46 / 50
お兄ちゃんっ?!!(イデア視点)
しおりを挟む
領主様の力で移動した私の目には、辺り一面に広がる小麦色のパノラマが見えます。
「昔は辺り一面荒れ地だったけど、偶然彼氏と出会い、二人で試行錯誤しこの地を豊かに出来た。今、田畑を耕し豊かな食生活が出来ているのも彼氏のおかげ。まだ領主として引き継ぎを行っている段階だけど、近い将来、地球に戻り彼氏さんと結婚をすることが夢なんだ」
なんて言いながらどんどん顔が赤くなる領主様を見て、私は少しだけ羨ましくなりました。
いろいろあって異世界に飛ばされ、村主家の皆さんと暮らすようになってから、普段の生活の中でもいろいろな人の恋愛模様を見るようになったんだけど、まだ自分の身直に感じる事が出来ないのか?正直ピンときません。
昔の拘束された生活から一変、今はいろいろな事が出来ているから、それだけでも十分過ぎるくらい楽しいからかも知れません。そんな私でも、人の恋愛話を聞くとちょっとだけ羨ましく思ってしまうのは、ちょっとだけ私が贅沢ものになってしまったからかもしれませんね。
そんなことをぼけーっとしながら思っていると 、領主様が自分の屋敷に私を案内してくれました。
お屋敷と言っても、村主家より少し大きいかな?と思うくらいの2階建ての建物で、中に入ると、特にこれといった装飾品もなく、ただ椅子と机、そして、必要な書類や筆記用具など実用的なものばかりが置いてあります。質素な室内を見ながら、窓から見える田園風景を見ていたら、後ろから大きな存在を感じて後ろを向くと、大きな鉈のような太い刀を肩に担いだ体格がとても良い若い女性が、こちらを見てニコニコ笑って近づいてきました。
慌てて挨拶すると、「あんたがお嫁さん候補かい?まぁよろしくな! アタシはかたっくるしいの苦手だから気軽に呼んでくれよ!」なんて言ってくれて握手を求めてくれました。そんな元気な笑顔を見ていると、私まで元気になれる気がしてとても嬉しく思っていると、領主様が普段着からドレスに着替えて来ました。
「これから王様のところに行くんだから、イデアちゃんも今からドレス着るんだからね!そんなにのんびりしてられないわよ!任されている以上しっかりサポートしちゃうから覚悟しておいてよ!あたしの力で王子様なんか余裕で射止められるようにしちゃうわよ☆」
そんな事を言いながら私の手を引っ張る領主様の顔を見るとなんとなく楽しそうで、とても王子様には興味はないなんて言い出せずにいると、知ってか知らずかこっちを振り向き「あちらの生活じゃドレスなんか着ないでしょ?こういう時でないと着る機会なんかないんだから、思い切り綺麗になっちゃいなさいよ!」なんて言われちゃった。
で、衣裳部屋というプレートがかかっている部屋に着くと、私や領主様と同じくらいの年の女の子が何人かいて、私の姿を見てあーでもないこーでもないっていきなり論争がはじまったの。
私の銀色の髪に似合う衣装の色や形。コルセットいらずのウエストがうらやましいとか、意外とあるのね・・・と私の胸を見て悔しそうにされたり、肩があるから思い切って出してみるのもいいかも?なんて方も背中もばっくり開けた衣装を勧められたりと、私が話す隙もないくらいあちらこちらに移動させられ、いろいろな衣装をとっかえひっかえされました。
結局、露出の少ないおとなしめの水色のドレスにドレスと同じ色の髪留めをされ、領主様にはその恰好のまま挨拶を練習をさせられ、あとは本番でなんとかするしかないわね!と言うと、スマホをかざしてどこかに繋がる道を作ってくれました。
「この先はお城だけど、私に任せなさい!これでも一応この国のいち領主なんだからね☆」
そう笑顔で先に進む領主様を頼もしく思いながら、慣れないドレスの端をつまみながら移動すると、目の前には大きくそびえ立つ太い柱に囲まれた白くて大きな建物がありました。まるで以前インターネットで見たパルテノン神殿という立派な建物と同じような感じで、思わずその大きさに圧倒され口を大きく開けてしまっていると、くすっと笑った領主様と目が合い、とても恥ずかしくなってしまいました。
「気持ちはわかるけど、そろそろ王様と王子様とのご対面よ。あと少しだけ窮屈なの我慢してね」
