20 / 41
第20話 魔法文明の置き土産
しおりを挟む見た目が似ているだけってのだと、情報が少なすぎる。
解決策は無いのかと考え続けてはいるのだが分からない。
とにかく時間が欲しい。
「サリリへメッセージ。バリア的なものを張って時間を稼いでくれ。」
【10WPを消費して外道使いサリリへメッセージを送信しました。】
(空間魔法起動。自身を起点に半径5mの円空間を形成。外界との連続性を切断。)
「バリアぁぁ!」
彼女は魔物襲撃の丁度途切れ目を見計らい魔法を発動させた。
そうすると、サリリ達が居た場所は黒い球体に覆われ、魔物達はその中に入る事が出来ないでいる。
突如別ウインドウが出現し、黒い球体の中が見れるようになった。
どうやらサリリの魔法は指定した空間を切り取り、完全に外部から隔離する魔法だったようで、光さえ届かないのだろう。そのせいで指定した空間、つまり球体が黒く映るようだ。
「これで時間が稼げるな。」
「サリリちゃん凄いね。」
「うん。怖いところもあるけどね…。」
しかし、この後はどうしたものか……。
姿が似ているという事は、同一種族か?
久満子ちゃんのシロクマみたいに、種族一律で強くしている可能性もあるか……。
だが、仮にそうだとしても奴らは強すぎる。そもそも最初から一斉に襲い掛かってくれば良いだけの話だ。
何故そうしない?
「ねぇ見て!」
俺は一旦思考を中断する。
「魔物の数が増えなくなったよ!」
なに?
「確かに増えてないな……。」
もう打ち止めって事か?それなら尚更一気に襲ってこなかったのは不自然だ。
それともこれ以上襲ってこない理由がある?
ならばその理由とは?
ふと今まで気にも留めていなかった奴らの種族を確認する。
魔法生物“ゴーイングマイウェイWith you~いつまでもあなたと共に~”
「は?」
っざっけんな!!
歌のタイトルみたいな名前しやがって!
こんな訳わからんもんに苦戦してたのかよ……。
「なんか歌みたいだね…。」
流石は俺の彼女、感性が似ているじゃないか。略してサスカノ。
一旦落ち着こうじゃないか。
「こいつの詳細を教えてくれ。」
【魔法生物“ゴーイングマイウェイWith you~いつまでもあなたと共に~”の詳細】
魔法文明が生み出した生物兵器。初期は非常に弱く、その存在強度はたったの7。
その昔ペット用に開発された。生命には寿命というものがあり、通常の動物は人間よりも短命である事が多い。その問題点をクリアしようと生み出されたのが始まりである。
体積の30%が残っていれば、死を克服する為に強化された状態で再生され復活する。
極まれに再生時に突然変異する特性を持ち、そこに目を付けた研究者がその特性をより強化して造り出した生体兵器が魔法生物“ゴーイングマイウェイWith you~いつまでもあなたと共に~”である。
彼らは我が道を行く生物。基本的に制御がきかない。自分が決めた事は絶対に成し遂げる性格だ。一例として、一度襲い掛かった相手には、死と再生を繰り返して強くなりながら勝つまで何度も襲撃する等。前述の通り寿命はない。
開発者はオキノドク博士。命名した人物はその息子シゲラナイ。
シゲラナイは重度の中二病患者で、自分の知らない魔物を見つけては、勝手に命名して図鑑に記すという奇行を行っていた。もちろん既に名称のある魔物であっても……。
……。
「シゲラナイふざけんな!」
怒った。激おこぷんぷん丸だ。
「まって!良く見て。シゲラナイは名前を付けただけだよ。」
…。
「悪いのはオキノドク博士。」
「じゃあどっちもふざけんな!」
「う、うん。まぁ……。」
つまりこいつらが複数体、復活しては強くなって襲ってきていたのだ。
「とりあえず対策は分かった。」
「食べちゃえば良いんだね?」
彼女は勿論分かってるとでも言いたげな表情をしている。
何でだよ?!
そんなもん俺の魔王軍に食わせたくないわ!
あ、でも……確かに全部食べ切れば再生出来なく…なるのか?ホントかそれ?
いや、普通は再生出来ないように吹っ飛ばすとかだろ!?
「そうじゃなくて。跡形もなく吹き飛ばせば良いんじゃないか?」
「そっかぁ…。料理に使えるかなって思ったんだけど。」
ちょっと待て。
ホント待って欲しい。
さっきのカレーって何の肉使ったの?!
