『創造神始めました』ご注文をどうぞ。魔王軍で異世界侵略と若干狂気持ち彼女ですね?5番にオーダー入りまーす!

隣のカキ

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第17話 紳士ってやつはさ、どんな時も言い訳しないもんさ。

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 完全にバレてしまった。作戦を練り直そう。ここはやはり、アレだろ。





「あー、久満子ちゃんこそ…いつ気付くかなーって思って。」





 ハハハと乾いた笑いが出る。







 ダメだ、誤魔化せてない。彼女は涙を溜め、下を向いている。





「えーと、あー…。そう!こんなにも綺麗になっててさ。ほら!なかなか、その…照れくさかった…かな?うん。そうそう!きっとそう。」







 雑っ!!



 焦り過ぎて誤魔化し方が我ながら酷い。







 俺がそう言うや否や、バッと音がしたかと思う程、勢いよく顔を上げる彼女。





「え?えー?そ、そうかな?恥ずかしいな…。」





 目元はまだ赤いが、既に泣き止み嬉し気な声で返事をする。





「もう!嫌われてるのかと思ってちょっと泣いちゃったじゃん。」





 安心したように笑う久満子ちゃん。





 うん。確かに可愛いんだけどね?限度を超越したシロクマ好きがちょっとね?





「まぁ、私の勘違いだったみたいだけど。綺麗って…それに、良いなって言ってくれたし…。」





 もじもじとしながら言い淀む。





「でもさ…。大五郎君ったら、連絡とかしたのになんで返事くれなかったのよー。」



「それにはちゃんと訳があってさ…。」





 彼女は昔から可愛くて、泣かれるとどうしても許してしまう。俺は紳士だから泣いている女の子に追い打ちをかける事が出来ないのだ。紳士だからな。



 復縁なんか迫られたら断れない。紳士だからな。





 なので、受験勉強に集中したいから別れようと、もっともらしい事を言って別れたのだ。勿論高校も別だったし、携帯はトイレに落とした事にして番号変更して買い替えたので、シロクマを見るまで彼女の事はすっかり忘れていたのだ。



 紳士は過去を引きずらないのさ。





「高校入学の時に携帯壊しちゃって、みんなの連絡先消えちゃったんだよね。」



「それだったら友達伝いに連絡先聞いてくれれば良かったのに。」



「別れた原因が俺だから、連絡先を聞きにくくてさ…。」



「だったら仕方ないか。私だって同じ状況なら、自分からは聞きにくいもん。」



「だよね!」





 確かに確かに、と二人で笑い合う。





「それなら問題ないね?今はもう社会のしがらみみたいなモノもないし、昔みたいに付き合おうよ!」





 え?





 あ…。



 確かにさっきの答え方だと、何も問題ないように聞こえるな…。



 どうしよう。





「どうしたの?」



「え?あ、うん。」



「大丈夫?おっぱい揉む?」



「あ、うん。」





 どうぞ。と突き出してきた中学の時には存在しなかった彼女の胸部装甲を無意識に堪能しながら、どうしたものかと考え込んでしまう。





「あ、もしかしてシロクマを連れて行った事気にしちゃってる?」



「あー。うん、あー…と、いきなり泥棒みたいな事しちゃったから、久満子ちゃんに相応しくないかな?って思ってさ。」





 そう言いながらも俺の手は無意識に動いている。





「うん?そこはシロクマを好きだったんだから仕方ないし。」



「そうなんだ…。」



「それに、もう私もいい歳した大人だから。昔みたいに変な事ばっかり言わないよ?安心して付き合ってくれて大丈夫だよ?もしかして、それが不安?」





 もう良いんじゃないかな?こんなに可愛いし。厚い胸部装甲装備してるし。俺の強靭な精神は既に陥落しかかっている。





「ね?」



「うん。これからもよろしく。」



「へへっ!ありがとね。こちらこそよろしく。」





 嬉しそうに笑う彼女を見ていると、少し早まったかな?という気がしなくもないが、まぁ良いかと思ってしまった。





「って、いつまで触るの?」





「え?」









 俺の手はトランポリンの上で弾むように、自然な動きで彼女の胸部を楽し気に上下動していた。





 いつの間に…?





 一体いつから俺は…。









〔どうしたの?



 え?あ、うん。



 大丈夫?おっぱい揉む?



 あ、うん。〕











 あの時か!!





 触っている俺自身にさえ、気付く間もなく触らせるとは…。なかなかやるじゃないか。



 俺は紳士だ。決して欲望に駆られたのではない。装甲の厚みをしっかりと確認していたのだ。



 ただ、彼女が分かってくれるかどうか……。





「あぁ。ごめんごめん。」





 ぱっと手をどけ、触っていることに気付いていなかったという体で…。





「あまりにも自然な流れだったからついね。ああ、決してわざという訳ではないし、下心とかでは全くないんだけどね?なんというか、そう!造形がね?凄く美しいから、芸術的観点から考察して、どのように触れればより美しさを際立たせるかを調べていたんだよ?いざ触ってみれば、芸術的なだけでなく実用性も兼ね備えていると俺は思ったんだ。それは何故かというと、低反発クッションなんて比べ物にならないくらいの触感?そして人が持つ特有の温かみとマッチして、より人を惹きつける何かを見いだしたんだ。これはまだ仮説でしかないんだけど、恐らく精神へのリラックス効果も期待できて……。」





「あ、うん。大丈夫。分かってる…よ?」



「分かってくれているなら良いんだ。」





 どうやら彼女には何も言わずとも分かっていたらしい。







 ははっ。俺って奴は全く…。彼女をもっと信頼してあげないとな。





 言わなくても分かってくれる人がいる事の喜びを、今はゆっくり噛み締めさせて欲しい。











※久満子ちゃんは彼の言い分を理解していた訳ではありません

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