ちっちゃなメイドが世界を救うハメになりました。

ネコヅキ

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二章 世界の斜塔から。

一 ツノが生えた甲冑男。

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 バチリ。焚き火に焼べられた薪が爆ぜて、火の粉を舞い上がらせながらカサコソ。と、崩れてゆきました。前回、ミュウの背に乗り古龍帝の庭園へと向かったカリン達ですが、現在は運命の海デスティニー・シーの只中にある運命の島デスティニー・ランドで休養を取っていました。舞い上がる火の粉を見つめ、誰一人として口を開かないが為に、ザザンザザザン。と、波の音だけが響いていました。

「まさか、姫サンの家系にあんな秘密があったなんてな……」

 ボソリと呟いたお店のマスターは、手を後ろの地面に付けて星が輝く夜空を仰ぎ見ました。一同を大いに驚かせた王女の秘密。それはエリザ王女が攫われた直後に遡ります。



「一体何事だ!?」

 一連の騒動に近衛兵を伴ってやって来たセルデ王は、呆然と立ち尽くしていたカリン達に問いました。

「エリザが攫われたでち」

「なんだと!? 一体何者が……いや、詮索は後だ。至急に捜索隊を編成し、王女を探し出せ!」

 国王に敬礼をした近衛兵達は、重そうに鎧の音を立てて走り去ってゆきました。

「無駄だ。エリザを攫ったのは闇に属する龍だ。もうこの地には……いや、この大陸には居ないだろう」

「なんですと?! では、一体何処に連れ去られたと仰るのですか!?」

「そんな事よりセルデよ。お前達は我等龍に隠し事をしてはいないか?」

「隠し事。で御座いますか……?」

「そうだ! 王女のあの力は何だ!? 我等龍を圧倒する力なぞニンゲンが持てる筈が無い!」

「何だって?!」

「それは本当でちか!?」

 カリンとお店のマスターはミュウの物言いに、大層驚きました。龍に勝てるのは神様か同じ龍だけ。それは周知の事実であり、地上に棲む者達よりも強大な力を持つ、精霊達の力を以ってしても足止めが精々なのです。

「私には何も分かりませぬ」

 セルデ王の目は嘘を付いている様には見えませんでした。

「分かりませぬが、もしかしたら城の地下書庫にその手掛かりがあるやも知れません」

 お城の地下にある書庫には、エルフリート建国期からの膨大な資料が今も眠っている。という話です。

ご主人様マスターご主人様マスターは先にお休みになっていて下さい。龍王派ヤツラの狙いが達成された以上、今夜は襲撃の可能性は低い筈です」

「ミュウはどうするのでちか?」

「私は知らねばなりません。彼女が放った力の秘密を……」

 ミュウが何か思い詰めた様な表情をしてるのを見て、カリンはフッ。と、軽く息を吐きました。

「セルデ王。書庫に案内してくれないでちか?」

ご主人様マスター!?」

「ミュウ。わたちはあんたのマスターでち。そちてそれ以上に仲間なんでちよ。仲間というのはただ一緒に居る事じゃないのでち。共に苦労をしてこそ本当の意味での仲間なんでち」

「そうだぜミュウさん。勿論、オレも手伝うからよ。ちゃっちゃと見つけようゼ」

「せやな、ウチも微力ながらお手伝いさせて貰いやす」

「分かった。では、案内させよう」

 こうしてカリン達は、お城の地下書庫でホコリ塗れになりながら王女の力の秘密を探ったのでした。そして、捜索二日目に確信では無いものの、関係しているかも知れない情報を入手したカリン達。それはエリザ王女の家系図でした。

 早速紐解いて中を見てみると、一目で異常と分かる王女の家系。それによると、生まれてくる子は全て女児で一人のみ。そして、母親は産み落として間もなく、若しくは数年後には病死していたのです。それはエリザ王女の母親であるエリナ女王だけではなく、遥か昔に遡っていました。矢張り何かがある。それを見たカリン達一同はそう確信せざるを得ませんでした。



