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番外 その後
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『2月2日の20時頃、××県××市で男性会社員多良図陸人さん25歳と女性会社員真理伊音さん25歳が亡くなっているのが発見されました。遺体の頭部には銃で撃ち抜かれたような跡がありましたが、実銃を使用した弾痕とは相違点が多く、凶器の特定を急いでいます。また争った形跡がない事からも、突然頭部に穴が開いて倒れたようだと捜査関係者は話しており、不可解な殺人事件として捜査を進めています。二人は最近婚約したばかりだという情報もあり、痴情のもつれの線もあるとして……。』
「芽瑠戸リアさん、このニュースを見て何も思わないんですか?」
「痛ましい事件だと思います。」
「多良図陸人さんとは直前まで交際していたそうですね。そして真理伊音さんという貴女の親友が突然間に入ってきた。間違いありませんか?」
「その点に関しては間違いありません。」
何だこの女は?
俺は刑事として長年捜査し何度も殺人犯と直接対面してきたが、この芽瑠戸リアという女からは妙な圧力を感じる。
一緒にいるとどうも落ち着かないし、変な汗をかく。もし肉食獣と同じ部屋にぶちこまれた奴がいるとするなら、きっとこんな気分なのだろう。
「貴女には二人を殺害する十分な動機があります。この日、貴女はどこで何をやっていたのか教えてもらえますか?」
「えっと、あの日は確か……。」
一見この女の態度は普通だ。
しかし、関係性の深い二人が同時に不審死を遂げたというのに全く気にした様子が見受けられない。
犯人ではないとしたらあまりにも不自然過ぎるし、犯人だとしたら、殺人を日常のものと受け入れているような態度だ。
刑事としての勘が言っている。コイツが殺したのだ、と。
「つまり貴女は××駅の駐車場に車を停めて、買い物へ行こうとしたが疲れて眠っていたと?」
「はい。」
「確かに監視カメラの映像には貴女の車が映っている。ですが、この寒い日に窓を開けっ放しで眠るのは不自然ではありませんか?」
「余程疲れていたのでしょう。」
駐車場のカメラには窓を開けたままの車が映し出され、本人の証言とも一致している。アリバイとしては成立してしまっているのだ。
「あの……私、仕事がありますのでもうよろしいですか?」
「……はい。」
「犯人、早く見つかると良いですね。」
貴族とでも会話しているかのような気品さを感じさせる女を取調室から帰し、俺は一息つく。
あの女が退室してからどっと疲れが押し寄せてきた。
「……。」
ふと自分の手を見れば、カタカタと震えている。
屈強な凶悪犯とだって対峙した事のある俺が恐怖に震えていたのだ。
「アレ、人間じゃなかったりしてな。」
「先輩。あの女の人は犯人じゃありませんよ。あんな上品な人見た事ありませんもん。」
「お前は馬鹿か。殺しは品でするもんじゃねえよ。」
今年配属されてきた後輩のしょうもない台詞に安堵している自分がいる。とにかく、誰かと話がしたいという心細さを俺は味わっていたようだ。
「アレが犯人だとして、アリバイが成立してしまっている。どうにかこれを崩す方法はないものか。」
「何言ってるんですか先輩。あの人が犯人だとしたら、姿を消して被害者のアパートまで行き、謎の凶器で被害者の頭を撃ち抜いたって事ですよ。意味不明過ぎじゃないですか。」
こいつはまだ新人だ。分からない事もあるのだろう。
「覚えておけ。刑事をやっているとな。どう考えてもコイツが犯人だという状況で全く証拠が挙がらない事や、魔法でも使ってるんじゃないかって事件と出くわしたりする。今回の件もそれだと思って捜査しろ。」
「は、はい。」
こいつはまだ新人だ。今回の捜査からは外してもらった方が良いかもしれん。
芽瑠戸リアという女は恐らく犯人。しかも現職の刑事をビビらせる程特級にヤバイ何かを持った奴だ。
極めつけには殺しを何とも思っていないような精神性の持ち主。
証拠が挙がり、いよいよ逮捕となれば…………捜査員に少なくない被害が出るような気がする。
「厄介な事件だ。」
「あの刑事、私を疑っているわね。」
アリバイがあるんだからいちいち捜査に来るんじゃないわよ。あいつには行方不明になってもらおうかしら?
「……現実的じゃないわね。」
今あの刑事を処分すれば私への疑いは増々濃くなる。日常生活にも支障をきたしかねない。
せっかくあの二人を殺して復讐を終えたというのに、水を差された気分だわ。
あの日私はアリバイ作りの為に駅の駐車場に車を停めた。窓を開けていたのはドアの開閉をカメラに捉えられないようにする必要があったからだ。
いくら魔法で姿を消しても車のドアの開け閉めはカメラに映る。
だから窓を開けっ放しにして、インビジブルの魔法を使った後に窓から出て二人を殺しに行ったのだ。
アパートには二人が揃っていたので手間が省けたのは良かった。一人ずつ殺すにしても、何度も同じ手を使うとそれだけで私が犯人にされかねない。
日本の司法はあのクソゲー世界程腐ってはいないけど、殺人を隠蔽するとなると難易度があのクソゲー以上に跳ね上がる。
今回はとりあえずこれで良いとして、また殺したい相手が出来た時の為に、他の方法も考えておかなくちゃ。
「インビジブルが赤外線カメラで捉えられるか検証しておきたいところね。」
魔法が万能とは限らない。
今後どかこに忍び込む際に熱感知されるようなら、それ用の対策を考えるか、そもそもそんな所へ忍び込まないようにしなくては。
「ふふっ……。」
魔法を現代社会で使えるようあれこれ考えるのって楽しいわね。
殺しが捗りそう。
「芽瑠戸リアさん、このニュースを見て何も思わないんですか?」
「痛ましい事件だと思います。」
「多良図陸人さんとは直前まで交際していたそうですね。そして真理伊音さんという貴女の親友が突然間に入ってきた。間違いありませんか?」
「その点に関しては間違いありません。」
何だこの女は?
