上 下
35 / 37

第35話 恋愛? 舐めるなよ。努力しない奴が出来ると思うな。

しおりを挟む
 どうしよう。ミイちゃんとマジで付き合う事になってしまった。

 莉々伊ちゃんが知ったら俺はどんな目に遭うのだろう。そして俺よりもミイちゃんの身が心配になる

 かつて錬蔵にやったように、山に捨てて来たりなんてしないよな?

 あれは錬蔵だから生還出来たのであって、ギャクキャラではない俺やミイちゃんが生きて帰れるとは思えない。


「武太先輩。私、昨日の放課後は校門で待ってたのに、どうして来なかったんですか?」


 別に約束はしてなかったじゃん。

 待ってたと言うよりは待ち伏せしてたんじゃん。


「ちょ、ちょっとね。」

「仕方がありませんので、今日は一緒に登校しましょう。」


 俺と一緒に堂々と母の朝食を食べる莉々伊ちゃん。

 何故朝から家に莉々伊ちゃんが家にいるかって?

 母さんが何の躊躇いもなく家にあげたからだ。ニヤニヤしながら。


「えっと……じ、実はさ。」


 もう言ってしまおう。

 今の俺は完全無欠ではなくなってしまったものの、莉々伊ちゃんには少ししかドキドキしない。

 昨日ミイちゃんと車内で二人きりになった時のような心臓バクバク状態ではないのだ。

 つまり、俺は最初からミイちゃんが好きだったのだろう。


「あの、俺……実は…………。」

「あぁ。ミイちゃんと付き合うという話ですか? ミイちゃんからLIMEで聞きましたけど、莉々伊は気にしませんよ? 私は大人の女ですので。」


 やけに物分かりが良い。

 態度も言葉遣いも特に変わったところはないし、本当に気にしてない?

 いや、でも普通そんな事あるか?


「結婚しているわけでもありませんし、浮気だなんて責め立てる事はしません。莉々伊は大人ですから。あ、スプーンがねじ切れちゃいました。」


 ひぃっ


「私は大人……私は大人……。大丈夫です。最悪二股すれば問題ありませんからね?」


 問題だらけだ。


「あの、親が聞いてるし……その話は後日で、どうでしょう?」


 母さん、頼むから乱入してくれ。昨日のように。


「武太先輩は親に聞かれるの、恥ずかしいですか?」

「う、まぁね。」


 当たり前だろ。親の前で二股宣言するなんて嫌だよちくしょう。

 二股なんて最初からする気はないけど。


「同居したらアノ声も聞かれるんですよ? 今からこのくらいの会話を恥ずかしがってたら身が持ちません。」


 何て下品な子だろう。

 清楚系は清楚じゃないという噂は本当だったのか。


「母さん、何とか言ってくれよ。」

「二股はまぁ……良くないんじゃないかしら?」

「何で取ってつけたような言い方なの?」

「ふふふ。当然二股なんて最低よ。でもね。あの全くモテない武太が女の子を、しかもスクールカースト最上位女子を二人も連れて来るなんて嬉し過ぎて……。女としては最低野郎と思いつつも、母としては嬉しさを隠せないってわけ。」


 なんじゃそりゃ。


「武太みたいなつまんない男は後になってフラれる可能性もあるんだし、今のうちに二人とも囲っちゃえば良いんじゃないかと思わなくもなかったり。片方にフラれても片方は残るでしょ?」


 信じられん親だ。よそ様の娘さんになんて事を提案するのか。


「保険って事? 母さんこそ最低じゃん。」

「お黙りなさいっ! それもこれもあんたがモテなさ過ぎて結婚なんて出来そうな気配を微塵もみせないから悪いんじゃないの! お蔭で母さん最低な提案をせざるを得ないんですからね!?」


 ぎゃ、逆ギレ……。


「大体あんたはね、幼馴染の零子ちゃんを大事にしないであんたと同レベルくらいの馬の骨に横から掻っ攫われてたわよね? 母さん何度も言ったでしょ? あの娘はモテるのに何故かあんたを好きだから絶対に告白しておけって。」


 そう言えば中学の頃から散々言われてたっけ。

 つか零子ちゃんの元カレって俺レベルなのかよ。


「あんたがさっさと告白しないからあの娘、変なのと付き合って今では恋愛観がぶっ壊れてんのよ!?」

「え? 俺のせい、なの?」


「知らないわよ。勢いで言っただけだから。」


 このアマ。

 少し責任感じちゃっただろが。

 それより母さんが零子ちゃんの事情を知っていた事に驚きだ。まぁ、家も近いし変な事ではないのか。


「あんたはただモテないんじゃないの。モテる努力を一切しないからダメなの。待ってればいずれ運命の相手が見つかるとでも? はんっ。」

「いや、俺にも事情が……。」

「どうせ自分からガツガツいくのが恥ずかしいってつまらないプライドでしょ。勿論好きでもない相手にガツガツ来られたらうざいと思うけど、零子ちゃんは無自覚であんたを待ってたのよ? 零子ちゃんに限って言えば、そこで攻めないあんたが悪い。」


 何も言い返せない。

 母さんから零子ちゃんに告白しろと言われていたあの頃、好きかどうかよく分からないというのもあったが、恥ずかしいからアプローチしたくないという気持ちは強かった。

 彼女が欲しいと言っておきながら何も行動しない。

 本当にその通りだ。


「大体あんはいつもいつも彼女欲しいって言う割りには服装も髪型も整えないし、特に部活に打ち込む訳でもないしで本当に…………。」



 母さんのお小言が始まってしまった。

 しかも今回の小言に関してはちょっと胸が痛い。


「まあまあお義母様。今は私がいるから良いじゃありませんか。」

「え? あ、そうね。」


 莉々伊ちゃん……。


「大丈夫です。仮にどうしても武太先輩が私とお付き合いしてくれなかったとしても、私が勝手に使用済みティッシュを採取して勝手に妊娠してお孫さんをお見せ致しますので。」

「ちょっと待て。」


 ほんとどういう事なんだよ。

 むしろ酔わせて無理矢理やった方が確実なまである。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~

ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。 2021/3/10 しおりを挟んでくださっている皆様へ。 こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。 しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗) 楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。 申しわけありません。 新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。 修正していないのと、若かりし頃の作品のため、 甘めに見てくださいm(__)m

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

処理中です...