コンビニ行ったら異世界女子が当たりました・・・俺どうしたらいいの?

とうちゃんすらいむ

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はなれだぐないでず!!

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結局、アサヒナさんの目の前では結論が出ず、アサヒナさん自身も「ここにイデア様がいる事がわかればそれでいいです。夜分対応してくださりとても助かりました」と、いったんお帰り下さるという事。

さすがにそのまま帰すのも申し訳ないので、そこらへんにあったお菓子やらペットボトルのお茶やコーヒーを持ってもらい、ちょっと待ってもらえれば、上司の方宛にお手紙を書きましょうか?と言うと、手のひらに収まるくらいの水晶を取り出し、

「良かったらこれに向かって話して頂けると、話しかけた方の映像が記録され、我が上司・・・と言っても王様なんですけどね・・・に見ていただく事が出来るのです」という事だったので、俺とカミサンで内容を相談し、じゃんけんで負けた俺がメッセージを言うことにしたんだ。

・国王様が検索を行った通りの経緯で、今イデアはここにいるという事。
・アサヒナさんが来てくださった時、イデアは寝室に行ってしまった為、こちらから二人で話を聞くことをお願いしたという事。
・まずはイデアと話をし、それから魔族領に行かせるかどうかを決めたいと思うので、時間を頂きたい。

この三点を言い終えると、アサヒナさんが水晶に何かを施し、内容を確認した後、ありがとうございました!お邪魔しました。と言いながら、玄関から出ていった。

こちらも予定の調整をするので、また来る日を手紙か何かにして送りますね!というアサヒナさんを見送り、カミサンと二人で話す事朝方まで・・・結局はイデアに話をしてから決めないとどうにもできないね、という結論に至り、そのまま夢の国に行くことになってしまったんだよね。

◇ ◇ ◇ ◇

そして翌日。

イデアと勇気と四人で、腰を据えて話をすることにした。

最初に見せたのは、魔族のアサヒナさんを撮った動画。

昨日会えなかったアサヒナさんが、イデアに向けて伝えたい事を言って貰ったのを撮ったんだ。

ただ、動画を見たイデアの表情がどんどん固くなっていき、最後には涙を流す始末。

何が起こったか訳がわからず、イデアを見ると

「今まで大変お世話になりました。今まで私の事を大切にして頂き、とても感謝しています。」なんて言いながら、久しぶりに土下座なんてしてるのよ。

で、いきなり泣きはじめたかと思ったらさ、

「わだじ、皆さんの事が大好きでした!マサ…ううん…おとうさん、おかあさん、ゆうくんも、ほんどにありがどうございまじだ!!!!」

なんて、衝撃発言してるのよ!

思わずカミサンと勇気と顔を見合わせて、『おとうさん、おかあさんだって!』って、にやにやしてしまったんだけど、イデアの顔は涙と鼻水でぐっちゃぐちゃになってたんで、思わず抱きしめると「はなれだぐないでず!!!!」なんて号泣してるので、そのまま落ち着くまで抱きしめる。

こっちもなんだか悲しくなってきて、気が付いたら家族で泣きながらイデアを抱きしめてたんだけど、徐々に落ち着いてきたのか?イデアがゆっくり俺らから体を離してきた。

いろいろ落ち着いてきた様なので、改めて、そんなに泣くような事じゃないような気がするんだけど・・と話をすると、どうやら俺らが魔族の人達に脅されていて、これから魔族の人達に強引に引き渡されるんじゃないかと勝手に思っていた様子。

いやいやいやいや!!!と言いながら、こちらに来てくれた人はとても礼儀正しく、俺らに対してもイデアに対しても配慮してくれた上でいろいろ話して事や、寝ているイデアを怖がらせないために、俺らに客観的に話をしてくれた事などを話すと、イデアの顔が急に真っ赤になっていき、

そして、

「あの・・・勢いで言っちゃいましたが・・・」

と、ごくんと息をのみ、

「改めて・・・皆さん。私を皆さんの家族にしてもらえませんか?」

なんて話すので、思わず俺らみんな笑ってしまったよ。

もちろんだよ!こっちに来てから一月ちょっと経つけど、もうすっかりイデアの事を娘だと思って対応してたし、勇気もお姉ちゃんだと思って接してきたつもりだよ!だから、これからもよろしくね!なんて話すと、笑顔で抱き着いてきたので、改めて親子4人で抱きしめ合って、そのぬくもりと幸せを感じた次第です。



