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聖女の暴力編
第81話 聖女の慈悲2
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先程会った四姉妹はリズに石を投げかけ、メリルとサリアは変な汁をぶちまけ、その他大勢がリズに対して色々と酷い事をしたようね。
「皆さん。リズはちょっと頭と口と性根が悪くて阿婆擦れなだけの普通の良い子だから、そのくらいで許してあげて下さい。」
「な、なんですって!!」
私が皆を止めようとしたら何故かリズが怒りだした。
助けてあげようとしたのにどうして怒るのかしら?
「ふん! いじめのターゲットが私になったからって調子乗るんじゃないわよ、この魔女め!」
ムカ。なんて悪い子なのかしら。
ゴンっ!!
「大変だわ。こんな所にリズが倒れています。家に運んであげましょう。」
「おい、助けてやるんじゃねぇのか?」
「助けてますよ?」
だから家に運ぼうとしてるんじゃないの。
「あら、聖女さん。」
「聖女さんはその阿婆擦れを庇うの?」
「リズなんてほっとけば良いのよ。」
「聖女さんの男も盗られちゃうよ?」
「阿婆擦れリズなんて森に捨てて来ればいいのに。」
「聖女さんの旦那恰好良い。」
「庇っているわけではありません。リズが汚れているから、沸騰したお湯で消毒してあげようと思って……。皆さんもどうですか?」
リズは生卵やら変な汁やら良く分からない紫色のベトベトやらで汚れきっていて、おまけにあちこち怪我だらけだ。
「わ、わたし用事を思い出したわ。」
「私も!」
「うん。今日は母の結婚記念日だった!」
「そう言えば、畑仕事忘れてた!」
「あ!門限があるんだった!」
「私も今日は何かある気がするわ!」
リズをいじめていた人達は顔を引き攣らせて、口々に用事があると言っては去って行った。
「皆どうしたんでしょう?」
今の子達は全員性根が腐っているから、後で追いかけて消毒してあげようっと。
「……アリエンナ。熱湯消毒はやめてやれ。」
「でも、殺菌しないと……。」
怪我もしているし、傷口からばい菌が入っちゃうわ。
「殺菌どころか殺害になっちまうだろうが。」
普通の人に熱湯や煮えた油をかけたらいけないって事くらい、私だってきちんと理解している。
過去にいじわる婆さんを煮えた油に叩き込んだ時、自身がたまたま熱に強いだけだという事を学習したのだ。
「回復魔法を使うので大丈夫ですよ。」
「……治せば何やっても良いと思ってねぇか?」
「そんな事……。」
ギャモーったら……治るんだから何をやっても良いに決まってるじゃない。
「なら良いけどよ。」
「はい。」
納得してくれたみたいで良かったわ。
「早速リズを運んであげましょう。」
それにしてもこの子ったら汚いわ。全身が汚れてしまっていて、汚くない所が殆どないじゃないの。
「これでよし、早くしないと可哀想だわ。」
私はリズの片足を持ち、引き摺りながら駆け足で移動を開始した。
「おいおいおいっ! ちょっと待て!」
「はい?」
「後ろ見てみろって! その運び方の方が可哀想だろが!」
私は駆け足のままで返事をしながら言われた通りにリズを見てみる。
ズルズルと引き摺られている彼女は地面の凸凹に頭をゴンゴンぶつけていた。
「確かに……なら、家の方角に投げましょう。」
うん。それなら安心だわ。私も汚れないし。
一旦走るのをやめ、リズを家の方に放り投げようと構える。
「待てって! それだと死んじまうだろが!?」
「死なないように回復魔法を放っておきますので大丈夫ですよ?」
「だとしても、普通の人間は死ぬだろ。」
「うっかりしていました。リズは確か村長の娘さんでお嬢様だから、通常の村人よりも耐久力が低いんでした。」