 ふよっ。と、吹いた生暖かい夜風に、再びバチリ。と、焼べた薪が爆ぜました。

「古龍帝様ならば、詳しい事が分かるかもしれん」

「そうでちね。その為にも、今日はもう休んで日の出と共に出発するで――」

 カリンはハッとして言葉を中断し、身を引く構えて背後の薮を注視します。

「どうした? カリンちゃん」

 カリンの行動を疑問に思ったお店のマスター。そこそこ長い付き合いなのにも拘らず、未だその意図が理解出来ない様です。見れば、ミュウやエリッサ、アンナもしゃがみながらちゃんと身構えていて、露わになった太ももと見えそうで見えない核心にお店のマスターはドキッとしました。

「来るでち」

 カリンの言葉に一同は最大の警戒をします。どうやら相手には殺意は無い様ですが、だからといって無警戒で迎えるのは愚策なのです。ですが、それも杞憂に終わりました。藪の中からひょっこりと顔を出したのは、イエティを彷彿とさせる様な毛むくじゃらの容姿で、面長の獣ヅラ。それはカリン達が見知った顔でした。

「あ、やっぱり姉ちゃん達だ」

「ブルーイン。久し振りでちね」

 ガサリガサリ。と、薮から出てきたのは、この島に棲んでいるウルス族のブルーインでした。

「よお、ボウズ。元気だったか?」

「うん。僕達は元気だよ」

 ブルーインはお店のマスターの横にちょこん。と、座ります。

「ホラ、お前が大好きなワッフルだ。ハチミツたっぷりだぞ?」

「わぁい! やったぁ!」

 ブルーインはバンザイして大層喜び、お店のマスターから貰ったワッフルをあっという間に平らげました。ハクハクハクっ。と、夢中になって食べるその姿に、一同は柔らかい表情で見ていました。

「ところでブルーイン。あんたさっき僕達は・・・って言ってたでちね」

 一段落した所を見計らい、カリンはブルーインが言った気になる言葉を聞きました。

「ん? ああ、そうだよ。僕達は元気だけど、他の人達はそうでも無かったみたい」

 言ってブルーインは出されたお茶を啜りました。

「どういう事だ?」

 お店のマスターの疑問にブルーインは指、というより前足を差しました。

「あそこの山の反対側じゃ色々あったみたい。なんでも、ヴェルデ族の街『アルマ』が魔女の襲撃を受けて壊滅したとかなんとか」

「魔女、でちか?」

 ブルーインから出た聞き慣れないフレーズに、カリン達は顔を見合わせました。

「うん。仮面を被って黒い服を着た女の人で、マホウ? とか言うのを使うんだって。あと、太ももがむちむちしてておっぱいがぶるんぶるんしてて、とっても怖かったって聞いた」

 前半はともかく後半は怖いイメージが欠片もありませんでした。

「どうするカリンちゃん。行ってみるか?」

 お店のマスターは考え込んでいるカリンの顔色を伺いながら言いました。そんなお店のマスターを見ながら、『それ、見たいだけちゃいますの?』と、思っているエリッサ女王。そして、『どうせ私はスタイル良くないわよ』と、思っているアンナです。シルビアはブルーインのおこぼれに与り、お茶を啜ってのほほん。としていました。

