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第一章 出逢い
第7話 似たもの同士(上)
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「・・・と、いう訳だ」
全てを話し終えたユウは少し気恥しい気持ちになって、視線を逸らした。一方の金森はというと、うんっと大きく頷いてからは、黙って何かを考えている。そんな金森が言葉を慎重に選びながら話をし始めたのは、一番目の星が二人の前で輝きを増した頃だった。
「・・話してくれて、ありがとう。きっと言いづらいこともあったのに、私なんかに話してくれて、それだけで本当に嬉しかった」
私なんか、という言葉に少し引っ掛かりを感じたが、ユウは黙って頷く。
「俺こそ、話をちゃんと聞いてくれて感謝してる。逆に気分を悪くしてたらゴメン」
「ううん、そんなことある訳ないよ。お話してくれたこと、本当に嬉しかったもの」
そして首を振りながらそれに応えた金森は、自分がユウに対して抱いている気持ちについて話してくれた。
「・・私ね。しーちゃんと、ハルから如月くんの話を聞いた時、なんだか私と似てるなって思ったの。私もね、昔は自分の足で歩けたんだよ。これでも私、かけっこだって速かったんだから。でもね、小学校の時に事故に遭って歩けなくなっちゃったの」
小さくガッツポーズをしながらウインクをした金森。そして昔を思い出しているのか、少し寂し気な笑顔を浮かべて赤く染まり始めた空を見上げる。
「・・勝手に似ているとか思ってゴメンね。でも、そう思ったの。
・・事故に遭ったばかりの頃ね、本当に何もかも辛くって、何で私がって思ってた。もう生きている意味なんかないって、塞ぎこんでばかりだったんだよ。でも星野ナナさんの本に出逢って、私は本当に感動したの。それからその本を何度も何度も読み返してるうちに自分でもだんだん絵を描きたくなって、気が付いたら必死になって描いてた。そしてそれが本当に楽しくって、しょうがなかったんだよ。
そしたらね。あんなに毎日死にたいって思っていたのが嘘みたいに、毎日が楽しくて楽しくて仕方がなくなってた」
そこでふと我に返ったのか、金森は気恥ずかしそうに空からユウへ視線を戻した。でもその顔には、さっきまでの元気な金森が戻っていた。もう、キラキラと輝いた明るい彩でいっぱいの瞳だ。
全てを話し終えたユウは少し気恥しい気持ちになって、視線を逸らした。一方の金森はというと、うんっと大きく頷いてからは、黙って何かを考えている。そんな金森が言葉を慎重に選びながら話をし始めたのは、一番目の星が二人の前で輝きを増した頃だった。
「・・話してくれて、ありがとう。きっと言いづらいこともあったのに、私なんかに話してくれて、それだけで本当に嬉しかった」
私なんか、という言葉に少し引っ掛かりを感じたが、ユウは黙って頷く。
「俺こそ、話をちゃんと聞いてくれて感謝してる。逆に気分を悪くしてたらゴメン」
「ううん、そんなことある訳ないよ。お話してくれたこと、本当に嬉しかったもの」
そして首を振りながらそれに応えた金森は、自分がユウに対して抱いている気持ちについて話してくれた。
「・・私ね。しーちゃんと、ハルから如月くんの話を聞いた時、なんだか私と似てるなって思ったの。私もね、昔は自分の足で歩けたんだよ。これでも私、かけっこだって速かったんだから。でもね、小学校の時に事故に遭って歩けなくなっちゃったの」
小さくガッツポーズをしながらウインクをした金森。そして昔を思い出しているのか、少し寂し気な笑顔を浮かべて赤く染まり始めた空を見上げる。
「・・勝手に似ているとか思ってゴメンね。でも、そう思ったの。
・・事故に遭ったばかりの頃ね、本当に何もかも辛くって、何で私がって思ってた。もう生きている意味なんかないって、塞ぎこんでばかりだったんだよ。でも星野ナナさんの本に出逢って、私は本当に感動したの。それからその本を何度も何度も読み返してるうちに自分でもだんだん絵を描きたくなって、気が付いたら必死になって描いてた。そしてそれが本当に楽しくって、しょうがなかったんだよ。
そしたらね。あんなに毎日死にたいって思っていたのが嘘みたいに、毎日が楽しくて楽しくて仕方がなくなってた」
そこでふと我に返ったのか、金森は気恥ずかしそうに空からユウへ視線を戻した。でもその顔には、さっきまでの元気な金森が戻っていた。もう、キラキラと輝いた明るい彩でいっぱいの瞳だ。
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