【完結】担任教師の恋愛指導。先生、余計なお世話です。

隣のカキ

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第30話 恋愛? 恋は戦いだ。

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「……ただいま。」

「あらお帰り。醤油買って来た?」

「あ、忘れた。」


 そう言えば醤油買って来いって言われてたな。


「お邪魔しますお義母様。お醤油なら買ってありますよ。」


 何でだよ。ミイちゃんがどうして我が家に醤油が無いのを把握しているのか。


「初めましてお義母様。私武太先輩とお付き合いさせて頂いております斎藤莉々伊と申します。」

「あ、ちょっと! 嘘つかないでよ! むっくんと付き合ってるのは私!」

「嘘つかないで下さい。付き合ってるのは私です。」


 ギャアギャアと騒ぐ二人を見て母さんが遠い目をしている。

 ちなみに母さん。どっちを信用しようかと思っているかもだけど、二人とも嘘ついてるんだぜ? 凄いだろ?


「あんた……いつからギャルゲーの主人公になったの? ちゃんと目元を隠さないとダメよ?」


 え? それが母のコメントなの?



























「という事でお義母様。これから私ミイちゃんと莉々伊ちゃんのどちらがより彼女に相応しいか判定をお願いします。」

「え? えぇ……うん。」


 我が家のリビングで熾烈な戦いを繰り広げようとする二人に、母は少し引いているようだ。


「おぉ。武太は二人も彼女を連れて来たのか。父さんに一人分けてくれないか?」


 父さん。恥ずかしいからやめてくれよ。


「何を馬鹿な事言ってるの。あなたみたいなおじさんをこの子達が相手にする訳ないでしょ。二人共どう見たってスクールカースト最上位よ?」


 何故母さんがスクールカーストなどと言う言葉を知っているのか。


「それもそうか。まぁ、彼女バトルに負けた方は父さんがもらってやるから安心すると良い。少しは気楽になっただろ?」

「いえ別に。」
「全然です。」

「最近のJKはおじさんに冷たいんだな……。あ、お小遣いをあげてないからか。」

「多分違うよ父さん。」


 それじゃパパ活だ。


「懐かしい……。父さんはスクールカースト最底辺だったんだが、スクールカースト最上位の母さんに中学の頃から貢ぎまくってたらいつの間にか付き合えてたんだよな。」

「そうね。五年も貢がれたら流石の私も鬼じゃないから絆されちゃって……。これも一つの愛の形かしら?」


 知りたくなかった事実。うちの親は金から始まる愛だったのか。

 しかし五年も貢ぐのはそれはそれで凄い。


「五ヵ年計画。受業で習った事があります。」

「成る程。五年貢げば良いのね。大人の経済力を見せてあげる。」


 おい。二人が変な影響受けてるだろうが。俺が貢がれ過ぎて女を金としか見ない人間になったらどうする気だ。

 しかもミイちゃんはさらりとマズい事まで言ってしまっている。


「大人? あなたどう見ても高校生じゃない。」


 ヤバイ。母さんが反応している。


「え? あ、あはは……そうでした。まぁ、田舎では大人と言う事で一つ。」

「はぁ……。この人の恋愛計画は参考にならないからやめておきなさい。私が言うのも変だけど、貢ぎ続けたって普通は上手くいかないから。」

「でも武太君を手に入れる為なら何でもすると決めているので。」

「……おすすめしないという事だけは覚えておいて。」

「はい。お義母様。」


 何でもするという言葉って、どうしてエッチに聞こえるんだろう。


「この境地に辿り着くとはミイちゃん凄いな。俺も昔そう思っていたんだ。と言う事で、父さんから彼女ポイントを一点プレゼントしよう。」

「わっ!? ありがとうございますお義父様!」

「くっ……出遅れました。」


 え? もう始まってんの?


「ちなみに、俺とデートしてくれた方には五点あげよう。」

「あ、それは結構です。」
「私も結構です。」

「何でもするって言ったじゃないか……。」


 父さん。頼むから本当にやめてくれ。

 そもそもそんな理由でデート出来たからと言って嬉しいのか?

 後、父さんとデートしたら彼女ポイントは貰えても、俺からのむっくんポイントはガクっと減る。


「さて、宴もたけなわではございますが、時間の都合上、この辺で彼女バトルを始めたいと思います。」


 何の影響かは知らないけど、脱線させたのにはミイちゃんも一役買ってるからね?


「先ず一本目は料理! 彼女の手作り料理を彼氏に振舞うのは地球に重力があるのと同じくらい当たり前! 制限時間は30分! 場所は恋梨家の台所!」


 全く当たり前ではない。料理出来ない女子に謝れ。

 と言うか、ルールを決めるのミイちゃんなのかよ。


「受けて立ちます。私は料理も得意ですから。」


 あれ? 莉々伊ちゃんってもしかして……勝手にルールを決められた事に気付いてない?

 あ、ミイちゃんがニヤリと笑っている。これは何かあるな。



















「完成! むっくん愛してる炒飯!」

「私も完成です! 恋する乙女を召し上がれオムライスです!」


 うん。先ずは二人のネーミングセンスをどうにかしようか。


「どっちも美味しそうね。」


 それには同意するよ母さん。


「食べてみて下さい。」

「お願いします。」

「頂くわ。」


 母さんが二人の料理を一口ずつ食べ、判定する。


「どっちも美味しいけど、ミイちゃんの方が美味しい気がするわ。」

「へぇ? 俺も食べてみて良い?」

「どうぞどうぞ。」

「武太先輩……私………。」


 涙を浮かべる莉々伊ちゃん。君の制服の胸ポケットから目薬見えてっからね?


「うん。確かにミイちゃんの方が美味い気がする。」

「でしょ? 恋梨家の台所と味は事前に把握してるからね。」


 き、汚ねぇ……。

 人の家の台所なのに、ミイちゃんだけやけに手際が良いなと思ってはいた。さっきのニヤリ顔はこういう事だったのか。

 なんて汚い大人なんだ。


「その手がありましたか。私の確認不足でした。」


 莉々伊ちゃんも納得すんの?

 まぁ、ストーカーとストーカー予備軍の戦いなんてこんなものか。


「では次の種目! お義母様を助けよう! ルールは簡単。お義母様が何か困っている事とします。そこで私と莉々伊ちゃんがどう対応するのかで判定してもらいましょう。困りごとはお義母様にお任せします。」

「良いわよ。でも困りごとねぇ……。」


 顎に手を当てて考える母さん。

 母さんの考えまで読めるわけではないだろうし、これならフェアだな。


「これなら下調べは通用しませんね。」


 莉々伊ちゃんも同じ結論になったらしい。


「そうだわ。お母さんからの追加ルール。同じお題だと相手の対応を見ちゃった方が有利でしょ? だから片方は別室に待機してもらって、一人ずつここに入って来るのはどうかしら?」」

「確かに……。また出し抜かれるところでした。」


 ミイちゃんの表情に変化はない。どちらにせよ勝てる算段があるという事なのかも。


「では私が先でも良いですね?」

「良いわよ。」


 お? ミイちゃんが先行?

 どうもこの部屋を別室からモニターするとかではないらしい。流石にそれはしないか。



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