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聖女の暴力編
第82話 聖女の慈悲3
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私は村長さんを加減しながら滅多打ちにした。彼は村一番の頑固者だったらしく、いくらブッ叩いては回復してあげても決して己の非を認めようとはしないのだ。
「アリエンナよぉ……こうまで口を割らないとなれば、勘違いだったんじゃねぇのか?」
「そんなはずないです。」
だって昨日リズが……
『ルーシュ君を堕とすのにアリエンナが邪魔だから、私がお父さんにいじめを指示させたのよ。お前がいじめられてたのを見て超気分が良かったわ。』
とヤケクソ気味に暴露してきたので、間違いないんだけどなぁ。
こっそり私に耳打ちしてくるあたりが感じ悪い子よね。
「ここまで認めないなら仕方がありません。」
「おお、やっと分かってくれたのか。」
パッと顔を明るくしては勝手に許された気になっている村長さん。
この人は後回しにしよう。
彼の説得は時間が掛かりそうだし、先にリズを消毒してあげないと可哀想よね。
「良い感じの桶よー、出てきて下さい。」
そう言うと、地面からかなり大きめの土で出来た桶が生えて来た。
続けて魔法を発動する。
「水よー出ろー。」
手の平を桶に向けて呪文を唱えると、水が勢い良く放出される。
大きめの桶はすぐに水で満たされるのだが、その後も手から出る水が止まらない。
「あれ?」
加減を失敗したみたい。桶からは大量の水が溢れていき、溢れ出た水が床にダバダバと零れてしまっている。
「水よー、もう出なくて良いです。」
村長さんの家の床が水浸しになってしまった。
ついでにリズもびちゃびちゃになっちゃったわ。
「ちょっと多かったですね。」
「人の家で水魔法使ったらダメだろ。」
ギャモーの言う通りかもしれない。
でも、今回は消毒の為だから見逃してもらおう。
「火よー、今出した水を沸騰させて下さーい。」
手の平を桶の側面に向け、ごうごうと土で出来た桶を炙っていると……
「あの、何をしているんだ……ですか?」
「村長さんが説得しても聞かないので、先にリズにしようと思いまして。」
彼は意味が分からないという顔をしている。こんなに汚れているんだから、消毒するに決まってるのにね。
あ、もうそろそろ良いかもしれない。
桶の中の水はぐつぐつと湯気が立ち、ぼこぼこと沸騰している音がする。
「さ、リズにかけてあげましょう。」
「待ってくれぇぇぇ!!」
え?
「聖女さんの言う通り、俺がいじめを指示しましたぁぁぁ!!!」
やっぱりそうなんじゃない。
「どうしていじめを指示したんですか?」
「超可愛い一人娘の為だからだ!」
キリっとした村長さんの顔が非常に腹立たしい。
「聖女さんがいなければ、家の娘が村一番の美人になれる。だから仕方なかったんだ……。」
「美人ってんなら、アリエンナの母ちゃんもいるだろうに。」
ギャモーの言う通りね。
「無理だ。あの方を集団で害そうとすれば一夜にして村が滅びる。従って、見ないフリをするのが良いのだ。」
村長さんの言う通りだわ。
「まぁ、取り敢えず理由は分かりました。理解は出来ませんが。」
それにしても、何で急に自分の非を認めたのかしら?
「厚かましいかもしれないが、どうか……リズを拷問するのだけは勘弁して下さい!!」
拷問だなんて……。
「あの、綺麗にしてあげようかと……」
「熱湯をかけるのはどうか勘弁して下さい! 村人には聖女さんをいじめないよう改めて言って回りますので!!」
まぁ、そういう事ならこっちは文句ないけど。
「分かりました。」
「ありがとう! ありがとう!」
「でも綺麗にしてあげないと……」
「それは親である俺がやるので大丈夫です!」
村長さんの目には父としての覚悟のようなものが見て取れた。あと、ちょっとリズを見る目が怪しい。
「家の人がやってくれるなら、無理に手出しはしません。」
「娘は任せてくれ!」
私達は村長さんの家を後にし、帰路に就く。
「にしても、村でのいじめはリズと村長さんのせいだったんだな。」
「そうみたいですね。」
全く。あんなつまらない理由でいじめられてたなんて……。
村長さんには熱湯消毒をしてあげたから、今後は心を入れ替えるでしょうけど。
「なぁ、良いのか?」
「何がですか?」
「あの村長さん……鼻息荒かったぞ。」
確かに帰り際、あの人のリズを見る目には情欲が宿っていた気がする。でも、それは私達が口を出す事ではない。
「大丈夫ですよ。家族の事は家族に任せましょう。愛の形は人それぞれ……最悪、何か間違いがあっても私達には関係ありませんので。」
「いや、うーん……。」
「リズはこの村の“性女”です。父親とのコミュニケーション方法が少しばかり独特になるだけで、本人はきっと気にもしませんよ。……多分。」
「……もうあの二人に関しては忘れる事にするぜ。」
その後私達は、リズをいじめていた女達の家を一軒ずつ訪ねて回った。
腐った性根ごと熱湯消毒してあげようとしたんだけど、皆一様に顔を青ざめさせて断るので断念せざるを得なかったのよね。
「せっかく親切心で言ったのに。」
小さい頃からいじめられていたからって、理由をつけていじめ返そうとしていたわけでは決してない。
「あの様子じゃあ、今後お前に絡んでくる奴はいねぇだろ。」
「やっぱり熱湯消毒は心も綺麗にするんですね。」
「いやぁ……熱湯ぶっかけられるなんて、直接ぶん殴られるよりも恐怖だろうからな。」