そう言いながら進む領主様が、入り口の両脇に立っている兵隊さんに声をかけると、兵隊さんの一人が奥に駆け出し、しばらくすると私たちは入室を許され中に入ることが出来ました。
「陛下。魔族領辺境地域領主クレア様・婚約候補者イデア様でございます」
そう言いながら礼をする兵士に首を縦に振る、目の前の大きな大きな方がきっとこちらの王様なのだろう・・・とぼけーーっとしてしまっていたら、目の前にいた領主様がひざまずき挨拶をはじめたので、私も慌ててそれに倣ってひざまずき挨拶をします。
「辺境地領主クレア、命により婚約者候補イデア様をお連れいたしました」
「イデアと申します。今まで私のためにいろいろありがとうございます。こちらの礼儀がわからずご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」
そう言う私達に対して、大儀であった!と一言いい、目の前の王様は一部の人達を残し人払いをしました。
そして、頭を下げ続ける私達に近づき、こう言ったのです。
「で、クレアよ。そろそろいいかな?この口調かなりきっついんだけどな」
そんな言葉を発する王様に思わずびっくりしていると、領主様も笑顔で顔をあげてにっこり笑います。
「あーあ、せっかく王様っぽくふるまってるんだから、もう少し威厳を出していればいいのに・・・渋面が勿体ないですよ☆ ま、そんな王様だから私達も気軽に話せるんですけどね」
そういうやりとりの中、戸惑っている私の前にもう一人、話の輪に入ってくる人がいました。
そして、その人の一言に、私は本当にびっくりしてしまったんです。
「おっ!久しぶりだな!元気でやってたか?イデア!」
「も、もしかして・・・・おにいちゃん?!!!」
「昔は辺り一面荒れ地だったけど、偶然彼氏と出会い、二人で試行錯誤しこの地を豊かに出来た。今、田畑を耕し豊かな食生活が出来ているのも彼氏のおかげ。まだ領主として引き継ぎを行っている段階だけど、近い将来、地球に戻り彼氏さんと結婚をすることが夢なんだ」
なんて言いながらどんどん顔が赤くなる領主様を見て、私は少しだけ羨ましくなりました。
いろいろあって異世界に飛ばされ、村主家の皆さんと暮らすようになってから、普段の生活の中でもいろいろな人の恋愛模様を見るようになったんだけど、まだ自分の身直に感じる事が出来ないのか?正直ピンときません。
昔の拘束された生活から一変、今はいろいろな事が出来ているから、それだけでも十分過ぎるくらい楽しいからかも知れません。そんな私でも、人の恋愛話を聞くとちょっとだけ羨ましく思ってしまうのは、ちょっとだけ私が贅沢ものになってしまったからかもしれませんね。
そんなことをぼけーっとしながら思っていると 、領主様が自分の屋敷に私を案内してくれました。
お屋敷と言っても、村主家より少し大きいかな?と思うくらいの2階建ての建物で、中に入ると、特にこれといった装飾品もなく、ただ椅子と机、そして、必要な書類や筆記用具など実用的なものばかりが置いてあります。質素な室内を見ながら、窓から見える田園風景を見ていたら、後ろから大きな存在を感じて後ろを向くと、大きな鉈のような太い刀を肩に担いだ体格がとても良い若い女性が、こちらを見てニコニコ笑って近づいてきました。
慌てて挨拶すると、「あんたがお嫁さん候補かい?まぁよろしくな! アタシはかたっくるしいの苦手だから気軽に呼んでくれよ!」なんて言ってくれて握手を求めてくれました。そんな元気な笑顔を見ていると、私まで元気になれる気がしてとても嬉しく思っていると、領主様が普段着からドレスに着替えて来ました。
「これから王様のところに行くんだから、イデアちゃんも今からドレス着るんだからね!そんなにのんびりしてられないわよ!任されている以上しっかりサポートしちゃうから覚悟しておいてよ!あたしの力で王子様なんか余裕で射止められるようにしちゃうわよ☆」
そんな事を言いながら私の手を引っ張る領主様の顔を見るとなんとなく楽しそうで、とても王子様には興味はないなんて言い出せずにいると、知ってか知らずかこっちを振り向き「あちらの生活じゃドレスなんか着ないでしょ?こういう時でないと着る機会なんかないんだから、思い切り綺麗になっちゃいなさいよ!」なんて言われちゃった。