俺は刑事として長年捜査し何度も殺人犯と直接対面してきたが、この芽瑠戸リアという女からは妙な圧力を感じる。
一緒にいるとどうも落ち着かないし、変な汗をかく。もし肉食獣と同じ部屋にぶちこまれた奴がいるとするなら、きっとこんな気分なのだろう。
「貴女には二人を殺害する十分な動機があります。この日、貴女はどこで何をやっていたのか教えてもらえますか?」
「えっと、あの日は確か……。」
一見この女の態度は普通だ。
しかし、関係性の深い二人が同時に不審死を遂げたというのに全く気にした様子が見受けられない。
犯人ではないとしたらあまりにも不自然過ぎるし、犯人だとしたら、殺人を日常のものと受け入れているような態度だ。
刑事としての勘が言っている。コイツが殺したのだ、と。
「つまり貴女は××駅の駐車場に車を停めて、買い物へ行こうとしたが疲れて眠っていたと?」
「はい。」
「確かに監視カメラの映像には貴女の車が映っている。ですが、この寒い日に窓を開けっ放しで眠るのは不自然ではありませんか?」
「余程疲れていたのでしょう。」
駐車場のカメラには窓を開けたままの車が映し出され、本人の証言とも一致している。アリバイとしては成立してしまっているのだ。
「あの……私、仕事がありますのでもうよろしいですか?」
「……はい。」
「犯人、早く見つかると良いですね。」
貴族とでも会話しているかのような気品さを感じさせる女を取調室から帰し、俺は一息つく。
あの女が退室してからどっと疲れが押し寄せてきた。
「……。」
ふと自分の手を見れば、カタカタと震えている。
屈強な凶悪犯とだって対峙した事のある俺が恐怖に震えていたのだ。
「アレ、人間じゃなかったりしてな。」
「先輩。あの女の人は犯人じゃありませんよ。あんな上品な人見た事ありませんもん。」
「お前は馬鹿か。殺しは品でするもんじゃねえよ。」
今年配属されてきた後輩のしょうもない台詞に安堵している自分がいる。とにかく、誰かと話がしたいという心細さを俺は味わっていたようだ。
「アレが犯人だとして、アリバイが成立してしまっている。どうにかこれを崩す方法はないものか。」
「何言ってるんですか先輩。あの人が犯人だとしたら、姿を消して被害者のアパートまで行き、謎の凶器で被害者の頭を撃ち抜いたって事ですよ。意味不明過ぎじゃないですか。」
こいつはまだ新人だ。分からない事もあるのだろう。
「覚えておけ。刑事をやっているとな。どう考えてもコイツが犯人だという状況で全く証拠が挙がらない事や、魔法でも使ってるんじゃないかって事件と出くわしたりする。今回の件もそれだと思って捜査しろ。」
「は、はい。」
こいつはまだ新人だ。今回の捜査からは外してもらった方が良いかもしれん。
芽瑠戸リアという女は恐らく犯人。しかも現職の刑事をビビらせる程特級にヤバイ何かを持った奴だ。
極めつけには殺しを何とも思っていないような精神性の持ち主。
証拠が挙がり、いよいよ逮捕となれば…………捜査員に少なくない被害が出るような気がする。
「厄介な事件だ。」
「あの刑事、私を疑っているわね。」
アリバイがあるんだからいちいち捜査に来るんじゃないわよ。あいつには行方不明になってもらおうかしら?
「……現実的じゃないわね。」
今あの刑事を処分すれば私への疑いは増々濃くなる。日常生活にも支障をきたしかねない。
せっかくあの二人を殺して復讐を終えたというのに、水を差された気分だわ。
あの日私はアリバイ作りの為に駅の駐車場に車を停めた。窓を開けていたのはドアの開閉をカメラに捉えられないようにする必要があったからだ。
いくら魔法で姿を消しても車のドアの開け閉めはカメラに映る。
だから窓を開けっ放しにして、インビジブルの魔法を使った後に窓から出て二人を殺しに行ったのだ。
アパートには二人が揃っていたので手間が省けたのは良かった。一人ずつ殺すにしても、何度も同じ手を使うとそれだけで私が犯人にされかねない。
日本の司法はあのクソゲー世界程腐ってはいないけど、殺人を隠蔽するとなると難易度があのクソゲー以上に跳ね上がる。
今回はとりあえずこれで良いとして、また殺したい相手が出来た時の為に、他の方法も考えておかなくちゃ。
「インビジブルが赤外線カメラで捉えられるか検証しておきたいところね。」
魔法が万能とは限らない。
今後どかこに忍び込む際に熱感知されるようなら、それ用の対策を考えるか、そもそもそんな所へ忍び込まないようにしなくては。
「ふふっ……。」
魔法を現代社会で使えるようあれこれ考えるのって楽しいわね。
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故に返信不要です。
作者自身、以前は完全なる読み専でした。
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作者は国語苦手で文章書くのは超嫌いだったのですが、そんな作品を見て「自分も書けるんじゃ……?」と思ったのが始まりです。
友達になりたいという事であれば、隣のカキでXやってるのでDMでもくれればOKですよ(^^)