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ファンタジーの国の人ですから
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すっかり固まってしまった彼女を目の前にして、俺ら家族も固まってしまう。
さっきまで、美味しそうにうどんを頬張っていた彼女からは、想像できないほど険しい表情をされ、まるで俺が何か悪いことをしたのか?と錯覚してしまう。
どうにか、この空気を変えたくて話を振ってみる。
あのさ、気に障ることしてたら申し訳ない。もしよかったら、君の事を色々聞かせてもらえないかな?
そういうと彼女は、手に持ったフォーク置き、こちらを向いたかと思ったら、また床に手をついて土下座した。
「奴隷の私が、ご主人様と一緒のテーブルにつき、ご主人様を気にせず食事をしてしまい申し訳ありません」
「奥様、ご子息様を差し置いて、同じ食べ物を礼儀を無視して頬張りましたこと、誠に申し訳ありません」
そう言うと、テーブルにあったフォークを手に持ち、喉元に突き刺そうとしたので、慌てて取り上げる。
あまりに極端すぎる彼女を目の前にして、かなり驚きを通り越してドン引きしてる俺らがいるんだけど、本当、いったいどうしたらいいのかさっぱりだよ。
俺らは多少ファンタジー系の小説で耐性がある気がするんだけど、息子に至っては完全に固まってるから、早々に部屋に戻したんだ。冬休みの宿題もあるから丁度いいしね。
そんな訳で、彼女には椅子に座ってもらい、ホワイトボード片手にかみさんが前に座る。
「まずね、この世界に奴隷とかないから。必要以上に自分を下に見る事ないからね。自分を傷つけたり土下座するの禁止ね!」
とカミサン。
とりあえず、挙動不審になってる彼女は無視して、こちらから今までの経緯みたいなものを話をするんだけど、どうも緊張しすぎているようで、話が耳に入って行っていない感じがしてるので、こりゃどうにもならないなと思い、カミサンと顔を見合わせる。
「うん、いったんやめましょ!それよりもイデアちゃん、お風呂入って綺麗にしましょう!」
そういうカミサンの言葉に、俺も一度綺麗にしてもらったほうがいいよなと思ってたので、お風呂の準備などをし始める。
一応彼女にお風呂を見てもらって入り方がわかるか聞いたんだけど、彼女が来た世界にはお風呂が普及されてないようだったので、仕方がなくカミサンに一緒に入ってもらうことにしたんだ。
万が一の時に備えて声の聞こえる場所にはいるつもりなんだけど、こればっかは仕方がないよね。俺男なんだもん。
で、いざお風呂に入ってもらったらさ、カミサンと彼女の声が聞こえてくるのよ。
「お、お湯がいっぱいです!貴重な水を私ごときに使ってもよろしいのでしょうか?」
「お、お花の匂いがします!こんな高価なものを私がつかっても・・・」
「お湯の滝が・・・」
「柔らかい布で拭いても・・・」
・・・・・
・・・
・・
ごめん、もうお腹いっぱいです。
もう風呂に入ってから20分もしないうちに何回「私ごときに」なんて聞いたことか・・・
俺は外からたまたま聞こえてくるだけだけど、一緒に入ってるカミサンは本当にうんざりしてるんだろうなぁと、本当に申し訳ない気持ちになりながら、リビングでいろいろ片付けてたりお茶を入れていると、やっとカミサンとイデアが戻ってきたので、何気なくそちらの方向を見たらさ・・・
光輝く美少女がそこにいたんよ!!!
元から綺麗な女性だなとは思ってたんだけど、それよりもところどころにある傷や、苦痛にゆがむ顔をどうにかしたいと思ったのが先に来てたから、容姿についてはあまり考える余裕もなかったんだけど、こりゃ、街中に行ったら大変なことになるなって思ったんだよね。
清潔にしてるだけでもかなり美少女度が上がった気がするんだけど、なんだろう?なんか不自然な感じがするんだよな?何だろうなぁ?って思ってたらさ、後ろからカミサンがやってきて、かなり驚いた様子で彼女を見てるんだよね。
「信じらんないんだけど、身体洗ってるそばからどんどん傷が治っていってね、シャンプーとコンディショナーしてると、どんどん髪の毛につやが出てきて、どんどん美人さんになっていったのよ!入浴剤入りのお風呂に浸かってもらったらお肌もどんどんピカピカになって・・・もう、本当に羨ましいったらありゃしない!!!私もご利益にあやかりたかったよ!!!よよよよよ」
なんて泣き真似込みで力説してるし。
俺も最近肌のシミが・・・じゃなくて!とりあえず彼女と話をしたいなと思ったらね、
「私・・・どうしたら良いのでしょうか?」
と、 ボロボロ涙を流しながら、絶望に近い表情でこちらを向いていたんだ。
「私のようなものに、このような強力な薬や魔法を使っていただき、傷を直していただいたことに対して私は何もできません。私が今持っているものはこの体だけ。でも、この体でも払いきれないです・・・私、どうしたら・・・」
それ見てたらさ、彼女がただただ不安だったんだなって気がついて、気がついたら俺ら、彼女を抱き締めてたんだ。
大丈夫、大丈夫。大した事してないから!
大丈夫、大丈夫!イデアちゃんが元気になれたならそれでいいの!
そう言ってる俺らの声に、まだまだ戸惑いを隠せない彼女だったんだけど、最初に比べて少しだけ表情が柔らかくなったように思え、冗談で
「だったら、とびっきりの笑顔を頂戴!」
なんて言ったらさ、ぎこちないけど笑顔を作ってくれた彼女。
こりゃ、まだまだ時間がかかりそうかな?とは思ったんだけど、先にはすすめそうかな?と思った今日この頃。
さて、これから何処までお話出来るかな?
さっきまで、美味しそうにうどんを頬張っていた彼女からは、想像できないほど険しい表情をされ、まるで俺が何か悪いことをしたのか?と錯覚してしまう。
どうにか、この空気を変えたくて話を振ってみる。
あのさ、気に障ることしてたら申し訳ない。もしよかったら、君の事を色々聞かせてもらえないかな?
そういうと彼女は、手に持ったフォーク置き、こちらを向いたかと思ったら、また床に手をついて土下座した。
「奴隷の私が、ご主人様と一緒のテーブルにつき、ご主人様を気にせず食事をしてしまい申し訳ありません」
「奥様、ご子息様を差し置いて、同じ食べ物を礼儀を無視して頬張りましたこと、誠に申し訳ありません」
そう言うと、テーブルにあったフォークを手に持ち、喉元に突き刺そうとしたので、慌てて取り上げる。
あまりに極端すぎる彼女を目の前にして、かなり驚きを通り越してドン引きしてる俺らがいるんだけど、本当、いったいどうしたらいいのかさっぱりだよ。
俺らは多少ファンタジー系の小説で耐性がある気がするんだけど、息子に至っては完全に固まってるから、早々に部屋に戻したんだ。冬休みの宿題もあるから丁度いいしね。
そんな訳で、彼女には椅子に座ってもらい、ホワイトボード片手にかみさんが前に座る。
「まずね、この世界に奴隷とかないから。必要以上に自分を下に見る事ないからね。自分を傷つけたり土下座するの禁止ね!」
とカミサン。
とりあえず、挙動不審になってる彼女は無視して、こちらから今までの経緯みたいなものを話をするんだけど、どうも緊張しすぎているようで、話が耳に入って行っていない感じがしてるので、こりゃどうにもならないなと思い、カミサンと顔を見合わせる。
「うん、いったんやめましょ!それよりもイデアちゃん、お風呂入って綺麗にしましょう!」
そういうカミサンの言葉に、俺も一度綺麗にしてもらったほうがいいよなと思ってたので、お風呂の準備などをし始める。
一応彼女にお風呂を見てもらって入り方がわかるか聞いたんだけど、彼女が来た世界にはお風呂が普及されてないようだったので、仕方がなくカミサンに一緒に入ってもらうことにしたんだ。
万が一の時に備えて声の聞こえる場所にはいるつもりなんだけど、こればっかは仕方がないよね。俺男なんだもん。
で、いざお風呂に入ってもらったらさ、カミサンと彼女の声が聞こえてくるのよ。
「お、お湯がいっぱいです!貴重な水を私ごときに使ってもよろしいのでしょうか?」
「お、お花の匂いがします!こんな高価なものを私がつかっても・・・」
「お湯の滝が・・・」
「柔らかい布で拭いても・・・」
・・・・・
・・・
・・
ごめん、もうお腹いっぱいです。
もう風呂に入ってから20分もしないうちに何回「私ごときに」なんて聞いたことか・・・
俺は外からたまたま聞こえてくるだけだけど、一緒に入ってるカミサンは本当にうんざりしてるんだろうなぁと、本当に申し訳ない気持ちになりながら、リビングでいろいろ片付けてたりお茶を入れていると、やっとカミサンとイデアが戻ってきたので、何気なくそちらの方向を見たらさ・・・
光輝く美少女がそこにいたんよ!!!
元から綺麗な女性だなとは思ってたんだけど、それよりもところどころにある傷や、苦痛にゆがむ顔をどうにかしたいと思ったのが先に来てたから、容姿についてはあまり考える余裕もなかったんだけど、こりゃ、街中に行ったら大変なことになるなって思ったんだよね。
清潔にしてるだけでもかなり美少女度が上がった気がするんだけど、なんだろう?なんか不自然な感じがするんだよな?何だろうなぁ?って思ってたらさ、後ろからカミサンがやってきて、かなり驚いた様子で彼女を見てるんだよね。
「信じらんないんだけど、身体洗ってるそばからどんどん傷が治っていってね、シャンプーとコンディショナーしてると、どんどん髪の毛につやが出てきて、どんどん美人さんになっていったのよ!入浴剤入りのお風呂に浸かってもらったらお肌もどんどんピカピカになって・・・もう、本当に羨ましいったらありゃしない!!!私もご利益にあやかりたかったよ!!!よよよよよ」
なんて泣き真似込みで力説してるし。
俺も最近肌のシミが・・・じゃなくて!とりあえず彼女と話をしたいなと思ったらね、
「私・・・どうしたら良いのでしょうか?」
と、 ボロボロ涙を流しながら、絶望に近い表情でこちらを向いていたんだ。
「私のようなものに、このような強力な薬や魔法を使っていただき、傷を直していただいたことに対して私は何もできません。私が今持っているものはこの体だけ。でも、この体でも払いきれないです・・・私、どうしたら・・・」
それ見てたらさ、彼女がただただ不安だったんだなって気がついて、気がついたら俺ら、彼女を抱き締めてたんだ。
大丈夫、大丈夫。大した事してないから!
大丈夫、大丈夫!イデアちゃんが元気になれたならそれでいいの!
そう言ってる俺らの声に、まだまだ戸惑いを隠せない彼女だったんだけど、最初に比べて少しだけ表情が柔らかくなったように思え、冗談で
「だったら、とびっきりの笑顔を頂戴!」
なんて言ったらさ、ぎこちないけど笑顔を作ってくれた彼女。
こりゃ、まだまだ時間がかかりそうかな?とは思ったんだけど、先にはすすめそうかな?と思った今日この頃。
さて、これから何処までお話出来るかな?
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