【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!

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聖女の暴力編

第58話 聖女の聖女による聖女の為の聖女軍

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 アドンの城へと帰り、今後について話し合いが行われた。

 魔神三体に加え、私やお母さんというイレギュラーな戦力が揃ったこの陣営。

 指揮系統はどうするのかという問題だったのだが……

「アリエンナちゃんがトップで良いんじゃない?」

「そうだな。」

「僕も賛成さ。」

 と、このようにすんなりと決まってしまい、そして№2はお母さんになった。

 お母さんは私とアドンが取り立てを行っている間にベーゼブと戦い続け、魔神クラスまで強さを上げてしまっていたのだ。

 本当はもっと戦いたかったそうなのだが、彼の魔力が尽きてしまってはいけない為にそこそこで切り上げたみたい。

 と言っても保有魔力は半分を切ってしまったという話だが。

「名前はどうするの?」

「私は聖女軍が良いです。」

「アリエンナがそれで良いなら私も賛成よ。」

「あぁ。俺も不満はない。」

「決まりだね。」

 これまたあっさりと決まってしまった。

 私は皆に比べると年齢も若いし、未経験だから色々と不安な面もある。

 でも話を聞いてみると、どうやら魔界では強い者が上に立つ傾向があるようで、実績や経験が不足していたとしても配下がそれを補うので心配いらないとの事。

 最悪、自身の配下に全てを丸投げするような形式もアリらしい。トップにいるだけで何もしない魔神ルシーフが良い例だ。

「流石に丸投げするのは……。」

「ルシーフに関しては特殊な例だから、アリエンナちゃんが色々と不安なら周りに相談すれば良いわ。聖女軍は魔神が三体所属する陣営なんだし、トップに立った経験のある魔神が三体もいるんだから存分に頼れば良いのよ。」

 それもそうだよね。

「分かりました。たくさん頼ります。」

「任せて。」

「俺も相談にのろう。」

「僕も頼りにしてね。」

 三体の魔神が温かい言葉をかけてくれる。家族のような和気あいあいとしたアットホームな職場を目指そう。

「ありがとうございます。」

 とても嬉しいわ。

「私にも頼るのよ? お母さんね、アリエンナの為ならどんな奴でも滅ぼしてみせるから。」

 お母さんが頼もしい。

 周囲を見れば、魔神とその配下達全員の顔が引き攣っていた。どうして?

「さ、さぁ……他にも決めなきゃいけない事がたくさんあるんだから、余計な話はおいておきましょう。」

「う、うむ。」

「そ、そうだね。」

 皆が堅いわ。もっとリラックスしなきゃ。

「それじゃあ…………」

 議論の末、聖女軍は私をトップに据えて№2がお母さん。ここまでは先程話し合いで決まっていたが、それ以降の序列は魔神三体が同格の№3として活躍してもらう事になった。

 そして魔神配下だった幹部達は、自分達が所属していた魔神の配下にそのまま収まる形となる。

 その方が、指揮系統も混乱せずに済むそうだ。

 また、領土の統治に関しても基本的に今まで通り行う事にした。下手に手を加えて、敵対勢力とぶつかる前に混乱されても困るからだ。

 それには私も賛成。

 最後に、魔神ルシーフと魔神バルバス。この二大勢力を片付ける為の方針が決定した。

 先ずは魔神ルシーフから滅ぼす。

 彼は酒癖が悪く、いつこちらに絡んでくるか分からないので、それならいっそ自分達から先に仕掛けようという事だった。

「では第一目標は魔神ルシーフの討伐ですね。」

「あぁ。」

「現状、こちらの魔神二体が消耗しているから、出来れば回復させたいわ。攻めるだけじゃなく、守りの戦力だって必要なんだし。」

 アンリさんの言う通りだ。魔神ルシーフに攻撃している間、魔神バルバスに横から攻撃を受けてはたまらない。

「どのくらいで回復出来そうかしら?」

「僕は2、3ヶ月かかるだろうね。」

「俺は半月くらいだな。」

「結構かかるわね。大分消耗しているから仕方ないんだけど……。」

 アンリさんがこちらをジッと見ている。もしかして、私が美人だから?

「はぁ。取り敢えず戦力自体に余裕はあるわけだし、一旦は魔力回復の為に時間を取りましょう。流石に2、3ヶ月も待ってはいられないから、ベーゼブが全快したら動き始めるって事で良い?」

「あぁ。」

「僕もそれで良いよ。」

「勿論賛成よ。元々は私がベーゼブを消耗させたんだし。」

「私もそれで良いです。私のせいでアドンが消耗しきっていますので。」

 こればかりは仕方ない。皆には回復に専念してもらおう。

「当面の目標は決まったし、他の細かい所も話し合いましょう。」

 アンリさんは会議が得意なのか、上手く進行役を務めている。話し合いは先程同様流れるように進んで行く。

 そして以下の事が決定した。


 一つ目は聖女軍のスローガンだ。

 聖女の聖女による聖女の為の聖女軍。

 内容としては、聖女に逆らった者は死あるのみ。私の機嫌を損ねたら私の気分で相手を処刑しても良い事になった。そしてそれ自体が法でもある。

 まるで独裁政治じゃない? あまり気乗りしないんだけどなぁ。

 これはお母さんがゴリ押しで決めてしまった。


 二つ目は聖女軍のお給料。

 これに関しては、私とお母さんが決めた。

 基本給を悪魔の等級を加味して月額で支給し、それに役職手当や功績によるボーナスを付ける。

 なお、勤続年数は考慮しない。

 驚いた事に、魔界では勤続年数による昇給という概念が無かったのだ。


 最後は聖女軍の勤務に関して。

 お休みは月に8回、勤務形態はシフト制、労働時間は8時間。夏休みと冬休みはないけど、代わりに有給がある。

 有給は年に30回取れるしどんな理由で休んでも良い。有給は働く人の為のものだから、今日は気分じゃないという理由で休んでも咎められる事は無いのだ。

 育児休暇も勿論あるし、冠婚葬祭は特別休暇を出す。

 これなら皆が安心して働けるわ。
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