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十七話 お金は必要ですよ!お金は!

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それから、結局いろいろな話をしたくて食事の手伝いなどを行っていたたえを見て驚いたのは、寝癖をつけた頭をぼりぼり掻きながら食堂までやってきたチカ。先ほどまで寝ていたのでしょうか?よく見れば口から涎のあとが見え、目をしきりにこすっているあたり、どうやら彼女は朝はとても弱いようです。

「チカ殿おはようございます」
「チカ!いいもの見損ねたな!たえの胸見てみ!」
「チカちゃん!もう少し早く起きれたらねぇ・・・チカちゃんにもいろいろしたいとは思ってるんだけどね・・・」

食事を囲んで話していたたえ、ガン、おかみさんにいろいろ言われ、朝からうるさいなぁ~おかあさんとりあえずごはん~と机につっぷすチカはたえ達の様子に全く気が付けずにいます。チカは、昨日からたえとのパーティ活動が楽しみであまり寝れていないため、これでもちょっと早めに起きたんだと思っていました。

そんな気持ちをわかってか?たえとガンはチカごはんも一緒に用意をし、ごはんを食べようと声をかけます。
今日のたえの朝ご飯は野菜がたっぷり入ったコンソメスープ。
ガンは黒パンにベーコンエッグと牛乳。問答無用でチカも同じメニューになっていました。

実は昨日のごはんのあとから、たえのお腹の調子が悪くなったため、おかみさんに相談したところ、たぶん体が美味しいものにびっくりしてしまったのかな?と言われたための特別メニューが出て来たので、たえは自分に気遣ってくれることを嬉しく思いながらスープをゆっくり飲みます。この二人に出会えて、おかみさんはじめ様々な人達と出会えて本当に良かったと思いながら、これから一日何をしようか?とたえは思うのでありました。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

食事を終え、兵士の仕事に向かうガンを見送り、チカとたえは自分の部屋に戻ります。
これから何をしようか?というたえに対して、チカは昨日から書いてたんだけどと言いながら紙に書かれているものを見せていきます。

宿泊代 ひと月 10万イェン(朝・夕食付きプラン)
昼飯代 600イェン × 30日 = 1万8千イェン
衣類等雑費 3万イェン
メンテナンス代? 5万イェン
貯蓄目標一人 2万イェン ×2 = 4万イェン

「本当におおざっぱに書いても、このパーティで稼がないといけないひと月のお金は25万イェン。
ひと月30日ですけど、休みとか必要ですから働けるのはだいたい20日と考えて、ひと月あたり大体1万3千イェンなんですよ!最低限それくらいは稼がないといけないですけど、たえさんはこちらの生活に慣れてないところもあるでしょうし、これからからいろいろ出費も増えると思いますから頭が痛いですよー」

そう言いながらくるくる羽ペン(偽物)をくるくる回してチカは頭を抱えます。
書かれているところを見ていると、お菓子代とか旅行代とか書いてあるのはご愛嬌としても、日々お金を稼いでいかないといけないというのは間違いない事実なので、それはもっともですねとたえもうなずきます。

「最初に会ったごぶりんというを退治した時に、2千イェンというお金が得られましたから、ごぶりん7体で1万4千いぇんでございますね!とても楽なお仕事でございますね!」
「それはたえさんだから言えるんです!ゴブリン一体だけでもきついんです!!!」

割と本気で怒られてしまい謝ったが、ぷんぷん言いながら怒るチカを見て密かに可愛いと思いながら支度をするたえ。いろいろ疑問に思うところはありますが、これから自分も冒険者と呼ばれる一人の職業人。チカが言う通り甘い考えをしないで一つ一つの事を頑張ってやっていかなければならないな!と心を新たにしました。


※平安時代にも掛け算があったそうです。
和算という計算方法もあったにも関わらず、衛生面は極めて悪かった平安時代がとても不思議だなぁ~と思い、この物語が書きたいと思った私です。自分で書いていて思うのですが、展開がとってもゆっくりなのはそんな普段の事を書いていきたい気持ちがつよいからだと思うので、こののんびり展開は変わらないと思います。どうぞお付き合いいただける嬉しいです。
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