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フェルミト王国編
第19話 聖女の友達
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王女様は明らかにイラっとした顔をしている。
「雷光。」
バチバチバチィ!!!
「「「「「あばばばばば」」」」」」
会場内が眩い光に包まれる。
あんなにうるさかった貴族達が静かになってしまった。
貴族達からは煙が立っている。
「ミディアムレアですわね。」
「その言い方はどうなの?」
セリア様は感想を言い、横からキャロルさんがツッコむ。
「優しく言ってあげたのに何て言い草ですか。本当に撃ちますよ? 雷魔法。」
「王女殿下。既に撃っております。」
近衛兵らしき人が王女様を窘める。
「これは雷魔法ではありません。静電気です。」
「そ……そうですか。失礼いたしました。」
「貴方達は一度下がりなさい。私はこの方に用があるのです。」
王女様が命令すると、集まって来た貴族の男達はゴブリンが撤退するかのような勢いでその場を後にする。
格好良いわ。
私もあんな風に村人に言う事を聞かせられたらなぁ……。
「大丈夫でしたか? アリエーンさんはどうしてあの男達を吹っ飛ばしてしまわなかったんです? いつもの貴女なら吹っ飛ばしていたでしょうに……。」
そう言って私を見る王女様。
アリエーンはお母さんの名前だ。
「お初にお目にかかります王女殿下。私、聖女アリエンナと申します。アリエーンの娘で御座います。」
「っ!? これは失礼しました。初めまして、ルディア=フェルミトです。確かに……良く似ていますが、そう言われてみればアリエーンさんとは雰囲気が違いますね。」
「王女殿下のお話は母より伺っておりました。」
「そうでしたか。アリエーンさんには私と同じくらいの年の娘さんが居ると聞いていましたが、こんなに似ているとは思ってもみませんでした。」
「似ていると良く言われます。」
「でしょうね。間違えるくらいには似ていますもの。それにしても……」
王女様はギャモーに目を向ける。
「俺……あ、私はドゥーの冒険者ギャモーだ、です。」
ギャモーったら、また言葉遣いが変よ?
「ちゃんと止めないとダメじゃないですか。」
「面目ね…申し訳ありません。俺ではこいつを止められねぇ、ませんです……。」
「この方は目立つから守ってあげないと…………待って下さい。彼女を止めるとはどういうことですか?」
「はい。あやうくアリエンナが男達をミンチにしちまうとこで……あっ、でした。」
王女様の顔が引き攣っている。ミンチはやっぱりダメなのかしら?
「……流石アリエーンさんの娘。想像以上に酷い答えが返ってきましたね。」
「アリエンナ様のお母様を御存じでしたの?」
セリア様が横から会話に加わる。お友達が来てくれて嬉しいわ。
「えぇ、4年前お世話になりまして。」
「お二方の会話を耳に致しましたけれど、アリエーン様って帝国の元SSSランク冒険者、絶対暴力の魔女ですわよね?」
「その通りです。私はアリエーンさんに魔法を少しだけ教えてもらった事があるんです。」
「王女殿下と絶対暴力の魔女が知り合いだったとは思いませんでしたわ。しかもアリエンナ様がその娘さんだったなんて……。」
「じゃあアリエンナもお母さんと同じくらい強かったりするの?」
ここでキャロルさんも会話に入って来た。これが友達の輪ってやつなのね。
「私はそんなに強くないですよ。お母さんが言うには普通のSSSランクよりも少し強いくらいだそうです。」
「それは世界トップクラスだろうがよ。」
「えぇっと……皆さん普通に会話が弾んでいますが、面識がおありで?」
王女様は意外そうな顔で尋ねる。イリジウム王国とドゥーの距離を考えれば無理もないわね。
「2日前に偶然お会いしてお友達になったのですわ。」
「はい。親友です。」
「ねー。」
(確かに仲良くは遊んだが……アリエンナ、お前距離感バグってんぞ。)
「そういう事だ。」
お友達って良いものだわ。王女様もお友達になってくれないかなぁ。
そう思い、王女様を見ると……こそこそと近衛兵の人と王女様が内緒話をしていた。
王女様が恥ずかしそうにしている。
「王女殿下の! ちょっと良いとこ見てみたい。あっそーれ!」
近衛兵の人が王女様を囃し立てていた。踊りながら掛け声まで出している。
「うるさいですね! あっ。」
何の話?
「あ、あの……私もお友達にして下さい。」
恥ずかしがりながら友達にして欲しいと王女様が言った。
「勿論ですわ。」
「私からもお願いしたいです。」
「良いよ!」
「俺もだぜ。」
「ありがとうございます。皆さんとお友達になれて嬉しいわ。」
王女様、嬉しそうだわ。勿論友達が増えた私は最高に嬉しい。
近衛兵の人がこっそりと王女様に耳打ちしている。
「王女殿下、私達ズッ友ねと言って下さい。今しかありません。」
「流石にそれは……」
「ダメです。ここで日和ったりすると、王女殿下は永久に雷魔法だけがお友達になってしまいますよ。王女殿下の! 格好良いとこ見てみたい。あっよいしょっ!」
またしても踊りながら掛け声を出す近衛兵さん。今度は会話の内容がバッチリ聞こえた。
「もしかして……馬鹿にしてます?」
王女様の頬がヒクヒクと動いていた。
明らかにイラついてるみたいだけど……近衛兵さんは大丈夫かしら?