「行ってみるでち」

 魔女。と聞いてカリンの頭に浮かんだのは、攫われたエリザ王女の顔。もしかしたら関係があるかもしれないと、カリンは行く決断をしました。

「来て早々に悪いでちけど、案内をお願いしたいのでちが、良いでちか?」

「うん、良いよ。ただし、後でまたお菓子ちょうだいね」

 でないとイタズラするぞ。と言わんばかりのブルーインに、お店のマスターはサムズアップして応えました。

「エリッサ女王達はここで待ってて欲しいでち」

 出立の準備をしながらカリンはエリッサ女王とその娘アンナに言いました。

「何を言うとりますの。ウチ等も同行させて貰いやす」

「え……? でちが――」

「別に戦う言うんやないやろ? それに不測の事態に備えはるなら、ウチ等も一緒した方がええとちゃいますの?」

 エリッサ女王の物言いに娘のアンナも頷きます。

「危険が大き過ぎるでちよ。万が一女王がヤツラに囚われたら……」

「そん時は一目散に逃げさせて貰うさかい。それに……仲間やないですか」

 エリッサ女王の言葉に、カリンはハッとして照れながら頬を掻きました。エルフリートでカリンがミュウに言った言葉をエリッサは覚えていた様でした。

「分かったでち。一緒に行こうでちよ。ミュウ、山の麓まで頼むでち」

分かりましたご主人様イエス・マスター

 ミュウが龍化を終えると一同はその背に乗り込み、山の麓まで飛んでゆきました。

 山の麓でカリン達を降ろしたミュウは、再び人化して『何処からともなく』から服を取り出します。龍サイズの服なんてモノはありませんので、龍化したミュウは基本マッパなのです。そして、ミュウが降り立った山は海岸沿いの様に木立も何もないハゲ山ですので、隠れて着る事も出来ません。カリン達一行の中で唯一の男性であるお店のマスターは、肩身が狭い思いをしている。かと思いきや、結構楽しんでいる様子。現に今も、耳に全意識を傾けてミュウの着替えに聞き耳を立てていました。

「覗いたらあきまへんよ」

 耳に神経を集中させるあまり、お店のマスターの頭が少しづつミュウの方へ向けられている事に気付いたエリッサ女王は、何を思ったのかお店のマスターの頭を抱えて、たわわに実った最終兵器双丘渓谷の中に押し込めました。

 気付いたら、人肌に温められたマシュマロの中に居た。後にお店のマスターはそう語ります。その時、頭に閃いたスイーツの事は割愛しまして、着替えを終えたミュウと共に、カリン達はゴツゴツとした岩だらけの山道を進み始めたのでした。



 東の空が白み始め、明かりを灯さなくても歩くのに不自由しなくなった頃、ヴェルデ族が住まう街『アルマ』を一望出来る場所へとやって来ました。

「コイツぁ非道え」

 この街のシンボルであったであろう、街の中心部に聳え立っていた大樹は半ばから折られ、押し潰した建物と共に黒く焦げ付いていました。

「戦闘はしてなさそうでちね」

 あちらこちらから煙は上がり続けているものの、新たに爆音などが聞こえてきませんので、戦いは終わっているのだとカリンは思っていました。

「どないしはります?」

「そうでちね……出来れば魔女とやらの詳細を聞きたいでち」

「だったら、街よりはアソコに行ったら人が居るかもしれないよ」

 ブルーインは、前足を大きな丘に向けて指し示します。

「あそこは『しえるたぁ』って建物なんだって。ヴェルデ族の人達がいっぱい居るから近付くなってあんちゃんに言われた」

「そうでちか……」

 カリンはふむ。と考え込みました。のこのこと戦場に出向いて敵として認識されるよりは、救援が来た様に思われた方が好都合ではあります。

「じゃあ案内を頼むでちよ」

「うん。任せて」

 こうしてカリン達は、ブルーインの案内で『しえるたぁ』とやらに向かったのでした。



 生い茂る草葉をガサリガサリと掻き分けて森の中を進む一団が居ました。言わずと知れたカリン達です。

「お、この先に広場があるみたいだ」

 トマホークを振るい邪魔な枝を切り落としながら、前を進むお店のマスターが言いました。

「じゃあ、そこで休憩を取るでちよ」

「はあ、やっと休めるぅ」

 山の麓からさしたる休憩もなく歩き続けてきた所為で、シルビアはグロッキー寸前な様子でした。ちょっとした広場に辿り着くと同時に、シルビアは草の上に寝転び目をつぶります。

「ほいよ、カリンちゃん」

「有り難うでち」

 お店のマスターから渡されたカップには、ほんのり甘い味付けされた水が入っていて、コクリ。と、飲み込むと仄かに甘い香りが鼻から抜けてゆき、僅かな酸味が疲れた身体に染み渡ります。

