『創造神始めました』ご注文をどうぞ。魔王軍で異世界侵略と若干狂気持ち彼女ですね?5番にオーダー入りまーす!

隣のカキ

文字の大きさ
上 下
36 / 41

第36話 その愛故に…

しおりを挟む
「拙者、アカツキと申す。実は先日、こちらの近くに住む巫女の女性と、お見合いをしたのでござる」

 聞けば、相手の機嫌を損ねてしまったとのことです。

 どうやら、ソナエさんのお見合いの相手とは、アカツキさんのようですね。

 隣のソナエさんを、確認します。

 あー、怒っていますねぇ。

 わたしたちは暗がりにいるのですが、ソナエさんの青筋がくっきりと見えますよ。

 ソナエさんの腕を、ヒジで小突きます。
 態度で示すと、相手にも伝わっちゃいますよ。

 ダメですね、これは。話す気がない模様です。

 ソナエさんがここまで立腹している姿は、初めて見ました。

 よほど、腹にすえかねる物言いをされたのでしょう。

「何を話されたんですか?」
「他愛のない話です。どのような酒を好むか、あてはどれか。拙者は、トマトやチーズだけでも楽しめるというと、相手はたいそう喜んでくださいましたぞ。食事の好みも、ほぼ同じだったので、大丈夫だと思うていたのです」

 よかったじゃないですか。なにが不満だったのでしょう?

「発言に失礼があったか、心当たりはありますか?」
「無礼だったのは、両親です」

 初対面だというのに、お母様がやたらとソナエさんに小言を言ってきたとか。
 相手方の両親ができた人で、そのままことなきを得たと言います。
 お父様まで叱り飛ばしたくらいだとか。

「あなたご自身に、問題があったとのお考えは?」
「思い当たるフシが、何も。おそらく、それも怒らせた原因だったのでござろう。なんてことのない会話で、憤慨されたのでしょう」

 反省は、しているようですが。

 あー、もう。
 ソナエさんブチギレじゃないですか。

 これは、早く解決せねば。

「何を話したか、再現はできますか」


「毎朝、あなたの味噌汁が飲みたいと」


「……あー」



 これは、罪深つみぶかい。



 ダメですね。ダメダメです。これはギルティというしかありません。

 実に罪な発言ですよ、これは。

「おサムライさん。あなたは首をハネられても文句が言えません」
「そこまででござるか!?」
「あなたの中では、朝は眠いのにお味噌汁を作るのは、女性だけなのですね」

 まだわかっていないのか、アカツキさんは黙り込みます。

「あなたは、炊事などの家事を奥様一人に押し付けるおつもりで?」
「……っ!」

 アカツキさんが、ハッと息を呑みました。

 わたしの言わんとしていることが、ようやく飲み込めたようで。

「失念していた。これでは、母と同じではないか!」
「では、その旨をお伝えください。きっと、わかり合えるはずですから」


 シスター・エマと一緒に、お粥のお店で休憩をします。

 
「とにかく、指示に従えって注文が多いんだよ。武家だからかねえ」

 わたしは、とかくその「武家」なるワードがひっかかりました。

 どうもブケというのは、こちらでいう「騎士団」のような役職だそうで。

「ブケ、という家系は、そんなにめんどくさいの?」

 エマからの質問に、ソナエさんは「うんうん」とブンブン首を振ります。

「しきたりには、うるさいかな? 考え方が古いから」

 こちらも、騎士や貴族の中には柔軟な考えの人は少ないかも知れません。

「謎マナーが多いぜ。箸の持ちからや食べ方まで、指図してきやがる」

 めんどうな方みたいですね。

「ですが、お料理が上手じゃないですか。結婚のご意思自体はあるのでは?」
「あたしが食べたいから、料理が勝手にうまくなったんだ。伴侶なんて、考えたこともないさ」

 自分がおいしい晩酌を楽しみたいから、料理の腕を磨いたとのこと。

 なるほど、自分のためならいくらでもおいしいものを作るけど、他人のためとなると話は別だと。


 休憩を終えて、再度ザンゲ室へ。

 今度の方は、お歳をめしたおばあさまのようで。


「実は先日、息子の見合い相手にきつくあたりすぎてしまって」


 へ? 

 今度は、お見合い相手のお母様がいらっしゃったと?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

元勇者の俺と元魔王のカノジョがダンジョンでカップル配信をしてみた結果。

九条蓮@㊗再重版㊗書籍発売中
ファンタジー
異世界から帰還した元勇者・冴木蒼真(さえきそうま)は、刺激欲しさにダンジョン配信を始める。 異世界での無敵スキル〈破壊不可(アンブレイカブル)〉を元の世界に引き継いでいた蒼真だったが、ただノーダメなだけで見栄えが悪く、配信者としての知名度はゼロ。 人気のある配信者達は実力ではなく派手な技や外見だけでファンを獲得しており、蒼真はそんな〝偽者〟ばかりが評価される世界に虚しさを募らせていた。 もうダンジョン配信なんて辞めてしまおう──そう思っていた矢先、蒼真のクラスにひとりの美少女転校生が現れる。 「わたくし、魔王ですのよ」 そう自己紹介したこの玲瓏妖艶な美少女こそ、まさしく蒼真が異世界で倒した元魔王。 元魔王の彼女は風祭果凛(かざまつりかりん)と名乗り、どういうわけか蒼真の家に居候し始める。そして、とあるカップルのダンジョン配信を見て、こう言った。 「蒼真様とカップル配信がしてみたいですわ!」 果凛のこの一言で生まれた元勇者と元魔王によるダンジョン配信チャンネル『そまりんカップル』。 無敵×最強カップルによる〝本物〟の配信はネット内でたちまち大バズりし、徐々にその存在を世界へと知らしめていく。 これは、元勇者と元魔王がカップル配信者となってダンジョンを攻略していく成り上がりラブコメ配信譚──二人の未来を知るのは、視聴者(読者)のみ。 ※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

ユニークスキル【テキパキ】は最適解!イージーモードで教える冒険者講師

まったりー
ファンタジー
レベルアップも新たなスキルが覚えられず、ユニークスキルの【テキパキ】しか取り柄の無かった主人公【ベルトロン】は、冒険者を続ける事に壁を感じて引退した。 他の職も見つからず悩んでいると、酒場で若い冒険者が良からぬ奴らに絡まれていて、それを助けた事で生きがいを見つけ、彼らを一人前の冒険者にする新たな人生を送る事になりました。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

斯くて少女は、新たな一歩を踏み出す

takosuke3
ファンタジー
〝出来損ない〟の烙印を押されたアレクシアの日々は、不遇の一言だった。挙句、彼女を虐げる者によって濡れ衣を着せられ、死刑宣告を受ける。 絶望の中で与えられた法具の転移術式によって難を逃れるも、アレクシアが飛ばされたのは敵国にして未知の只中だった。 未知の言葉、未知の文化、未知の文明、未知の価値観──それらを知っていく中で、アレクシアの閉ざされていた世界は、大きく広がっていく。 <2018年8月1日告知> 本日より、連載を開始します。 今作は、可能な限り短い間隔での更新に挑戦します。だいぶ粗が目立つと思いますので、気づいた点がございましたらご指摘をお願いします。 <2018年8月29日告知> 本日の更新で本編は完結いたします。以降は主な登場人物の紹介と補足を掲載していきます。 <2018年9月6日告知> 本日の更新をもちまして、当作品は完結といたします。短い間でしたが、お付き合いくださりありがとうございました。 なお、第11回ファンタジー小説大賞に応募しておりますので、よろしければ温かいご一票を・・・・・

処理中です...