危ない危ない。
「何だそりゃ?」
「この村では森の浅い所で狩りをする人や、森から時々出てくる魔物を追い払う人が多いので、リズもその基準で考えていました。」
危うくリズが死んじゃうところだったわ。
「村人は殆どがそこそこ強いって事か?」
「浅い所の魔物ならなんとか出来る程度です。弱くて話になりませんよ。」
「お前の基準で言えばそうなんだろうな……。」
「仕方がありません。初めての転移魔法を使ってみましょう。」
ギャモーの手を取り転移魔法を発動する。一瞬で視界が切り替わり、目の前にはリズの家があった。
「いつの間に転移なんて使えるようになったんだ?」
「お母さんやアンリさんの転移を何度も見ましたので。失敗すると地面に埋まったり壁にはまったりするらしいですけど。」
ギャモーの顔が引き攣っている。
「こんにちはー!」
リズの家に挨拶をしながら入ると、村長さんが出迎えてくれた。
「おお! 聖女さんじゃないか。」
「村長さんこんにちは。リズがいじめられていたので連れて来ました。」
「リズ!! なんて姿に……。」
あちこち汚れて気絶しているリズを抱きよせ悲しむ村長さん。
どさくさに紛れて娘の胸に顔埋めるのってどうなの?
私は良い子だから人様の家庭に口は出さないけどね。
「ありがとうな。いつも村の皆が君をいじめてすまないね。」
「いえいえ、気にしないで下さい。それに、村長さんも私をいじめていたじゃないですか。」
村長さんは冷や汗を流しながらそっぽを向いている。
「な、なんの事かな?」
「昨日リズに聞いたから知ってるんですよ? 村の人達に私をいじめさせていた事を。」
「何だと? 村長さんよぉ、そりゃ本当か?」
ギャモーの顔つきが険しい。私の為に怒ってくれてるんだわ。
「言いがかりだ!」
「素直に謝れば許してあげますけど……。」
「俺はそんな事などしない! 人を疑うなんて酷い娘だ全く!」
どうやら認める気はないみたいね。
仕方ないから、認めるまでブッ叩いてあげよう。
「皆さん。リズはちょっと頭と口と性根が悪くて阿婆擦れなだけの普通の良い子だから、そのくらいで許してあげて下さい。」
「な、なんですって!!」
私が皆を止めようとしたら何故かリズが怒りだした。
助けてあげようとしたのにどうして怒るのかしら?
「ふん! いじめのターゲットが私になったからって調子乗るんじゃないわよ、この魔女め!」
ムカ。なんて悪い子なのかしら。
ゴンっ!!
「大変だわ。こんな所にリズが倒れています。家に運んであげましょう。」
「おい、助けてやるんじゃねぇのか?」
「助けてますよ?」
だから家に運ぼうとしてるんじゃないの。
「あら、聖女さん。」
「聖女さんはその阿婆擦れを庇うの?」
「リズなんてほっとけば良いのよ。」
「聖女さんの男も盗られちゃうよ?」
「阿婆擦れリズなんて森に捨てて来ればいいのに。」
「聖女さんの旦那恰好良い。」
「庇っているわけではありません。リズが汚れているから、沸騰したお湯で消毒してあげようと思って……。皆さんもどうですか?」
リズは生卵やら変な汁やら良く分からない紫色のベトベトやらで汚れきっていて、おまけにあちこち怪我だらけだ。
「わ、わたし用事を思い出したわ。」
「私も!」
「うん。今日は母の結婚記念日だった!」
「そう言えば、畑仕事忘れてた!」
「あ!門限があるんだった!」
「私も今日は何かある気がするわ!」
リズをいじめていた人達は顔を引き攣らせて、口々に用事があると言っては去って行った。
「皆どうしたんでしょう?」
今の子達は全員性根が腐っているから、後で追いかけて消毒してあげようっと。
「……アリエンナ。熱湯消毒はやめてやれ。」
「でも、殺菌しないと……。」
怪我もしているし、傷口からばい菌が入っちゃうわ。
「殺菌どころか殺害になっちまうだろうが。」
普通の人に熱湯や煮えた油をかけたらいけないって事くらい、私だってきちんと理解している。
過去にいじわる婆さんを煮えた油に叩き込んだ時、自身がたまたま熱に強いだけだという事を学習したのだ。
「回復魔法を使うので大丈夫ですよ。」
「……治せば何やっても良いと思ってねぇか?」
「そんな事……。」
ギャモーったら……治るんだから何をやっても良いに決まってるじゃない。
「なら良いけどよ。」
「はい。」
納得してくれたみたいで良かったわ。
「早速リズを運んであげましょう。」
それにしてもこの子ったら汚いわ。全身が汚れてしまっていて、汚くない所が殆どないじゃないの。
「これでよし、早くしないと可哀想だわ。」
私はリズの片足を持ち、引き摺りながら駆け足で移動を開始した。
「おいおいおいっ! ちょっと待て!」
「はい?」
「後ろ見てみろって! その運び方の方が可哀想だろが!」
私は駆け足のままで返事をしながら言われた通りにリズを見てみる。
ズルズルと引き摺られている彼女は地面の凸凹に頭をゴンゴンぶつけていた。
「確かに……なら、家の方角に投げましょう。」
うん。それなら安心だわ。私も汚れないし。
一旦走るのをやめ、リズを家の方に放り投げようと構える。
「待てって! それだと死んじまうだろが!?」
「死なないように回復魔法を放っておきますので大丈夫ですよ?」
「だとしても、普通の人間は死ぬだろ。」
「うっかりしていました。リズは確か村長の娘さんでお嬢様だから、通常の村人よりも耐久力が低いんでした。」
危ない危ない。
「何だそりゃ?」
「この村では森の浅い所で狩りをする人や、森から時々出てくる魔物を追い払う人が多いので、リズもその基準で考えていました。」
危うくリズが死んじゃうところだったわ。
「村人は殆どがそこそこ強いって事か?」
「浅い所の魔物ならなんとか出来る程度です。弱くて話になりませんよ。」
「お前の基準で言えばそうなんだろうな……。」
「仕方がありません。初めての転移魔法を使ってみましょう。」
ギャモーの手を取り転移魔法を発動する。一瞬で視界が切り替わり、目の前にはリズの家があった。
「いつの間に転移なんて使えるようになったんだ?」
「お母さんやアンリさんの転移を何度も見ましたので。失敗すると地面に埋まったり壁にはまったりするらしいですけど。」
ギャモーの顔が引き攣っている。
「こんにちはー!」
リズの家に挨拶をしながら入ると、村長さんが出迎えてくれた。
「おお! 聖女さんじゃないか。」
「村長さんこんにちは。リズがいじめられていたので連れて来ました。」
「リズ!! なんて姿に……。」
あちこち汚れて気絶しているリズを抱きよせ悲しむ村長さん。
どさくさに紛れて娘の胸に顔埋めるのってどうなの?
私は良い子だから人様の家庭に口は出さないけどね。
「ありがとうな。いつも村の皆が君をいじめてすまないね。」
「いえいえ、気にしないで下さい。それに、村長さんも私をいじめていたじゃないですか。」
村長さんは冷や汗を流しながらそっぽを向いている。
「な、なんの事かな?」
「昨日リズに聞いたから知ってるんですよ? 村の人達に私をいじめさせていた事を。」
「何だと? 村長さんよぉ、そりゃ本当か?」
ギャモーの顔つきが険しい。私の為に怒ってくれてるんだわ。
「言いがかりだ!」
「素直に謝れば許してあげますけど……。」
「俺はそんな事などしない! 人を疑うなんて酷い娘だ全く!」
どうやら認める気はないみたいね。
仕方ないから、認めるまでブッ叩いてあげよう。
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