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聖女の暴力編
第30話 聖女の暴力
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魔王の動きは結構速い。
拳で突きを繰り出す魔王。私はそれを掌で受け止め、相手の拳を握り込む。
「いだだだだだ!!」
「あっ。すみません。」
あまりに痛がるので、咄嗟に手を離してしまった。
「ち、ちからはそれなりに強いようだな。」
「そうですか? 魔王さんは割と力が弱いんですね。ちゃんとご飯食べてますか?」
「くっ! 馬鹿にしやがって……ならばっ!!」
魔王は特級魔法を放つ。
あれは獄炎ね。
「流石にこの魔法は簡単に防げんだろ!」
「獄炎。」
私が放った獄炎と魔王の放った獄炎がぶつかり合い、大きな音と衝撃波を伴い魔法は消滅する。
「ばかな……。」
驚愕の表情で佇む城の主。
「魔王さんってもしかして、魔法士タイプですか?」
「そ、そうだ。」
魔王の顔には若干だが恐怖の色が浮かんでいる。
「近接戦闘はあまり得意ではない?」
「あ、あぁ。苦手なわけではないが……。」
苦手って言うのが恥ずかしいのかしら?
「大丈夫ですよ。誰にだって得手不得手はあります。私も別に魔法が得意なわけじゃありませんから。」
魔王の顔がみるみるうちに青ざめる。どうしたの?
「本当は……娘のふりをした魔女様本人だったんですか?」
「いえ? その娘ですが。」
「ぐぬぬぬ……娘にまで馬鹿にされて、黙っていられるか!!」
再び魔王が突撃してくる。
連続で蹴りを放ってくる魔王は、やはりそれなりに強いみたい。
「まだまだぁ!!」
どんどん蹴りの速度が上がっていく。魔王の足には魔力が集中しているのが見て取れ、威力も先程より上がっている。
防御している私の手足に良い感じの力が加わっていく。
「面白いですね。」
火属性の魔力が込められているようね。そんな事も出来るんだ……。
煮えたぎった油をかけられても火傷一つない私が熱いと感じている。相当な熱量が込められているに違いない。
※アリエンナは村人に煮えた油をかけられた事があります
私も反撃よ。
ドギャッ!!
「ぐぅぅっ!!」
かろうじて防御が間に合った魔王は体をくの字にして吹っ飛んでいくが、空中で体勢を整え再び向かって来る。
「面白い! 面白いですよ!!」
2人の攻防を見学している調査員と聖女のパートナー。
アリエンナが拳を打ち付ける度、魔王は次々とダメージを負っているように見える。
聖女の攻撃は生物が出しているとは思えない音を響かせ、魔王は明らかに不利な様子で戦っていた。
「あーっははははっ!! もっと強い攻撃はないんですか!? ほらほらっ! 防御が間に合っていませんよ!!」
聖女の拳が腹に、腕に、胸に、顔面に……次々と打ち込まれていき、やっとの思いで反撃しようものならカウンターで即潰される。
拳の威力も増していき、ついにはその風圧で壁にヒビが入る威力に到達していた。
可哀想になる程、一方的に痛めつけられていく魔の王。
「どっちが魔王か分かりませんね。」
「あれ……魔王と人間、本当は種族が逆なんじゃねぇか?」
「否定出来ません。」
「どうしたんですか!? 反撃しないと! ほらっ!! そろそろ杖も使っていきますよぉぉ!!」
背中から杖を抜く聖女。
杖のあまりの威力に魔王は吹き飛ばされ、到達地点に一瞬で聖女が移動したかと思えばまた吹き飛ばされる事を繰り返す。
床や壁はひび割れ足型が出来ており、聖女の脚力の異常さがハッキリと現れていた。
「信じられない威力で足場を蹴り、一瞬で相手の側に移動しているようです。この部屋の床や壁が硬いからこそ出来る、高速移動方法ですね。この距離から見ているのにもかかわらず、聖女様の移動する姿を捉えられません。」
「アリエンナって本当に人間か? しかもこれ以上に絶対暴力の魔女は強ぇんだろ?」
「人間じゃなく、魔女って種族がしっくりきますね。」
「ちゃんと防御して下さい! 反撃して下さい! まだまだ私を楽しませて下さい!! そろそろ身体強化魔法も使ってみましょうか!!!」
聖女の体がボウっと淡くひかり始める。
彼女が移動する度、足場がひび割れるどころか粉砕されていく。移動音が完全な破壊音へと変化し、魔王は一方的に殴られ吹き飛ばされ続ける。
「アリエンナは武器、身体強化魔法、特級魔法抜きでSSSランク中位だと思っていたが、違ったようだな。」
「えぇ。聖女様はそれ無しでさえSSSランク上位です。魔王は接近戦が苦手なわけではありません。SSSランク中位に相応しい近接戦闘能力を身につけているはずです。」
「武器、身体強化魔法、特級魔法、聖女の祈り……合わせれば、明らかにもっと上のランクだな。俺でさえ身体強化魔法を使えばランクが一つ上がるんだ。俺以上に上手く扱えるアリエンナが使えばSSSランクより上の中位……下手すりゃ上位くらいにはなるのか?」
「はい。聖女様をS4ランクと仮定するなら、絶対暴力の魔女は更にその上のランク……S5ランクという可能性があります。もしかすると、本当に人間ではない……?」
「じゃあ、何だってんだよ。」
「あの美貌と強さ。神や上級悪魔の類……なのかもしれません。」
「はぁ? 神や悪魔ねぇ……。」
「非公式ながらSSSランク以上の存在、神や上級悪魔が現れたという記録は残っています。」
拳で突きを繰り出す魔王。私はそれを掌で受け止め、相手の拳を握り込む。
「いだだだだだ!!」
「あっ。すみません。」
あまりに痛がるので、咄嗟に手を離してしまった。
「ち、ちからはそれなりに強いようだな。」
「そうですか? 魔王さんは割と力が弱いんですね。ちゃんとご飯食べてますか?」
「くっ! 馬鹿にしやがって……ならばっ!!」
魔王は特級魔法を放つ。
あれは獄炎ね。
「流石にこの魔法は簡単に防げんだろ!」
「獄炎。」
私が放った獄炎と魔王の放った獄炎がぶつかり合い、大きな音と衝撃波を伴い魔法は消滅する。
「ばかな……。」
驚愕の表情で佇む城の主。
「魔王さんってもしかして、魔法士タイプですか?」
「そ、そうだ。」
魔王の顔には若干だが恐怖の色が浮かんでいる。
「近接戦闘はあまり得意ではない?」
「あ、あぁ。苦手なわけではないが……。」
苦手って言うのが恥ずかしいのかしら?
