【完結】血と涙の復讐 ポロリ(あたまが)もあるよ☆

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第4話 超効率プレイ

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 私はこのゲームにおいて、最も効率的なルートを辿れるよう行動した。

 第一王子シュナイザー殿下に失態を見られてしまったマリーベルは、入学早々に二日の謹慎処分を受けるのだ。

 それはそうと、将来の王妃である私に魔法を撃とうとしたマリーベルに対し、二日の自宅謹慎で済ます殿下の脳内がマジでお花畑過ぎて婚約解消したい。


「本当に草生えるわ……っと私は貴族令嬢だった。おハーブが生えますわ。」


 もし日本に戻れたらスレ立てて積極的に今回の出来事を発信しよう。多分釣り乙って言われるけど。

 思考が逸れたわね。

 シュナイザー殿下はあろうことか、侯爵令嬢であるマリーベルにとって体裁が悪いだろうと気遣い、学園を休んだ理由は体調不良としている。

 何の罰にもなっていない。それ、謹慎って言うかただの仮病ですから。

 せっかく今回はマリーベルを嫌いなキャサリンがたまたまこの茶番を目撃し、私の都合の良いように証言するというまたとない奇跡的な協力をしてくれたのに……脳みそお花畑殿下が軽い罰だけで済ませてしまった。

 ゲームのストーリー上、マリーベルがすぐにいなくなっては困る制作陣営の都合も理解出来るけど、いざ自分が無能王子の婚約者となれば恨み言の一つも言いたくなる。

 マリーベルは序盤から妨害を行ってくる腐れ女で、主人公の訓練コマンドを何度も無効にしてくるお邪魔虫。

 そして正規の手順で彼女を処刑しようとすると難易度が無駄に高く、ゲームのラスボスのような立場となって終盤まで延々とこちらの足を引っ張る性根の腐ったキャラだ。

 元親友に似ているのも相まって本当に忌々しい。

 今回の件でキャサリンがマリーベルを事あるごとに妨害するようになる為、私は暫く腐れ女からの邪魔が入らない状態になる。


「それにしてもあの男、自分の婚約者が攻撃されそうになっていたのにそんだけで済ますって、ちゃんとチ〇ポついてんのかしら?」

「あ、あの……。今チ〇ポとおっしゃいました?」

「あら、エーデラル様。そんなはしたない事を私が言うはずありませんわ。」


 こいつ、いつの間にいやがった?

 この女は敵対ヒロインの一人、子爵令嬢のエーデラル。


「私の勘違いですか。失礼致しました。」

「そういう事もありますわ。」


 てめえもチ〇ポって言っただろうがこのチ〇ポ女。好きそうな顔してんじゃねぇぞマジで……っていけないいけない。

 私は貴族令嬢。たとえ心がドブでも見た目は花を装わなきゃね。


「ほんとシュナイザー殿下って素敵ですよね。メルトリア様が羨ましいです。」


 うっせ。あんなもんのし付けてくれてやりたいわ。


「シュナイザー殿下は大変ご立派でいらっしゃるから、こちらも追い付いて行くのが大変で……。」

「まぁ。それは贅沢な悩みですね? 私だったら飛び跳ねてしまいそうですけど……。」


 じゃあ立場交換する? お前なんて秒で死ぬわよ?

 遠回しにお前じゃ色々足りてないって言ってるんですけど?


「あら、そろそろ授業が始まりますわ。」

「私ったら……メルトリア様がお話し易いのでつい。」


 エーデラル子爵令嬢はぱたぱたと走って席に戻って行った。

 走ってる時点で婚約者候補としては無しね。走り方も雑だし、何より姿勢がダメ。服のセンスもなければ私が言った嫌味にも気付かない。

 あんなのが第一王子の婚約者だなんて事になれば、それこそ敵対ヒロインに追い落とされて死亡コースまっしぐら。


「ふん。序盤の雑魚が。」


 あいつは私にとって敵になり得ない。単なる通過点として死んでもらいましょう。

 とは言え、こんな序盤からでは流石に難しい。もう少し時が必要だわ。













 マリーベルが妨害出来ない今の状況に加え、サーチの魔法を駆使して敵対的なヒロインを避ける事で一年目前期を平穏無事に過ごすことが出来た。

 つまり、マリーベルの邪魔さえなければイベントらしいイベントも殆どないのが一年目前期の特徴。

 この間に訓練コマンドと言う名のただの訓練をひたすら繰り返し、鍛えた私のステータスがこちら。



知識 255
魔法  87
剣術  54
礼節  90
魅力  88



 私は大学まで卒業した為か、この世界で知識だけは初めからカンストだった。単純に攻略情報を知っているからカンストなのかもしれないけどね。

 サンライズ学園は3年制で、前期と後期でカリキュラムが組まれている。

 全ヒロインの抹殺を目指すなら全ての数値が最低でも150は必要。普通に考えればゲームと違って卒業後も人生は続くのだからステータスは高い方が良いし、邪魔になるヒロイン達には是非とも退場して頂きたい。

