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第19話 恋愛? 先ずは健全なデートから。
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昨日は病みが深いミイちゃんをひたすら電話越しに慰め続け、就寝したのは若干外が明るくなってからだ。
おかげで眠くて仕方がない。
「デートとか面倒くせぇ……。」
だが、約束してしまった以上はデートするしかない。
ドタキャンなんぞすれば、今まで錬蔵へ向かっていた莉々伊ちゃんの猟奇的な暴力が俺に向く可能性は十分にある。
それだけは避けたい。
待ち合わせ場所である怒涛の勢い駅で既に待機しているのだから、腹を括るしかないか。
「なんとか穏便に諦めてもらわないと……。」
「何を諦めてもらうんですか?」
「あぁ、何をってそりゃあ……」
あっ。
突然話しかけられ咄嗟に返事を返そうと顔を上げると、気合の入った私服姿の莉々伊ちゃんとバッチリ目が合った。
「どうかしましたか?」
「な、なんでもないよ。錬蔵に莉々伊ちゃんの邪魔をする事を諦めてもらおうと思ってね。」
「武太先輩って素敵ですね。私の事を真剣に考えてくれているのが分かります。」
真剣に考えてるよ。どう諦めてもらおうかってね。
「今日はどこへ行くんですか?」
「え? あぁ……っと。」
莉々伊ちゃんがなにやら期待したような目で俺を見てくる。
すまん。全然考えてないんだ。
昨日はミイちゃんを宥めるのに必死で、それどころじゃなかった。
「恥ずかしながらちゃんとしたデートとかした事なくてさ。どういう感じが良いか分からなかったんだ。」
嘘はついてないぞ。
本当の事も言ってないけど。
「武太先輩眠そうですもんね。それだけ本気で悩んでくれたって事ですもんね?」
「あ、あぁ……そんな感じ。」
ポジティブに考えすぎだろ。
俺の返事一つ一つを全部良い方向に捉えてんじゃん。
「そんな優しい武太先輩と行きたい所があるので、付いてきてもらえませんか?」
「了解。莉々伊ちゃんが行きたい所へ行ってみようか。」
「はい。」
俺達は今、人通りの少ないとある場所へと来ていた。
「……。」
「どうかしましたか?」
どうかしましたか? じゃないよ。
ここってアレじゃん。
「何でホテルなの?」
「あれ? 言ってませんでしたか? 私、婚前交渉からの即結婚オッケーですよ?」
結婚する事前提になっちゃってんじゃん。
「知ってるかい? 少し前と違って、今は女性も18歳以上じゃないと結婚出来ないんだよ?」
「はい。知ってます。以前の女性は16歳でも結婚出来ましたけど、今はダメなんですよね? 暫くは爛れた性生活を一緒に送って、二年後に結婚したら良いじゃないですか。」
全然良くない。
「まだ付き合ってないよね?」
「まだ付き合ってないけど、そのうち付き合うんだから順番はどうでも良くないですか?」
どうでも良くねぇよ。
この娘、前のめりに生き過ぎだろ。
首を傾げる莉々伊ちゃんは一見初々しいGカップの美少女にしか見えない。
発言内容がこの美少女の姿と非常にミスマッチで、飛び出してきた台詞は何かの間違いだと誰もが思う事だろう。
ここがホテル街じゃなければ。
「それにしても不思議です。」
「何が?」
「激しい運動をする場所なのにご休憩って書いてありま……。」
「よーし! 違う所へ行こうか! カラオケなんて良いかもしれないね?」
「ここ、カラオケもあるみたいで……。」
「さぁさぁ行くよ! いやー莉々伊ちゃんとカラオケするの楽しみだなー! どんな歌声なのかなぁ?」
「あの、歌いたいならここで……。」
「早くしないと混んじゃうかもしれないなー! カラオケ好きなんだよねー!」
俺は何かを言おうとしている莉々伊ちゃんを強引に遮り、手を引いてカラオケ店へと向かった。
「武太先輩って結構大胆ですね。いきなり手を握ってくるなんて……。」
カラオケ店に入るなり身を寄せてうっとりした顔で話しかけてくる莉々伊ちゃん。
君の方が余程大胆だけどね?
まだ付き合ってもない相手との初デートで、いきなりホテルに誘うって有り得ないからね?
手を握るなんてそれに比べたら何でもないでしょ。
「急にカラオケがしたくなってさ。緊急だったもんでつい。」
「なら仕方ないですね。」
この娘、本当に大丈夫か?
今のところ錬蔵の邪魔が入らないのは良い事だけど、今後誰かと付き合う時がきたら本当に心配である。
もしも悪い男に引っかかったら悲惨な結末を辿りそうだ。
錬蔵は妹の恋路を邪魔する最低な兄だと思っていたが、奴は奴なりに防波堤として案外役に立っていたのかもしれない。
莉々伊ちゃんの恋愛観がオカシイのも錬蔵が邪魔しまくったせいだろうけど。
「武太先輩は何を歌うんですか?」
「俺? 郷ひろふみ。」
「渋いですね。おじいちゃん世代ですよ?」
別に良いじゃん。
「莉々伊ちゃんは?」
「私はAKC4,800,000です。」
「あぁ、あの480万人いるアイドルグループ? あれってどうやって集めてんだろうね。」
「確か、中学生以上の可愛い娘全員をとにかく無許可で事務所に所属させてるらしいです。」
「マジかぁ……。」
それって普通に犯罪じゃね?
恐るべし。日本のアイドルグループ。
「私も書類上はAKC所属らしいですよ? 事務所に行った事もありませんが。」
「へぇー。莉々伊ちゃんなら総選挙とか出られるんじゃない?」
「ムリですって。総選挙は顔面偏差値のみで選出されるので、テレビに出た事もないメンバーが毎回一位を取る大激戦なイベントなんですよ?」
いくらなんでも酷すぎない?
「テレビに出て頑張ってるメンバーが可哀想じゃん。」
「私もそう思いますけど、五年前にルール変更があってからは毎回そんな感じです。」
一体何があったらそんなルールになるんだよ……。
おかげで眠くて仕方がない。
「デートとか面倒くせぇ……。」
だが、約束してしまった以上はデートするしかない。
ドタキャンなんぞすれば、今まで錬蔵へ向かっていた莉々伊ちゃんの猟奇的な暴力が俺に向く可能性は十分にある。
それだけは避けたい。
待ち合わせ場所である怒涛の勢い駅で既に待機しているのだから、腹を括るしかないか。
「なんとか穏便に諦めてもらわないと……。」
「何を諦めてもらうんですか?」
「あぁ、何をってそりゃあ……」
あっ。
突然話しかけられ咄嗟に返事を返そうと顔を上げると、気合の入った私服姿の莉々伊ちゃんとバッチリ目が合った。
「どうかしましたか?」
「な、なんでもないよ。錬蔵に莉々伊ちゃんの邪魔をする事を諦めてもらおうと思ってね。」
「武太先輩って素敵ですね。私の事を真剣に考えてくれているのが分かります。」
真剣に考えてるよ。どう諦めてもらおうかってね。
「今日はどこへ行くんですか?」
「え? あぁ……っと。」
莉々伊ちゃんがなにやら期待したような目で俺を見てくる。
すまん。全然考えてないんだ。
昨日はミイちゃんを宥めるのに必死で、それどころじゃなかった。
「恥ずかしながらちゃんとしたデートとかした事なくてさ。どういう感じが良いか分からなかったんだ。」
嘘はついてないぞ。
本当の事も言ってないけど。
「武太先輩眠そうですもんね。それだけ本気で悩んでくれたって事ですもんね?」
「あ、あぁ……そんな感じ。」
ポジティブに考えすぎだろ。
俺の返事一つ一つを全部良い方向に捉えてんじゃん。
「そんな優しい武太先輩と行きたい所があるので、付いてきてもらえませんか?」
「了解。莉々伊ちゃんが行きたい所へ行ってみようか。」
「はい。」
俺達は今、人通りの少ないとある場所へと来ていた。
「……。」
「どうかしましたか?」
どうかしましたか? じゃないよ。
ここってアレじゃん。
「何でホテルなの?」
「あれ? 言ってませんでしたか? 私、婚前交渉からの即結婚オッケーですよ?」
結婚する事前提になっちゃってんじゃん。
「知ってるかい? 少し前と違って、今は女性も18歳以上じゃないと結婚出来ないんだよ?」
「はい。知ってます。以前の女性は16歳でも結婚出来ましたけど、今はダメなんですよね? 暫くは爛れた性生活を一緒に送って、二年後に結婚したら良いじゃないですか。」
全然良くない。
「まだ付き合ってないよね?」
「まだ付き合ってないけど、そのうち付き合うんだから順番はどうでも良くないですか?」
どうでも良くねぇよ。
この娘、前のめりに生き過ぎだろ。
首を傾げる莉々伊ちゃんは一見初々しいGカップの美少女にしか見えない。
発言内容がこの美少女の姿と非常にミスマッチで、飛び出してきた台詞は何かの間違いだと誰もが思う事だろう。
ここがホテル街じゃなければ。
「それにしても不思議です。」
「何が?」
「激しい運動をする場所なのにご休憩って書いてありま……。」
「よーし! 違う所へ行こうか! カラオケなんて良いかもしれないね?」
「ここ、カラオケもあるみたいで……。」
「さぁさぁ行くよ! いやー莉々伊ちゃんとカラオケするの楽しみだなー! どんな歌声なのかなぁ?」
「あの、歌いたいならここで……。」
「早くしないと混んじゃうかもしれないなー! カラオケ好きなんだよねー!」
俺は何かを言おうとしている莉々伊ちゃんを強引に遮り、手を引いてカラオケ店へと向かった。
「武太先輩って結構大胆ですね。いきなり手を握ってくるなんて……。」
カラオケ店に入るなり身を寄せてうっとりした顔で話しかけてくる莉々伊ちゃん。
君の方が余程大胆だけどね?
まだ付き合ってもない相手との初デートで、いきなりホテルに誘うって有り得ないからね?
手を握るなんてそれに比べたら何でもないでしょ。
「急にカラオケがしたくなってさ。緊急だったもんでつい。」
「なら仕方ないですね。」
この娘、本当に大丈夫か?
今のところ錬蔵の邪魔が入らないのは良い事だけど、今後誰かと付き合う時がきたら本当に心配である。
もしも悪い男に引っかかったら悲惨な結末を辿りそうだ。
錬蔵は妹の恋路を邪魔する最低な兄だと思っていたが、奴は奴なりに防波堤として案外役に立っていたのかもしれない。
莉々伊ちゃんの恋愛観がオカシイのも錬蔵が邪魔しまくったせいだろうけど。
「武太先輩は何を歌うんですか?」
「俺? 郷ひろふみ。」
「渋いですね。おじいちゃん世代ですよ?」
別に良いじゃん。
「莉々伊ちゃんは?」
「私はAKC4,800,000です。」
「あぁ、あの480万人いるアイドルグループ? あれってどうやって集めてんだろうね。」
「確か、中学生以上の可愛い娘全員をとにかく無許可で事務所に所属させてるらしいです。」
「マジかぁ……。」
それって普通に犯罪じゃね?
恐るべし。日本のアイドルグループ。
「私も書類上はAKC所属らしいですよ? 事務所に行った事もありませんが。」
「へぇー。莉々伊ちゃんなら総選挙とか出られるんじゃない?」
「ムリですって。総選挙は顔面偏差値のみで選出されるので、テレビに出た事もないメンバーが毎回一位を取る大激戦なイベントなんですよ?」
いくらなんでも酷すぎない?
「テレビに出て頑張ってるメンバーが可哀想じゃん。」
「私もそう思いますけど、五年前にルール変更があってからは毎回そんな感じです。」
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