「大丈夫ですよ。誰にだって得手不得手はあります。私も別に魔法が得意なわけじゃありませんから。」
魔王の顔がみるみるうちに青ざめる。どうしたの?
「本当は……娘のふりをした魔女様本人だったんですか?」
「いえ? その娘ですが。」
「ぐぬぬぬ……娘にまで馬鹿にされて、黙っていられるか!!」
再び魔王が突撃してくる。
連続で蹴りを放ってくる魔王は、やはりそれなりに強いみたい。
「まだまだぁ!!」
どんどん蹴りの速度が上がっていく。魔王の足には魔力が集中しているのが見て取れ、威力も先程より上がっている。
防御している私の手足に良い感じの力が加わっていく。
「面白いですね。」
火属性の魔力が込められているようね。そんな事も出来るんだ……。
煮えたぎった油をかけられても火傷一つない私が熱いと感じている。相当な熱量が込められているに違いない。
※アリエンナは村人に煮えた油をかけられた事があります
私も反撃よ。
ドギャッ!!
「ぐぅぅっ!!」
かろうじて防御が間に合った魔王は体をくの字にして吹っ飛んでいくが、空中で体勢を整え再び向かって来る。
「面白い! 面白いですよ!!」
2人の攻防を見学している調査員と聖女のパートナー。
アリエンナが拳を打ち付ける度、魔王は次々とダメージを負っているように見える。
聖女の攻撃は生物が出しているとは思えない音を響かせ、魔王は明らかに不利な様子で戦っていた。
「あーっははははっ!! もっと強い攻撃はないんですか!? ほらほらっ! 防御が間に合っていませんよ!!」
聖女の拳が腹に、腕に、胸に、顔面に……次々と打ち込まれていき、やっとの思いで反撃しようものならカウンターで即潰される。
拳の威力も増していき、ついにはその風圧で壁にヒビが入る威力に到達していた。
可哀想になる程、一方的に痛めつけられていく魔の王。
「どっちが魔王か分かりませんね。」
「あれ……魔王と人間、本当は種族が逆なんじゃねぇか?」
「否定出来ません。」
「どうしたんですか!? 反撃しないと! ほらっ!! そろそろ杖も使っていきますよぉぉ!!」
背中から杖を抜く聖女。
杖のあまりの威力に魔王は吹き飛ばされ、到達地点に一瞬で聖女が移動したかと思えばまた吹き飛ばされる事を繰り返す。
床や壁はひび割れ足型が出来ており、聖女の脚力の異常さがハッキリと現れていた。
「信じられない威力で足場を蹴り、一瞬で相手の側に移動しているようです。この部屋の床や壁が硬いからこそ出来る、高速移動方法ですね。この距離から見ているのにもかかわらず、聖女様の移動する姿を捉えられません。」
「アリエンナって本当に人間か? しかもこれ以上に絶対暴力の魔女は強ぇんだろ?」
「人間じゃなく、魔女って種族がしっくりきますね。」
「ちゃんと防御して下さい! 反撃して下さい! まだまだ私を楽しませて下さい!! そろそろ身体強化魔法も使ってみましょうか!!!」
聖女の体がボウっと淡くひかり始める。
彼女が移動する度、足場がひび割れるどころか粉砕されていく。移動音が完全な破壊音へと変化し、魔王は一方的に殴られ吹き飛ばされ続ける。
「アリエンナは武器、身体強化魔法、特級魔法抜きでSSSランク中位だと思っていたが、違ったようだな。」
「えぇ。聖女様はそれ無しでさえSSSランク上位です。魔王は接近戦が苦手なわけではありません。SSSランク中位に相応しい近接戦闘能力を身につけているはずです。」
「武器、身体強化魔法、特級魔法、聖女の祈り……合わせれば、明らかにもっと上のランクだな。俺でさえ身体強化魔法を使えばランクが一つ上がるんだ。俺以上に上手く扱えるアリエンナが使えばSSSランクより上の中位……下手すりゃ上位くらいにはなるのか?」
「はい。聖女様をS4ランクと仮定するなら、絶対暴力の魔女は更にその上のランク……S5ランクという可能性があります。もしかすると、本当に人間ではない……?」
「じゃあ、何だってんだよ。」
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