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お片付け

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あと二日で今年も終わりになろうとしているけど、その前にどうしても家の片づけがしたかったんだ。

朝っぱらから作業をしている俺なんだけど、全然片付かないよ!

ただでさえ片付け下手な我が家にイデアが来ちゃったから、今の俺らの部屋はカオスな事になってのよ。

かろうじて綺麗さを保っている息子の部屋をそのままに、一時的にリビングに置いてるイデアの荷物をどうにかしないといかん!

安心して新年を越すために、まずは自分の部屋を何とかしたくて整理してるんだけど、モノが多くてどうにもならないよ。

一つの部屋が片付けられれば、他の部屋もなんとかなるかな?なんて思ってるんだけど、どうにかなんないかな?って思っていたら、ふと、イデアの魔法のかばんを思い出したので、ちょっと拝借。

試しにどんどんモノを詰め込んだら、面白いようにモノが入っていったんで、どんどん投げ込んでいく。

最初、魔法が使えるイデアしかかばんの魔法効果はないのかな?って思ったんだけど、試しにカミサンと俺がイデアの近くで使ってみたところ、手を入れれば内容品が頭に浮かび、実際に手を伸ばせば取り出すことも出来たので、これを使わない手はない!

まるで某猫型ロボットの異次元ポケットのように、どんどん品物を入れていたら、自分の部屋などはものの30分で綺麗さっぱり空っぽになり、まだまだモノが入りそうだったので、今度はリビングに行きごっちゃごちゃになっている服などをまとめて入れてみる。

一応、魔法のかばんを除いてみると、本当に便利な事に『マサキの品物』『ユキの品物』などの文字が最初に頭に浮かび、文字を意識すると各人の品物が見れる状態になっていたので、異世界の品物もやるな!と思った次第です。


そんな様子を見ていたカミサンや勇気もどんどんモノを入れていき、気が付けば3時間ほどで家はきれいさっぱり何もない状態になってしまったので、改めて部屋割りなどを決めてモノを置いて行くと、ふと昔の事を思い出したんだ。

勇気がまだ小さかった頃、ハイハイからつかまり立ちに差し掛かっている息子が、この新しい家を見て驚いたり、板張りの廊下で思いっきりこけて頭をぶつけて大きなたんこぶを作ったりしたなぁ~って思ったら、思わず笑ってしまってイデアに不思議がられてしまったよ。

いつかイデアの思い出も増やしたいなと思いながらも、まずはイデアの部屋を作りたくて、何処が良いか?と聞いてみたら『私の部屋なんて・・・そんな大それたものは要りません』と相変わらずの言葉だったので、問答無用でリビングの近くにある部屋をイデアの部屋にしてしまった。

とりあえず家にあった机や棚を置いて、彼女の日用品などを置いてみたが、どうも殺風景でつまらない部屋になってしまった。

まあ、これから色々なものに興味を持ってもらいたいし、自分色にこの部屋も変えてみてほしいな!とイデアに話をすると、『正直落ち着きません・・・私はここになければいけないのですか?』と不安そうな顔をしていたので、気になってちょっとつっこんだ話をしたところ、奴隷時代を思い出してしまい怖くなってしまうということだった。

扉を閉めると空間に閉じ込められてしまいそうで怖くなる。

そんなことを、少し涙を流しながら言うイデアを見ていたら可哀そうになってしまったので、気休めかもしれないけど、扉を外して俺らから見れるような環境にしてみたり、着替える時に中が直接見えないようにのれんなんかも買って見てつけてみた。

一応勇気には、イデアが着替えてることがあるかもしれないからすぐに入るなよと声をかけると『姉ちゃんに嫌われたくないからちゃんとノックするよ!そこら辺を叩けばいいのかな?』と話してくれたので一安心。

いつかこの環境に慣れてきて、トラウマがなくなってきたら扉をつければいい。
いつか何かの出会いがあり、大事な人を連れてきてくることがあるかもしれないから、その時は温かく見守ってあげたいと思った俺。

そんなことを父ちゃんの気持ちになって考えている俺なんだけど、まだ本人からの返答がないから、今は同居人って立場なんだよな・・・焦る必要なないし、焦っちゃいけないとは思ってるんだけど、ちょっと寂しいと思う俺ガイルよ。

そんなこんなで、気が付けば夕方の4時。
考えてみたら朝から何も食べていないことに気がつき どうしようかと話をすると、どうせならみんなで何かを作ってみようかという話になった。

正直ちょっと疲れているので、何か外で食べたい気もするけど、最近本当にバタバタしていて外食ばかりだったので家の料理が食べたいなとも思い、家にある材料でできそうなカレーと、俺が個人的に作りたいと思っていた餃子を作ることにした。

見かけ?組み合わせ?

んなものは知らん!

食いたいものを作るだけじゃ!

とりあえず家族全員で、野菜の皮むきをしようとしたところ、イデアと優樹が妙に張り切っているので任せてみたら、勇気は不器用ながらもピーラーでじゃがいもと格闘していて、イデアを見るとキッチンナイフを器用に動かしシュルシュルシュルと色々な野菜の皮を一瞬にして向いている。

『マサさん、ユキさん、こんな感じでよろしいでしょうか』

と言いながら淡々と作業するイデアを見て、ナイフの扱いを本当に心得てるんだなぁと感心してしまった俺。

じゃあ、よかったら次にその材料切ってもらえるかな?一口サイズでいいよ!思うようにやってごらんと話をすると、では早速!と材料を空中に放り投げたかと思うと、ナイフを5、6回シュシュシュシュシュと往復させるイデア。

そして、落ちてきた材料をボールに入れたかと思うと、ボールの中で野菜が一口大に切られているのよ!

思わず、お前はどこの雑技団だ!とツッコミを入れてしまった俺とカミサンだったんだけど、もしかしたら、彼女が住んでいた世界ではそういう緊急の料理術みたいなものが伝わっていたのかな?と思いイデアに聞いてみると・・・

『すいません、この前テレビでこんなような料理術を使う漫画があったのでつい・・・』

なんて、顔を真っ赤にしながら耳を隠して照れている彼女がいました。

以前だったらこういった事は絶対しなかったと思うんだけど、俺らの生活を見て、少しづつだけど冗談を言い合ったり笑う姿を見て、色々なことをやっていいのかなと思ってくれてるのかもしれないな?と恥ずかしそうな顔をしている彼女に対して嬉しく思ったんですよ。

・・・だけどね、イデア。

ごめん、それイデアしか出来ないよ!勇気が真似するから止めなって・・・って、うぉい!勇気!お前じゃ絶対できないから包丁振り回すな止めろ!絶対に無理だって!俺でも出来ないからホントカンベンナ!

こんなちょっと変わってるけど、賑やかに作られる料理の風景も、きっと彼女にとって良い思い出になると信じてる。

いつか・・・彼女が本当に笑顔を取り戻せる日が来るといいなぁ
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