「ん。コレ、美味しいね」

 小熊のブルーインはコクコクコクッと一気に飲み干しました。

「そいつには、ハチミツとレモンドを混ぜてあるのさ。疲れた身体にはコイツが効くゼ」

 ブルーインから差し出されたおかわりに応えながら、お店のマスターは自慢気にいいました。ちなみに、レモンドはレモンと思って頂いて差支えはありません。と、寝ていると思っていたシルビアが、草叢に横たえていたその身体を起こしました。

「ねぇ、ブルーインくん。この森って誰か棲んでる?」

「ん? んーん。野生の動物くらいだよ?」

「そっか……」

 シルビアは足元の草に視線を落としながら言いました。

「どうちたんでちか?」

「うん。なんか一杯居るの」

 シルビアが広場の周囲をグルリと囲まれている事を告げると、カリン達に緊張が走りました。カリンが索敵を最大にしても感知出来ない所をみると、範囲外の様です。

「どうちて分かったんでち?」

 腰から短剣を引き抜き、警戒しながらシルビアに聞きます。

「うん。『エコエコ』使ってたから」

「『エコエコ』……?」

 正式名はエコーロケーション。音や超音波を発して、その反響によって物体の距離や方向、大きさなどを知る事が出来ます。例としてはコウモリやイルカと同じ様な能力です。そのお陰でシルビアには、カリン以上の探知能力がある様でした。勝手な命名は混乱するので止めて頂きたい所です。

「シルビアちゃん、凄いじゃないか」

 お店のマスターの褒め言葉に、シルビアはでっへへ。と照れますが、そんな事をしている場合ではありません。

「射程内でちよ」

 カリンの索敵範囲は約五十ルメト。その範囲に次々と何者かが入り込んできます。一同は目を凝らして森を見つめますが、木の陰に隠れているのか、はたまた藪の中に潜んでいるのか、その姿は見つける事が出来ないでいました。

「何者でち!?」

 お前達が居るのは分かっているぞ。そういう意味を込めてのカリンの誰何にも、接近した者達からは一切の動揺は見られません。

「しょうがない。ちょっと覗き野郎を懲らしめますか」

 そう言ってシルビアは大きく息を吸い込み始めます。

「シルビア?! みんな耳を塞ぐでちよ!」

 カリン達が耳を塞ぐのと同時に、シルビアを中心に草や木が揺れ動きます。『イジメっ子のワルツゴーダーシャウツ』。音属性の魔術で、例えばガラスを引っ掻いた様な不快な音が、敵味方問わずに耳に届く。という、迷惑極まりない魔術です。

 知っている者ならば耳を塞ぐ事で簡単に回避出来るのですが、知らぬ者はドサリ。と倒れ伏した彼等の様になります。

「どう? 私の美声は?」

 シルビアのその言いようはまるで、自身が音痴なのを気付かないイジメっ子と変わりがありませんでした。

「あれ……?」

 倒れた1人を見てブルーインが声を上げました。

「どうちたんでち?」

「この人達、ヴェルデ族の人だ」

『なっ!?』

 カリン達の驚きの声がハモりました。ただ一人、エリッサ女王だけは、あらあらまあまあ。と、さして驚いてなさそうにしています。

「先に手ぇ出しちまったが……ヤバくないか?」

 迷彩塗装された甲冑を着込み、剣に弓矢にクロスボウと中々の重武装。加えてカリン達を包囲しようとしていた所を見るに、彼等は統率された軍隊の様です。

「にんににに、逃げよ。ねぇ逃げよっ」

 問答無用で手を出した張本人は、慌てふためき右往左往していました。

「そういう訳にはいかないでちよ。そして、いかなくなったでち」

『へっ?』

 カリンの言いように、一同は素っ頓狂な声を上げました。そして、カリンの言葉がすぐさま現実のものとなったのです。

 森の奥からガサリガサリ。とした音が聞こえ始め、その数は先程とは比較にならない程の規模でした。

「はふぅもうだめだ……」

 エコーロケーションで索敵を行なったシルビアは、その場にペタンと尻餅をつきます。

「どどっどどうするよ。カリンちゃん」

 お店のマスターも右へ左へと視線を巡らしながら慌てていました。

「どうもこうも、こうなったらなる様にしかならないでち。最悪、シルビアの所為にすればわたち達は助かるかもしれないでちよ」

「ちょっ! カリン?!」

 口角を吊り上げたカリンの顔を見て、『あ、これ本気だ』と思ったシルビアでした。



「我が領土内に侵入した者共に告げる!」

 森の奥から聞こえてきた声にカリン達は身構えます。

「我等はビリジアン軍第四歩兵中隊に所属する者である。貴殿らは既に我等の包囲下にある。無駄な抵抗は止め、大人しく従うが良し。さもなくば、総攻撃を開始する。二分間の猶予を与えよう、賢明な判断を望む」

「こうなったらもう、本気を出すしかないわふっ!」

 己を奮い立たせスックと立ち上がったシルビアの脳天に、ミュウの拳が唸りました。

「わざわざ事を荒立てるんじゃないっ」

「だってだってぇ」

 頭抱えて踞るシルビアはフルフルと震えていました。

「とにかく、これ以上は余計な事をしなくて良いでちよ。わたち達は争いに来た訳じゃないのでち」

 カリンは抜き身の短剣を鞘に仕舞って地面に投げ捨てました。そして両手を上げて一歩を踏み出しました。

「わたち達は争うつもりは無いでち! 大人しく投降するでちよ!」

「うむ、賢明な判断だな」

 そう声が届いた直後、木の陰や藪の中から出るわ出るわ。一体何処に? と思える程の、迷彩塗装を施した甲冑を着込んだ人達が姿を現しました。

「リーダーは何方かな?」

 兜にツノを一本生やした、隊長であろう者が、カリン達をグルリと見渡しながら問います。

「わたちでち」

「なんと、子供ではないか」

 言って一歩を踏み出したカリンに、隊長は驚きを隠せない様子です。カリン達の種族フェリングは、大人なノッポでも一般成人男性の半分程しかありませんので、パッと見子供にしか見えません。

「わたちはフェリングのカーテローゼ。こちらから先に手を出しておいてなんでちが、わたち達は争いに来た訳では無いでちよ」

「フェリング……? 確か大陸からの行商人がそんな種族だった様な……?」

 隊長と思しきツノ付き甲冑が、隣に控えるツノ無し甲冑その一にツノを向けると、『左様です』と小さく頷きました。こんな所にまで武器を売りに来るとは、フェリングとはなんて強かな種族なのでしょう。

「では、お前達は行商に来たのか?」

「残念ながらそうじゃないのでち」

 カリンはツノを一本生やした甲冑男に事の事情を、全部話すと日が暮れてしまいますので、掻い摘んで話します。

「成る程な……」

 ツノを一本生やした甲冑男は、指で顎をリズミカルに叩きます。

「隊長、この者達の言う事を信じるおつもりですか?」

 側に控えていた甲冑男が余計な進言をしました。

「ふむ、そうだな。この者達に敵意が無いのは明らかだ。その証拠に、索敵に出た兵士は誰一人として死んでおらん」

 シルビアの魔法、イジメっ子のワルツゴーダーシャウツに殺傷能力が無い事が幸いした様です。

「かといって、まんま信じられぬのも事実だ。だからそなた達、すまないが我等の司令官にもう一度その話をしてはくれまいか?」

「了解したでち」

「では、一応体裁を整える為にそなたらを拘束させて頂くが、よろしいな?」

 カリンはミュウ達を見渡し、大人しく従う様に。と、意味を込めて頷きました。

「分かったでち。武器も預けるでちよ」

「うむ。助かる」

 こうしてカリン達は、ヴェルデ族の軍隊が司令部を置く、ブルーインが言う所の『しえるたぁ』へと連行されるのでした。余談ですが、拘束される際に、『何で亀甲やあらへんの?』と、とある人物が妙な文句をタレ流した事は聞き流して下さい。
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