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二章 世界の斜塔から。
五 おむすび、転がる。
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カヒワノダーリ大陸の中央部に位置する塔へ向かう事になったカリン達ですが、その身は未だ古龍帝の庭園に在りました。私室兼執務室のドアが開かれ、古龍帝の執事である羊のヨウモウが再びお茶を淹れて立ち去ります。そのタイミングを見計らいミュウが口を開きました。
「古龍帝様。エリザという女の事を教えて頂きたいのです」
「彼女がどうかしましたか?」
「エリザと交戦した際、我等龍を圧倒する力を目の当たりにしました。人の身でありながら龍をも超えた力を見せたのです」
「そうですか……」
古龍帝の少女は注がれた紅茶を一口飲みます。
「……彼女は『龍に連なる者』です」
しばしの沈黙の後に古龍帝の少女から発せられた言葉は一同を大いに驚かせました。
「我等に連なる者……?」
「そうです。それを話すには、遠い過去から話さねばなりません。黄龍が生まれる遥か前の神と魔が戦っていた遠い遠い過去……」
古龍帝の少女は視線を宙に向け、遠い目をしました。
「神の元に在った二柱の内の一柱、神龍シルファーが離反をしました。『何故、どうして?! 私達の関係に飽きてしまったの!?』と、私が問いただすと、彼は『やりたい事があるんだ』と、手を上げ背を向けたままでその場から立ち去りました。私はただ呆然と彼を見送る事しか出来なかったのです」
ソコ見送っちゃダメだろう。と、一同は表には出さないけれどそう思っていました。
「シルファーが離反した事によってパワーバランスが大幅に崩れ、優勢だった戦況は悪化の一途を辿りました。敗戦が濃厚になった時、私達はとある決断を下しました。それは、神の現し身である人に我等龍の力を与える。というものでした……」
古龍帝の少女は立ち上がり、窓辺まで歩いて外を眺めます。遠くを見つめるその目は、遥か遠い過去の事を思っているのだ。と、カリン達には見えました。
「本来、人の身に我等の力を与える事は不可能です。我等の力の源たる龍の血は、神の現し身とはいえ人の手には余りまくる。移植は難航を極めました。与えられた力が暴走し、或は過ぎた力に飲み込まれ発狂する。その度に死体の数が増えていきました。幾度となく失敗を繰り返して諦め掛けたその時、一人の若者に我等の力を与える事に成功したのです」
古龍帝の少女はクルリ。と振り返り、カリン達を見つめます。軽く握られたその手は、控え目にガッツポーズを取っていました。
「若者の力は凄まじいモノでした。ソレを計画した我々すらも凌駕する力で、劣勢だった勢力図を瞬く間に塗り替えてしまい、その上神龍シルファーをも打ち倒す事に成功したのです」
古龍帝の少女は喜々として語りました。
「シルファーを封印したのちに我等は協力して神の援護を行い、そして世界を魔の手から救ったのは知っての通りです」
古龍帝の少女は元居た席にストン。と座り、冷めきった紅茶を飲み干しました。
「つまり、その若者がエリザの祖先だって事でちね」
古龍帝の少女はコクリ。と頷きました。
「そうです。全属性の魔法を扱う事が出来るのも我等の血によるものなのです。そしてカリンさん。あなた方フェリングも重要な役目を背負っているのですよ」
そう言って古龍帝の少女は、カリンに微笑んでいました――
古龍帝の少女から総ての話を聞き終えたカリン達は、『カヒワノダーリ大陸』の中央部に位置する風の精霊王ジーンが捕縛されていると思しき塔へと向かっていました。
「まさか姫サンの過去にそんな事が有ったなんてな……」
「うん。びっくりだよぉ」
お店のマスターはミュウの頭にどっかりと座り込んで呟き、シルビアがそれに賛同します。
『だが、これで納得がいった。エリザが何故我々を圧倒する力を持っているのかをな』
「それだけに由々しき事態でちよ。戦況をひっくり返した力は現在、相手が持っているのでちから」
「そうだね。早いトコお姉様を取り返さないと、取り返しのつかない事になるね。でも、どうやって正気に戻すの? 寝取る?」
『手っ取り早いのは操っている者を殺す事だな。あとは、目が覚める様な刺激を与える。とかだな』
「後者なら私に任せてよ。お姉様の弱点は知り尽くしてるから、私無しでは居られないカラダに……」
「そっちの刺激じゃ無いでちよ」
カリンはビシリッ。と、裏拳でツッコミを入れました。シルビアの寝取り発言に、二人で絡み合う姿を想像してしまったお店のマスターは、平静を装っていますが起立するのは不可能なくらい起立していたのでした。
『手遅れになる前にセーラ達を見つけなくてはならないな』
「そうでちね。精霊王が解放されていると知れば、きっと慌てて出てくるでち。ソコを狙うでち」
『そうですね。それでは急ぎます』
ミュウはそう言うと、更に速度を上げます。海面近くで泳いでいた魚をザバベボザバババ。と、水柱に巻き込み、噴水の様に撒き散らしながら、ミュウは先を急いだのでした。
カヒワノダーリ大陸中央沿岸部に位置する漁村シメニリギ。漁に出ようとしていた漁師の一人が、風も無く凪いだ水面に立ち昇る水柱を見つけ、大慌てで他の漁師達に触れて回ります。
突如として来訪した未確認飛行物体に村は一時騒然となりましたが、カリン達の誠意ある説得によって一触即発を何とか回避していました。
「さあ、お食べなされ」
村長宅に案内されたカリン達は、お詫びと頼み事を兼ねて食事を振舞われていました。夫々の前に置かれたお皿の上には、お米を固めて作ったという、カリン達が見た事もない料理が置かれています。その横には、これも見た事がないタクアンなるモノが添えられていました。
「頂きますでち」
カリン達はお米を固めて作った固形物を手に取り一口かじると、適度に火に炙られたミイッソーの風味と芳ばしさが口の中に溢れ、お米の甘さを引き立てます。添えてあったタクアンもカリコリコリ。と、食感を楽しませてくれました。
「シメニリギの漁師飯、ニギリメシです。お口に合いますかな?」
「とっても美味しいでちよ」
「うん。とってもデリシャスだよう」
「スープは良く作るが、ミイッソーにこんな使い方があるなんてな……」
「……」
カリン達が絶賛する中で、ミュウは無反応で黙々と食していました。エンシェントドラゴンのミュウは太陽光を糧とする事が出来るので、一般的な食事には無関心なのです。
「それで? お願い事って何でちか?」
「へぇ。その前に、この村について何か思った事はないですかな?」
「村についてでちか……?」
「そういや、年寄りばっかりで若い衆が見当たらなかったな」
お店のマスターは頬を掻きながら、壁で隔たれて見えない外に視線を向けました。
「そうです。その通りですじゃっ!」
村長は目を瞑っていると見える目を、精一杯大きく見開きながら立ち上がりました。前のめりで迫る勢いでしたので、カリン達は揃って身を引きます。直後にどっこいしょ。と、声に出して椅子に座り直し、トントン。と腰を叩きました。辛いならやらなきゃ良いのに。と、一同はそう思っていました。
同時にカリンは、この村に来た時を思い返します。カリン達に向けた銛が重くてプルプルしていた者、途中で力尽きて銛を杖代わりにし始めた者など、年寄りばかりだったと気付きました。
「言われてみればそうでちね。年寄りの他は居ないのでちか?」
「いいえ、違いますじゃ。この村は以前、小さいながらも活気に溢れていたのですじゃ。あの日まではっ!」
再び寝ているとしか見えない目を精一杯見開いて、席を立ち上がる村長さん。矢張り直後に座り直して腰を叩きます。
「ひゃの日?」
シルビアは、おにぎりを頬張りながら聞き返しました。そしてタクアンを摘んで口の中に放り込み、その食感を楽しみます。
「そうですじゃ。山の向こうから来た。という、黒いローブを身に纏った一団が、高報酬を理由に村の若者を連れ去ったのですじゃ」
「報酬を支払うのなら問題無いと思うが……?」
「はい、問題はないですじゃ。しかし、それからが問題なのですじゃ。黒ローブの後に着いて行った若者が、誰一人として帰ってこんのですじゃ」
「んー? 一生懸命働いてるんじゃ?」
「ええ、それならば問題ないですじゃ」
コクコクコク。と頷く村長さん。それを聞いていたミュウは、手にしていた湯呑みを叩き付ける。とまではいかないものの、湯呑みの安否が気になるくらい強めにテーブルに置きました。ちょっと大きめな音がしたので、驚いてお尻で軽く飛び上がったシルビアでした。
「回りくどいな、直球で話せ。我等も忙しいのだ」
エンシェントドラゴンであるミュウの眼力を向けられ、村長さんもお尻で軽く飛び上がります。
「ひっ、わわわ分かりましたですじゃ。おおお願い事、若い衆を呼び戻して欲しいのですじゃ」
村長さんの話によれば、村の若い衆が連れ去られたのは今から約三ヶ月前。それから一度も帰ってきていないのだそうです。三日程前に一度、老体に鞭打って山の向こう側へ行って説得を試みたそうですが、誰一人として受け入れずに渋々戻って来たそうでした。
「その時、皆口々にこう言ってたのですじゃ。『コレがコレなもんで』、と」
村長さんはカリン達に小指を立てて見せ、直後に手の平をお腹の前で山なりに動かします。
「ナニソレ?」
村長さんの奇妙なジェスチャーにシルビアは首を傾げます。
「それはジイさん達にとって喜ばしい事じゃないのか? だって孫が出来たんだろう?」
「ま、孫っ?!」
お店のマスターに言われて、シルビアは漸くそれが何を意味するのかが理解できました。
