『創造神始めました』ご注文をどうぞ。魔王軍で異世界侵略と若干狂気持ち彼女ですね?5番にオーダー入りまーす!

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第29話 マイ亀ローン

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「どうして、廃亀を処分してしまわないんだい?」

「長年共にしたマイ亀を処分したがる人はいませんよ。マイ亀ローンを組んでまで買った訳ですし、持ち主は亀検が切れても乗りたいって人が多いですから……皆愛着があって処分する法律がいつまでも可決されないんです。」


 確かにそうかもしれない。愛着のある車は処分したくないもんな。しかも自我まであるとなれば尚更だ。


「古い亀は元々の持ち主が引き取るんですが、人間には寿命がありますから…そうして捨てられた亀がやがては人を襲うようになり、そうなった亀は討伐対象になります。しかしながら、古い亀は強いので討伐もなかなか進まないのが現状です。どうか力を貸して頂けませんか?」


 そうお願いされた魔神軍は協力的な姿勢を見せる。


「まあ、御馳走になったし良いんじゃないか?」

「私もそう思います。」

「そうだね!」

「ありがとうございます!私、竜宮乙姫オツヒメって言います。」


 オトヒメじゃなくてオツヒメなの? 

 魔神軍も自己紹介している。


「ダイさん、サリリさん、ジャンヌさんとペット達ですね。」


 シロクマ達はペット扱いのようだ。

 それ程間違ってはないか…。


「今世界は危機に瀕しています。古い亀達が年々力をつけ、人間達を強制的に背中に乗せて大暴れしようとしているんです。」


 そんなに大変な様には聞こえないが…。


「え?乗ってあげたら満足しないの?」


 サリリの言う通りだ。


「古い亀に乗るのは危険なんです。加減無しでスピードを出しますので、普通の人間だと耐えられません。」

「それなら俺達が乗ってやれば満足しないかな?」

「一時的にはそれでも良いのですが、あなた達は異世界からの来訪者でしょう?いずれここを去るのなら、結局はまた同じことの繰り返しになってしまいます。」


 もしかしてこの世界って、亀のトラブルを解決させる為に対戦してるんじゃないだろうか?


「では普通に退治したら良いのですか?」


 ジャンヌがもっともな事を言う。


「出来ればそうして頂けると助かります。」


 それで良いなら魔神軍の出番だ。


「任せて下さい。俺達は強いから安心ですよ!」

「はい!ありがとうございます!」


 乙姫オツヒメはありがとうと涙ながらに何度もお礼を言っていた。


「では、廃亀の所に案内して下さい。」

「はい!」


 そうして乙姫オツヒメの案内で廃亀の巣へと辿り着いた魔神軍とペット達。廃亀達は大きさも様々で一番強い奴だと存在強度5,000,000あるらしく、種類は戦亀というらしい。

 戦車って事か?

 それにしても、乙姫オツヒメが存在強度の概念を知っているという事は、この世界の創造神から聞いていたんだろう。亀とのトラブルを対戦相手に解決させてるっていう俺の推測は合っているのかもしれない。

 あと、何をどうすればこんな訳分からん世界になるのか聞いてみたい気がする。


「あの一番奥に居る、背中に大砲を乗せているのが戦亀です。」


 確かに重装甲で形も戦車みたいだ。


「皆さんお願いします!」

「任せてくれ!魔神軍行くぞー!」

「はい!」
「オッケー!」
「「ガオー」」


 先制攻撃は戦亀5匹の大砲だった。轟音と共にその大砲から射出された砲弾が魔神軍へと迫るが、それを全てダイだけで防いでしまった。

 彼は迫りくる砲弾全てを素手で叩き落としていたのだ。

 廃亀達に動揺が走る。


「恐れる事はない。亀達は雑魚ばかりだ!蹴散らすぞ!」


 当然魔神軍はその隙を見逃すはずもなく、ダイの号令とともに廃亀達へと襲い掛かる。

 後は一方的だった。敵の主力は戦亀であったが、それすらダイやサリリの半分程度の存在強度。

 瞬く間に戦亀5匹は蹴散らされ、ほぼ最初から掃討戦の様相を呈していた。

 主力以外は存在強度が300,000もあれば良い方だ。次々と倒されていく亀達。


「ま、待って欲しいカメ!君たちはオイラを助けてくれたんじゃないカメ!?」


 最初に助けた亀だ。


「あ、あなたは…。」


 ジャンヌが止まってしまった。最初に出会った亀だし実際に話してもいる。ジャンヌは動物好きだし攻撃出来ないのだろう。


(神様にお願いがあります。)


 ジャンヌから通信だ。用件は大方予想がつく。


(どうした?)

(カメキチさんを連れ帰ってもよろしいでしょうか?)

(カメキチさん?そういう名前だったのか?)

(私が名付けました。)


 聞く前から既に飼う気じゃねえか!?

 別に飼ってもいいけどさ。


(ちゃんと責任持ってお世話するなら良いぞ。)

(っ!ありがとうございます!)


「もし良ければ私の所に来ませんか?」

「え?良いカメ?」

「神様に許可も貰いました。今日からあなたはカメキチさんです。もう名前まで付けたんですから断るのは無しですよ?」

「ありがとうカメ!」


 カメキチさんは泣いて喜んでいる。

 てか、勝手に名前まで付けちゃって強引に過ぎるだろう。

 本人?本亀?も喜んでいるから別にいいが。


 ジャンヌがカメキチさんを仲間にしている間に廃亀達は全滅していた。


「ありがとうございます!これで世界は救われました!」


 乙姫オツヒメは涙を浮かべ、ダイの手を取り礼を言っている。


「いえいえ。たくさん歓迎してもらいましたから。」

「お礼にこの…スペシャル玉手箱EXリターンズを差し上げます!」


 貴金属やダイヤでゴテゴテに飾り付けた如何にも豪華な箱をダイに手渡す乙姫オツヒメ

 何それ?玉手箱の豪華版みたいな感じ?


「帰ったら開けてみて下さい!」

「ありがとう。大事にするよ!」



【本当は怖い童話が降参しました。勝利報酬として10,000,000WPが与えられます。
 あなたは創造神ランクが94になりました。おめでとうございます。
 格上討伐報酬として10万上げる君を200個進呈します。】


 そうして魔神軍とシロクマ達は輝きに包まれ、カメキチさんはジャンヌに抱かれた状態でこの世界から去っていく。


「ありがとうございました!」


 乙姫オツヒメは消えた魔神軍達の方へ向かって暫く頭を下げたまま、その場に居続けた。



 乙でーす。

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