 私は二股された挙句に婚約破棄された執念で培った超効率プレイを駆使し、全ステータスMAXと全ヒロインを抹殺する。あと、出来ればその婚約者達も。






 マリーベルの妨害を受ける事なく夏休みパートというボーナスタイムに突入した私は、訓練と弟との親密度上昇に費やした。

 お陰様で弟は立派なシスコンに成長を遂げ、今では姉の言う事は何でも聞く。足を舐めろと言えば舐めるでしょうね。

 この世界はゲームのようで、やはり現実だ。

 ゲームだったら選択肢でしか親密度を上げる事は出来なかったけど、選択肢が現れない代わりに普段の生活で親密度を上昇させる事が出来たし、訓練コマンド(ただの訓練)の時間以外にも自由時間を訓練に充てる事が出来た。

 ステータスがにょきにょきと伸びてくれて私は嬉しい。訓練が正義という乙女ゲーって頭おかしいけどね。



知識 255
魔法 104
剣術 100
礼節 121
魅力 117



 以上のように、休み期間で全ステータス100以上を既に達成している。

 だが安心は出来ない。マリーベルの将来の婚約者ダラス(元カレ似)をも処刑するのであれば、もっと自身を鍛え上げなければならないのだ。













 充実した夏休みパートを終え、後期課程が始まった。

 私は前期課程の段階で既に敵対ヒロインの殆どと出会いを果たした。最低でも一度は会っておかなければ、彼女らの行動を把握出来なくなってしまうのだ。

 一度だって目にしたくはないが、それに関しては仕方がない。

 現状関わり合いになる相手はマリーベル、キャサリン、そして子爵令嬢のエーデラル。

 マリーベルとキャサリンは隣のクラスで足の引っ張り合いをしているので、今は放置で構わない。

 早々に処刑してしまいたいが、マリーベルはどんなに早くとも3年生にならないと証拠が固まらず、処刑できないのだ。キャサリンが上手い事証拠を集めきるまでの我慢。

 早く処刑したい。

 マリーベルのポロリが見たい。


「メルトリア様。今日はどこでランチを頂きましょうか?」


 また来た。エーデラルの奴、自分の趣味の為に全力よね。


「私は食堂で頂こうと思っておりました。」

「ではご一緒しましょう。」


 この腹黒クソビッチが自分から敵対し始めるのは普通にゲームをプレイした場合二年生の初め頃。

 こいつは非常に憎たらしい女なので攻略情報を駆使して早めに潰してしまいたい。

 彼女は、友達に婚約者を寝取られたという悲しい過去がある。自分が不幸にされたから、他人を不幸にしてやろうという方向に狂ってしまったのだ。

 そんなバックストーリーの持ち主だが…… 

 んな事私が知るか!!

 同情すべき点はあるし、私も元親友に彼氏を盗られたから気持ちはわからないでもない。

 しかし、自分がされて嫌だった事を赤の他人に堂々とやってのける腐った性根は、もうどうにもならないだろう。処刑してやるのがせめてもの慈悲だ。

 何もしなければ第一王子がこいつに寝取られるのだから……。


「どうかなさいましたか?」

「いえ? 今日もエーデラル様は素敵な服を着てらっしゃるのね。きっと優れたセンスをお持ちなのですわ。」

「えぇ? ありがとうございます!」


 お世辞だよ馬鹿。上下合わせて何色の色を身に纏ってんだよ。

 少なくとも十以上あるでしょ。一人でサーカスでもしてろっての。


「ご両親に買って頂いたのかしら?」

「はい! 他にもたくさん素敵な服があるんです!」


 声大き過ぎ。減点。

 私は仲良くなる為の行動を自ら選択し、エーデラルとの親密度上げに邁進する。

 そうする事によって彼女は私を親友と認識し、早い段階で第一王子を次の寝取りターゲットに定めるのだ。

 本当にクソだわ。



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