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夫婦円満の秘訣編
6 違法金利はダメですわ 後編
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セリアは次々と商会を回っていく。
アイジー商会、オワコン商会、ワクテカ商会、ヒポクラテ商会。
どれも名だたる大商会である。
元家令が引退する際には、適正金利に修正する約束になっていたそうだ。
(お蔭で私もやりたい放題できましたわ!)
これら4つの商会の借金を帳消しに、オワコン商会からは低迷気味の魔道具事業をそっくりそのまま奪い取ってしまった。
現在ベリオーテ家の借金は、適正金利で借りている金貨800枚。クルライゼ家からの援助金の残りである金貨500枚と差し引きすれば、借金完済も目前である。
「今日のところは帰りましょう。」
そう言ってセリアはベリオーテ公爵邸に帰宅する。
「旦那様。本日は商会の方々とお会いして、借金を減額してまいりました。」
「そうなのかい? それは助かるよ。」
「これが現在のベリオーテ家の借金ですわ。」
ケイスは受けとった帳簿を確認すると、驚きの声をあげる。
「凄いじゃないか! しかし、一体どうやって……」
「単純な計算ミスでしたわ。元家令の方は算術が得意ではないようですね。」
「そうか……。俺は彼に仕事を任せ過ぎていたのかもしれないな。」
寂し気に呟くケイスはハッとした。
「まさか、仕事のストレスでセリアを襲ったのか……?」
(旦那様は鬼畜な癖に変にお優しいですわね。でもこの流れは良くありません。)
「いえ、彼が変態だっただけかと。」
「え?」
「あの方は、お前のパンツを被らせろと何度も叫んでいました。」
「とんでもない奴だ。やはり二度とこの家の敷居は跨がせん!」
(お仕事も頑張った事ですし、そろそろ旦那様で遊ぼうかしら……。)
「そう言えば、愛する方のほうはよろしいんですの?」
「うん?」
「私は時々愛してさえ頂ければ、それで十分ですから……。」
悲しそうに笑うセリアに、ケイスの心は打たれる。
「い、いや……なにもそんな言い方をせずとも。」
「契約結婚なのは理解しています……。」
そう言って下を向き、肩を震わせる彼女を見て心が動かない男はそういないだろう。
例に洩れず、ケイスも心変わりしはじめていた。
「あっ、今日は一緒にね……」
「こうして私が仕事を頑張りますので、愛する方とお会いしてきても大丈夫ですわ。」
ようかと言いかけ、言葉を遮られてしまったケイス。
「そ、そうか。すまないね。」
「いえいえ。当然の事です。」
(お預けをくらった子犬みたい。でも、まだダメですわ。)
「今日は疲れてしまいましたので、早めに就寝します。それでは。」
「あ、あぁ。」
(旦那様のガッカリしたお顔。なんて素敵なんでしょうか!)
アイジー商会、オワコン商会、ワクテカ商会、ヒポクラテ商会。
どれも名だたる大商会である。
元家令が引退する際には、適正金利に修正する約束になっていたそうだ。
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これら4つの商会の借金を帳消しに、オワコン商会からは低迷気味の魔道具事業をそっくりそのまま奪い取ってしまった。
現在ベリオーテ家の借金は、適正金利で借りている金貨800枚。クルライゼ家からの援助金の残りである金貨500枚と差し引きすれば、借金完済も目前である。
「今日のところは帰りましょう。」
そう言ってセリアはベリオーテ公爵邸に帰宅する。
「旦那様。本日は商会の方々とお会いして、借金を減額してまいりました。」
「そうなのかい? それは助かるよ。」
「これが現在のベリオーテ家の借金ですわ。」
ケイスは受けとった帳簿を確認すると、驚きの声をあげる。
「凄いじゃないか! しかし、一体どうやって……」
「単純な計算ミスでしたわ。元家令の方は算術が得意ではないようですね。」
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寂し気に呟くケイスはハッとした。
「まさか、仕事のストレスでセリアを襲ったのか……?」
(旦那様は鬼畜な癖に変にお優しいですわね。でもこの流れは良くありません。)
「いえ、彼が変態だっただけかと。」
「え?」
「あの方は、お前のパンツを被らせろと何度も叫んでいました。」
「とんでもない奴だ。やはり二度とこの家の敷居は跨がせん!」
(お仕事も頑張った事ですし、そろそろ旦那様で遊ぼうかしら……。)
「そう言えば、愛する方のほうはよろしいんですの?」
「うん?」
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悲しそうに笑うセリアに、ケイスの心は打たれる。
「い、いや……なにもそんな言い方をせずとも。」
「契約結婚なのは理解しています……。」
そう言って下を向き、肩を震わせる彼女を見て心が動かない男はそういないだろう。
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「あっ、今日は一緒にね……」
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「そ、そうか。すまないね。」
「いえいえ。当然の事です。」
(お預けをくらった子犬みたい。でも、まだダメですわ。)
「今日は疲れてしまいましたので、早めに就寝します。それでは。」
「あ、あぁ。」
(旦那様のガッカリしたお顔。なんて素敵なんでしょうか!)
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