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聖女の暴力編
第73話 聖女の解決!魔界騒動2
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「待ちなさい!」
え? アンリさん、まだ何かあるの?
「どうやって帰るつもりよ。」
「お母さんの転移で帰りますけど。」
「無理よ。人間界と魔界の行き来は転移じゃなく、ゲートの魔法じゃないと。」
そうだっけ?
というか、1級悪魔の人達のガッカリした顔ときたら。私達がまだ居るのがそんなに嫌?
ほんとに失礼ね。
「それに、まだお給料もらってないでしょうが。」
「言われてみればそうね。」
「忘れてました。」
「二人の銀行口座は作っておいたから、魔界に来たらいつでも引き出せるようにはしてあるけど。」
なら良いわね。
「だったらまた今度で良いです。」
「向こうではお金に困ってないしね。それじゃあ帰ろっか。」
お母さんはそう言うと尋常ではない魔力を練り上げ始めた。まるでこの辺り一帯がお母さんのテリトリーになってしまったのかと錯覚する程、周囲が濃密な魔力で溢れている。
「ちょっと! 何する気よ!!」
「ゲートの魔法だけど?」
ゲートの魔法って大変ね。お母さんの魔力が二割も減っている。
大体1ベーゼブくらいの魔力量かな?
「絶対違うわよ! そんなに魔力使うもんじゃ……」
「オラァっ!!!!」
お母さんの掛け声と共に練り上げた魔力が虚空に放たれ、パリンと音を立てて空中に大きな穴が出現した。
「要は次元に穴を開ければ良いんでしょ? はい、ゲート完成っと。」
全員の顔が引き攣っていた。
「お母さん、ゲートの魔法なんていつの間に覚えたの?」
「何か適当にやったら出来ただけよ。」
流石ね。
「それ、絶対にゲートの魔法じゃないわ……。」
アンリさんがポツリと呟いているけど、出現した穴の向こうに私の実家が見えている。
つまりゲートの魔法は成功しているという事よね。
アンリさんは時々変な事を言うから困ったものだ。
「じゃあね。」
「皆さんさようなら。」
別れ際に手を振ると、皆の笑顔が引き攣っていた。
何で?
私達は久々の人間界に帰って来た。
「ねぇ、お母さん。」
「なあに?」
「あの穴っていつまであるの?」
「さあ?」
お母さんでも分からないみたい。
「そんな事より、ギャモーさんに会ってきたら? 大分会ってないでしょ?」
それもそうだわ。
「でもどこにいるのか分からないよ……。」
「多分森の方じゃない? 修行にはもってこいの場所なんだし。」
「じゃあ行ってみるね。」
私は深淵の森に走って行く。道中村人が絡んでこようとしたので軽く轢いておいた。
何とか加減したから数メートル吹っ飛ぶ程度で済んでいる。
私は急に止まれないんだから、いきなり前に出て来ないで欲しい。
「どこに居るのかな?」
この森って結構広いから探すのが大変。
「にしても魔物達の様子が変ね。」
以前は森の魔物が結構寄ってきてたんだけど、何故か今は避けられている。
というか、私を見た瞬間に魔物が断末魔のような悲鳴をあげて全力で逃げ出すのだ。
「森に何か異変があったのかしら?」
※今のアリエンナは身体強化の出力が魔神級です
森の奥の方から何か聞こえてくる。
「もしかしてギャモー達かしら?」
久しぶりに会えるのだと思うと、楽しみ過ぎてルンルン気分で駆け出してしまった。
森の奥ではギャモーとミレイユさんが剣を打ち合い、ミザリーさんが何かアドバイスをしているようだ。
「久しぶりですね。」
「うおっ!?」
「ひぃぃっ!!」
「ってアリエンナ……か?」
私を見て驚くギャモーとミレイユさん。そしてじっとこちらを見ている先生役のミザリーさん。
「それ以外の何に見えるんですか?」
「いや、強くなり過ぎてて偽物かと思ってよ。これだけ美人な奴はお前とお前の母ちゃんくらいしかいねぇから本物だって分かったけどな。」
ギャモーったら、結婚しても口説いてくれるのね。
「ギャモーとミレイユさんだって強くなったじゃないですか。」
「まぁ……。」
二人は冒険者で言う所のSSランクには到達しているように見える。
強くなるの早くない?
「聖女様は強くなり過ぎじゃありませんか? オシッコちびりそうになったんですけど。」
ミレイユさんは大袈裟ね。
「……お前がアリエンナだという証拠はどこにある。本当は魔神が化けているのではないか? 何が目的だ。」
「はい?」
「あくまで白を切る気か?」
「えっと、本当にアリエンナですが。」
良く分からないけど、ミザリーさんに疑われているみたい。どうやって説得しよう。
「この短期間でそこまで強くなる奴がいるワケないだろう。アリエンナは1級悪魔レベルなんだ。見た目は似ているが、強さまでは誤魔化せないぞ。」
「あの……。」
「今、魔神アンリを呼んだ。もうじき駆けつけて……」
「緊急事態だって!?」
「あっ。」
アンリさんが転移で現れた。来るの早くない?
今度暇な時、試しに呼んでみようかな。
「ミザリー! 何があったの!!」
「アンリ、魔神が攻めて来た。見てみろ。」
ミザリーさんが私を指さし、それにつられて私を見るアンリさん。
「アリエンナちゃん! 魔神はどこにいるの?」
「えっと、ミザリーさんが私を偽物だと思っているようでして。」
ミザリーさんは、短期間で強くなり過ぎた私を魔神が化けていると勘違いしている。
事情をかいつまんで説明すると、アンリさんもミザリーさんも納得してくれた。
え? アンリさん、まだ何かあるの?
「どうやって帰るつもりよ。」
「お母さんの転移で帰りますけど。」
「無理よ。人間界と魔界の行き来は転移じゃなく、ゲートの魔法じゃないと。」
そうだっけ?
というか、1級悪魔の人達のガッカリした顔ときたら。私達がまだ居るのがそんなに嫌?
ほんとに失礼ね。
「それに、まだお給料もらってないでしょうが。」
「言われてみればそうね。」
「忘れてました。」
「二人の銀行口座は作っておいたから、魔界に来たらいつでも引き出せるようにはしてあるけど。」
なら良いわね。
「だったらまた今度で良いです。」
「向こうではお金に困ってないしね。それじゃあ帰ろっか。」
お母さんはそう言うと尋常ではない魔力を練り上げ始めた。まるでこの辺り一帯がお母さんのテリトリーになってしまったのかと錯覚する程、周囲が濃密な魔力で溢れている。
「ちょっと! 何する気よ!!」
「ゲートの魔法だけど?」
ゲートの魔法って大変ね。お母さんの魔力が二割も減っている。
大体1ベーゼブくらいの魔力量かな?
「絶対違うわよ! そんなに魔力使うもんじゃ……」
「オラァっ!!!!」
お母さんの掛け声と共に練り上げた魔力が虚空に放たれ、パリンと音を立てて空中に大きな穴が出現した。
「要は次元に穴を開ければ良いんでしょ? はい、ゲート完成っと。」
全員の顔が引き攣っていた。
「お母さん、ゲートの魔法なんていつの間に覚えたの?」
「何か適当にやったら出来ただけよ。」
流石ね。
「それ、絶対にゲートの魔法じゃないわ……。」
アンリさんがポツリと呟いているけど、出現した穴の向こうに私の実家が見えている。
つまりゲートの魔法は成功しているという事よね。
アンリさんは時々変な事を言うから困ったものだ。
「じゃあね。」
「皆さんさようなら。」
別れ際に手を振ると、皆の笑顔が引き攣っていた。
何で?
私達は久々の人間界に帰って来た。
「ねぇ、お母さん。」
「なあに?」
「あの穴っていつまであるの?」
「さあ?」
お母さんでも分からないみたい。
「そんな事より、ギャモーさんに会ってきたら? 大分会ってないでしょ?」
それもそうだわ。
「でもどこにいるのか分からないよ……。」
「多分森の方じゃない? 修行にはもってこいの場所なんだし。」
「じゃあ行ってみるね。」
私は深淵の森に走って行く。道中村人が絡んでこようとしたので軽く轢いておいた。
何とか加減したから数メートル吹っ飛ぶ程度で済んでいる。
私は急に止まれないんだから、いきなり前に出て来ないで欲しい。
「どこに居るのかな?」
この森って結構広いから探すのが大変。
「にしても魔物達の様子が変ね。」
以前は森の魔物が結構寄ってきてたんだけど、何故か今は避けられている。
というか、私を見た瞬間に魔物が断末魔のような悲鳴をあげて全力で逃げ出すのだ。
「森に何か異変があったのかしら?」
※今のアリエンナは身体強化の出力が魔神級です
森の奥の方から何か聞こえてくる。
「もしかしてギャモー達かしら?」
久しぶりに会えるのだと思うと、楽しみ過ぎてルンルン気分で駆け出してしまった。
森の奥ではギャモーとミレイユさんが剣を打ち合い、ミザリーさんが何かアドバイスをしているようだ。
「久しぶりですね。」
「うおっ!?」
「ひぃぃっ!!」
「ってアリエンナ……か?」
私を見て驚くギャモーとミレイユさん。そしてじっとこちらを見ている先生役のミザリーさん。
「それ以外の何に見えるんですか?」
「いや、強くなり過ぎてて偽物かと思ってよ。これだけ美人な奴はお前とお前の母ちゃんくらいしかいねぇから本物だって分かったけどな。」
ギャモーったら、結婚しても口説いてくれるのね。
「ギャモーとミレイユさんだって強くなったじゃないですか。」
「まぁ……。」
二人は冒険者で言う所のSSランクには到達しているように見える。
強くなるの早くない?
「聖女様は強くなり過ぎじゃありませんか? オシッコちびりそうになったんですけど。」
ミレイユさんは大袈裟ね。
「……お前がアリエンナだという証拠はどこにある。本当は魔神が化けているのではないか? 何が目的だ。」
「はい?」
「あくまで白を切る気か?」
「えっと、本当にアリエンナですが。」
良く分からないけど、ミザリーさんに疑われているみたい。どうやって説得しよう。
「この短期間でそこまで強くなる奴がいるワケないだろう。アリエンナは1級悪魔レベルなんだ。見た目は似ているが、強さまでは誤魔化せないぞ。」
「あの……。」
「今、魔神アンリを呼んだ。もうじき駆けつけて……」
「緊急事態だって!?」
「あっ。」
アンリさんが転移で現れた。来るの早くない?
今度暇な時、試しに呼んでみようかな。
「ミザリー! 何があったの!!」
「アンリ、魔神が攻めて来た。見てみろ。」
ミザリーさんが私を指さし、それにつられて私を見るアンリさん。
「アリエンナちゃん! 魔神はどこにいるの?」
「えっと、ミザリーさんが私を偽物だと思っているようでして。」
ミザリーさんは、短期間で強くなり過ぎた私を魔神が化けていると勘違いしている。
事情をかいつまんで説明すると、アンリさんもミザリーさんも納得してくれた。
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