ギャモーの話をまとめると、今まではブッ叩く時に加減し過ぎていたせいで心を入れ替えなかったという事ね。
※全然ちがいます
「アリエンナ!!」
突然背後から大声で話しかけられる。
またルーシュ君だ。
「アリエンナよぉ……こうまで口を割らないとなれば、勘違いだったんじゃねぇのか?」
「そんなはずないです。」
だって昨日リズが……
『ルーシュ君を堕とすのにアリエンナが邪魔だから、私がお父さんにいじめを指示させたのよ。お前がいじめられてたのを見て超気分が良かったわ。』
とヤケクソ気味に暴露してきたので、間違いないんだけどなぁ。
こっそり私に耳打ちしてくるあたりが感じ悪い子よね。
「ここまで認めないなら仕方がありません。」
「おお、やっと分かってくれたのか。」
パッと顔を明るくしては勝手に許された気になっている村長さん。
この人は後回しにしよう。
彼の説得は時間が掛かりそうだし、先にリズを消毒してあげないと可哀想よね。
「良い感じの桶よー、出てきて下さい。」
そう言うと、地面からかなり大きめの土で出来た桶が生えて来た。
続けて魔法を発動する。
「水よー出ろー。」
手の平を桶に向けて呪文を唱えると、水が勢い良く放出される。
大きめの桶はすぐに水で満たされるのだが、その後も手から出る水が止まらない。
「あれ?」
加減を失敗したみたい。桶からは大量の水が溢れていき、溢れ出た水が床にダバダバと零れてしまっている。
「水よー、もう出なくて良いです。」
村長さんの家の床が水浸しになってしまった。
ついでにリズもびちゃびちゃになっちゃったわ。
「ちょっと多かったですね。」
「人の家で水魔法使ったらダメだろ。」
ギャモーの言う通りかもしれない。
でも、今回は消毒の為だから見逃してもらおう。
「火よー、今出した水を沸騰させて下さーい。」
手の平を桶の側面に向け、ごうごうと土で出来た桶を炙っていると……
「あの、何をしているんだ……ですか?」
「村長さんが説得しても聞かないので、先にリズにしようと思いまして。」
彼は意味が分からないという顔をしている。こんなに汚れているんだから、消毒するに決まってるのにね。
あ、もうそろそろ良いかもしれない。
桶の中の水はぐつぐつと湯気が立ち、ぼこぼこと沸騰している音がする。
「さ、リズにかけてあげましょう。」
「待ってくれぇぇぇ!!」
え?
「聖女さんの言う通り、俺がいじめを指示しましたぁぁぁ!!!」
やっぱりそうなんじゃない。
「どうしていじめを指示したんですか?」
「超可愛い一人娘の為だからだ!」
キリっとした村長さんの顔が非常に腹立たしい。
「聖女さんがいなければ、家の娘が村一番の美人になれる。だから仕方なかったんだ……。」
「美人ってんなら、アリエンナの母ちゃんもいるだろうに。」
ギャモーの言う通りね。
「無理だ。あの方を集団で害そうとすれば一夜にして村が滅びる。従って、見ないフリをするのが良いのだ。」
村長さんの言う通りだわ。
「まぁ、取り敢えず理由は分かりました。理解は出来ませんが。」
それにしても、何で急に自分の非を認めたのかしら?
「厚かましいかもしれないが、どうか……リズを拷問するのだけは勘弁して下さい!!」
拷問だなんて……。
「あの、綺麗にしてあげようかと……」
「熱湯をかけるのはどうか勘弁して下さい! 村人には聖女さんをいじめないよう改めて言って回りますので!!」
まぁ、そういう事ならこっちは文句ないけど。
「分かりました。」
「ありがとう! ありがとう!」
「でも綺麗にしてあげないと……」
「それは親である俺がやるので大丈夫です!」
村長さんの目には父としての覚悟のようなものが見て取れた。あと、ちょっとリズを見る目が怪しい。
「家の人がやってくれるなら、無理に手出しはしません。」
「娘は任せてくれ!」
私達は村長さんの家を後にし、帰路に就く。
「にしても、村でのいじめはリズと村長さんのせいだったんだな。」
「そうみたいですね。」
全く。あんなつまらない理由でいじめられてたなんて……。
村長さんには熱湯消毒をしてあげたから、今後は心を入れ替えるでしょうけど。
「なぁ、良いのか?」
「何がですか?」
「あの村長さん……鼻息荒かったぞ。」
確かに帰り際、あの人のリズを見る目には情欲が宿っていた気がする。でも、それは私達が口を出す事ではない。
「大丈夫ですよ。家族の事は家族に任せましょう。愛の形は人それぞれ……最悪、何か間違いがあっても私達には関係ありませんので。」
「いや、うーん……。」
「リズはこの村の“性女”です。父親とのコミュニケーション方法が少しばかり独特になるだけで、本人はきっと気にもしませんよ。……多分。」
「……もうあの二人に関しては忘れる事にするぜ。」
その後私達は、リズをいじめていた女達の家を一軒ずつ訪ねて回った。
腐った性根ごと熱湯消毒してあげようとしたんだけど、皆一様に顔を青ざめさせて断るので断念せざるを得なかったのよね。
「せっかく親切心で言ったのに。」
小さい頃からいじめられていたからって、理由をつけていじめ返そうとしていたわけでは決してない。
「あの様子じゃあ、今後お前に絡んでくる奴はいねぇだろ。」
「やっぱり熱湯消毒は心も綺麗にするんですね。」
「いやぁ……熱湯ぶっかけられるなんて、直接ぶん殴られるよりも恐怖だろうからな。」
ギャモーの話をまとめると、今まではブッ叩く時に加減し過ぎていたせいで心を入れ替えなかったという事ね。
※全然ちがいます
「アリエンナ!!」
突然背後から大声で話しかけられる。
またルーシュ君だ。
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