俺の妹が前世の恋人で前前世の姉で前前前世の嫁だった。

隣のカキ

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第15話 ラララライ! ばる?

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「あげても良いけど、条件があるわ。」

 ちょっと待っ……

「怜も含めた3人で結婚する事。」

 ……てくれって言おうと思ったが、それなら問題解決である。

 しかし幸子が簡単に頷いてくれるかどうか……。

「それなら大丈夫です。元々怜ちゃんがいたので、愛人枠になろうと思ってました。」

 ええんかい!?

 とんでもない事をサラッと言ってのける幸子。

「じゃああげるわ。あげると言うか、嫁に来て。」

「はい!」

 怜の意見とか聞かなくて良いのか?

「怜にも聞かないと……。」

「それなら大丈夫よ。怜だって3人で結婚した私達を見てきてるんだもの。」

 言われてみれば、そうなのかもしれない。

「楠君の家の事情って、親が3人で結婚してる事だったの?」

 仲の良い友達には、家庭環境は良いが事情が複雑だとだけ伝えている。

「まあそういう事。」

「怜とも相性良さそうだし、きっと大丈夫よ。」

 慧ママがそう言うなら大丈夫なのだろう。

「ただいまー。」

 怜が帰ってきたようだ。

(そう言えば、オカルト同好会の活動日で遅くなるって言ってたな。)

 怜はオカルト同好会に所属している。なんでも全国大会に出場して、同好会から部活へ昇格させたいのだとか。

(オカルト同好会に全国大会なんて無いと思うが……。)

「あれ? もしかして幸子さん?」

「お邪魔してます。楠君下さい。」

 第一声がこれである。

「お兄ちゃん?」

 怜は俺を咎めるような視線で射抜く。

「待て。順を追って説明するから。」

「がるるるるっ……!」

 唸ってやがる。いつからお前は犬になったんだよ……。

「どうどう。」

 慧ママが諫めてくれている。正直助かった。



「つまり3人で結婚しろって事?」

「それなら怜も幸子ちゃんも悲しまずに済むでしょ?」

「うーん……。」

 先程のやり取りを怜に説明するが、反応はイマイチだ。しかし完全に拒絶しているワケでもない。

「多分だけどね、あんたら2人で楠の取り合いになって…碌でもない結末を迎える感じがするのよ。」

 何ですと?

「慧ママ。それホントに? 例えばどんな?」

「私って魔法が使えるじゃない? 完全な未来予知ってわけじゃないけど、可能性の高い未来を幾つか視る事が出来るのよ。」

「それで?」

「一番悲惨なのは、怜と幸子ちゃんで刃傷沙汰ね。」

 なんて物騒なんだ。

「パターンは色々とあるけど、楠は2人のどっちかに殺されるわ。最終的には3人のうち、2人は死……」
「分かった! 2人とも大好きだぞ。3人で結婚しよう!」

 だから殺さないで下さい。

「そして二番目に悲惨なのは、楠がどっちかと付き合って選ばれなかった方が……」

「方が?」

「自殺するわ。」

「……。」

「納得。」

「私も。」

 何が?

「2人は何が納得なんだ?」

「私はお兄ちゃん諦めるくらいなら、殺すか自殺だね。」

「私もそうかも。前世では結局、いつまでも諦めきれなかったし。」

「「奇遇だね。」」

「私達って気が合うね!」
「私達って相性良いね!」

 そんなので気が合って欲しくなかった……。

(浮気でもしようもんなら殺されそうだ。)

「じゃあ今日からは3人で付き合うという事で。」

「「さんせーい!」」

 慧ママのお蔭で、労せずして俺の悩みが解決した。

「楠は浮気しちゃダメよ?」

「そんな事しないよ慧ママ。」

 失礼だな。

「一応言っておかないとね。」

「何で?」

「それはね…浮気相手の女の子が死ぬからよ。」

「……絶対浮気しません。」

「その場合、警察では自殺扱いみたいだけどね。」

(完全犯罪かよ。魔法か? 魔法使うのか?)

 俺は浮気なんて生涯しないと誓った。

「これで一件落着ね。良かった良かった。」

(ホントだよ。慧ママの忠告が無かったとしたら……ゾっとする。)

「っと、そろそろ夕飯ね。今日はカレーよ。幸子ちゃんも食べてって。」

 いつの間にか、結構な時間話し込んでいたようだ。

「ありがとうございます。ご相伴にあずかります。」

「一緒にお兄ちゃんの前世について語り合おうね。」

「勿論。いくらでも付き合うよ。」

「「ねー。」」

 凄く仲が良い。まるで親友同士だ。

(俺が何かする前に勝手に仲良くなってるし……これなら心配いらないな。)

「私と恵奈みたいね。」

「そうだね。これも慧ママのお蔭だよ。」

「家族間の事件は私だって嫌だもの。手助けするに決まってるじゃない。」

「慧ママにはお礼をしなきゃな。」

「それなら……。」

 そう言って、慧ママはブラウスの肩を緩くはだけさせ……

「パパが忙しい時のお相手を頼もうかしら?」

 蠱惑的な笑みを浮かべこちらを流し目で見る慧ママに、俺はタジタジだった。

 大人の色気が凄い。

(この人は怜の母親怜の母親怜の母親!)

「こらー! いきなり浮気するなー!」

 怜の大声に体がビクッと反応する。

「はい! すみませんでした!」

「お母さんにはお父さんがいるでしょ! がるるるる……!」

「あーら、怜ったら本気にしちゃって。」

「がるるるる……!」

 犬バージョン怜が再び登場だ。

「どうどう。冗談に決まってるよ。怜ちゃんのお母さんなんでしょ?」

 幸子が宥めてくれている。やはり相性は良いようだ。

「そうそう、冗談よ。本当に襲ってきたら……いじゃうから。」




 え?
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