サックスを吹く君のそばで

いとまる

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ーー文化祭ーー

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 演奏会が終わると、学校は一気に文化祭一色になった。実行委員の傑、綾、千鶴は忙しい日々に送っていた。委員の仕事に加え、
クラスの出し物もある。1組はカフェ、3組は劇をする。吹奏楽部は演奏会の曲を文化祭のオープニングで披露する予定だった。


傑と尚は音楽準備室で過ごしていた。

尚「1組カフェするんだって?なんかコンセプトとかあるの?」


傑「。。。王子」



傑は気だるそうに答えた。



尚「絶対見に行く」



尚は笑いながら答えた。



傑「尚のとこは劇だっけ?なんか役すんの?」


尚「。。。。。。」




傑「なんかあるんだ。まさか主役とか」




尚「白雪姫」




傑「。。。まじ。絶対見に行く」




尚「男女逆転で、役決めてさ。ほんとはしたくないけど。。。。。」



傑「楽しみにしとくわ。空き時間被ったら一緒に回ろう。綾や千鶴ちゃんも誘って」




傑とは、演奏会の後から月、水の昼休みは一緒に過ごしている。しかし、以前よりも距離が遠くなったと感じることが多い。以前は窓際の壁に横並びで座っていたのに、今は近くに座ってこない。何か約束するにも、綾や千鶴を入れて4人ですることが増えた。尚は少し寂しさを感じていた。




教室へ戻る途中、3年生の女子が傑に話があると呼び出されたので途中で別れた。





ーー告白だろうか。傑はモテるからなぁーー



2人の歩く姿を後ろから見ながら、尚は胸が痛んだ。



次の日の朝。登校してる途中後ろから傑の声がした。珍しいと思い後ろを振り向くと、昨日のあの女子と登校していた。尚はすぐに前を向いて気付かないふりをした。



ーまさか、付き合ってる?ー



なんとなく声をかけずにモヤモヤを抱えたまま学校へむかった。



昼休み。今日は木曜なので傑と会う予定はなかった。浩介と3組の前を通りかかった時、3組はカフェの準備をしていた。傑は綾といるようだ。その隣に朝見かけた女子もいた。

尚「浩介、用事思い出したから先に行ってて」


そういうと、尚は3組に入り、傑のところまで向かうと、


尚「傑!こっちきて」



強引に傑の腕を引っ張って教室を出た。



傑「尚?どした?」



尚「。。。。。」



傑「尚?」



尚「さっきの人誰」



傑「え?実行委員の人?」



尚「それは綾ちゃんだろ?もう1人の方。3年の」


傑「あの人も実行委員だよ。実行委員長だから最終確認してて。ほら俺2年の代表だから」



尚「それだけ?」



傑「それだけ」



尚「今朝も一緒にいなかった?」




傑「ばったり会ったんだ。ていうか、中学の時の先輩でもともと顔見知り。たまたま委員会で会って久しぶりに話した」




尚「昨日のは。。。。?告白じゃなかったの?」



傑「告白って。。。。まさか違うよ。

尚、もしかして妬いてる?なんて」




傑がからかうと、尚は顔を真っ赤にして俯いていた。傑は尚の顔を隠している腕も優しくどかした。




傑「尚こっち見て」




尚「無理」





傑「俺と先輩がいるのがやだったの?」




尚「。。。。そうかも」




尚は小声で答えた。




傑はあまりの嬉しさに抱きつきたかったが、理性を保った。




傑「俺のこと、少しは意識してくれてるんだ。」




尚「少しじゃない。」




尚はまっすぐに傑を見た。




傑「近くにいっていい?」




尚「うん」




傑は恐る恐る尚を抱き寄せた。





傑「こういうことしても嫌じゃない?」





尚「。。。うん」





傑「尚、もしかして俺のこと。。」




尚は傑の口を手で塞いだ。その手で
傑の両頬を小さな手で包み込んだ。




尚「傑が好きだよ」




目をまっすぐみて、満面の笑みで尚が答えた。そして2人は自然と唇を交わした。



そして2人は晴れて恋人同士になった。






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