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五話 金色髪の仏様
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自己紹介後の変な空気のまま、チカはゴブリンと呼ばれる緑の小男の耳をとったり装備などを集めてた後、ゴブリンの遺体を一か所に集め、火をつける準備をしています。
そんな様子をただ黙って見ていたたえでしたが、その行為に、随分と高貴な事をするものだと感心していました。
とある貧乏豪族の娘として生まれた たえの周りでは、死後は土葬が出来れば良いほうで、飢饉などで餓死した死亡者は川に捨てられることもありました。むしろそのほうが多かったかもしれません。
そのためか、チカと名乗る少女が、害をなすものとして言っていた者に対しての行動がとても丁寧で高貴な行いに見えたのです。
「火葬とは…死者を弔うことは感心だな…」
「いえいえ…そうじゃないんですよ。だってこのままほっといたら他のモンスターが餌と勘違いして来ちゃうし、腐ってゾンビになったらもっと厄介ですから…」
チカは手を動かしながら話します。
倒したゴブリンは全部で30体ほど。
この30体の遺体とほおっておくと、それを餌と認識した他のモンスター達が集まり死肉を食い焦ってしまう可能性が高いのと、死霊としてさらなる脅威になりかねないため、なるべく燃やす事という取り決め通りにしていただけなので、当たり前の事なんですよと。
そう言えば、死者に群がる畜生はいたな、なるほどと納得した たえも、ごぶりんと呼ばれる存在を一か所に集める手伝いをし、あっという間に死者の山が出来上がりました。
チカが油のようなものをゴブリンにかけ、遠くから火を投げ入れると、火は勢いよく燃え広がっていきます。
燃える塊から、なにやら微かな光のようなものが高く高く天に昇っていくかのように見え、たえは無意識に南無阿弥陀仏を何度も唱えはじめました。
ごぶりんとやらも、心を入れかえ極楽浄土で生まれ変われるようにと、祈りを込めて。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
火葬が終わった二人は、各自手荷物を持って町を目指して歩き始めましたが…
「ぐっ! お、重いですぅ・・・」
「だからおぬしの細腕では無理であろうと、あれほど言ったではないか」
どうやら前途多難なようです。
ゴブリンの耳が入った袋や武器である小さな杖も腰に巻き付け、ゴブリンから剥ぎ取った武器や防具、そして装飾品などをまとめたものに糸をつけて持ち上げようとしているチカをあきれ顔で見る たえ。
「二兎を追う者は一兎をも得ず・・・と言うではないか。欲を出して良い事など何もない」
「で、ですが!これがあればお金が入って美味しいご飯が食べれます!!ぐぬぬぬ、どうしても諦めきれません!!!!! ぐぬぬぬぬ!!これだけのものがあれば、久しぶりにふわふわの白パンと、おばさんの自家製煮込みハンバーグが食べれます!!!もう固い固い黒パンは嫌です!!!頑張ってるんだからちょっとは贅沢してもいいと思いませんか???」
・・・柔らかい白いぱん?・・・・
・・・自家製、煮込みはんばぁぐ?・・・
その二つの料理を聞いて、たえは思います。
今まで米の飯が最大の贅沢で、普段は粟やひえ、ちょっとした魚が付けば上々な食事だったたえの頭に、想像も出来ないような美味しそうな香りを漂わせた料理がよぎります。
これを食べなければ一生後悔する!
「その話のった!行きますぞ!!!」
「へっ?」
もう訳のわからない欲にかられ、たえは荷物をひったくるように奪い駆け出そうとします。思わず垂れてしまった涎も隠せないほど、たえはお腹がすいてきたのです。
木曾の義仲一行を追うという大事な事の前にまずは腹ごなし。いつも味気ないかゆであったから、たまにはとてもとても美味しいものを食べたいと思うあたり、たえもまだまだ子供であるのでしょう。
欲は止まらずついつい足が早くなってしまい、早く早くとチカをけしかけていると、チカの頭にかかっていた布が取れました。
それを見たたえは、思わず見とれ、そしてその場で土下座をしたのであります。
「今までの失礼お詫び申し上げます」
「はいっ?」
「その金色の髪色、尼削ぎ(あまぞぎ)の髪型、緑の小男に向けて放った術は仏の力なのでございましょう!…今まで仏などおらぬ!と心の中でずっと思っていたこの罰当たりをどうぞお許しください」
「な、な、なにが起こってるんですか?!えっと、お願いですから頭をあげてください!!!」
少女の髪は金色のセミロング。
髪を大事にしていた平安女性が出家する時に髪を切った尼削ぎという髪型によく似ており、仏と勘違いするたえのあまりの変わりように、何がおこったのか展開について行けないチカ。
打って変わって恐縮しつづけるたえに対して、
とりあえず町に行きましょうね。
行けばきっとこの状況は良くなるはず!
ギルドマスターにでも相談してみよう!
うん!そうしよう!
…と、自分に言い聞かせながら歩くチカでありました。
※平安時代にもことわざがあったそうです。
何のことわざがあったかまではわからなかったので、ノリで言ってもらいました。
※神様と仏様について調べてみましたが、いまいちわかりませんでした。
作者的には、仏様は悟りを開いた超偉い人。尊い方と言う認識です。今後神様と仏様が混ざってしまっていたらすいません。
そんな様子をただ黙って見ていたたえでしたが、その行為に、随分と高貴な事をするものだと感心していました。
とある貧乏豪族の娘として生まれた たえの周りでは、死後は土葬が出来れば良いほうで、飢饉などで餓死した死亡者は川に捨てられることもありました。むしろそのほうが多かったかもしれません。
そのためか、チカと名乗る少女が、害をなすものとして言っていた者に対しての行動がとても丁寧で高貴な行いに見えたのです。
「火葬とは…死者を弔うことは感心だな…」
「いえいえ…そうじゃないんですよ。だってこのままほっといたら他のモンスターが餌と勘違いして来ちゃうし、腐ってゾンビになったらもっと厄介ですから…」
チカは手を動かしながら話します。
倒したゴブリンは全部で30体ほど。
この30体の遺体とほおっておくと、それを餌と認識した他のモンスター達が集まり死肉を食い焦ってしまう可能性が高いのと、死霊としてさらなる脅威になりかねないため、なるべく燃やす事という取り決め通りにしていただけなので、当たり前の事なんですよと。
そう言えば、死者に群がる畜生はいたな、なるほどと納得した たえも、ごぶりんと呼ばれる存在を一か所に集める手伝いをし、あっという間に死者の山が出来上がりました。
チカが油のようなものをゴブリンにかけ、遠くから火を投げ入れると、火は勢いよく燃え広がっていきます。
燃える塊から、なにやら微かな光のようなものが高く高く天に昇っていくかのように見え、たえは無意識に南無阿弥陀仏を何度も唱えはじめました。
ごぶりんとやらも、心を入れかえ極楽浄土で生まれ変われるようにと、祈りを込めて。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
火葬が終わった二人は、各自手荷物を持って町を目指して歩き始めましたが…
「ぐっ! お、重いですぅ・・・」
「だからおぬしの細腕では無理であろうと、あれほど言ったではないか」
どうやら前途多難なようです。
ゴブリンの耳が入った袋や武器である小さな杖も腰に巻き付け、ゴブリンから剥ぎ取った武器や防具、そして装飾品などをまとめたものに糸をつけて持ち上げようとしているチカをあきれ顔で見る たえ。
「二兎を追う者は一兎をも得ず・・・と言うではないか。欲を出して良い事など何もない」
「で、ですが!これがあればお金が入って美味しいご飯が食べれます!!ぐぬぬぬ、どうしても諦めきれません!!!!! ぐぬぬぬぬ!!これだけのものがあれば、久しぶりにふわふわの白パンと、おばさんの自家製煮込みハンバーグが食べれます!!!もう固い固い黒パンは嫌です!!!頑張ってるんだからちょっとは贅沢してもいいと思いませんか???」
・・・柔らかい白いぱん?・・・・
・・・自家製、煮込みはんばぁぐ?・・・
その二つの料理を聞いて、たえは思います。
今まで米の飯が最大の贅沢で、普段は粟やひえ、ちょっとした魚が付けば上々な食事だったたえの頭に、想像も出来ないような美味しそうな香りを漂わせた料理がよぎります。
これを食べなければ一生後悔する!
「その話のった!行きますぞ!!!」
「へっ?」
もう訳のわからない欲にかられ、たえは荷物をひったくるように奪い駆け出そうとします。思わず垂れてしまった涎も隠せないほど、たえはお腹がすいてきたのです。
木曾の義仲一行を追うという大事な事の前にまずは腹ごなし。いつも味気ないかゆであったから、たまにはとてもとても美味しいものを食べたいと思うあたり、たえもまだまだ子供であるのでしょう。
欲は止まらずついつい足が早くなってしまい、早く早くとチカをけしかけていると、チカの頭にかかっていた布が取れました。
それを見たたえは、思わず見とれ、そしてその場で土下座をしたのであります。
「今までの失礼お詫び申し上げます」
「はいっ?」
「その金色の髪色、尼削ぎ(あまぞぎ)の髪型、緑の小男に向けて放った術は仏の力なのでございましょう!…今まで仏などおらぬ!と心の中でずっと思っていたこの罰当たりをどうぞお許しください」
「な、な、なにが起こってるんですか?!えっと、お願いですから頭をあげてください!!!」
少女の髪は金色のセミロング。
髪を大事にしていた平安女性が出家する時に髪を切った尼削ぎという髪型によく似ており、仏と勘違いするたえのあまりの変わりように、何がおこったのか展開について行けないチカ。
打って変わって恐縮しつづけるたえに対して、
とりあえず町に行きましょうね。
行けばきっとこの状況は良くなるはず!
ギルドマスターにでも相談してみよう!
うん!そうしよう!
…と、自分に言い聞かせながら歩くチカでありました。
※平安時代にもことわざがあったそうです。
何のことわざがあったかまではわからなかったので、ノリで言ってもらいました。
※神様と仏様について調べてみましたが、いまいちわかりませんでした。
作者的には、仏様は悟りを開いた超偉い人。尊い方と言う認識です。今後神様と仏様が混ざってしまっていたらすいません。
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