「そうですじゃ。それはそれで嬉しい事ですじゃ。しかし、男はともかくとして、女子供まで。と、言うのは些かおかしいのですじゃ」
「それは確かにおかしいでちね」
カリンは人差し指の腹を顎に当てて、フム。と、考え込みました。男ならば、子供が出来た妻と共に子を養う為に頑張るのは当たり前の事ですが、それが女どころか子供までとなると不自然極まりないです。何者かがそうする様に仕向けたと考えれば辻褄は合う。カリンはそう思いました。
「あなた方には依頼。という形でお願いしたいのですじゃ。報酬は……こちらで」
村長さんは何やらゴソゴソと懐を弄り、取り出したモノをテーブルに置きます。それは、白くて光沢が美しい野球ボール程の大きさをした珠でした。それを見たカリン達一同は感嘆のため息を漏らします。
「綺麗……何です? コレ」
「アヤコシェルの真珠ですじゃ」
「アヤコシェル? これが、あの?!」
お店のマスターは置かれた真珠に食い入る様に見つめます。アヤコシェルの真珠は輝く様な光沢が美しい。との事で、貴族の奥様方に大変人気のある商品です。天然物は中々手に入らず、その分お値段も高くなります。一年待ちとも云われるアヤコ真珠を今回! 特別に! ご奉仕致します!
「この村はアヤコシェルの特産地なのですじゃ。これはそうですな……四十年物になりますかな」
「コイツぁ、めちゃめちゃ高価くないか?」
「そうですな。コレに値を付けるとしたら……金二万ってトコですじゃ」
「二万っ! 安い!」
「価格じゃないでち、金貨の枚数でちよ」
カリンはシルビアに即座にツッコミを入れました。ちなみに銅貨一枚は十ドラル。銀貨一枚千ドラル。金貨は一万ドラルです。
「金貨?! それが二万枚って事は……………………」
「二億でちよ」
シルビアの頭の中では一生懸命計算しているのでしょうが、あまりの間の長さにカリンはため息混じりで答えました。その金額を聞いたシルビアは、椅子から転げ落ちる程仰け反って驚いていました。
「でも、良いのかジイさん。そんな高価な物を出して貰って」
「なぁに、若い衆が戻って来れば漁が再開出来るでのぅ。こんなもん幾らでも取れるのじゃ」
「なん、だと……?」
お店のマスターは壁に視線を向けます。その向こうにはお宝が眠る海がありました。幾つかコッソリ持ち出せば、遊んで暮らせる。という邪な考えが頭を過ぎった様です。ちなみに、種族的に流通業を営むフェリングのカリンは、この手の物は見慣れていますので何とも思いませんでした。加えて、エンシェントドラゴンであるミュウも、真珠には興味は無さそうです。黄金色に光る物じゃないとソソられない様子です。
「どうせついででち。依頼を受けるでちよ」
「おお、そうですか! では、宜しく頼みますじゃ!」
村長さんは椅子を倒す勢いで立ち上がり、テーブルに手を付いて頭を垂れました。そして、その姿勢のままで動かなくなりました。どうやら勢い余ってぎっくり腰になってしまった様でした。
村長さんを介抱した後に村を出発したカリン達は、鬱蒼と茂った森を切り開いた山道を歩いていました。龍化したミュウの頭に乗って飛んでも良かったのですが、龍王派の龍達や共闘する魔王崇拝者に見つかると厄介ですし奇襲を掛ける為もあって、えっちらおっちら。と、歩いて進んで行きます。その手には、揃って同じ小さな包を持っていました。
「ねぇ、お昼にしない?」
手に持っていた包を目の前に翳し、ニンマリしているシルビアが言います。
「シルビアちゃん。気持ちは分かるが昼にはまだ早いゼ?」
水平線から陽が昇った直後位に村に着いて、ちょこちょこっとお話をして出たものですから、お昼を食べるには二時間程早かったりします。
「アンタ、さっきも沢山食べていたでち。まだ食うんでちか?」
「だってだって、この匂い嗅いでたらお腹減ってきちゃったんだもん」
カリン達が持たされた包には、村長さん宅で舌鼓を打った焼きミイッソーオニギリが入っていました。西の山へと進むカリン達に、東からの適度な潮風に乗ってミイッソーオニギリの香りがシルビアの鼻孔を擽った様です。
「ああ、もうダメ。堪えられないよぅ」
山の中腹に来た辺りで、我慢の限界を超えたシルビアは手にしていた包に手を突っ込みました。
「後で分けてくれって言ってもあげないでちよ?」
「平気平気。そしたらマスターさんのを貰うから」
他人のメシまで食べる気マンマンなシルビアが、鼻歌交じりで包に手を突っ込みミイッソーオニギリを掴んで包から出した途端、ミイッソーオニギリはシルビアの手を離れて逃げ出しました。
「あっ!」
山の斜面を転がり落ちてゆくミイッソーオニギリをシルビアは慌てて追い掛けます。それ程急な勾配で無い事が幸いして、シルビアはスグに追い付く事が出来ました。捕獲したミイッソーオニギリを拾い上げ、満面の笑みで山道に居るカリン達に振り向いたその時、シルビアはそのままストン。と、地面の中に消えていったのです。
「シルビア?!」
カリン達が慌てて駆け寄ると、シルビアが居た地面に穴が開いているのを見つけました。穴はそれなりに深いようで、鬱蒼と茂った木々が陽の光を遮っている所為もあって、シルビアの姿は見えません。
「シルビア! 大丈夫でちか!?」
「うーん、何とかぁ」
大丈夫そうな返事に、カリンはホッと胸を撫で下ろしました。その直後の事です。
「ああっ!」
「どうちたんでちか?!」
シルビアの悲痛な叫びが穴の中から届き、カリンは何者かに襲われたのかと思い慌てます。
「オニギリ潰れちゃった……」
それを聞いたカリンは、それは深い、とても深いため息を吐いたのでした。
「誰かロープみたいな物を持ってないでちか?」
カリンはミュウとお店のマスターに視線を巡らせましたが、二人は揃って首を横に振ります。カリンは更に視線を巡らせ、ロープの代わりなる様な蔦を探しますが、鬱蒼と茂っている割には蔦類が全く見当たりません。どうしたものか? と、考え込みます。
「あ、この穴どっかに通じてるみたいだよ? ちょっと行ってみるね」
「シルビア、待つでちよ!」
カリンは叫びましたが、シルビアからの返事はありませんでした。
「どうする? カリンちゃん」
「仕方ないでち。追い掛けるでちよ」
怖がりのクセに好奇心が旺盛な暴走娘に、カリン達はため息を吐きながら穴の中へと飛び込んだのでした。
オレンジ色の光が、ミルフィーユの様に積み重なった土壁と天井から垂れ下がる木の根を照らし出します。ゆらゆらと揺れるランタンの炎は、木の根の影を人と誤認させています。穴の中は湿気が多く、不快度数は高めでした。
「あのバカ娘、どっちに行ったんだ……?」
右へ左へと忙しなく首を動かすミュウをよそに、カリンはその場にしゃがみ込んで地面を調べます。
「こっちでちね」
程なく足跡を見つけたカリンはスックと立ち上がり、足跡を辿って歩き始めました。その後、幾つかの別れ道がありましたが、床が湿り気を帯びているのが幸いし、足跡を見失わずに済んだのでした。そうして足跡を辿る事暫し、穴の先に明かりを見つけたカリンはお店のマスターにランタンを消す様に指示を出し、抜き足差し足で明かりが漏れる方へと近付いてゆきました。
大きな岩の影から中を覗くと、体育館程の広さをした部屋となっていて明らかに人の手が加わっていました。床は板が敷き詰められ、壁は柱を打ち込んで板で土が崩れて来ない様に土留めをされています。所々には木箱が置かれ、その上に座る者、横になっている者、或いは床に座ったり寝転んだりしている人の姿がありました。
「こいつ等は村の若い衆って奴等か……?」
魔王崇拝者の様に黒いローブを着込んでいる訳では無く普通の格好をしていますので、お店のマスターは連れ去られた村人だと思った様です。
「そうだとちても、様子がおかしいでちね」
同じ村の出身ならば、雑談あたりしていてもおかしくは無いのですが、誰一人として話を交わす事も無く疲れた様子で、夫々が思い思いに腰を下ろしています。
「あっ、カリンちゃんアソコ」
お店のマスターが指を差した先に、シルビアの姿がありました。
「シルビアちゃんだ。おー……」
「待つでちよ」
呼び掛けようとしたお店のマスターの口をカリンが塞ぎます。
「どうしたんだ?」
「シルビアの様子もおかしいでち」
カリンにそう言われてお店のマスターはシルビアを見つめます。カリンの言っていた通り、シルビアもまた彼等と同じ様にボケっとしたまま佇んでいたのです。
「確かにおかしいな。壁に向かって何をしているんだ?」
壁に向かって猫背で佇むシルビアをお店のマスターは訝しげに見ていました。と、カリン達の死角になっている岩の左側からガチャリ。ギギギ。とした鉄格子が開けられる音が聞こえました。それと同時に、思い思いに休んでいたと思しき者達が立ち上がり、足を引き摺る様にしながら出てゆきます。その中にシルビアも加わっていました。
「何処へ行くんだ?」
「さあ、分からないでち。跡を付けてみるでちよ」
「待って下さい!」
全員が部屋から出た所を見計らい、跡を付けようと行動を起こそうとしたカリンをミュウが止めたのでした――
「古龍帝様。エリザという女の事を教えて頂きたいのです」
「彼女がどうかしましたか?」
「エリザと交戦した際、我等龍を圧倒する力を目の当たりにしました。人の身でありながら龍をも超えた力を見せたのです」
「そうですか……」
古龍帝の少女は注がれた紅茶を一口飲みます。
「……彼女は『龍に連なる者』です」
しばしの沈黙の後に古龍帝の少女から発せられた言葉は一同を大いに驚かせました。
「我等に連なる者……?」
「そうです。それを話すには、遠い過去から話さねばなりません。黄龍が生まれる遥か前の神と魔が戦っていた遠い遠い過去……」
古龍帝の少女は視線を宙に向け、遠い目をしました。
「神の元に在った二柱の内の一柱、神龍シルファーが離反をしました。『何故、どうして?! 私達の関係に飽きてしまったの!?』と、私が問いただすと、彼は『やりたい事があるんだ』と、手を上げ背を向けたままでその場から立ち去りました。私はただ呆然と彼を見送る事しか出来なかったのです」
ソコ見送っちゃダメだろう。と、一同は表には出さないけれどそう思っていました。
「シルファーが離反した事によってパワーバランスが大幅に崩れ、優勢だった戦況は悪化の一途を辿りました。敗戦が濃厚になった時、私達はとある決断を下しました。それは、神の現し身である人に我等龍の力を与える。というものでした……」
古龍帝の少女は立ち上がり、窓辺まで歩いて外を眺めます。遠くを見つめるその目は、遥か遠い過去の事を思っているのだ。と、カリン達には見えました。
「本来、人の身に我等の力を与える事は不可能です。我等の力の源たる龍の血は、神の現し身とはいえ人の手には余りまくる。移植は難航を極めました。与えられた力が暴走し、或は過ぎた力に飲み込まれ発狂する。その度に死体の数が増えていきました。幾度となく失敗を繰り返して諦め掛けたその時、一人の若者に我等の力を与える事に成功したのです」
古龍帝の少女はクルリ。と振り返り、カリン達を見つめます。軽く握られたその手は、控え目にガッツポーズを取っていました。
「若者の力は凄まじいモノでした。ソレを計画した我々すらも凌駕する力で、劣勢だった勢力図を瞬く間に塗り替えてしまい、その上神龍シルファーをも打ち倒す事に成功したのです」
古龍帝の少女は喜々として語りました。
「シルファーを封印したのちに我等は協力して神の援護を行い、そして世界を魔の手から救ったのは知っての通りです」
古龍帝の少女は元居た席にストン。と座り、冷めきった紅茶を飲み干しました。
「つまり、その若者がエリザの祖先だって事でちね」
古龍帝の少女はコクリ。と頷きました。
「そうです。全属性の魔法を扱う事が出来るのも我等の血によるものなのです。そしてカリンさん。あなた方フェリングも重要な役目を背負っているのですよ」
そう言って古龍帝の少女は、カリンに微笑んでいました――
古龍帝の少女から総ての話を聞き終えたカリン達は、『カヒワノダーリ大陸』の中央部に位置する風の精霊王ジーンが捕縛されていると思しき塔へと向かっていました。
「まさか姫サンの過去にそんな事が有ったなんてな……」
「うん。びっくりだよぉ」
お店のマスターはミュウの頭にどっかりと座り込んで呟き、シルビアがそれに賛同します。
『だが、これで納得がいった。エリザが何故我々を圧倒する力を持っているのかをな』
「それだけに由々しき事態でちよ。戦況をひっくり返した力は現在、相手が持っているのでちから」
「そうだね。早いトコお姉様を取り返さないと、取り返しのつかない事になるね。でも、どうやって正気に戻すの? 寝取る?」
『手っ取り早いのは操っている者を殺す事だな。あとは、目が覚める様な刺激を与える。とかだな』
「後者なら私に任せてよ。お姉様の弱点は知り尽くしてるから、私無しでは居られないカラダに……」
「そっちの刺激じゃ無いでちよ」
カリンはビシリッ。と、裏拳でツッコミを入れました。シルビアの寝取り発言に、二人で絡み合う姿を想像してしまったお店のマスターは、平静を装っていますが起立するのは不可能なくらい起立していたのでした。
『手遅れになる前にセーラ達を見つけなくてはならないな』
「そうでちね。精霊王が解放されていると知れば、きっと慌てて出てくるでち。ソコを狙うでち」
『そうですね。それでは急ぎます』
ミュウはそう言うと、更に速度を上げます。海面近くで泳いでいた魚をザバベボザバババ。と、水柱に巻き込み、噴水の様に撒き散らしながら、ミュウは先を急いだのでした。
カヒワノダーリ大陸中央沿岸部に位置する漁村シメニリギ。漁に出ようとしていた漁師の一人が、風も無く凪いだ水面に立ち昇る水柱を見つけ、大慌てで他の漁師達に触れて回ります。
突如として来訪した未確認飛行物体に村は一時騒然となりましたが、カリン達の誠意ある説得によって一触即発を何とか回避していました。
「さあ、お食べなされ」
村長宅に案内されたカリン達は、お詫びと頼み事を兼ねて食事を振舞われていました。夫々の前に置かれたお皿の上には、お米を固めて作ったという、カリン達が見た事もない料理が置かれています。その横には、これも見た事がないタクアンなるモノが添えられていました。
「頂きますでち」
カリン達はお米を固めて作った固形物を手に取り一口かじると、適度に火に炙られたミイッソーの風味と芳ばしさが口の中に溢れ、お米の甘さを引き立てます。添えてあったタクアンもカリコリコリ。と、食感を楽しませてくれました。
「シメニリギの漁師飯、ニギリメシです。お口に合いますかな?」
「とっても美味しいでちよ」
「うん。とってもデリシャスだよう」
「スープは良く作るが、ミイッソーにこんな使い方があるなんてな……」
「……」
カリン達が絶賛する中で、ミュウは無反応で黙々と食していました。エンシェントドラゴンのミュウは太陽光を糧とする事が出来るので、一般的な食事には無関心なのです。
「それで? お願い事って何でちか?」
「へぇ。その前に、この村について何か思った事はないですかな?」
「村についてでちか……?」
「そういや、年寄りばっかりで若い衆が見当たらなかったな」
お店のマスターは頬を掻きながら、壁で隔たれて見えない外に視線を向けました。
「そうです。その通りですじゃっ!」
村長は目を瞑っていると見える目を、精一杯大きく見開きながら立ち上がりました。前のめりで迫る勢いでしたので、カリン達は揃って身を引きます。直後にどっこいしょ。と、声に出して椅子に座り直し、トントン。と腰を叩きました。辛いならやらなきゃ良いのに。と、一同はそう思っていました。
同時にカリンは、この村に来た時を思い返します。カリン達に向けた銛が重くてプルプルしていた者、途中で力尽きて銛を杖代わりにし始めた者など、年寄りばかりだったと気付きました。
「言われてみればそうでちね。年寄りの他は居ないのでちか?」
「いいえ、違いますじゃ。この村は以前、小さいながらも活気に溢れていたのですじゃ。あの日まではっ!」
再び寝ているとしか見えない目を精一杯見開いて、席を立ち上がる村長さん。矢張り直後に座り直して腰を叩きます。
「ひゃの日?」
シルビアは、おにぎりを頬張りながら聞き返しました。そしてタクアンを摘んで口の中に放り込み、その食感を楽しみます。
「そうですじゃ。山の向こうから来た。という、黒いローブを身に纏った一団が、高報酬を理由に村の若者を連れ去ったのですじゃ」
「報酬を支払うのなら問題無いと思うが……?」
「はい、問題はないですじゃ。しかし、それからが問題なのですじゃ。黒ローブの後に着いて行った若者が、誰一人として帰ってこんのですじゃ」
「んー? 一生懸命働いてるんじゃ?」
「ええ、それならば問題ないですじゃ」
コクコクコク。と頷く村長さん。それを聞いていたミュウは、手にしていた湯呑みを叩き付ける。とまではいかないものの、湯呑みの安否が気になるくらい強めにテーブルに置きました。ちょっと大きめな音がしたので、驚いてお尻で軽く飛び上がったシルビアでした。
「回りくどいな、直球で話せ。我等も忙しいのだ」
エンシェントドラゴンであるミュウの眼力を向けられ、村長さんもお尻で軽く飛び上がります。
「ひっ、わわわ分かりましたですじゃ。おおお願い事、若い衆を呼び戻して欲しいのですじゃ」
村長さんの話によれば、村の若い衆が連れ去られたのは今から約三ヶ月前。それから一度も帰ってきていないのだそうです。三日程前に一度、老体に鞭打って山の向こう側へ行って説得を試みたそうですが、誰一人として受け入れずに渋々戻って来たそうでした。
「その時、皆口々にこう言ってたのですじゃ。『コレがコレなもんで』、と」
村長さんはカリン達に小指を立てて見せ、直後に手の平をお腹の前で山なりに動かします。
「ナニソレ?」
村長さんの奇妙なジェスチャーにシルビアは首を傾げます。
「それはジイさん達にとって喜ばしい事じゃないのか? だって孫が出来たんだろう?」
「ま、孫っ?!」
お店のマスターに言われて、シルビアは漸くそれが何を意味するのかが理解できました。
「そうですじゃ。それはそれで嬉しい事ですじゃ。しかし、男はともかくとして、女子供まで。と、言うのは些かおかしいのですじゃ」
「それは確かにおかしいでちね」
カリンは人差し指の腹を顎に当てて、フム。と、考え込みました。男ならば、子供が出来た妻と共に子を養う為に頑張るのは当たり前の事ですが、それが女どころか子供までとなると不自然極まりないです。何者かがそうする様に仕向けたと考えれば辻褄は合う。カリンはそう思いました。
「あなた方には依頼。という形でお願いしたいのですじゃ。報酬は……こちらで」
村長さんは何やらゴソゴソと懐を弄り、取り出したモノをテーブルに置きます。それは、白くて光沢が美しい野球ボール程の大きさをした珠でした。それを見たカリン達一同は感嘆のため息を漏らします。
「綺麗……何です? コレ」
「アヤコシェルの真珠ですじゃ」
「アヤコシェル? これが、あの?!」
お店のマスターは置かれた真珠に食い入る様に見つめます。アヤコシェルの真珠は輝く様な光沢が美しい。との事で、貴族の奥様方に大変人気のある商品です。天然物は中々手に入らず、その分お値段も高くなります。一年待ちとも云われるアヤコ真珠を今回! 特別に! ご奉仕致します!
