サックスを吹く君のそばで

いとまる

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ーー文化祭②ーー

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綾は興奮していた。


クラスでの作業中、尚が血相変えて傑を連れて行ったのである。


ーーこれは、進展の予感!ーー



綾はすぐに千鶴のところに走って話した。



千鶴「え!?尚が!?」



綾「凄かったよ、絶対何かあったと思う!」



千鶴「もしかして付き合い出したかもよ」



綾「聞きたい!聞きたすぎる!」




千鶴「今日の放課後4人で帰らない?お膳立てしてるし1番に聞く権利あるよね!?」




綾「うん!絶対拉致して連れてく!」




放課後、文化祭の準備で遅くなったが、尚と傑は美女2人に拉致られた。
ファミレスに入った4人。あやは前置きなく話し始めた。


綾「付き合い出したってことでOK?」



千鶴「ちょ、綾!!」



傑は視線を逸らしているが尚がゆっくり話し始めた。




尚「以前傑に告白されてて。今日俺も自分の気持ちに気づいて返事したんだ。」



千鶴「よかったね、尚」



綾「尚くん素敵!傑には勿体無い。。。」



傑「てことなんで、明日は2人で回るから邪魔すんなよ」


尚「できればあまり他の人には言わないで欲しいんだ。」


綾「もちろんだよ、応援するね。」



千鶴「尚の口から聞けてよかった。」





文化祭当日


舞台の演目の1番は3組の白雪姫だった。傑と綾は客席で待っていた。


幕が上がると


そこには美しい白雪姫が立っていた。




綾「尚くん髪。。。。」



傑「。。。。。」




2人だけではない。白雪姫は誰だと客席から歓声が上がった。尚が前髪を切っていたのだ。
これまで目にかかっていた前髪は短く切られ、目がしっかり見えている。その美しさに会場はどよめいた。



劇は無事終わって、尚はたくさんの人に写真をせがまれた。


男子A「あれ石木田?その辺の女子より可愛いじゃん」

男子B「あんな顔だったんだ、可愛すぎだろ」

一気に噂は広まり、尚は一躍有名人になった。


綾「尚くん髪切ってどんな気持ち?」



傑「いや、俺に関係ないし」


綾「あれはモテるね。」

傑は気にしないふりをしていたが、尚の素顔を観れるのは自分の特権だと思っていたので複雑だった。


その後、傑と綾はクラスに戻り、カフェの準備をしていた。傑の王子姿に女子の客が殺到したのはいうまでもない。笑顔を振りまいていた傑の笑顔が引きつってきたころ、尚と千鶴がやってきた。


千鶴「傑くんにあってる!でもなんかやつれたね」


傑「まじで、俺働きすぎ。。。。」



綾「少し早いけど交代する?尚くんとどっか回ってくれば?」


綾の機転で、尚と傑は回ることにした。



傑「髪いいね」


尚「ありがとう。傑もにあってるよ」


傑「なんで切ったの?」


尚「傑の顔よく見たいなと思って」


傑「かわいいなおい(小声」


尚「なんか食べたら準備室行かない?」


2人は出店を数軒回り、誰にも見られないよう音楽準備室へ入った。



ガチャ

内側から鍵を閉めたのは尚だった。

尚「やっと2人きりになれた」


尚は傑に寄りかかって甘えてきた。


傑「疲れたよな。付き合い出したらこんな甘えてくれんの?最高なんだけど」


傑は尚を抱きしめた。



尚「こんな服着てたら本当に王子みたい」



傑「尚も、こんな綺麗な顔して白雪姫より可愛いよ」


尚「可愛いは嬉しくないの」



傑「全世界に尚が可愛いことがバレちゃったなー」


尚「俺、傑のものだから大丈夫」



傑の胸に顔を埋める尚。


別人のように素直に甘えてくる尚が傑は心の底から愛おしかった。



尚「今度さぁ、傑の家行っていい?」



傑「いいけど、何かするよ?」



尚「うん」



2人は恥ずかしそうに額を合わせ、そのままキスをした。




傑はそれからも月、水の昼休みは、音楽準備室に尚のサックスを聴きに行く。

サックスを吹く君の横顔が誰よりも好きだった。









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