その後、改めて魔族のお姫様候補についての返答などの話をしたんだけど、まだ『魔族』というものに対して恐怖心が取れない様子のイデアに、客観的に物事を見れるように慣れると嬉しいなと思い、今回の事を振り返って話をしてみた。

もし、魔族の方々がイデアの事を手段と問わず欲しいと思ったら、俺らに使いを出す前に直接イデアの前に来てさらったり、場合によっては俺らの事を殺してでも奪うという事はしたと思う。

ただ、それをしなかったのは、自分達の思いをきちんと伝えたい思いがあったからだと俺は思うよ。と言うと、イデアは不思議そうな顔しながら俺を見るんだ。

「あの・・・お父さんは、魔族の事怖くないんですか?」

そんな事を聞くイデアに対して、魔族なんてこちらの世界にいないから元々偏見はないし、きちんと話してくれたから冷静に相手に向き合えた。相手の事を思って対応してくれたあの人が怖いって思ったら、窓口で接客したり、電話なんか出れないよ。

世間には自分の立場を利用して言いたい放題言う人なんか山のようにいるからね・・・なんて事を言うと、「そんなに怖いお仕事をしてるんですか、お父さんは・・・」なんて目を白黒させてるのよ。

まぁ~アサヒナさんの事は、見る人見る人みんないい人だって言うと思うんだけどね~と言うと、安心してきたのか笑顔も出て来たようだ。

で、改めて、お姫様候補の事について聞いてみると、

「正直、奴隷だった私が不思議な世界に来て、お父さんお母さんたちと一緒になれているだけでもすごい事だと思うのに、次は魔族の王子様のお嫁さん候補なんですね・・・私っていったいなんなんでしょうね?」

なんて言っていたので、イデアはイデアでいいんじゃね?と一言。

イデアが誰であろうと、自分が信じた道を行けばいいと思うし、悩んだら誰かに相談してみたらいい。

俺でもカミサンでも、今まで出会った人たちはきっとイデアの味方になってくれると思うよ!と言うと、本当にありがたいことですね・・・とうつむく。

まぁ、あくまでこれは魔族という人たちの行事の一つに巻き込まれた形だし、向こうさんも無理やりどうこうするって事ではないと思うから、一度自分の気持ちを相手側にきちんと伝えられればいいんじゃないかな?なんて事を言ってみたら、ぽつりぽつりと思ってる事を話していく。

「お姫様になるというのは、私の中では考えられません」

「ようやく家族になれた皆さんと、もっと一緒にいたいですし、最近少しずつ笑顔になれてきて、自分自身に少し自信がつきそうなのに、また環境が変わって知らない土地に行き、知らない人と一から何かをするのはとっても辛いと思うんです」

「それに、私自身、王様や王子様なんて方々の前に行っても、どうしたらいいのか分かりませんし、何を話したらいいのかわからなくなって、ずっと下を向いてしまうかもしれません」なんて言ってる。

最近のイデアは、私は奴隷だから・・という、自分を下に見るような発言をしなくなったんだけど、まだまだ自分自身に自信がないところが多いので、それを自分でも気にしてるんだなぁ~と思うと何も言えなくなってしまう。

ただ、いろいろな縁を持てる選択肢のひとつとして、魔族だろうがなんだろうが、好意を持って真摯に向き合ってくれる方なら、会うだけ会ってみてもいいのではないかな?。

ただ、まだ魔族というものが信じられなくて、必要以上に恐怖を感じるようなら、最初からお断りをした方が良いのではないか?というカミサンからの意見も出てるので、とても悩む。

なんにせよ、返事はして欲しい…あれだけ丁寧に接してくれた相手に、無視はないと思うので、イデアには、次にアサヒナさんが来た時に、何らかの返答はしてもらいたいんだけど…というと「分かりました、少し時間をください」と、きちんと話してくれたんだ。

そんなイデアの姿を見ながら、父ちゃんとして彼女の事はしっかり守っていこう!と思った今日この頃の私でした。
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