18 / 37
第18話 恋愛? 社会人はそれ以外も大変みたい。
しおりを挟む
『むっくんお疲れ!』
『もしかして勉強中?』
『おーい』
『やっと仕事終わったぁ。』
『明日暇かな?』
『13件の不在着信あり』
「うわぁ……。」
どうしてこの人はLIMEの返事を待てないのだろう。
『常にスマホをチェックしてるわけじゃないから、俺の返事を待って下さい。』
これで良し、と……
『もう。女の子はすぐに不安になるんだから、ちゃんとLIMEをマメにチェックしてくれないとダメだよ?』
「っ!?」
秒で返信とか早過ぎだろ。
俺が不安になるわっ!
「仕方ないから電話するか。」
俺はLIMEの通話ボタンをタップする。
「もしもし?」
『もしもーし。遅いよぉ。』
「ごめんごめん。ちょっと手が離せなくてさ。」
『まぁ、私は理解ある彼女だから許してあげるけどさ。これが他の娘だったらとっくに怒ってるよ?』
いつの間に彼女になったんだよ。
あと、全然理解ないじゃん。
理解あるとか言ってるけど、何だかんだで不満に思ってるからこそ出てくる言葉なわけだし。
「別に付き合ってはいない。」
『すーぐ付き合う事になるんだから同じじゃん。』
違うだろ。
『まぁ、それで? 明日は暇なの?』
「明日は暇じゃない。」
『じゃあデートしよ!』
何でだよ。
暇じゃないって言ってんじゃん。
「ミイちゃんは少し落ち着いて話を聞く事を覚えた方が良いね。」
『むっくんが大人過ぎるんですぅ。クール気取っちゃってさ。そこがまた恰好良いところなんだけども……。』
「兎に角、明日は予定があるのでダメ。」
『何? 何の予定? その予定は私把握してないんだけど?』
「言ってないんだから把握してないのは当たり前だよね。」
把握してたら怖えよ。
その言い方だと、他の予定は把握してるって事?
藪蛇になりそうなので聞かないでおこう。というか、聞きたくない。
『何の予定か教えてよ。それ次第でデートの時間ずらしたりも出来るよ?』
莉々伊ちゃんとデートの予定だって言ったら発狂しそうだな。
別に俺が希望して作った予定じゃないのに、何故か俺が気を遣うという良く分からん事態になっている事が解せぬ。
「家の事情だから聞かないでもらえると嬉しいかな。」
『家の事情なら仕方ないね。』
お?
思いの外物分かりが良いな。
てっきり根掘り葉掘り聞かれるものだと思っていたが……。
「本当にミイちゃん? 偽物だったりしない?」
『あっ、ヒド―い! 私だって社会人なんだから、最低限の常識くらい知ってますぅ。家庭の事情なら首を突っ込んだりしませんよーだ!』
「社会人なら未成年に手を出そうとしないで欲しいんだけど。」
『むっくん、社会の常識が全てじゃないよ? 常識が通用しない事だってあるんだから。』
手のひら返しがヒドいなこりゃ。
発言が二転三転し過ぎだろ。
常識が通用しない事があるって意見には同意だけど、今のタイミングで言うとただの言い訳にしか聞こえない。
「ミイちゃんはもう少し自分の発言に責任を持った方が良いと思う。」
『責任持って発言してるよ? 責任持ってむっくんを一生養ってあげる覚悟は出来てるからね?』
「ヒモになる気なんてないんだけど?」
『偉―い! 流石は私の選んだ男。養ってあげるという誘惑にも屈せず、己の力がどこまで通用するか、理不尽極まりない日本社会に身を投じて自分という個を試してみたいだなんて……。』
「……。」
そこまで言ってねぇよ。
え? 社会ってそんなに理不尽なの?
いたいけな学生の不安を煽るなよ。働くのが怖くなるだろうが!
「ミイちゃんは日本社会に恨みでもあるの?」
『ん? 別にないけどさ。どう考えても今からじゃムリなのに、うちの子は東大にいける筈だとか言う父兄が居ても気にしないよ?』
気にしてんじゃん。
『年度初めのテストでクラスの成績が去年より落ちているみたいだから何か対策を考えないとねって学年主任に言われても、生徒個別に苦手を潰す為の全科目解説付き対策プリントを作ってクラスの皆に配ってるけど結局本人のやる気次第だし、勉強なんか社会に出てもそれ程意味がないとかは思ってないし。』
思ってんじゃん。
てかあのプリント全科目ミイちゃんが作ったのかよ!?
