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聖女の暴力編
第59話 聖女の休暇
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聖女軍は魔神二体の回復を待つ為、暫くは通常業務に励む事となった。
今の所ルシーフとバルバスが攻めてくる様子もなく、悪い悪魔をブッ叩くだけの平和な日常を送っている。
そんな休暇のような日々を過ごしていると……
「聖女様、天使と名乗る者が聖女様に会わせろと言ってきていますが、如何なさいますか?」
天使? 良く分からないけど興味はある。
「会ってみようかしら。」
「良いんじゃない? アリエンナは天使って見た事ないでしょ?」
「うん。」
お母さんの言う通り、私は天使を見た事が無い。見た事ある人の方が珍しいけど。
「アリエンナ、身体強化を切って。」
急にどうしたんだろう?
「ちょっと考えがあるのよ。」
まぁ、それなら……。
「わかった。」
私とお母さんは身体強化魔法を切った。
「じゃあ、天使をここへ通して頂戴。」
「はっ!」
ほどなくして天使と名乗る者が連れて来られた。頭に輪っかが二つついていて、背中には白い翼が生えている男の人だ。
「やぁやぁ。我こそはピョコニョモノニャー神に仕える第二の天使ニャンニャルである。」
「これはどうも御叮嚀に。聖女アリエンナです。」
凄くぶっ飛んだ名前だわ。生きていて恥ずかしくないのかしら?
「本日はアリエンナ嬢を天使に勧誘しに参った次第。」
私を天使に?
「どうしてですか?」
「我が神は聖女アリエンナ嬢の活躍を知り、大層ご機嫌である。是非とも天使となって仕えて欲しいのである。」
確かに最近は色々と活躍していた気がする。悪い悪魔をブッ叩いてまわったのが良かったのかしら?
「天使になれば、美味しい食べ物に美味しい飲み物が食べ飲み放題である。他にも金銀財宝ざっくざくのお風呂にも入れるのだ。」
なんて俗な特典なのかしら。
「今ならば天使になる為の試験も特別に免除して下さるそうである。ゆくゆくは神となり、神と結婚出来る嬉しい特典つき。」
それならもう結婚しているからダメね。
「すみませんがお断りします。」
「何故であるか? 神となり、神と結婚出来るなど普通の生物は一生叶わぬ夢であるのだぞ?」
「もう結婚していますので。」
「我が神は寛容である。離婚してから天使になれば良いのである。」
それは嫌よ。
「それでもお断りします。」
「……母君のアリエーン嬢からも説得して欲しいのである。」
え? お母さん知り合い?
「ダメよ。この娘は絶対に離婚しないもの。」
「うーん。困ったのである。」
「ねぇ、お母さんは知り合いなの?」
「以前、私にも勧誘に来た事があるのよ。」
そっか。それでお母さんは天使や神の事情を知っていたんだわ。
「お試しにでもダメであるか?」
「ダメです。」
「これは困った……神はアリエンナ嬢をお求めである。」
何でそこまで?
「理由は何です? 別に私じゃなくても良いのではありませんか?」
「ピョコニョモノニャー神はアリエンナ嬢とラブラブチュッチュしたいと仰せである。」
何それ? バカなんじゃない?
「バカなんですか?」
「なっ!! なんという不敬であるか! ニャンニャルは怒ったである!」
怒ったの? 意外と短気ね。
「ならどうするんですか? 力づくでも連れて行きます?」
「そうするのであるっ!」
へぇ?
私は天使ニャンニャルに襲い掛かった。
ドォォォォォン!!!!