で、衣裳部屋というプレートがかかっている部屋に着くと、私や領主様と同じくらいの年の女の子が何人かいて、私の姿を見てあーでもないこーでもないっていきなり論争がはじまったの。
私の銀色の髪に似合う衣装の色や形。コルセットいらずのウエストがうらやましいとか、意外とあるのね・・・と私の胸を見て悔しそうにされたり、肩があるから思い切って出してみるのもいいかも?なんて方も背中もばっくり開けた衣装を勧められたりと、私が話す隙もないくらいあちらこちらに移動させられ、いろいろな衣装をとっかえひっかえされました。
結局、露出の少ないおとなしめの水色のドレスにドレスと同じ色の髪留めをされ、領主様にはその恰好のまま挨拶を練習をさせられ、あとは本番でなんとかするしかないわね!と言うと、スマホをかざしてどこかに繋がる道を作ってくれました。
「この先はお城だけど、私に任せなさい!これでも一応この国のいち領主なんだからね☆」
そう笑顔で先に進む領主様を頼もしく思いながら、慣れないドレスの端をつまみながら移動すると、目の前には大きくそびえ立つ太い柱に囲まれた白くて大きな建物がありました。まるで以前インターネットで見たパルテノン神殿という立派な建物と同じような感じで、思わずその大きさに圧倒され口を大きく開けてしまっていると、くすっと笑った領主様と目が合い、とても恥ずかしくなってしまいました。
「気持ちはわかるけど、そろそろ王様と王子様とのご対面よ。あと少しだけ窮屈なの我慢してね」
そう言いながら進む領主様が、入り口の両脇に立っている兵隊さんに声をかけると、兵隊さんの一人が奥に駆け出し、しばらくすると私たちは入室を許され中に入ることが出来ました。
「陛下。魔族領辺境地域領主クレア様・婚約候補者イデア様でございます」
そう言いながら礼をする兵士に首を縦に振る、目の前の大きな大きな方がきっとこちらの王様なのだろう・・・とぼけーーっとしてしまっていたら、目の前にいた領主様がひざまずき挨拶をはじめたので、私も慌ててそれに倣ってひざまずき挨拶をします。
「辺境地領主クレア、命により婚約者候補イデア様をお連れいたしました」
「イデアと申します。今まで私のためにいろいろありがとうございます。こちらの礼儀がわからずご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」
そう言う私達に対して、大儀であった!と一言いい、目の前の王様は一部の人達を残し人払いをしました。
そして、頭を下げ続ける私達に近づき、こう言ったのです。
「で、クレアよ。そろそろいいかな?この口調かなりきっついんだけどな」
そんな言葉を発する王様に思わずびっくりしていると、領主様も笑顔で顔をあげてにっこり笑います。
「あーあ、せっかく王様っぽくふるまってるんだから、もう少し威厳を出していればいいのに・・・渋面が勿体ないですよ☆ ま、そんな王様だから私達も気軽に話せるんですけどね」
そういうやりとりの中、戸惑っている私の前にもう一人、話の輪に入ってくる人がいました。
そして、その人の一言に、私は本当にびっくりしてしまったんです。
「おっ!久しぶりだな!元気でやってたか?イデア!」
「も、もしかして・・・・おにいちゃん?!!!」
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

無能と呼ばれた魔術師の成り上がり!!
春夏秋冬 暦
ファンタジー
主人公である佐藤光は普通の高校生だった。しかし、ある日突然クラスメイトとともに異世界に召喚されてしまう。その世界は職業やスキルで強さが決まっていた。クラスメイトたちは、《勇者》や《賢者》などのなか佐藤は初級職である《魔術師》だった。しかも、スキルもひとつしかなく周りから《無能》と言われた。しかし、そのたったひとつのスキルには、秘密があって…鬼になってしまったり、お姫様にお兄ちゃんと呼ばれたり、ドキドキハラハラな展開が待っている!?

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる