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最終話 恋愛? それは二等辺三角形。
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「お待たせ―。じゃ、早速行こっか。」
「はい。」
ミイちゃんはJK形態で現れた。
流石に相手が戦友とは言え正体までは明かしていないらしい。当然と言えば当然か。
「どこ行くの?」
「普通にショッピングの予定。」
「私、欲しい工具があります。」
「良いじゃん。なら莉々伊ちゃんの工具を買いに行こう!」
「はい!」
ねえ。それって本当にデートなの?
俺達三人は街中をブラブラと歩きながらホームセンターを目指していた。
俺が抱えている両手の花はかなり目立っており、誰もが振り返って俺に憎しみの視線をぶつけてくる。
以前の俺ならば目から血の涙を流して羨んだに違いない。
でも今の俺は素直に喜べない。
などとどうでも良い事に思考を割いていたところ、ガラの悪そうな奴に声を掛けられてしまった。
「二人ともめっちゃ可愛いじゃん! 俺達とどっか行かね?」
「良いね良いね! あ、男は邪魔だから帰って。」
なんだこいつら? イラッとする奴らだな。
不幸な事に人通りは多少あるものの、周囲は我関せずという顔だ。
相手は二人。俺はケンカなんてした事もないし、ここは逃げるしかないか?
「あ、あの……私達は今から行く所がありますので……。」
「えー? 良いじゃん。」
「ほらほら行こうよ!」
ミイちゃんは勇気を出して言ったようだが、体が震えていた。莉々伊ちゃんなどあまりの恐怖からか能面のような顔をしている。
ここは俺がなんとか二人を守らないと……。
「ちょっと待って下さいね?」
「お? そっちの清楚系な子はオッケーって事?」
「話が分かるねぇ。」
莉々伊ちゃんはギターケースを地面に置き、可愛い動作でせっせとバットを取り出した。
これでもかと釘がブッ刺さったバットを。しかも若干赤黒い染みがある。
「これでお話出来ますね。」
「「え?」」
「で? 何ですか? 私と遊ぶって話でしたっけ? これを使って遊ぶんですよね? ねぇ? ねぇ? 黙ってないでうんって言えよ。」
「「失礼しましたー!!」」
男たちは莉々伊ちゃんの迫力に圧倒され、大急ぎで逃げてしまった。
「これでもう安心です。」
「逆に安心出来ないんだけど?」
助かったのは事実なんだけどさ。
「莉々伊ちゃん怖くね?」
「ミイちゃん、助けられておいてそれは酷いじゃないですか。」
残念ながら事実だよ莉々伊ちゃん。助けられて素直にお礼を言えない事なんて初めてだ。
あのギターケースはそういう事だったのか。
「私、お友達とお出掛けするとこうして声を掛けられる事が多いんです。でもナンパ野郎などお断りですから、自衛の為に持ち歩いています。」
「自衛の為ならどうして赤黒い染みがあるのかな?」
「お兄ちゃんに協力してもらいました。」
答えになってねーんだよ!
ねえ、何を協力してもらったの? まさかそれで錬蔵をブッ叩いたの?
赤黒い染みは錬蔵の血じゃないよね? 違うよね?
「そうなんだ。妹思いの錬蔵には感謝しておかないとな。」
詳しく聞くのはやめておこう。きっと碌な答えが返ってこない。
「まさか使った事ないよね?」
ミイちゃん。頼むから聞かないでくれよ。絶対後悔するから。
「ありますよ。」
ほらやっぱり。
「ナンパ野郎に一度振り下ろした事があります。」
相手は錬蔵じゃないのか。
少し安心した…………って人に使ったのかよ!?
「よく捕まらなかったね。」
「急いで逃げましたから。」
やめてくれ。通り魔の行動だよそれは。
ナンパ野郎が撃退されてスッとする気持ちがないわけじゃないけど、完全にやり過ぎである。
「頼りになるね。」
「ありがとうございます。第二彼女の株が上がったかもしれません。」
それはない。
助けられたお蔭で下がる事もなかったけど。
そしてミイちゃん。頼りになるのとは少し違うと思うよ?
あの三人デートの日、俺は衝撃の事実を聞かされた。
第二彼女云々は冗談と言うか、周囲へ説明するのを面倒がった二人の取り決めだったそうだ。
親公認の第二彼女と言っておけば深く聞かれる事もないし、余計なライバルが増えないという訳の分からん考えらしい。
二人とお付き合い(仮)、という状態なのだそうだ。
ミイちゃんは「むっくんって莉々伊ちゃんの事もちょっと好きだよね? だからどっちかを選ぶために考える時間をあげる。最後に選ばれるのは私だけどね。」と言っていた。
俺はミイちゃんだけではなく、無自覚にも莉々伊ちゃんを好きだったらしい。
未練が残らないようにとの配慮のようだが、それは逆に未練が深くなりそうじゃない?
まぁ、ミイちゃんも莉々伊ちゃんも俺も、三人が恋愛経験などないわけだから、訳の分からん結論に達してしまったのだろう。
ミイちゃんと莉々伊ちゃんは俺の彼女の座を巡って今も争っている。
「むっくん。そろそろ私を抱いても良いよ?」
「武太先輩。先に私にしておきませんか?」
「そういうのはちゃんと付き合ってからで……。」
「体から始まる恋もあると思う。」
「そうですね。経験はありませんけど、そのような話は耳にします。」
今の俺はどちらを選ぶのか時間を貰えたお蔭で、すっかりどちらも選べなくなってしまっていた。
ねえミイちゃん? 完全に君の作戦失敗してるよね?
そして莉々伊ちゃん。君は上手い事掻っ攫ってしまおうと考えていたみたいだけど、泥仕合にもつれこんでいるよ。
俺達の三角関係は延長戦へと突入したようだ。
「はい。」
ミイちゃんはJK形態で現れた。
流石に相手が戦友とは言え正体までは明かしていないらしい。当然と言えば当然か。
「どこ行くの?」
「普通にショッピングの予定。」
「私、欲しい工具があります。」
「良いじゃん。なら莉々伊ちゃんの工具を買いに行こう!」
「はい!」
ねえ。それって本当にデートなの?
俺達三人は街中をブラブラと歩きながらホームセンターを目指していた。
俺が抱えている両手の花はかなり目立っており、誰もが振り返って俺に憎しみの視線をぶつけてくる。
以前の俺ならば目から血の涙を流して羨んだに違いない。
でも今の俺は素直に喜べない。
などとどうでも良い事に思考を割いていたところ、ガラの悪そうな奴に声を掛けられてしまった。
「二人ともめっちゃ可愛いじゃん! 俺達とどっか行かね?」
「良いね良いね! あ、男は邪魔だから帰って。」
なんだこいつら? イラッとする奴らだな。
不幸な事に人通りは多少あるものの、周囲は我関せずという顔だ。
相手は二人。俺はケンカなんてした事もないし、ここは逃げるしかないか?
「あ、あの……私達は今から行く所がありますので……。」
「えー? 良いじゃん。」
「ほらほら行こうよ!」
ミイちゃんは勇気を出して言ったようだが、体が震えていた。莉々伊ちゃんなどあまりの恐怖からか能面のような顔をしている。
ここは俺がなんとか二人を守らないと……。
「ちょっと待って下さいね?」
「お? そっちの清楚系な子はオッケーって事?」
「話が分かるねぇ。」
莉々伊ちゃんはギターケースを地面に置き、可愛い動作でせっせとバットを取り出した。
これでもかと釘がブッ刺さったバットを。しかも若干赤黒い染みがある。
「これでお話出来ますね。」
「「え?」」
「で? 何ですか? 私と遊ぶって話でしたっけ? これを使って遊ぶんですよね? ねぇ? ねぇ? 黙ってないでうんって言えよ。」
「「失礼しましたー!!」」
男たちは莉々伊ちゃんの迫力に圧倒され、大急ぎで逃げてしまった。
「これでもう安心です。」
「逆に安心出来ないんだけど?」
助かったのは事実なんだけどさ。
「莉々伊ちゃん怖くね?」
「ミイちゃん、助けられておいてそれは酷いじゃないですか。」
残念ながら事実だよ莉々伊ちゃん。助けられて素直にお礼を言えない事なんて初めてだ。
あのギターケースはそういう事だったのか。
「私、お友達とお出掛けするとこうして声を掛けられる事が多いんです。でもナンパ野郎などお断りですから、自衛の為に持ち歩いています。」
「自衛の為ならどうして赤黒い染みがあるのかな?」
「お兄ちゃんに協力してもらいました。」
答えになってねーんだよ!
ねえ、何を協力してもらったの? まさかそれで錬蔵をブッ叩いたの?
赤黒い染みは錬蔵の血じゃないよね? 違うよね?
「そうなんだ。妹思いの錬蔵には感謝しておかないとな。」
詳しく聞くのはやめておこう。きっと碌な答えが返ってこない。
「まさか使った事ないよね?」
ミイちゃん。頼むから聞かないでくれよ。絶対後悔するから。
「ありますよ。」
ほらやっぱり。
「ナンパ野郎に一度振り下ろした事があります。」
相手は錬蔵じゃないのか。
少し安心した…………って人に使ったのかよ!?
「よく捕まらなかったね。」
「急いで逃げましたから。」
やめてくれ。通り魔の行動だよそれは。
ナンパ野郎が撃退されてスッとする気持ちがないわけじゃないけど、完全にやり過ぎである。
「頼りになるね。」
「ありがとうございます。第二彼女の株が上がったかもしれません。」
それはない。
助けられたお蔭で下がる事もなかったけど。
そしてミイちゃん。頼りになるのとは少し違うと思うよ?
あの三人デートの日、俺は衝撃の事実を聞かされた。
第二彼女云々は冗談と言うか、周囲へ説明するのを面倒がった二人の取り決めだったそうだ。
親公認の第二彼女と言っておけば深く聞かれる事もないし、余計なライバルが増えないという訳の分からん考えらしい。
二人とお付き合い(仮)、という状態なのだそうだ。
ミイちゃんは「むっくんって莉々伊ちゃんの事もちょっと好きだよね? だからどっちかを選ぶために考える時間をあげる。最後に選ばれるのは私だけどね。」と言っていた。
俺はミイちゃんだけではなく、無自覚にも莉々伊ちゃんを好きだったらしい。
未練が残らないようにとの配慮のようだが、それは逆に未練が深くなりそうじゃない?
まぁ、ミイちゃんも莉々伊ちゃんも俺も、三人が恋愛経験などないわけだから、訳の分からん結論に達してしまったのだろう。
ミイちゃんと莉々伊ちゃんは俺の彼女の座を巡って今も争っている。
「むっくん。そろそろ私を抱いても良いよ?」
「武太先輩。先に私にしておきませんか?」
「そういうのはちゃんと付き合ってからで……。」
「体から始まる恋もあると思う。」
「そうですね。経験はありませんけど、そのような話は耳にします。」
今の俺はどちらを選ぶのか時間を貰えたお蔭で、すっかりどちらも選べなくなってしまっていた。
ねえミイちゃん? 完全に君の作戦失敗してるよね?
そして莉々伊ちゃん。君は上手い事掻っ攫ってしまおうと考えていたみたいだけど、泥仕合にもつれこんでいるよ。
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