「……。ところでさっきのカレー美味しかったね。何のお肉だったの?」
俺は彼女を傷つけないようそれとなく聞いてみた。
「…?急にどうしたの?普通の黒毛和牛A5ランクのお肉だけど……。」
安心した。安心したけども、それは普通のお肉とは言わない。
やっぱ俺は彼女と感性が似てないようだ。
まあいい。
今は戦闘に勝利する事が大事だ。
「あの魔物の体を跡形もなく吹き飛ばせ。魔王軍へメッセージ送信。」
【30WPを消費して魔王軍三体へメッセージを送信しました。】
サリリの魔法が解除されると、魔王軍は再生されないよう、奴らを念入りに吹き飛ばしていく。
「何とかなったな…。」
「危ないところだったよね。」
【スイカ婆が降参しました。勝利報酬として500,000WPが与えられます。
あなたは創造神ランクが144になりました。おめでとうございます。
格上討伐報酬として10万上げる君を10個進呈します。】
「ありがとう!大五郎君の助っ人がいなかったら絶対勝てなかったよ。」
「どういたしまして。その為の助っ人だしね。」
「早速戦果を確認してみようか。」
「うん。ステータス!」
<仮想世界システム>
創造神彼女お貸しします:ランク144
WP:4,391,160P
同盟者 ああああ
購入
売却
環境設定
生命の存在強度
世界へ介入
履歴
対戦モード
生命体の数:12,291,560,217
強者リスト 一位 獣王シロクマ:存在強度1,821,522
二位 黒いシロクマ:存在強度1,008,987
三位 シロクマ将軍:存在強度781,032
四位 シロクマ6 :存在強度430,451
五位 シロクマ51:存在強度392,243
六位 シロクマ19:存在強度350,777
七位 シロクマ73:存在強度334,002
八位 シロクマ84:存在強度332,745
九位 シロクマ86:存在強度331,494
十位 シロクマ92:存在強度331,246
以下省略
アイテム 10万上げる君 10個
「凄いね!格上を倒すと一回でこんなに色々上がるんだ。」
「だね。ランク差100に勝てばもっと凄いよ。」
「よーし!10万上げる君を全部獣王シロクマにあげて!」
獣王はジャンヌの手から10万上げる君を貰って食べていた。
餌付けされとる……。
【10万上げる君を全て獣王シロクマへ使用し、存在強度を1,000,000強化しました。】
0
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
元勇者の俺と元魔王のカノジョがダンジョンでカップル配信をしてみた結果。
九条蓮@㊗再重版㊗書籍発売中
ファンタジー
異世界から帰還した元勇者・冴木蒼真(さえきそうま)は、刺激欲しさにダンジョン配信を始める。
異世界での無敵スキル〈破壊不可(アンブレイカブル)〉を元の世界に引き継いでいた蒼真だったが、ただノーダメなだけで見栄えが悪く、配信者としての知名度はゼロ。
人気のある配信者達は実力ではなく派手な技や外見だけでファンを獲得しており、蒼真はそんな〝偽者〟ばかりが評価される世界に虚しさを募らせていた。
もうダンジョン配信なんて辞めてしまおう──そう思っていた矢先、蒼真のクラスにひとりの美少女転校生が現れる。
「わたくし、魔王ですのよ」
そう自己紹介したこの玲瓏妖艶な美少女こそ、まさしく蒼真が異世界で倒した元魔王。
元魔王の彼女は風祭果凛(かざまつりかりん)と名乗り、どういうわけか蒼真の家に居候し始める。そして、とあるカップルのダンジョン配信を見て、こう言った。
「蒼真様とカップル配信がしてみたいですわ!」
果凛のこの一言で生まれた元勇者と元魔王によるダンジョン配信チャンネル『そまりんカップル』。
無敵×最強カップルによる〝本物〟の配信はネット内でたちまち大バズりし、徐々にその存在を世界へと知らしめていく。
これは、元勇者と元魔王がカップル配信者となってダンジョンを攻略していく成り上がりラブコメ配信譚──二人の未来を知るのは、視聴者(読者)のみ。
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。

ウォーキング・オブ・ザ・ヒーロー!ウォークゲーマーの僕は今日もゲーム(スキル)の為に異世界を歩く
まったりー
ファンタジー
主人公はウォークゲームを楽しむ高校生、ある時学校の教室で異世界召喚され、クラス全員が異世界に行ってしまいます。
国王様が魔王を倒してくれと頼んできてステータスを確認しますが、主人公はウォーク人という良く分からない職業で、スキルもウォークスキルと記され国王は分からず、いらないと判定します、何が出来るのかと聞かれた主人公は、ポイントで交換できるアイテムを出そうとしますが、交換しようとしたのがパンだった為、またまた要らないと言われてしまい、今度は城からも追い出されます。
主人公は気にせず、ウォークスキルをゲームと同列だと考え異世界で旅をします。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる