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聖女の暴力編
第78話 聖女の結婚披露宴
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突然ですが、この度私アリエンナは故郷の村で祝言を挙げる事となりました。
ギャモーとは多少のすれ違いもありましたが、結婚したという事をお披露目したいという私の希望を彼が聞いてくれたのです。
※多少どころではありません。
村の女達は「やっとあの女が結婚する!」とこぞって祝福し、男達は「ふざけんなちくしょう!」と血の涙を流してギャモーに祝いの言葉を吐いています。
今まで迫害されてきた私ですが、村の人達はお母さんの鶴の一声で全員綺麗に整列して披露宴に出席してくれたのです。
この村で一番大きな建物である教会内は、すっかり村人で埋め尽くされていた。
皆畑仕事は良いのかしら?
「アリエンナ。お前は色々捻くれたところもあるが、素直でその……綺麗だぞ。」
捻くれてるのに素直とはどういう意味かしら? ちょっと分からないけど、とにかく素直って事なのね。
「ありがとうございます。ギャモーは(顔面が)失礼なところもあるけど優しいし、たくさん幸せにして下さいね。」
私だって学習するのだ。当然彼の顔が失礼な事はもう言わない。
「あなた達、何で素直に互いを褒めないのよ。ギャモーさんは照れ隠しだって分かるけどね。」
「おばあちゃん。ありがとう。」
「おばあちゃんはよして!」
アンリさんは何で怒ってるのかしら? 村の人達はアンリさんが私のおばあちゃんだって知らないんだから、祖母だってアピールしないと伝わらないよ?
「アリエンナ。ギャモーさんと幸せになってね。」
「お母さんありがとう。絶対に片時も離れないわ。」
これからはお風呂やトイレもついて行こう。
※この夫婦には話し合いが必要です
「アリエンナは俺の娘だぞ! 絶対にお前なんかにはやら……」
ドギャッ!!
あっ……。お父さんが窓を突き破って飛んでっちゃった。
あっちは深淵の森方向だけど大丈夫かな?
※大丈夫じゃありません
ギャモーの顔が引き攣っている。どうしたの?
「なぁ。アリエンナはあんな風に俺をブッ叩いたりしねぇよな……?」
「そんな事はしませんよ。」
変な心配しちゃって。そんな事するワケないわ。
ギャモーを害する存在なんて私が塵も残さず滅ぼしちゃうんだから。
「聖女様はどうしてギャモーを選んだのですか? 正直、あまり格好良くはありませんよね?」
ミレイユさんは私とギャモーの恋バナを聞きたいみたいね。
「簡単な話です。ギャモーは常に紳士でした。」
「紳士……ですか?」
「はい。村の男達なんて常に襲い掛かってくるのに、彼は一緒に暮らしていても私に襲い掛かる事は一切無く、良い所は褒めてくれるしいつも守ってくれた……そんな素敵な人。だから彼を大切にしようと思った事が始まりです。」
今の今まで皆ガヤガヤと騒がしかったのに、辺りが急にシンと静まり返る。
もしかして、皆私達の恋バナを聞きたいのかしら?
「こんな美人に襲い掛からないのも逆に凄いわね。」
アンリさんは感心したようにギャモーを見ており、周囲の村人達もうんうんと頷いてアンリさんの意見に同意している様子が見て取れる。
そんなに美人だと思うなら魔女だと言っていじめないで欲しかった。
「アリエンナ!!」
突然名前を呼ばれ振り向くと、そこにはかつて幼い頃仲の良かった男の子が居た。
昔はよく一緒に遊んだのだが、この人に「結婚してやるよ。お前なんてどうせ誰も貰ってくれないだろ?」と言われ、腹が立って棒でブッ叩いて以来、交友関係が途絶していたのだ。
以前ギャモーとの結婚を報告する為村に来た際、この人に手を引っ張られてどこかへ連れ去られそうになった。
ギャモーに浮気を疑われたくなくて加減を間違ってブッ叩いてしまったのだけど……その事を怒ってるのかも。
「俺じゃダメなのか!? 昔はあんなに仲良かっただろ!!」
今更何を言ってるのかしら?
「ダメです。」
「何故だ!?」
「下着盗ったり襲い掛かってくるからです。」
「お前程の美人相手だと仕方ないだろ!!」
私くらいの美人相手だと仕方ないのね。知らなかった。
だからと言って下着泥棒や痴漢を開き直るのってどうなの?
「でもダメです。」
「そんな冒険者よりも絶対俺の方が強いぞ!」
それはあり得ない。ギャモーは既に魔神級一歩手前の戦闘力はあるはず。剣術なんかも含めてしまえば魔神とも互角に戦えるかもしれない程には強い。
「えっと、昔アリエンナと良く遊んでくれたルーシュ君よね?」
お母さんもこの子の事は覚えているみたい。
「はい! お義母さん、覚えてくれてたんですね!?」
「アリエンナみたいに変わった子と遊んでくれてたから覚えているわよ。」
確かに私はちょっと変わっていたかもしれないけど、お母さんには言われたくない。
「お義母さんも俺の方がアリエンナに相応しいと思いますよね!?」
まるで自分こそが正しいと言わんばかりにお母さんに詰め寄るルーシュ君。その自信は一体どこから来るのかしら?
「全然思わないわ。だって、あなた下着盗ってばかりでまともなアプローチをしなかったじゃない。」
「……。」
あ、ショック受けてる。
でもお母さんの言う通り、下着泥棒とは結婚したくないわ。
「おばあ様は俺の方が相応しいと思いますよね!?」
彼は気を取り直して今度はアンリさんに話しかけている。
「誰がおばあ様よ! まぁ……相応しいかは知らないけど、俺の方が強いぞとか言う男って碌なのが居ないわよね。」
「……。」
あ、またショック受けてる。
そしてまだ懲りていないのか、ルーシュ君はギャモーを睨みながら怒鳴り始める。
ギャモーとは多少のすれ違いもありましたが、結婚したという事をお披露目したいという私の希望を彼が聞いてくれたのです。
※多少どころではありません。
村の女達は「やっとあの女が結婚する!」とこぞって祝福し、男達は「ふざけんなちくしょう!」と血の涙を流してギャモーに祝いの言葉を吐いています。
今まで迫害されてきた私ですが、村の人達はお母さんの鶴の一声で全員綺麗に整列して披露宴に出席してくれたのです。
この村で一番大きな建物である教会内は、すっかり村人で埋め尽くされていた。
皆畑仕事は良いのかしら?
「アリエンナ。お前は色々捻くれたところもあるが、素直でその……綺麗だぞ。」
捻くれてるのに素直とはどういう意味かしら? ちょっと分からないけど、とにかく素直って事なのね。
「ありがとうございます。ギャモーは(顔面が)失礼なところもあるけど優しいし、たくさん幸せにして下さいね。」
私だって学習するのだ。当然彼の顔が失礼な事はもう言わない。
「あなた達、何で素直に互いを褒めないのよ。ギャモーさんは照れ隠しだって分かるけどね。」
「おばあちゃん。ありがとう。」
「おばあちゃんはよして!」
アンリさんは何で怒ってるのかしら? 村の人達はアンリさんが私のおばあちゃんだって知らないんだから、祖母だってアピールしないと伝わらないよ?
「アリエンナ。ギャモーさんと幸せになってね。」
「お母さんありがとう。絶対に片時も離れないわ。」
これからはお風呂やトイレもついて行こう。
※この夫婦には話し合いが必要です
「アリエンナは俺の娘だぞ! 絶対にお前なんかにはやら……」
ドギャッ!!
あっ……。お父さんが窓を突き破って飛んでっちゃった。
あっちは深淵の森方向だけど大丈夫かな?
※大丈夫じゃありません
ギャモーの顔が引き攣っている。どうしたの?
「なぁ。アリエンナはあんな風に俺をブッ叩いたりしねぇよな……?」
「そんな事はしませんよ。」
変な心配しちゃって。そんな事するワケないわ。
ギャモーを害する存在なんて私が塵も残さず滅ぼしちゃうんだから。
「聖女様はどうしてギャモーを選んだのですか? 正直、あまり格好良くはありませんよね?」
ミレイユさんは私とギャモーの恋バナを聞きたいみたいね。
「簡単な話です。ギャモーは常に紳士でした。」
「紳士……ですか?」
「はい。村の男達なんて常に襲い掛かってくるのに、彼は一緒に暮らしていても私に襲い掛かる事は一切無く、良い所は褒めてくれるしいつも守ってくれた……そんな素敵な人。だから彼を大切にしようと思った事が始まりです。」
今の今まで皆ガヤガヤと騒がしかったのに、辺りが急にシンと静まり返る。
もしかして、皆私達の恋バナを聞きたいのかしら?
「こんな美人に襲い掛からないのも逆に凄いわね。」
アンリさんは感心したようにギャモーを見ており、周囲の村人達もうんうんと頷いてアンリさんの意見に同意している様子が見て取れる。
そんなに美人だと思うなら魔女だと言っていじめないで欲しかった。
「アリエンナ!!」
突然名前を呼ばれ振り向くと、そこにはかつて幼い頃仲の良かった男の子が居た。
昔はよく一緒に遊んだのだが、この人に「結婚してやるよ。お前なんてどうせ誰も貰ってくれないだろ?」と言われ、腹が立って棒でブッ叩いて以来、交友関係が途絶していたのだ。
以前ギャモーとの結婚を報告する為村に来た際、この人に手を引っ張られてどこかへ連れ去られそうになった。
ギャモーに浮気を疑われたくなくて加減を間違ってブッ叩いてしまったのだけど……その事を怒ってるのかも。
「俺じゃダメなのか!? 昔はあんなに仲良かっただろ!!」
今更何を言ってるのかしら?
「ダメです。」
「何故だ!?」
「下着盗ったり襲い掛かってくるからです。」
「お前程の美人相手だと仕方ないだろ!!」
私くらいの美人相手だと仕方ないのね。知らなかった。
だからと言って下着泥棒や痴漢を開き直るのってどうなの?
「でもダメです。」
「そんな冒険者よりも絶対俺の方が強いぞ!」
それはあり得ない。ギャモーは既に魔神級一歩手前の戦闘力はあるはず。剣術なんかも含めてしまえば魔神とも互角に戦えるかもしれない程には強い。
「えっと、昔アリエンナと良く遊んでくれたルーシュ君よね?」
お母さんもこの子の事は覚えているみたい。
「はい! お義母さん、覚えてくれてたんですね!?」
「アリエンナみたいに変わった子と遊んでくれてたから覚えているわよ。」
確かに私はちょっと変わっていたかもしれないけど、お母さんには言われたくない。
「お義母さんも俺の方がアリエンナに相応しいと思いますよね!?」
まるで自分こそが正しいと言わんばかりにお母さんに詰め寄るルーシュ君。その自信は一体どこから来るのかしら?
「全然思わないわ。だって、あなた下着盗ってばかりでまともなアプローチをしなかったじゃない。」
「……。」
あ、ショック受けてる。
でもお母さんの言う通り、下着泥棒とは結婚したくないわ。
「おばあ様は俺の方が相応しいと思いますよね!?」
彼は気を取り直して今度はアンリさんに話しかけている。
「誰がおばあ様よ! まぁ……相応しいかは知らないけど、俺の方が強いぞとか言う男って碌なのが居ないわよね。」
「……。」
あ、またショック受けてる。
そしてまだ懲りていないのか、ルーシュ君はギャモーを睨みながら怒鳴り始める。
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