「雷光。」
バチバチバチィ!!!
「「「「「あばばばばば」」」」」」
会場内が眩い光に包まれる。
あんなにうるさかった貴族達が静かになってしまった。
貴族達からは煙が立っている。
「ミディアムレアですわね。」
「その言い方はどうなの?」
セリア様は感想を言い、横からキャロルさんがツッコむ。
「優しく言ってあげたのに何て言い草ですか。本当に撃ちますよ? 雷魔法。」
「王女殿下。既に撃っております。」
近衛兵らしき人が王女様を窘める。
「これは雷魔法ではありません。静電気です。」
「そ……そうですか。失礼いたしました。」
「貴方達は一度下がりなさい。私はこの方に用があるのです。」
王女様が命令すると、集まって来た貴族の男達はゴブリンが撤退するかのような勢いでその場を後にする。
格好良いわ。
私もあんな風に村人に言う事を聞かせられたらなぁ……。
「大丈夫でしたか? アリエーンさんはどうしてあの男達を吹っ飛ばしてしまわなかったんです? いつもの貴女なら吹っ飛ばしていたでしょうに……。」
そう言って私を見る王女様。
アリエーンはお母さんの名前だ。
「お初にお目にかかります王女殿下。私、聖女アリエンナと申します。アリエーンの娘で御座います。」
「っ!? これは失礼しました。初めまして、ルディア=フェルミトです。確かに……良く似ていますが、そう言われてみればアリエーンさんとは雰囲気が違いますね。」
「王女殿下のお話は母より伺っておりました。」
「そうでしたか。アリエーンさんには私と同じくらいの年の娘さんが居ると聞いていましたが、こんなに似ているとは思ってもみませんでした。」
「似ていると良く言われます。」
「でしょうね。間違えるくらいには似ていますもの。それにしても……」
王女様はギャモーに目を向ける。
「俺……あ、私はドゥーの冒険者ギャモーだ、です。」
ギャモーったら、また言葉遣いが変よ?
「ちゃんと止めないとダメじゃないですか。」
「面目ね…申し訳ありません。俺ではこいつを止められねぇ、ませんです……。」
「この方は目立つから守ってあげないと…………待って下さい。彼女を止めるとはどういうことですか?」
「はい。あやうくアリエンナが男達をミンチにしちまうとこで……あっ、でした。」
王女様の顔が引き攣っている。ミンチはやっぱりダメなのかしら?
「……流石アリエーンさんの娘。想像以上に酷い答えが返ってきましたね。」
「アリエンナ様のお母様を御存じでしたの?」
セリア様が横から会話に加わる。お友達が来てくれて嬉しいわ。
「えぇ、4年前お世話になりまして。」
「お二方の会話を耳に致しましたけれど、アリエーン様って帝国の元SSSランク冒険者、絶対暴力の魔女ですわよね?」
「その通りです。私はアリエーンさんに魔法を少しだけ教えてもらった事があるんです。」
「王女殿下と絶対暴力の魔女が知り合いだったとは思いませんでしたわ。しかもアリエンナ様がその娘さんだったなんて……。」
「じゃあアリエンナもお母さんと同じくらい強かったりするの?」
ここでキャロルさんも会話に入って来た。これが友達の輪ってやつなのね。
「私はそんなに強くないですよ。お母さんが言うには普通のSSSランクよりも少し強いくらいだそうです。」
「それは世界トップクラスだろうがよ。」
「えぇっと……皆さん普通に会話が弾んでいますが、面識がおありで?」
王女様は意外そうな顔で尋ねる。イリジウム王国とドゥーの距離を考えれば無理もないわね。
「2日前に偶然お会いしてお友達になったのですわ。」
「はい。親友です。」
「ねー。」
(確かに仲良くは遊んだが……アリエンナ、お前距離感バグってんぞ。)
「そういう事だ。」
お友達って良いものだわ。王女様もお友達になってくれないかなぁ。
そう思い、王女様を見ると……こそこそと近衛兵の人と王女様が内緒話をしていた。
王女様が恥ずかしそうにしている。
「王女殿下の! ちょっと良いとこ見てみたい。あっそーれ!」
近衛兵の人が王女様を囃し立てていた。踊りながら掛け声まで出している。
「うるさいですね! あっ。」
何の話?
「あ、あの……私もお友達にして下さい。」
恥ずかしがりながら友達にして欲しいと王女様が言った。
「勿論ですわ。」
「私からもお願いしたいです。」
「良いよ!」
「俺もだぜ。」
「ありがとうございます。皆さんとお友達になれて嬉しいわ。」
王女様、嬉しそうだわ。勿論友達が増えた私は最高に嬉しい。
近衛兵の人がこっそりと王女様に耳打ちしている。
「王女殿下、私達ズッ友ねと言って下さい。今しかありません。」
「流石にそれは……」
「ダメです。ここで日和ったりすると、王女殿下は永久に雷魔法だけがお友達になってしまいますよ。王女殿下の! 格好良いとこ見てみたい。あっよいしょっ!」
またしても踊りながら掛け声を出す近衛兵さん。今度は会話の内容がバッチリ聞こえた。
「もしかして……馬鹿にしてます?」
王女様の頬がヒクヒクと動いていた。
明らかにイラついてるみたいだけど……近衛兵さんは大丈夫かしら?
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