この感触は…………
「お母さん、どうして止めたの?」
私の拳はお母さんに受け止められていた。
「ニャンニャルがどうなろうと別に良いんだけどね。多分こいつを殴ると面倒臭い事になるわよ?」
「そうなの? じゃあやめておく。」
「はっ……はひ……。」
「大丈夫ですか?」
ニャンニャルはその場に固まった状態で立っていた。
「……死を覚悟したのである。」
大袈裟だわ。死なない程度には加減したはずだから、殴っちゃっても大丈夫なんだけどなぁ……多分。
「ところで、面倒って何?」
「それがね……」
話によると、以前勧誘を受けたお母さんはニャンニャルをブッ叩いたそう。
すると怒った天使達が毎日のようにひっきりなしに襲撃して来てはそれを撃退するという事を繰り返し、最初のうちは相手が天使だからという理由で我慢していたお母さんがブチギレ、最終的には天使達をミンチにして回ったらしい。
言われてみれば、幼い頃に羽の生えた人達がお母さんと遊んでいたような記憶がある。
あれって襲われてたんだ。
「という事で、天使ってそれ程強くないけどしつこくて面倒なのよ。結局、当時こいつが所属していた所の天使を全部滅ぼしちゃったわ。」
天使が強くないと言っても、3級悪魔より弱い程度だ。当時のお母さんにしてみれば大勢で襲い掛かられると少し面倒な相手だったのだと思う。
でも待って。それなら……
「どうして天使ニャンニャルは生きてるの? さっきの話だと死んでるんだよね?」
「あぁ。それは神が復活させて下さるからである。」
「ま、そうでしょうね。」
凄い、死んでも復活出来るんだ。その魔法だけ教えて欲しい。
「襲撃してきたバカな天使がペラペラと話してくれたんだけどね、神は大体が1級上位から特級悪魔くらいの強さらしいわ。その中でも特に力の強い神は大神と呼ばれ、そいつらは魔神級に強いんだって。」
「じゃあ、どうしてもムカついたらブッ叩いて言う事聞かせれば良いんだ。」
「まぁ、今の私とアリエンナならなくもない選択肢ね。」
そう考えたら気が楽になったわ。
「そんな事はどうせ出来ないのである。」
「天使って便利よね。死んでも神が復活させてくれるんだもの……。」
「……その目は何であるか?」
「神を脅して復活魔法を教えて貰えないかしらね?」
それは…………
「……とっても良い考えね。」
私は笑顔でお母さんに応えた。
今の所ルシーフとバルバスが攻めてくる様子もなく、悪い悪魔をブッ叩くだけの平和な日常を送っている。
そんな休暇のような日々を過ごしていると……
「聖女様、天使と名乗る者が聖女様に会わせろと言ってきていますが、如何なさいますか?」
天使? 良く分からないけど興味はある。
「会ってみようかしら。」
「良いんじゃない? アリエンナは天使って見た事ないでしょ?」
「うん。」
お母さんの言う通り、私は天使を見た事が無い。見た事ある人の方が珍しいけど。
「アリエンナ、身体強化を切って。」
急にどうしたんだろう?
「ちょっと考えがあるのよ。」
まぁ、それなら……。
「わかった。」
私とお母さんは身体強化魔法を切った。
「じゃあ、天使をここへ通して頂戴。」
「はっ!」
ほどなくして天使と名乗る者が連れて来られた。頭に輪っかが二つついていて、背中には白い翼が生えている男の人だ。
「やぁやぁ。我こそはピョコニョモノニャー神に仕える第二の天使ニャンニャルである。」
「これはどうも御叮嚀に。聖女アリエンナです。」
凄くぶっ飛んだ名前だわ。生きていて恥ずかしくないのかしら?
「本日はアリエンナ嬢を天使に勧誘しに参った次第。」
私を天使に?
「どうしてですか?」
「我が神は聖女アリエンナ嬢の活躍を知り、大層ご機嫌である。是非とも天使となって仕えて欲しいのである。」
確かに最近は色々と活躍していた気がする。悪い悪魔をブッ叩いてまわったのが良かったのかしら?
「天使になれば、美味しい食べ物に美味しい飲み物が食べ飲み放題である。他にも金銀財宝ざっくざくのお風呂にも入れるのだ。」
なんて俗な特典なのかしら。
「今ならば天使になる為の試験も特別に免除して下さるそうである。ゆくゆくは神となり、神と結婚出来る嬉しい特典つき。」
それならもう結婚しているからダメね。
「すみませんがお断りします。」
「何故であるか? 神となり、神と結婚出来るなど普通の生物は一生叶わぬ夢であるのだぞ?」
「もう結婚していますので。」
「我が神は寛容である。離婚してから天使になれば良いのである。」
それは嫌よ。
「それでもお断りします。」
「……母君のアリエーン嬢からも説得して欲しいのである。」
え? お母さん知り合い?
「ダメよ。この娘は絶対に離婚しないもの。」
「うーん。困ったのである。」
「ねぇ、お母さんは知り合いなの?」
「以前、私にも勧誘に来た事があるのよ。」
そっか。それでお母さんは天使や神の事情を知っていたんだわ。
「お試しにでもダメであるか?」
「ダメです。」
「これは困った……神はアリエンナ嬢をお求めである。」
何でそこまで?
「理由は何です? 別に私じゃなくても良いのではありませんか?」
「ピョコニョモノニャー神はアリエンナ嬢とラブラブチュッチュしたいと仰せである。」
何それ? バカなんじゃない?
「バカなんですか?」
「なっ!! なんという不敬であるか! ニャンニャルは怒ったである!」
怒ったの? 意外と短気ね。
「ならどうするんですか? 力づくでも連れて行きます?」
「そうするのであるっ!」
へぇ?
私は天使ニャンニャルに襲い掛かった。
ドォォォォォン!!!!
この感触は…………
「お母さん、どうして止めたの?」
私の拳はお母さんに受け止められていた。
「ニャンニャルがどうなろうと別に良いんだけどね。多分こいつを殴ると面倒臭い事になるわよ?」
「そうなの? じゃあやめておく。」
「はっ……はひ……。」
「大丈夫ですか?」
ニャンニャルはその場に固まった状態で立っていた。
「……死を覚悟したのである。」
大袈裟だわ。死なない程度には加減したはずだから、殴っちゃっても大丈夫なんだけどなぁ……多分。
「ところで、面倒って何?」
「それがね……」
話によると、以前勧誘を受けたお母さんはニャンニャルをブッ叩いたそう。
すると怒った天使達が毎日のようにひっきりなしに襲撃して来てはそれを撃退するという事を繰り返し、最初のうちは相手が天使だからという理由で我慢していたお母さんがブチギレ、最終的には天使達をミンチにして回ったらしい。
言われてみれば、幼い頃に羽の生えた人達がお母さんと遊んでいたような記憶がある。
あれって襲われてたんだ。
「という事で、天使ってそれ程強くないけどしつこくて面倒なのよ。結局、当時こいつが所属していた所の天使を全部滅ぼしちゃったわ。」
天使が強くないと言っても、3級悪魔より弱い程度だ。当時のお母さんにしてみれば大勢で襲い掛かられると少し面倒な相手だったのだと思う。
でも待って。それなら……
「どうして天使ニャンニャルは生きてるの? さっきの話だと死んでるんだよね?」
「あぁ。それは神が復活させて下さるからである。」
「ま、そうでしょうね。」
凄い、死んでも復活出来るんだ。その魔法だけ教えて欲しい。
「襲撃してきたバカな天使がペラペラと話してくれたんだけどね、神は大体が1級上位から特級悪魔くらいの強さらしいわ。その中でも特に力の強い神は大神と呼ばれ、そいつらは魔神級に強いんだって。」
「じゃあ、どうしてもムカついたらブッ叩いて言う事聞かせれば良いんだ。」
「まぁ、今の私とアリエンナならなくもない選択肢ね。」
そう考えたら気が楽になったわ。
「そんな事はどうせ出来ないのである。」
「天使って便利よね。死んでも神が復活させてくれるんだもの……。」
「……その目は何であるか?」
「神を脅して復活魔法を教えて貰えないかしらね?」
それは…………
「……とっても良い考えね。」
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