俺の妹が前世の恋人で前前世の姉で前前前世の嫁だった。

隣のカキ

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第6話 妹の前前世が姉だった

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 前前世で彼女は姉だった。早くに両親を亡くし、女手一つで育ててくれた最愛の姉。彼女はまだ幼い俺を懸命に働き支えてくれ、美人でしっかり者の自慢の姉だった。しかし、無理がたたり…28歳で世を去ってしまったのだ。


 怜が芸人根性を発揮したタイミングで思い出すなど、まるで本当の魔法のようである。

(まあ、魔法なんてあるわけないない。きっと何かの偶然が重なったんだろ。)

「もしかして……。思い出しちゃった?」

「思い出したよ……。姉さん。」

 やっべ、余計な事思い出させた——現在は妹であり、かつての姉だった人の顔にはそう書いてあった。

「恩返し出来なくごめん。」

 俺は前前世の事を謝り涙を流した。

「馬鹿ね。元気で育ってくれた事が何よりの恩返しでしょ。」

 どうやら、俺と同時に彼女も記憶を取り戻したらしい。

 優しかった姉さん……。

「ただね……。」

 ただ?

「どうしても恩返しがしたいって言うなら……。」

「ああ…。任せてくれ。何が出来るかは分からないけど、精一杯恩を返してみせるさ!」

「そう…。頼もしいわね。」

 今度こそ俺は…。優しかった大好きな姉に報いるのだ。

「なら……一緒にコンドーさん使いましょう。」


 ……。



「はい?」

「どれだけ立派になったか確認してあげる。」

「いやいや、ねえさ…怜。それはダメなんじゃない?」

「どうして?」

 どうしてってそれは……。

「姉だし…。」

「何言ってるの? 今は姉じゃないでしょ?」

「精神的な姉と言いますか…。」

「それを言うなら精神的な恋人でもあるよね?」

 その通りだ…その通りなんだけども……。

 妹で恋人で姉だと…? 属性が多すぎてこんがらがってきた。

「ちょっと時間が欲しいんですが……。」

「恩返ししてくれないの?」

「それは……。」

「お姉ちゃん。恋の一つもしないで頑張ったんだけどなー。」

 前前世の俺は姉に育てられたと言っても過言ではない。そんな言い方をされてしまえば逆らえない。

「ゔっ……。ちょっとだけなら……。」

「ちょっとって?」

「舌を入れないチューとか?」

 ブチュー!!


(いきなり!? ちょっ! まっ!!)

 抵抗しようにもシスターコンプレックスというビョーキの俺は抵抗できない。

(あきまへん!? 舌入れたらあきまへんて!!)


「ぷはっ!」

「こういうのはダメって事ね?」

 やってやった感を出しながらこちらに確認をとってくる怜。

「だめだって言ったのに……。」

 すると彼女はさも当然であるかの如く……

「次は覚悟しておくようにって言ったでしょ。」

 そう威厳たっぷりに言い放つ。

 確かに言った。覚えている。

 だが、こんなに積極的に来るとは思わないのが普通だ。

「言ったけど……想定以上にグイグイ来るので覚悟が決まりません。」

「お兄ちゃんの覚悟とか意味ないから。」

 え?

「どーせ手を出すのを我慢する覚悟とかでしょ? そんなの修学旅行とかでつい買っちゃう木刀くらい意味ないから。」

 なんて事言うんだ!

 男だったらついその場のノリで買っちゃうだろ? 

 何となくその時はテンション上げてくれる大事なアイテムなんだよ!

「意味なくなんてない! それに俺は誘惑に耐え切ってみせるさ。」

 怜はどことなく…ミステリアスな雰囲気を漂わせフフッと笑う。

「私は予言するよ。そう遠くない未来……。お兄ちゃんは我慢出来なくなる。」

 今まで感じた事のない怪しい雰囲気に呑まれそうになる。

「今世、前世、前前世と…お兄ちゃんの過去を知り尽くした私が全力で堕としにかかるからね。」

 ふっふっふと笑う彼女は、まるで本当に俺を見透かしているようだ。

「……お手柔らかにお願いします。」

 それにしても……。

「話題は変わるけど、怜は兄妹って事は気にならないのか……?」

「記憶取り戻す前から処女あげても良いくらには思ってたよ。」

 それはビョーキ。お兄ちゃん以上のビョーキ。

「それに加えて前世は恋人でしょ? 我慢する必要ないじゃん。」

 必要ないんだ……。

「でもさ、姉としての記憶だって戻ってるんだから…そこは我慢しようよ。」

「お姉ちゃんのパンツ盗んでイケない事をしてた君には言われたくありません。」

 バレてたの……?

「お蔭で前前世は忙しかったのに、そんな弟の奇行で毎日悶々として大変だったんですぅ!」

 確かに前前世の俺は…美人な姉に対して邪な気持ちを抱いていた。それを発散する為には姉のおぱんつがどうしても必要だった。

 仕方なかったのだ。

 別に俺だって盗りたくて盗っているわけじゃない。美人な姉や妹がいる人間なら多分理解出来るはずだ。

 男は時に、女の子のおぱんつが必要になる場合がある。それがたとえ…姉や妹の物だったとしてもだ。

 前前世の姉の名誉の為に言っておくが、良い匂いだった。

「私のパンツ盗ってくくらいなんだから、恋人になってくれても良いんじゃない?」

「それとこれとは別。おぱんつ盗るのは食後のデザートみたいなもので、完全に別腹なのさ。」

 彼女は驚き問いかけて来る。

「デザートってまさか……食べてたの?」

 そんなわけないでしょ。おぱんつ食べるなんて出来るわけないし。

「いやいや。口に含んでハムハムしただけで、食べてはいない。」

「……それはもう、食べてると言っても過言ではないと思うよ?」

 何言ってんだか。

「食べるってのは飲み込むまでがセットだろ? そんな事してないから。」

 そう…良く噛んで飲み込もうとしたが、喉に引っかかって飲み込めなかったのだ。

 つまり、食べてはいない。


 彼女の視線が俺を射抜く。



 よせ! その変質者を見るような目はやめろ!
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