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一章 元最凶魔女ぶちキレる

1-2 頑張ったんだけど…

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数日前まで、僕はこの瓦礫の山の元である、アギデル学園の生徒でした。

この学園は、

「身分の差の無い学舎から、多くの才能を産み出したい!努力とやる気、そして柔軟な発想から産み出される、正しく若さに溢れる力を世に送り出したい!」

と言う、とある高名な魔法使いの言葉に共感した、時の権力者達によって建てられ、多くの指導者とやる気に満ちた生徒が集まった学園からは、多くの優秀な人材が生まれ、一時は全国に名を知られた存在だったらしいんです。

ただ、僕が入学した時は様子が違っていました。

入学式には、少し豪華な椅子に座った貴族の子とそのお付きの列が最前列に並び、その後に力のある商人や政治家の子が並び、最後に僕達平民の子が立って式を迎える、そんな権力に負けちゃってる光景がありました。

「身分の差がなく、努力次第でいくらでも成長出来るから、絶対にあそこの学園にはいりな!」

そう言うばあちゃんに、強く勧められて入った僕は、聞いていた話と大きく違うことに戸惑いながらも、隣にいた子と話してたら、こうなったのは最近らしい事がわかりました。

その子は、お兄さんがこの学園にいたから入ったって言ってたんだけど、最近、校長先生が変わってから急にお金持ちや権力のある子や親を優遇する様になったらしくて、だんだん学園の雰囲気が、実力よりも入ることがステータスみたいになっちゃった見たい。

全寮制の学園だったから、ばあちゃんと離れ離れになるのは心配だったけど、「こっちは心配いらないよ。近所の子達もいるしね。ばあちゃんはあんたが元気でいるのがわかるだけで幸せなんだからね」って、僕の大好物の、ちょっと甘めの牛乳寒天を作って送り出してくれたばあちゃんの顔が浮かんできたんだ。

お父さんお母さんが死んでしまって、何も無くなってしまった僕を引き取ってくれたばあちゃんのため。
厳しくも優しく育ててくれたばあちゃんを悲しませたくないし、いつかはばあちゃんに孝行するために、まずはこの学園で頑張っていかないと!って心に思ったんだ。

だけど…

最初の授業から、なんだかおかしかったんだよね。

貴族や有力商人ばかりの権力者専用クラスと、その他大勢のクラスに分けられて、権力者クラスしか入れない、通れない場所があったり、権力者クラスの腕章がある人達が偉そうにしてるのを、あちらこちらで見たり…

寮も同じで、生活空間も違うし、食事も違う。そんなあからさまな風景を見て、最初はぽかーんとしてた僕ら平民新入生だったんだけど、僕は関わらなければ良いだけだって割りきったんだ。

ばあちゃん孝行したくて、一生懸命勉強したり、ばあちゃんに習ってた魔法をもっと知りたくて魔法の先生にいろいろ聞いたりしていくうちに、すっかり学園生活に慣れて、楽しいって思えるようになったんだ。

ただね、そんな楽しい学園生活も、僕の成績が良くなって、いろいろな先生に目をかけてもらったり、友達が多くなってくるにつれて、嫌な事も増えて来たんだ。

僕の事が目障りなのかな?

権力者クラスの子達が、僕に嫌がらせをするようになったんだ。

親しくなった先生に話を聞きに行っただけで「おべっか使ってる」とか

「点数稼ぎか?平民の分際で!」なんて言われたり、

筆記用具を隠されたり壊されたり、ノートを隠されたり、

教科書を破かれて捨てられたり、

先生のお手伝いで配布物を運んでる途中で足を引っかけられたり…

そんな事が多くなってきて、正直かなりめげそうになったんだけど、ばあちゃんを悲しませたくなかったし、こんな僕にも話してくれる友達がいてくれたからなんとか頑張って、ある日、学園内の一年生で一番の成績を修める事が出来たんだ!

とっても嬉しくて、休みの日に家に帰って話したら、ばあちゃんとっても喜んでくれて、夕食は僕の好きなものばかり作ってくれたんだ。

ばあちゃんには嫌がらせ受けてることは言わなかったけど、ばあちゃんが悲しくなることは言わない方がいいと思ったから、それで良かったって思ってたんだけど…

ある日、僕は、ばあちゃんを悲しませる事をしてしまったんだ。
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