14 / 15
ーー文化祭ーー
しおりを挟む演奏会が終わると、学校は一気に文化祭一色になった。実行委員の傑、綾、千鶴は忙しい日々に送っていた。委員の仕事に加え、
クラスの出し物もある。1組はカフェ、3組は劇をする。吹奏楽部は演奏会の曲を文化祭のオープニングで披露する予定だった。
傑と尚は音楽準備室で過ごしていた。
尚「1組カフェするんだって?なんかコンセプトとかあるの?」
傑「。。。王子」
傑は気だるそうに答えた。
尚「絶対見に行く」
尚は笑いながら答えた。
傑「尚のとこは劇だっけ?なんか役すんの?」
尚「。。。。。。」
傑「なんかあるんだ。まさか主役とか」
尚「白雪姫」
傑「。。。まじ。絶対見に行く」
尚「男女逆転で、役決めてさ。ほんとはしたくないけど。。。。。」
傑「楽しみにしとくわ。空き時間被ったら一緒に回ろう。綾や千鶴ちゃんも誘って」
傑とは、演奏会の後から月、水の昼休みは一緒に過ごしている。しかし、以前よりも距離が遠くなったと感じることが多い。以前は窓際の壁に横並びで座っていたのに、今は近くに座ってこない。何か約束するにも、綾や千鶴を入れて4人ですることが増えた。尚は少し寂しさを感じていた。
教室へ戻る途中、3年生の女子が傑に話があると呼び出されたので途中で別れた。
ーー告白だろうか。傑はモテるからなぁーー
2人の歩く姿を後ろから見ながら、尚は胸が痛んだ。
次の日の朝。登校してる途中後ろから傑の声がした。珍しいと思い後ろを振り向くと、昨日のあの女子と登校していた。尚はすぐに前を向いて気付かないふりをした。
ーまさか、付き合ってる?ー
なんとなく声をかけずにモヤモヤを抱えたまま学校へむかった。
昼休み。今日は木曜なので傑と会う予定はなかった。浩介と3組の前を通りかかった時、3組はカフェの準備をしていた。傑は綾といるようだ。その隣に朝見かけた女子もいた。
尚「浩介、用事思い出したから先に行ってて」
そういうと、尚は3組に入り、傑のところまで向かうと、
尚「傑!こっちきて」
強引に傑の腕を引っ張って教室を出た。
傑「尚?どした?」
尚「。。。。。」
傑「尚?」
尚「さっきの人誰」
傑「え?実行委員の人?」
尚「それは綾ちゃんだろ?もう1人の方。3年の」
傑「あの人も実行委員だよ。実行委員長だから最終確認してて。ほら俺2年の代表だから」
尚「それだけ?」
傑「それだけ」
尚「今朝も一緒にいなかった?」
傑「ばったり会ったんだ。ていうか、中学の時の先輩でもともと顔見知り。たまたま委員会で会って久しぶりに話した」
尚「昨日のは。。。。?告白じゃなかったの?」
傑「告白って。。。。まさか違うよ。
尚、もしかして妬いてる?なんて」
傑がからかうと、尚は顔を真っ赤にして俯いていた。傑は尚の顔を隠している腕も優しくどかした。
傑「尚こっち見て」
尚「無理」
傑「俺と先輩がいるのがやだったの?」
尚「。。。。そうかも」
尚は小声で答えた。
傑はあまりの嬉しさに抱きつきたかったが、理性を保った。
傑「俺のこと、少しは意識してくれてるんだ。」
尚「少しじゃない。」
尚はまっすぐに傑を見た。
傑「近くにいっていい?」
尚「うん」
傑は恐る恐る尚を抱き寄せた。
傑「こういうことしても嫌じゃない?」
尚「。。。うん」
傑「尚、もしかして俺のこと。。」
尚は傑の口を手で塞いだ。その手で
傑の両頬を小さな手で包み込んだ。
尚「傑が好きだよ」
目をまっすぐみて、満面の笑みで尚が答えた。そして2人は自然と唇を交わした。
そして2人は晴れて恋人同士になった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である


モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる