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七話 ワタシナンテブルジョワジー(修正中)

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「タスケテード○エモーーーーーン」

そういう彼女の声が聞こえてしまったのか?偶然巡回をしていた兵士が、二人に向かって駆けつけてきました。
城壁の上の物見やぐらは数か所あり、担当の兵士が交代交代で見張っていますが、外側の巡回をすることで町の安全度も増し、兵士の訓練代わりにもなると、領主はじめ兵士長など上層部に絶賛好評中であるとの事です。

頭にはつばがついた鉄製の丸い兜をかぶり、シンプルで模様の無いシルバーのブレストプレートに、これまたシンプルな肩に沿って作られた肩当。腰には幅のある厚めの皮のベルトを締め、下には赤に染められた厚手の皮シャツとパンツをはいている。

遠くにいる部隊がみんなこの恰好をしているのが見えるあたり、これらの装備はこの城壁都市の正式な兵士の装備である事がわかりました。少女はそんな兵士が近寄ってくるのを見て、自分の独り言で兵士を呼んでしまったのが恥ずかしくなり、ついつい下を向いてしまいました。

「おう!チカじゃねぇか!どうしたんだ?」
「あっ!ガンさん!戻ってきました!!・・・あ、いえ・・・すいません・・・壮大な独り言をかましてしまって・・・お仕事の邪魔をしてしまって本当に申し訳ありません・・・」

ですが、たまたま知っている兵士だったこともあり、挨拶だけは元気にしようと思いつつも、やはり恥ずかしくなって下を向くチカと呼ばれた少女に対して、ガンさんと呼ばれた兵士はチカの頭を撫でます。

「お前みたいなちびっこが冒険者なんかになってよ・・・まぁ無事に戻ってきただけでもいいや、あんまり俺らをドキドキさせるなよ!・・・それよか、おまえさんの他にもう一人ちびっこがいるみたいだけどよ、なんつーか、やたら珍しくて目立つ格好してるんだけど、あれ、どうしたよ?」

頭をなでながら、まだ城壁を見てぽかんとしているたえを見て、不思議に思っているガンがチカに声をかけると、チカはこれ幸いとばかりにガンに今までの経緯と相談をもちかけました。

すると、ガンはもしかしてだけどよと前置きを入れて一つの可能性を話し出しました。

「昔々のまた昔。爺さんの爺さんの爺さんくらい前の時代に、ニホンという聞きなれない国から来た若い男が、この国では聞いたこともない数々の知識を用いて、この国を豊かにして去って行ったという言い伝えがあるって聞いたことがあるな。ほらっ、チカがよく行くセントウって風呂屋もそいつが残した知識の一つでよ、セントウの入り口にニホンがなんたら~って書いてあっただろ?覚えてねぇか?」

可能性を話していたガンの声に、必死に頭をひねるチカ。
たくっしょうがねぇなぁ~とため息をつきながら、なんにせよこのまま不審な人物をほおっておくことは出来ないと判断したガンは、二人を兵士の詰め所に連れて行くため仲間に話をしに行きました。

その途中、ガンはたえの方に向かって真剣な顔をし、頭を下げます。
「チカはよ、俺の・・・娘見たいに可愛がってる奴なんだ。助けてくれて本当にありがとう」

そういうガンを見て、一瞬驚きを隠せなかったたえでしたが、何か暖かいものを感じたのか?少しだけ緊張が解け、ようやく少しだけ周りを見る事が出来るようになってきました。

仏様と思っていた人にも親しい人がいる。
自分の周りにいた親子のような親しい触れ合いもあり、何より相手を思いやる心があるという事がわかっただけでも、たとえ目の前の人達が仏様であったとしても、自分が卑屈になる必要はないのではないか?とちょっと思えたたえがいました。

少し経ってから、兵士のガンに言われ、兵士の詰め所に向かうことになったチカとたえ。

チカは、町に入るために並んでいる人達の横目に、すたすた門に向かってあるいていくのに抵抗を感じ、おう!通るぞというガンに対して、お疲れ様です!と礼をする若い門番を見ながら、慣れない光景にむずむずしてしまいました。

通常、身分の確認・・・この場合は町に入る目的の確認と、犯罪歴がないかの魔法水晶でのチェック・・・簡単な手荷物検査を経てようやく町に入れるので、チカはいつも冒険者ギルド発行のプレートを提示し入っていたのです。今回はそんな検査もパスでそのまま通過、まさに気分は特権階級。

「ワタシナンテブルジョワジー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

と心の中で言っていたつもりが、すっかり声に出ていたようで、調子にのるな!と頭にげんこつをくらうチカを見て笑うたえでございました。
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