良い先生過ぎるだろ。
『若くて美人な先生だと生徒に舐められるでしょ? 良かったらベテラン教師の私がコツを教えますので今夜一杯どうです? 妻子が居ますので変な意味じゃないですよ? って下心満載に何度も誘って来る40代のおっさん教師がマジでキモいからってボイスレコーダーに録音して妻子にチクった事もないし。』
チクったな。
そう言えば、化学の先生が最近離婚したって聞いたし。
『運動部の顧問とか頼まれても残業代が出る訳でもないし、大会があれば休日出勤でどんなに拘束時間が長くても3600円しか手当くれない上に、うちの学校は運動部が弱小だから昼食も顧問の分は自腹とかふざけんなテメェがやれよとか全然考えもしないし。偶々別の人が顧問になってくれたけど。』
考えてんじゃん。
と言うか教師ってブラック労働過ぎるだろ……。
今まで考えた事も無かったが、真面目に頑張っている先生方には頭が下がる思いだ。教師の労働環境ってそんなに酷いんだな。
絶対に教師にならないようにしよう。
『教師って地方公務員なんだけど、地方公務員法を定めたお偉いさんなんてどうせ碌に現場も知らずに適当な仕事しかしてないんだろうなぁ。良いなぁ税金泥棒して食べるご飯は美味しいんだろうなぁとか一切恨んだりしてないよ?』
恨んでる。絶対に恨んでる。
だって、ミイちゃんの声が死んでるもの。
「……大変だね。俺で良かったら相談に乗るよ?」
『むっくん優しい! でも、大丈夫だから。私負けないから。』
うん。恋愛感情云々はおいといて、この人を支えてあげないとマズいような強迫観念に駆られてしまう。
ミイちゃんにはもっと優しくしてあげようと心の底から誓った。
『もしかして勉強中?』
『おーい』
『やっと仕事終わったぁ。』
『明日暇かな?』
『13件の不在着信あり』
「うわぁ……。」
どうしてこの人はLIMEの返事を待てないのだろう。
『常にスマホをチェックしてるわけじゃないから、俺の返事を待って下さい。』
これで良し、と……
『もう。女の子はすぐに不安になるんだから、ちゃんとLIMEをマメにチェックしてくれないとダメだよ?』
「っ!?」
秒で返信とか早過ぎだろ。
俺が不安になるわっ!
「仕方ないから電話するか。」
俺はLIMEの通話ボタンをタップする。
「もしもし?」
『もしもーし。遅いよぉ。』
「ごめんごめん。ちょっと手が離せなくてさ。」
『まぁ、私は理解ある彼女だから許してあげるけどさ。これが他の娘だったらとっくに怒ってるよ?』
いつの間に彼女になったんだよ。
あと、全然理解ないじゃん。
理解あるとか言ってるけど、何だかんだで不満に思ってるからこそ出てくる言葉なわけだし。
「別に付き合ってはいない。」
『すーぐ付き合う事になるんだから同じじゃん。』
違うだろ。
『まぁ、それで? 明日は暇なの?』
「明日は暇じゃない。」
『じゃあデートしよ!』
何でだよ。
暇じゃないって言ってんじゃん。
「ミイちゃんは少し落ち着いて話を聞く事を覚えた方が良いね。」
『むっくんが大人過ぎるんですぅ。クール気取っちゃってさ。そこがまた恰好良いところなんだけども……。』
「兎に角、明日は予定があるのでダメ。」
『何? 何の予定? その予定は私把握してないんだけど?』
「言ってないんだから把握してないのは当たり前だよね。」
把握してたら怖えよ。
その言い方だと、他の予定は把握してるって事?
藪蛇になりそうなので聞かないでおこう。というか、聞きたくない。
『何の予定か教えてよ。それ次第でデートの時間ずらしたりも出来るよ?』
莉々伊ちゃんとデートの予定だって言ったら発狂しそうだな。
別に俺が希望して作った予定じゃないのに、何故か俺が気を遣うという良く分からん事態になっている事が解せぬ。
「家の事情だから聞かないでもらえると嬉しいかな。」
『家の事情なら仕方ないね。』
お?
思いの外物分かりが良いな。
てっきり根掘り葉掘り聞かれるものだと思っていたが……。
「本当にミイちゃん? 偽物だったりしない?」
『あっ、ヒド―い! 私だって社会人なんだから、最低限の常識くらい知ってますぅ。家庭の事情なら首を突っ込んだりしませんよーだ!』
「社会人なら未成年に手を出そうとしないで欲しいんだけど。」
『むっくん、社会の常識が全てじゃないよ? 常識が通用しない事だってあるんだから。』
手のひら返しがヒドいなこりゃ。
発言が二転三転し過ぎだろ。
常識が通用しない事があるって意見には同意だけど、今のタイミングで言うとただの言い訳にしか聞こえない。
「ミイちゃんはもう少し自分の発言に責任を持った方が良いと思う。」
『責任持って発言してるよ? 責任持ってむっくんを一生養ってあげる覚悟は出来てるからね?』
「ヒモになる気なんてないんだけど?」
『偉―い! 流石は私の選んだ男。養ってあげるという誘惑にも屈せず、己の力がどこまで通用するか、理不尽極まりない日本社会に身を投じて自分という個を試してみたいだなんて……。』
「……。」
そこまで言ってねぇよ。
え? 社会ってそんなに理不尽なの?
いたいけな学生の不安を煽るなよ。働くのが怖くなるだろうが!
「ミイちゃんは日本社会に恨みでもあるの?」
『ん? 別にないけどさ。どう考えても今からじゃムリなのに、うちの子は東大にいける筈だとか言う父兄が居ても気にしないよ?』
気にしてんじゃん。
『年度初めのテストでクラスの成績が去年より落ちているみたいだから何か対策を考えないとねって学年主任に言われても、生徒個別に苦手を潰す為の全科目解説付き対策プリントを作ってクラスの皆に配ってるけど結局本人のやる気次第だし、勉強なんか社会に出てもそれ程意味がないとかは思ってないし。』
思ってんじゃん。
てかあのプリント全科目ミイちゃんが作ったのかよ!?
良い先生過ぎるだろ。
『若くて美人な先生だと生徒に舐められるでしょ? 良かったらベテラン教師の私がコツを教えますので今夜一杯どうです? 妻子が居ますので変な意味じゃないですよ? って下心満載に何度も誘って来る40代のおっさん教師がマジでキモいからってボイスレコーダーに録音して妻子にチクった事もないし。』
チクったな。
そう言えば、化学の先生が最近離婚したって聞いたし。
『運動部の顧問とか頼まれても残業代が出る訳でもないし、大会があれば休日出勤でどんなに拘束時間が長くても3600円しか手当くれない上に、うちの学校は運動部が弱小だから昼食も顧問の分は自腹とかふざけんなテメェがやれよとか全然考えもしないし。偶々別の人が顧問になってくれたけど。』
考えてんじゃん。
と言うか教師ってブラック労働過ぎるだろ……。
今まで考えた事も無かったが、真面目に頑張っている先生方には頭が下がる思いだ。教師の労働環境ってそんなに酷いんだな。
絶対に教師にならないようにしよう。
『教師って地方公務員なんだけど、地方公務員法を定めたお偉いさんなんてどうせ碌に現場も知らずに適当な仕事しかしてないんだろうなぁ。良いなぁ税金泥棒して食べるご飯は美味しいんだろうなぁとか一切恨んだりしてないよ?』
恨んでる。絶対に恨んでる。
だって、ミイちゃんの声が死んでるもの。
「……大変だね。俺で良かったら相談に乗るよ?」
『むっくん優しい! でも、大丈夫だから。私負けないから。』
うん。恋愛感情云々はおいといて、この人を支えてあげないとマズいような強迫観念に駆られてしまう。
ミイちゃんにはもっと優しくしてあげようと心の底から誓った。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
隣の家に住むイクメンの正体は龍神様でした~社無しの神とちびっ子神使候補たち
鳴澤うた
キャラ文芸
失恋にストーカー。
心身ともにボロボロになった姉崎菜緒は、とうとう道端で倒れるように寝てしまって……。
悪夢にうなされる菜緒を夢の中で救ってくれたのはなんとお隣のイクメン、藤村辰巳だった。
辰巳と辰巳が世話する子供たちとなんだかんだと交流を深めていくけれど、子供たちはどこか不可思議だ。
それもそのはず、人の姿をとっているけれど辰巳も子供たちも人じゃない。
社を持たない龍神様とこれから神使となるため勉強中の動物たちだったのだ!
食に対し、こだわりの強い辰巳に神使候補の子供たちや見守っている神様たちはご不満で、今の現状を打破しようと菜緒を仲間に入れようと画策していて……
神様と作る二十四節気ごはんを召し上がれ!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる