【完結】担任教師の恋愛指導。先生、余計なお世話です。

隣のカキ

文字の大きさ
上 下
15 / 37

第15話 恋愛? 身内に変なのがいると難易度ルナティック。

しおりを挟む
「困った子ね、まったく・・・」

そう言うと、夏樹は手提げバックを開いてハンカチを雪子の前に差し出した。

「あっ、クマさんだ!」

「ふふっ、可愛いでしょ?」

雪子は、受け取ったハンカチで涙を拭きながら、チラチラと夏樹の顔を見ていた。

「な~に・・・?」

「別に・・・なんでもないよ」

「そういえばさ、あんた、あたしを憎んでたんじゃなかったの?」

「うん、憎んでたよ。それに恨んでたし・・・」

「あら?はっきり言うのね」

「それだけじゃないよ。思いっきり!大っ嫌いだったもん!」

「あはは、そこまで言う?」

「だって、本当の事だし」

なぜなのかは分からないが、夏樹は照れながらマスクの紐に手をかけた。

「ちょっと、ふーちゃん?」

「な~に・・・?」

「そこまで言わせておいて、どうしてって訊かないの?」

「ふふっ、答えは、あたしの目の前にいるじゃない?」

そう言うと夏樹はマスクを外して見せた。
というより、マスクをしたままではコーヒーが飲めないと言った方が正解だろう。

「うわっ・・・うそ?」

「ん?嘘って、何が?」

「だって・・・」

「もしかして、あたしって綺麗?」

「あはは・・・。もう~、ふーちゃんったら」

泣いたカラスがもう笑ったがそのまま適応している雪子を見ながらではコーヒーが飲めないので、窓の外に視線を移しながら夏樹はコーヒーを口にした。

あらあら・・・鬼の形相なんかしちゃったら、せっかくの美人が台無しなんじゃないかしら?
とはいえ、ここからは元妻の顔までは見えないけど、
と~っても怖い雰囲気がビシ!ビシ!と、ここまで伝わってきてるわよ。
京子、あたしを恨む事で今を生きる事は出来てもね、それじゃ、いつまでも明日が見えないのよ。

京子、理解した?
さっきね、わざとなのよ!
わざと、あんたに見せつけてあげたのよ!
あんた、それに気がついていなんでしょ?
あんたがいつまでもウジウジとあたしの事を恨む毎日を送ってるから見せつけてあげたの。

あんたが自分は悪くないと思う事はあんたの勝手だけど。
でもね、そんなあんたのままじゃ、いつか子供たちにも出て行かれちゃうわよ?

とはいっても、京子?
あんたにとって雪子の存在は、ある意味において地獄かもね?
それよりも、昔の旦那が女性になっていたって事の方がショックだったかしら?

「ふーちゃん、何、考えてるの?」

「ん・・・?どうして?」

「だって、さっきからずっと窓の外を見てるし」

「ずいぶん雪が降るわね~って思ってね」

「でも、ふーちゃんって綺麗なんだ!」

「あい・・・?」

「それだったらマスクなんかしなくも大丈夫だよ」

「だから昼間マスクをしていないと、寝る時に咳が止まらなくなるって言ってるでしょ?」

「なんか、もったいないね」

「すっかり揉まれる事を忘れちゃってるあんたの可愛い胸の方がもったいないわよ」

「ふーちゃん、揉みたいの?」

「ほら、ウエイトレスさんが聞いてるわよ」

「へへへ・・・」

変わらないわね、そんなとこも。雪子は、今も、あの頃のまま・・・。
そして、あの日から、雪子の時間は止まっていたのね・・・やっぱり・・・。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

危険な残業

詩織
恋愛
いつも残業の多い奈津美。そこにある人が現れいつもの残業でなくなる

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~

ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。 2021/3/10 しおりを挟んでくださっている皆様へ。 こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。 しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗) 楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。 申しわけありません。 新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。 修正していないのと、若かりし頃の作品のため、 甘めに見てくださいm(__)m

処理中です...