「この村はアヤコシェルの特産地なのですじゃ。これはそうですな……四十年物になりますかな」
「コイツぁ、めちゃめちゃ高価くないか?」
「そうですな。コレに値を付けるとしたら……金二万ってトコですじゃ」
「二万っ! 安い!」
「価格じゃないでち、金貨の枚数でちよ」
カリンはシルビアに即座にツッコミを入れました。ちなみに銅貨一枚は十ドラル。銀貨一枚千ドラル。金貨は一万ドラルです。
「金貨?! それが二万枚って事は……………………」
「二億でちよ」
シルビアの頭の中では一生懸命計算しているのでしょうが、あまりの間の長さにカリンはため息混じりで答えました。その金額を聞いたシルビアは、椅子から転げ落ちる程仰け反って驚いていました。
「でも、良いのかジイさん。そんな高価な物を出して貰って」
「なぁに、若い衆が戻って来れば漁が再開出来るでのぅ。こんなもん幾らでも取れるのじゃ」
「なん、だと……?」
お店のマスターは壁に視線を向けます。その向こうにはお宝が眠る海がありました。幾つかコッソリ持ち出せば、遊んで暮らせる。という邪な考えが頭を過ぎった様です。ちなみに、種族的に流通業を営むフェリングのカリンは、この手の物は見慣れていますので何とも思いませんでした。加えて、エンシェントドラゴンであるミュウも、真珠には興味は無さそうです。黄金色に光る物じゃないとソソられない様子です。
「どうせついででち。依頼を受けるでちよ」
「おお、そうですか! では、宜しく頼みますじゃ!」
村長さんは椅子を倒す勢いで立ち上がり、テーブルに手を付いて頭を垂れました。そして、その姿勢のままで動かなくなりました。どうやら勢い余ってぎっくり腰になってしまった様でした。
村長さんを介抱した後に村を出発したカリン達は、鬱蒼と茂った森を切り開いた山道を歩いていました。龍化したミュウの頭に乗って飛んでも良かったのですが、龍王派の龍達や共闘する魔王崇拝者に見つかると厄介ですし奇襲を掛ける為もあって、えっちらおっちら。と、歩いて進んで行きます。その手には、揃って同じ小さな包を持っていました。
「ねぇ、お昼にしない?」
手に持っていた包を目の前に翳し、ニンマリしているシルビアが言います。
「シルビアちゃん。気持ちは分かるが昼にはまだ早いゼ?」
水平線から陽が昇った直後位に村に着いて、ちょこちょこっとお話をして出たものですから、お昼を食べるには二時間程早かったりします。
「アンタ、さっきも沢山食べていたでち。まだ食うんでちか?」
「だってだって、この匂い嗅いでたらお腹減ってきちゃったんだもん」
カリン達が持たされた包には、村長さん宅で舌鼓を打った焼きミイッソーオニギリが入っていました。西の山へと進むカリン達に、東からの適度な潮風に乗ってミイッソーオニギリの香りがシルビアの鼻孔を擽った様です。
「ああ、もうダメ。堪えられないよぅ」
山の中腹に来た辺りで、我慢の限界を超えたシルビアは手にしていた包に手を突っ込みました。
「後で分けてくれって言ってもあげないでちよ?」
「平気平気。そしたらマスターさんのを貰うから」
他人のメシまで食べる気マンマンなシルビアが、鼻歌交じりで包に手を突っ込みミイッソーオニギリを掴んで包から出した途端、ミイッソーオニギリはシルビアの手を離れて逃げ出しました。
「あっ!」
山の斜面を転がり落ちてゆくミイッソーオニギリをシルビアは慌てて追い掛けます。それ程急な勾配で無い事が幸いして、シルビアはスグに追い付く事が出来ました。捕獲したミイッソーオニギリを拾い上げ、満面の笑みで山道に居るカリン達に振り向いたその時、シルビアはそのままストン。と、地面の中に消えていったのです。
「シルビア?!」
カリン達が慌てて駆け寄ると、シルビアが居た地面に穴が開いているのを見つけました。穴はそれなりに深いようで、鬱蒼と茂った木々が陽の光を遮っている所為もあって、シルビアの姿は見えません。
「シルビア! 大丈夫でちか!?」
「うーん、何とかぁ」
大丈夫そうな返事に、カリンはホッと胸を撫で下ろしました。その直後の事です。
「ああっ!」
「どうちたんでちか?!」
シルビアの悲痛な叫びが穴の中から届き、カリンは何者かに襲われたのかと思い慌てます。
「オニギリ潰れちゃった……」
それを聞いたカリンは、それは深い、とても深いため息を吐いたのでした。
「誰かロープみたいな物を持ってないでちか?」
カリンはミュウとお店のマスターに視線を巡らせましたが、二人は揃って首を横に振ります。カリンは更に視線を巡らせ、ロープの代わりなる様な蔦を探しますが、鬱蒼と茂っている割には蔦類が全く見当たりません。どうしたものか? と、考え込みます。
「あ、この穴どっかに通じてるみたいだよ? ちょっと行ってみるね」
「シルビア、待つでちよ!」
カリンは叫びましたが、シルビアからの返事はありませんでした。
「どうする? カリンちゃん」
「仕方ないでち。追い掛けるでちよ」
怖がりのクセに好奇心が旺盛な暴走娘に、カリン達はため息を吐きながら穴の中へと飛び込んだのでした。
オレンジ色の光が、ミルフィーユの様に積み重なった土壁と天井から垂れ下がる木の根を照らし出します。ゆらゆらと揺れるランタンの炎は、木の根の影を人と誤認させています。穴の中は湿気が多く、不快度数は高めでした。
「あのバカ娘、どっちに行ったんだ……?」
右へ左へと忙しなく首を動かすミュウをよそに、カリンはその場にしゃがみ込んで地面を調べます。
「こっちでちね」
程なく足跡を見つけたカリンはスックと立ち上がり、足跡を辿って歩き始めました。その後、幾つかの別れ道がありましたが、床が湿り気を帯びているのが幸いし、足跡を見失わずに済んだのでした。そうして足跡を辿る事暫し、穴の先に明かりを見つけたカリンはお店のマスターにランタンを消す様に指示を出し、抜き足差し足で明かりが漏れる方へと近付いてゆきました。
大きな岩の影から中を覗くと、体育館程の広さをした部屋となっていて明らかに人の手が加わっていました。床は板が敷き詰められ、壁は柱を打ち込んで板で土が崩れて来ない様に土留めをされています。所々には木箱が置かれ、その上に座る者、横になっている者、或いは床に座ったり寝転んだりしている人の姿がありました。
「こいつ等は村の若い衆って奴等か……?」
魔王崇拝者の様に黒いローブを着込んでいる訳では無く普通の格好をしていますので、お店のマスターは連れ去られた村人だと思った様です。
「そうだとちても、様子がおかしいでちね」
同じ村の出身ならば、雑談あたりしていてもおかしくは無いのですが、誰一人として話を交わす事も無く疲れた様子で、夫々が思い思いに腰を下ろしています。
「あっ、カリンちゃんアソコ」
お店のマスターが指を差した先に、シルビアの姿がありました。
「シルビアちゃんだ。おー……」
「待つでちよ」
呼び掛けようとしたお店のマスターの口をカリンが塞ぎます。
「どうしたんだ?」
「シルビアの様子もおかしいでち」
カリンにそう言われてお店のマスターはシルビアを見つめます。カリンの言っていた通り、シルビアもまた彼等と同じ様にボケっとしたまま佇んでいたのです。
「確かにおかしいな。壁に向かって何をしているんだ?」
壁に向かって猫背で佇むシルビアをお店のマスターは訝しげに見ていました。と、カリン達の死角になっている岩の左側からガチャリ。ギギギ。とした鉄格子が開けられる音が聞こえました。それと同時に、思い思いに休んでいたと思しき者達が立ち上がり、足を引き摺る様にしながら出てゆきます。その中にシルビアも加わっていました。
「何処へ行くんだ?」
「さあ、分からないでち。跡を付けてみるでちよ」
「待って下さい!」
全員が部屋から出た所を見計らい、跡を付けようと行動を起こそうとしたカリンをミュウが止めたのでした――
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