
職業:女子学生
身長:163cm
体重:56kg
パスト:105cm
ウェスト:60cm
ヒップ:95cm
---
----
*こちらは表現を抑えた少ない話数の一般公開版です。大幅に加筆し、より過激な表現を含む全編32話(プロローグ1話、本編31話)を読みたい方は以下のURLをご参照下さい。
https://note.com/adult_mukaiyuki/m/m05341b80803d
---
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる